佐渡山・乙妻山(北東斜面1940mまで)/イグルー泊
- GPS
- 11:26
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 1,467m
- 下り
- 1,465m
コースタイム
天候 | 一日目 小雪後晴れ 二日目 小雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ビバーク地点以降はトレースなし。 ビバーク地点から取り付き地点までのトラバースは斜度もあり、雪崩地形もあるので、左岸側のほうが無難だった。 |
その他周辺情報 | 夕食 藤岡PA 韓国料理ソムシバン。このPA、道の駅なので、施設大充実。 |
写真
感想
先々週にyoneyama先生にイグルー講習を実施頂き、いよいよの厳冬期実戦投入。結論から言うと簡単にイグルーは作成できた(天井は閉まった)ものの、まだまだ改善が必要な状況。yoshikitoは「厳冬期はやっぱ寒いからムリ」というが、多分冷気の遮断が甘かったせいの気がするので、考えられる改善案を全部ぶち込んで、リベンジ戦を実施したい。
今回の行き先は、白馬方面と戸隠方面の案があったが、比較的ビバーク地点のコンディションが良さそうな佐渡山、乙妻山を選択した。1月連休にも訪れていて、大体の山容は二人とも把握できているのも、安心材料。というのも、実は厳冬期の宿泊登山はこれが初めて、しかもイグルーと初物が多かったので、ある程度それ以外の安心材料があったほうが良いと思っていた。
当初は駐車場7時半着を狙ってたけど、駐車場問題が熾烈そうなので1時間前倒し。自宅出発2時。その甲斐あって駐車できたけど、わりとギリギリだった。久しぶりの泊まり山行、すっかり荷物の重さの感覚を忘れてたが、15kg程度?でも結構厳しい。ありがたいことに先行者が佐渡山の取りつきまではトレースをつけてくれていたのだけど、尾根からはラッセル開始。途中で後続の4人と交代できたのはありがたかった。4人パーティーはかなりベテランらしく、いろいろとアドバイスしてくださった。そのアドバイスに従い、佐渡山の尾根の途中から西面を落としてビバーク予定地点に到着。このビバーク地点、当初はコルの予定が乙妻山に登るなら早朝がハイクアップにしたほうが良くね?の話から尾根付近に変更、その後「乙妻山より黒姫に行ったほうが良くね?」の話からコルに戻り、結局沢地形の平らになった部分を選択するという紆余曲折っぷり。ちなみに、2日目に出会った人に「コルは風が抜けるからおすすめしない」との情報があったから、結果オーライか?
西面から滑り込んだ場所はだだっ広い平原で、いかにもビバーク適地。一応積雪深を確認したら、230cm。下のほうはかなり固い層だったので、これは間違いなくできると確信。母屋をyoshikito、トイレ棟を私の分担で作り始める。予想通り、上の新雪層以外は全て建設資材として活用できる素晴らしい雪質。講習であれだけ苦労したのが嘘のように、二人とも天井はしまった。が、そのあとが問題。それぞれが閉じ込められて、音も全く聞こえず、連携が取れなくなってしまった。私はとりあえず母屋につなげようと頑張ったが壁が厚くてなかなかたどり着かず。yoshikitoは出口を作るのに精一杯という状況。二人いるという利点が全然活かせなかった。結局母屋に接続させ、その後出口を確保し、排雪溝を母屋とトイレ棟の両方に確保し・・・と随分作業の無駄を作ってしまった。自分が講習で2人用+トイレ棟を作るのに要したのは3時間弱だったのに、二人がかりで3時間半かかってしまったのは効率が悪すぎる。本気の実戦に使うには、まだまだ改善が必要そう。
で、トイレ棟をわざわざ作ったのは「完全にイグルーを閉じる」ためであったわけだけど、それも上手くいってなかった。当初雪ブロックを立てかけるだけになってて、ある程度あとで補強したものの、食事をしている最中もずっと隙間風が入っていた。さぞかし入口側に寝ていたyoshikitoは寒かったろう(寒さに弱いのに、スマン)。
翌日、5時に起床してイグルーを見上げるとなんとなく雪が積もっている気がするが、外の様子が全く分からない。朝食を済ませて出口をあけると、拍子抜けするくらい雪が積もっていない。「天候も悪そう。夜のうちに雪が降るだろうから、ゲレンデアクセスの黒姫に転向しようぜ」なんて予定を立てていたが、前日の自分たちのトレースが残っているような状況を考えると、大した積雪も期待できなそう。「・・・乙妻山を目指して、時間切れの場所から落とす、で良くね?」という私の提案で、結局北東面を登り、そのまま落とす作戦となった。12時くらいには戻れるように、10時半をタイムリミットと設定して。
