記録ID: 38987
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ハイキング
中国
トホレコ(日本縦断徒歩旅行の記録)39・日本海、ひたすら〜3(但馬海岸を行く。)
2006年10月25日(水) 〜
2006年10月27日(金)


- GPS
- 56:00
- 距離
- 68.5km
- 登り
- 1,045m
- 下り
- 1,044m
コースタイム
10/25 竹野ー佐津ー今子浦
10/26 今子浦ー香住ー余部ー居組
10/27 浦富ー田後ー岩戸
10/26 今子浦ー香住ー余部ー居組
10/27 浦富ー田後ー岩戸
過去天気図(気象庁) | 2006年10月の天気図 |
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アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
10/25 風は止んだが、朝のうちはまだ雨がパラついている。午前中は不安定な天気になりそう。しばらく様子を見るつもりが、うっかり本格的に二度寝してしまう。目が覚めると、時刻はなんと11時も30分を回ろうとするところ。早くもお昼にならんずる勢いである。このままさぼってしまったのでは、「僕は旅人ですから。」などとのたまいつつ出発してきた「本陣粋月」の女将さんに対しても申し訳がたたない。慌てて荷造りをして出発。海沿いの道を佐津に向けて歩いていく。荒々しい感じの海岸線でかなりアップダウンが激しい。 佐津のチコマートで買い物。チコマートって西日本では結構見かけるスーパーだと思うが、あのお店のロゴは仲々可愛らしくて好きだ。若い頃のイルカを思わせるものがある。キャベツが安かったので買いたかったが、如何せん、一玉でゴロンと売られている。ワゴンの前でどうしようかと悶絶していたら、店の人がちゃんと気付いて半分に切ってくれる。こんなところに田舎の人の人情ってやつを感じたりする。他に鶏肉やキノコ、プチトマトなどを買っていく。さて今夜は何にしようか。 佐津は絵に描いたような長閑な港町で好印象だったが、あまり行動が短くなってもアレなので、もう少し先まで歩いてみることにする。柴山辺りが宜しかろうと思っていたのだが、高台から港へ向かう坂の途中から見下ろしてがっかりした。思いっきり活気のある漁港で、砂浜などありそうにもない。仕方なく香住まで行くことにする。今子浦を過ぎた辺りからやはり、港を見下ろせるのだが、ここもかなり開けた漁港で野営には向かないように見える。という訳で少し戻って今子浦で寝ることにする。 わき道を海へと下っていくと、丁度いい公園がある。トイレや水道なんかも完備されていて野宿にはうってつけだ。海岸もすぐそこで、流木がゴロゴロしている。正面にはカエル岩。ここの名物らしいが、カエルには見えないかな。テントを張るには狭そうなので炊事道具だけもっていく。佐津のチコマートで買った材料をみんなテキトーに鍋の中に詰め込んで蒸し焼きにする。Macchan宅で作ってきたスパイスを振りかければ、立派なスープカレーの完成だ。これが弾ける如くに美味い。やはりキャベツは鶏肉と一緒に蒸しとくのが一番美味いと思う。簡単だし。さて、ご飯の蒸らしも終わったところで、いただきまーす、とやろうとした途端に背後から声をかけられる。なんとお巡りである。 「あー、悪いんですけどね、ここ焚き火は拙いんですよねえ。」 などと野暮なことを言っている。なんでこうも気の利かないタイミングで現れるかね。それにしても、ここは表通りからはかなり離れた所にある。こいつら「パトロール中に見付けた」なんてテキトーなことを言っているが上の道から見える訳ないんだ。これはもう通報されたとしか考えられない。 「やっぱ、通報ですか。通報なんすよね。」 