アソガ谷〜天狗杉〜芹生峠☆雪の北山の峠道へ


- GPS
- 04:36
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 648m
- 下り
- 641m
コースタイム
天候 | 曇り時々雪 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年02月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
この週末の寒波で近畿地方の北部は雪が降り続いている。久しぶりに長男も山に出かけるつもりになっているが、この雪では高いところは難しい。かといって比叡山は全くといってもいいほど着雪が見られない。雪景色を期待して旧花背峠から芹生峠の尾根を歩くことにする。
貴船の谷沿はわずかに薄雪が積もっており、独特の風情だ。貴船神社の奥宮を過ぎると道路には「これより先、積雪により全面通行注意」と立て看板がある。全面通行注意とは変な表現ではあるが「注意」という二文字が上からシールで貼られているので、元来は「通行止」だったのだろう。
奥貴船橋の手前、滝谷峠へと向かう登山路の手前の広地に車を停める。ここから先には薄雪の積もった道路にはまだ車が通った後はなかった。広地は数センチの積雪があるが、この程度であればなんとか脱出出来るだろう。既に二台の車が停められていた周囲の積雪からすると山の上の積雪は大したことはないだろうと踏んでスノーシューを車に置いていくことする。
アソガ谷の林道の入口の滝の写真を撮って林道に入る。3年前の台風により谷を流れてきた倒木が滝をすっかり覆い隠していたところだ。この林道の雪の上には2名分のトレースがある。
林道を進むとca520mのあたりで、やはり以前の台風による倒木の集中地帯が現れる。トレースはここで消えている。ここで引き返したようだ。
ここは昨年の5月にこの谷を辿った時に、幾重にも折り重なった倒木の中にジャングル・ジムのようになんとか通過出来るように上手く倒木が処理されていることを知ったのだった。感心するのは処理された倒木の間をくぐり抜けるルートにはいくつもの鹿の足跡がついていることだ。鹿はやはり通りやすいところを選んで通るのだろう。
倒木の集中地帯を乗り越えると平穏な林道道が続くが、急に積雪が増え、多いところでは膝下までのラッセルとなる。
林道の終点に至ると谷が二俣に分かれる。前回辿った時の記憶で左俣を辿ったことを憶えていたので左俣に入る。植林の中には歩きやすい道が続いているが、上流の二俣にたどり着いたところで植林が終わり、同時に道の気配がなくなる。前回、辿ったのはもう一つ上流の左俣であり、間違った谷を進んでいたことに気がつく。
先ほどの二俣まで戻り右俣に入る。こちらでも谷沿いに明瞭な道が続いている。やがて上流の二俣に至ると左俣に入る。
この旧花背峠は国道が通る花背峠に対して旧峠と呼ばれるが、京都から広河原を経て美山に抜ける要路であったことは地図を見れば一目瞭然だ。この峠に至るのには鞍馬街道を経由するルートと貴船からこのアソガ谷を辿るルートが考えられるが、後者の方がはるかに緩やかなので、かつてはこちらの道を往来する人が多かったのではないかと思われる。
植林の中は無雪期は間伐された樹がそこかしこに転がっているが、林床が一面の雪に覆われると
広々とした植林の谷も無雪期とは違って魅力的に感じられる。無雪期はヒルの多いところでもあり、頻繁に足元に注意しながら歩く必要があるが、この時期はヒルを気にせず歩くことが出来るのも嬉しい。杉の樹々の間を通り抜ける風の悪戯のせいだろうか、着雪した雪の粉が雪煙となってふりかかる。
谷は源頭に至ると大きく広がり、左手にお地蔵様の祠が目に入る。峠にたどり着くと急に吹雪となったので、祠の下で雪を避けながら肉まんを蒸してランチ休憩をとることにした。祠はまだそれほど古くはないように思われたが、昭和六拾年四月と記されているので、作られたのは今から37年前のことになる。
雪の勢いも弱まってきたので、まずは天狗杉まで登ることにする。尾根にはほとんど消えかけてはいたが、スノーシューのトレースがある。トレースを追って尾根を登り始めるとすぐに斜面の左手に獣避けのフェンスが現れ「チマキザサ再生プロジェクト」と書かれている。どうやら柵の中では笹を育成しているのだろう。
トレースのお陰で天狗杉にはラッセルにさほど苦労せずたどり着くことが出来る。天狗杉のピークでは雲の間から淡い光がさし、雪の上には樹々のおぼろげなシルエットを落とすが、すぐにも影は溶けるかのように雪の中に消えてゆく。
再び旧花背峠に戻ると、しばらくは林道を辿る。寺谷峠からの尾根と合流すると、尾根筋を三人のパーティーが来られる。標高点742までは林道を辿る。ここからは尾根筋を辿り、送電線鉄塔のある広いピークca770mに出る。ピークからは左手に天狗杉がよく見える。本来は周辺の展望が良いところだが、景色は再び降り始めた雪に瞬く間に烟ってゆく。
ここからはいくつもの小さなピークが芹生峠にかけて連なる。波打つような小さなアップダウンを繰り返し、自然林の中を抜けてゆく。ほぼ膝下のラッセルが続くが、雪の下に埋もれた藪のせいで、時折、大きく踏み抜くことになる。
芹生峠が近づくと尾根には植林が現れ、ようやくラッセルが浅くなる。植林の端を歩いて峠に降り立つと、再び風雪が強くなる。当初は滝谷峠まで歩いて、滝谷を下降するつもりでいたが、長男が道路を歩いて降りようというので、県道を車を停めた奥貴船橋まで歩くことにする。
駐車地に戻ると最初に停められていた二台の車はなくなっていたが、我々の車の後ろに一台の車があり、傍に二人の男性がおられる。「芹生峠からボーイスカウトの子供達が降りてくる予定なのですが、見ませんでしたか?」と聞かれる。こんな雪の日にボーイスカウトの少年達は一体、どこに出かけたのだろうか。
貴船に戻ると空は晴れ、狭い谷間には明るい日差しが降り注いでいる。驚くほど多くの人が訪れているが、多くの人は貴船の雪景色を期待して来られたのではないだろうか。日差しのせいか、朝に見かけた雪はどうやらすっか融けてなくなってしまっているようだった。
久しぶりにツボ足でのラッセルを堪能した一日であった。長男は私の後を歩いていたにも関わらず翌日には筋肉痛に見舞われているようだった。私も今週の六甲の縦走の疲れが溜まっていたようだ。
コメント
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旧花脊峠は数年の間ご無沙汰をしています
祠を最後に見たときは土台の石積が崩れて左手前の柱が傾いていました
きれいに修復されていますね
峠から天狗杉に向かう途中の、チマキザサの保護ネットが傷んでないか気になります
シカの食害が酷いので
やはりそうですよね。明らかに最近、綺麗に修復されたように思っていました。
チマキザサはネットではなく、ステンレスの頑丈な保護柵になっていました。これも以前はこのようなものを見た覚えがありません。
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