2日目は沢の右岸から取り付き点までアプローチ。ルート本にも書いてあるルートだが、あまり良いルートではなかった。いかにも雪崩地形という個所が何カ所かあり、慎重にラッセルするが、私が与えた刺激で雪崩かねなくて結構ヒヤヒヤしていた。その状況を察したのか、危険地域を抜けるまで待ってくれていたyoshikitoはさすがの判断。本来は先頭の私が声をかけるべきだったと思う。沢をどこで渡るか悩んだが、結局ルート本に忠実に行って正解だった。
そして登りの取りつき地点からは延々と続くラッセルハイクアップ。当初は斜度もなくて問題なかったが、「滑って楽しいあたり」からが斜度がきつく、しかもくるぶし上〜膝下のラッセル。これを二人でこなすのはかなりツライ。yoshikitoは「ラッセル代わるの早すぎないっすか?」というが、tartlet60分→yoshikito60分→tartlet30分→yoshikito30分→tartlet15分→yoshikito15分でほぼ平等だったと主張したい。ともあれ、苦労の末に1940mまでハイクアップしたところで予定の10時半を迎え、ここから滑走開始。じゃんけんで勝ったyoshikitoにファーストドロップを譲る。明らかに素晴らしいパウダーを滑る様子が分かる。私もドロップしたら、これ以上ない軽いパウダー!これを二人で貸し切れたのは、本当に素晴らしい。2回目のドロップは私が先頭を頂き、長距離滑走を楽しむ。久々のフェイスショットに、苦労がすべて報われた気がした。
平らな部分に到着してからは、自分達のトレースを使いながら下山。デポした荷物をピックアップするのは、左岸側の斜面をトラバースしてから、と思っていたが、なかなか良い渡渉地点が見つからなくて苦労した。ここなら、というところで沢を渡ったものの、そこからはかなり強引に登ることになった。毎度思うが、こういったルート取りはとても難しいと思う。。渡渉地点はビバーク地点より先だったので、一旦戻って荷物回収。名残惜しいけど、イグルーをある程度崩壊させて撤収した。(かえって落とし穴を作ってしまったかなぁ・・・)
その後はコルまで徐々に高度を上げながらトラバース。そのうち先行者トレースにぶつかり、ハイウェイに乗ったあとは戻るだけ・・・なのだけど、トレースがある斜面を大荷物で滑るのが辛すぎる。本気でMPP(腿パンパン)。重い荷物で滑るって、厳しいなぁ。。計画書で「佐渡山で滑って登り返し」なんて書いたアホな自分を呪いたい。林道に戻ってからはひたすらハイウェイを使って、無事駐車場到着。残念ながら乙妻山の山頂までは行けなかったけど、取りえる一番良い選択をして、素晴らしい滑走を味わえた、思い出深い山行になったと思う。「もう寒いのはムリ」というyoshikito、これに懲りずにぜひリベンジイグルー戦、お願いします。
【次回イグルー作成に向けての改善案】
・今回の寒さの原因は、デカさと入り口からの冷気ではないかと想定。特に入り口からは風が吹き込み、これが主要因だったのでは。入り口を閉じるにあたり、細い雪ブロックを立て掛けただけだったが、ちょうど穴にはまるような厚手のブロックを差し込み、隙間も楔形の雪ブロックで埋めると良いと思う。雪は空気を多く含み、断熱性能がものすごく高いはずなので、それを最大限活用するべきだった。風向きも入り口にちょうど入るような向きだったが、これは谷間の地形だけに仕方なかったか。可能なら、風向きも考慮すると良さげ。
・デカさは、排雪量が増える面でも、考慮が必要そう。やはり先生が言うように、1m×1.5mで四角く居住スペースを取り、足を伸ばす隙間だけ掘るのが良さそう。
・トイレは便利だったが、冷気を防ぐために薄手の銀マットとかでカーテン付けたほうが良さげ。
・作業分担は、最初は一人で作成、もう一人は排雪溝を母屋、トイレ分、先に作りはじめ、脱出口を作成するのを外にいる人が補助、排雪を補助するのが良いのではないか。yoshikitoは「門をブロックで作ったほうが早いのでは」と言っていたが、寒さを考慮すると居住空間は雪の下が良く、出口は極力小さくしたほうが寒くない、かつ排雪の効率も考えなくてはならないことを考慮すると、その案は工夫が必要そう。門を作って排雪が終わってから、入り口の下半分を雪で塞いでしまうとか?いずれにせよ、トイレは母屋の作業が落ち着いてから作り足したほうが効率が良さそう。
・母屋とトイレ棟を別で作成する際に、意外に声が通らないので無線を持っても良いと思った。・・・が、そもそも上述の通りそもそも別のイグルーを同時に作ったのが失敗だったんじゃないか説。
・厳冬期はジンギスカンは向かない。汁が多い鍋物がやっぱり良さそう。とりあえずコチュジャンのチューブでも投入してみるか??