などと聞いてみても、お巡りさんというのは一切答えてくれないものである。警官とはそういう人種なのだ。ここで焚き火をしていて目障りに思う奴といったら、ヤツしかいないな。けどそれをとやかく言っても仕方ないか。今後の参考までに一応知っておきたかったのだが。焚き火を消してテントにしけこむ。後にはスープカレーだけが残された。鍋一杯にある。いくら美味いといっても作りすぎだろう。邪魔が入ったので食欲もすっかり失せてしまった。 10/26 このところパッとしない天気が続いている。なんでも寒気の影響だそうで、札幌じゃ手稲の山が真っ白になったんだとか。香住の町を通り過ぎたが、やはり落ち着いて野営できるところではないな。どんどん先を急ぐ。余部へ向かって道は山へと入っていく。途中「鎧」という所への分岐があってえらく興味を惹かれたが、まあ、今回のところは素通り。次回があるとは思えんがな。余部へ向かって道を下っていくとあちこちに「ありがとう、余部鉄橋。」などという看板が目立つようになる。なるほど海岸に近づくにつれ、赤い鉄橋の姿が見えてくる。かなり巨大なものである。なんでも新しいトンネルが出来て、この鉄橋は近いうちにお役御免となる運命だそうで。これだけデカいものになると、くゎんこう用に保存するにしたって維持費もバカにならないだろう。今後このランドマークをどうして行くべきか町としても先の方針は不透明の様子。とかくのすたるじっくなものってのはこぢんまりとまとまってしまい勝ちなので、こういったダイナミックな建造は残しておいてもらいたいものだ。 くゎんこう客に混じって小一時間も戯れてから出発。浜坂へと再び峠越えにかかる。トンネルを抜けて緩い坂道を下っていくと久谷の村にさしかかる。道端にはちょっといい感じの古いお堂の姿が。“阿弥陀堂便り”と称してセルフポートレイトを試みる。どうしても古いお堂をみると“阿弥陀堂便り”をやりたくなる。ちなみにここのお堂は“薬師堂”。 浜坂の港町は“新温泉町”など名乗っているが、温泉旅館を見かけない。温泉に入りたい場合はもう少し手前を山側へ折れて、七釜温泉の方へ行くべきなのかもしれない。今更引き返すガッツはないけど。それにしてもなんだって“新温泉”なんて名乗っているのだろう。ちょっとウロついて見たけど、温泉が湧いている風ではなかった。 諸寄というところまで歩いてみるが、丁度いい感じの砂浜がない。この先、東浜というところまで行けば、地図に海水浴場記号の旗マークが立っている。取り敢えずそこまで行ってみるか。久々に30kmを超える移動になりそうだ。相変わらず険しい海岸線が続いている。トンネルを避けて旧道と覚しき道を行ってみる。完全に打ち捨てられた感じがセクシーだ。所々崩壊しており、車では通れない。来るのは徒歩旅行者と釣り師ぐらいなものだろう。 ある日、キミは僕を見て笑うだらう。 あんまり青い顔をしているとて。 十一月の風に吹かれている、いちぢくの葉なんかのやうだ、、 捨てられた犬のやうだとて・・・ などと中原中也を詠唱しながら歩くには、まことうってつけの荒涼とした道である。 居組という小さい漁港を過ぎると道は急傾斜に九十九を折っている。ふと足下を見下ろすと砂浜が目に入る。こじんまりとした砂浜が素敵に半円を描いて細波を遊ばせている。この浜は漁港の方からだと尾根の影になって見えないのだ。かなり高いところまで登ってしまった後ではあるが引き返す。今夜の泊まりはあの砂浜をおいて他にないであらう。例によって砂浜の入り口には「キャンプ禁止」の看板もあったようだが、まあ、見なかったことにする。十月も終わりのこんな日に、捨てられた犬のやうな男が一人迷い込んだところで、誰に迷惑をかけるわけでもあるまい。昨夜のこともあるので、焚き火は暗くなってから、控えめに。 ラジヲの野球中継が日ハム優勝を伝えている。MVPはイナバ。新庄号泣だったという。一札幌市民としてささやかに祝杯を挙げる。