乙妻山を狙って信濃へ。ルート取りはあれこれ話したものの、最終的には北東面を行けるところまでラッセルして、ピストンで滑走。予想よりもずっと良い雪で初めてフェイスショットをくらいました。
1月に高妻山(未達)をやったときから気になっていた乙妻山北東面。イグルー技術を試すという狙いも含みつつ、1泊2日で計画した。高妻山〜高妻山北東尾根〜氷沢川右岸(泊)〜中妻山〜乙妻山〜北東斜面なら激熱という夢を膨らませつつ、現実的よりやや背伸びした佐渡山〜氷沢川(泊)〜中妻山〜乙妻山〜北東斜面で落ち着く。そのうち高妻山、乙妻山を2日間はできるようになりたいな。
初日は佐渡山へ。テントを持っていないとは言え、厳冬期の泊り装備だと重い。尾根末端から取り付くとトレースなかったが、途中から別グループと合流して交代でラッセルして進む。やはり冬山ラッセル中のチーム感は気持ちが良い。山頂を取って滑走準備。山頂直下は藪が濃いので少し戻って、宿泊場の方向へ西斜面を滑ったが、疎林帯メロウな感じ、沢に入れば雪も溜まっていてなかなか素敵な斜面だった。
13時頃にテン場着。平原で積雪十分なので、宿場を構えることに。しかし平坦な場所はイグルー作成には失敗だったか。本陣は私、トイレはtartlet氏で作成を開始。雪はめやくちゃ良い。表面の新雪を避けると1段目から30x30x50のブロックを簡単に切り出せる。復習しながら作成し、足元2段目がなくなるころには天井がふさがった。しかし、ここから難儀する。出られない。。横穴を開けて人が通れるようにするまでに時間がかかったし、濡れるし、崩れて埋まったらやばいなというプレッシャーが大きかった。入り口は空けてしまって、柱を立てるスタイルが良いんじゃないかな。そこから排雪作業も難儀した。2段目で完成してしまったので、そもそも掻きだす量も多いし、平坦な場所に作ったのでピットからの排出にも時間がかかってしまった。太陽が山に隠れるくらいまでかかって完成した。中はこれまでにないほど快適空間になった。次回は時短を狙っていきたい。
暗くなる前にイグルーに入り、入り口を閉じて水作りをスタート。壁から圧縮された雪が手に入るので大きなゴミ袋いらない上に断然速く楽々。夕飯はジンギスカン。おいしいが体温上がりづらいので次回はキムチや唐辛子の投入をお願いした。
寒い。イグルーだからというよりは、自分は寒さに弱いらしい。動いている間は体温が上がるので問題ないが、活動停止すると冷えてしまう。厳冬期は宿泊するべきじゃないかな。
朝になり、叩き起こされて、ご飯食べて、準備。外に一歩も出ずに支度できるのもすばらしい。寒さにもぞもぞしていて出発までは時間がかかってしまった。前日には下山-黒姫高原-黒姫山北斜面が良いなと言っていたが、天気が意外と良いので乙妻山を目指すルートに変更した。上部はガスっていてピストンの可能性が高いのでより楽しそうな北東斜面へ。1時間ほど氷沢川を下り、緩やかな斜面を登り始める。当たり前だが誰もおらず、ラッセル。平なところは踝くらい、斜度が出てきてブーツになり、膝下になり。2人なのですごい頑張った。やっぱり冬はラッセルだな。リミット10:30になったので、1900あたりから滑走に切り替え。頑張った分のご褒美はとして十二分。底付きなしのフェイスショット。曇りのため雪面の変化が見づらいのが少し怖いが、大斜面を自由に滑れて非常に良かった。テン場に戻って荷物回収して、佐渡山のコルから下山。今回は、山頂まで残り400m。ラッセルにしても、単純に登りとしても4倍くらいはパフォーマンス伸ばしたい。3月頃、日が長くなってきたら1dayも狙っていみたいな。頑張った分の見返りはあり良い感じでした。ありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人