野球にはあまり興味はないがちょっとうれしい。今年の日ハムの快進撃はちょくちょく耳にしていたのだが、如何せん情報源がラジヲなので“イナバ”や“モリモト”がどんな顔をした人なのか知らない。考えてみれば物悲しい話である。多分、よっぽどの男前なんだと思うよ。 10/27 砂浜をよく見ると、あちこちに双葉が芽吹いている。ナウシカのエンディングを彷彿とさせる光景だ。こんな時こそ90mmマクロの出番だ。ややともするとお荷物となりがちな重いレンズであるが、中望遠でありながらマクロ撮影も出来るというオリンパスOMシリーズを代表するレンズ。今使わずに何時使う?などと架空のクロトワをたしなめつつ、撮影に現を抜かす。 居組の港を出るとすぐに急な坂道が待ち構えている。昨日、途中まで登って引き返したアレだ。もう一度居組の砂浜を見下ろしてみる。何度見てもいい砂浜だ。この坂を越えていくと、やはり眼下には綺麗な磯が断続しているのが伺える。七坂八峠を越えると、広々とした砂浜が続いているのが見えてくる。東浜の海岸である。とても綺麗なところ。波間にはサーファーが浮かぶ姿も見える。風が強く、白波がザワついている。サーファー冥利に尽きるってもんだろう。 浦富という海岸までくるとやはりサーファーがたくさんいる。これで“うらどめ”と読む。この辺りの海岸は、磯の合間に砂浜が点在して、沖に小島を浮かべた風景は、“プチ松島”とでも呼びたくなるやうな風光明媚な場所である。。いい波が立つポイントなのか、浦富に集まるサーファーはみんな上手だ。波に鍛えられているのだろう。面白いのでしばらく見ていく。波が岸に近づいて完全に砕けてしまうとみんな、一度海に飛び降りてボードに這い上がると再び沖を目指してパドリングしていく。この、海へ飛び込む時の決めポーズってのがそれぞれにあるようだ。何故か芸人がずっこける時のやうなポーズをとる奴が多い。もしかしたらアレがサーファーの中ではカッコイイとされているポーズなのかも知れない。その辺の事情までは分からないが、そういった些細な所作の中に、サーファーの芸人としてのこだわりを見た。いや、サーファーは芸人ではないな。 浦富からは国道を嫌って、田後の方を廻っていく。やがて田後の漁港を見下ろす辺りまで来ると、下りて行けそうな小径があったので無理やり下りてみる。これがまたすんげえ狭い。道を遮るやうにして置かれたネコ(一輪車)の上には子犬がちょこんと乗ってたり。楽しい。フィルムがどんどん減っていく。こういうのは良く抉れたゴルジュを見るときの感慨に通じるものがあるんじゃないだろうか。ある種の町並みというのは時間が作り上げた自然な造形物に違いない。港まで下りてみたが、この先岩戸方面へ抜けるには上の道へ戻らねばならないやうだ。イカを干すおばちゃんの姿など熱写してから、上の道に戻る。網代へ向かう途中、今度は右手に遊歩道を見つけたので果敢にトライ。しかしアップダウンがきつく、すぐに完走は諦めて途中から元の道へ戻る。景色はいいのだが、やはり、遊歩道というものは徒歩旅行には向かないようだ。 網代から国道に戻って更に小さい峠を一つ越えていく。右手のわき道を選んでいくとすぐに岩戸の海岸である。今日は夜通し歩いて、鳥取砂丘の月の砂漠をナイトハイクと洒落てみようか?などと怪しげな企画も胸にあったのだが、岩戸の砂浜があまりにイノセントな姿を横たえているので、今夜はここで野営とする。しかし、辺りには買い物が出来そうな店がない。こんなことなら網代で買出ししてくるんだった。海辺の食堂でカツ丼を食してみるも、まったく満足出来ず。峠の方にあったタコヤキ屋まで行って一箱買ってくる。ついでにビール二本。 砂浜には、太い流木がゴロゴロしている。幾らでも好きなだけ燃やせるってもんだ。この海岸はほったらかしな感じがまことに好印象。 |
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