ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 420057
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
アジア

アイランドピーク@ネパール

2014年03月28日(金) 〜 2014年04月24日(木)
 - 拍手
katomi その他4人
過去天気図(気象庁) 2014年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
飛行機
往路:3/28 00:20羽田発−5:20バンコク経由 10:30バンコク発−カトマンズ着
帰路:4/23 13:30カトマンズ発−18:15バンコク経由 22:45バンコク発−4/24羽田着
コース状況/
危険箇所等
・ルンゼ:ルンゼ内は岩肌に溶けた水が氷り、滑りやすい。
・氷河の末端:アイゼン装着ポイント。雪が多い場合にはもっと手前でつける。スノープラトーではクレバス注意。箇所によっては梯子が掛けられている。クレバスの辺縁はもろいので注意。
・氷壁手前:アイスフォールを右手に避ける。
・氷壁:ガイドのリードにて進む。落石注意、メットの着用。
・山頂直下のナイフリッジ:氷化している、突風による滑落注意。特に、下りはローツェ側に落ちないよう、細心の注意を払う。
深夜の便で出発。
2014年03月27日 23:47撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/27 23:47
深夜の便で出発。
バンコクで乗り継ぎ。
2014年03月28日 07:30撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/28 7:30
バンコクで乗り継ぎ。
カトマンズ、トリブバン空港。
2014年03月28日 16:11撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/28 16:11
カトマンズ、トリブバン空港。
早朝、小さなセスナ機でルクラへ。
2014年03月29日 09:33撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/29 9:33
早朝、小さなセスナ機でルクラへ。
村が見えてきた!
2014年03月29日 10:03撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/29 10:03
村が見えてきた!
ルクラの空港。
滑走路は短くて、しかも斜め。。
2014年03月29日 10:11撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/29 10:11
ルクラの空港。
滑走路は短くて、しかも斜め。。
ナムチェまで4つほどチェックポイントがあり、許可証が無いと止められる。
2014年03月29日 10:44撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/29 10:44
ナムチェまで4つほどチェックポイントがあり、許可証が無いと止められる。
のどかな道を行く。
2014年03月29日 11:24撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/29 11:24
のどかな道を行く。
すごいところに橋がある。。
下の方が古い。もちろん新しい上の橋を渡りました。
2014年03月30日 11:40撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/30 11:40
すごいところに橋がある。。
下の方が古い。もちろん新しい上の橋を渡りました。
ナムチェの商店街。
2014年03月30日 15:41撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/30 15:41
ナムチェの商店街。
夜の街並みと星々。
2014年03月30日 22:22撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/30 22:22
夜の街並みと星々。
ナムチェから少し歩いた丘でエベレスとやアマダブラムが見られた!
2014年03月31日 06:04撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/31 6:04
ナムチェから少し歩いた丘でエベレスとやアマダブラムが見られた!
くも。
2014年03月31日 06:06撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/31 6:06
くも。
チョルテン(ストゥーパ)と呼ばれる仏塔。
2014年03月31日 09:24撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/31 9:24
チョルテン(ストゥーパ)と呼ばれる仏塔。
ターメは中心に小川の流れるきれいな村。
2014年03月31日 15:58撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
3/31 15:58
ターメは中心に小川の流れるきれいな村。
ヤク。散々荷物運びに使われ、最後にはステーキとかにして食べられちゃう。
2014年04月01日 06:35撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/1 6:35
ヤク。散々荷物運びに使われ、最後にはステーキとかにして食べられちゃう。
ターメの朝。
2014年04月01日 06:35撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/1 6:35
ターメの朝。
レンジョ・パス(峠)は遥か遠く。。
2014年04月03日 08:30撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/3 8:30
レンジョ・パス(峠)は遥か遠く。。
雪の降る中の下山。
突然、雲が晴れ日が差す。
2014年04月03日 14:38撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/3 14:38
雪の降る中の下山。
突然、雲が晴れ日が差す。
前方にくっきり山々が見られる。
2014年04月03日 14:55撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/3 14:55
前方にくっきり山々が見られる。
ゴーキョの村から、チョー・オユー。
2014年04月05日 08:13撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/5 8:13
ゴーキョの村から、チョー・オユー。
ゴーキョピーク。
2014年04月05日 08:13撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/5 8:13
ゴーキョピーク。
ドラクナクの村。
2014年04月05日 17:01撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/5 17:01
ドラクナクの村。
夜明け前。
2014年04月06日 05:21撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/6 5:21
夜明け前。
チョラ・パスを越えやっと出会えたアマダブラム。
2014年04月06日 10:38撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/6 10:38
チョラ・パスを越えやっと出会えたアマダブラム。
手前はチョラツェ、奥はタウツェ。
2014年04月06日 11:03撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/6 11:03
手前はチョラツェ、奥はタウツェ。
ある宿の一室。
2014年04月06日 15:32撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/6 15:32
ある宿の一室。
カラパタール。名の由来の通り、「黒い丘」だ。
2014年04月07日 14:41撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/7 14:41
カラパタール。名の由来の通り、「黒い丘」だ。
宿の夜。バイオリンの演奏に皆聴き入る。
2014年04月07日 19:13撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/7 19:13
宿の夜。バイオリンの演奏に皆聴き入る。
カラパタール山頂。
2014年04月08日 06:23撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/8 6:23
カラパタール山頂。
隣のプモリは恐ろしく美しい。
2014年04月08日 06:41撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/8 6:41
隣のプモリは恐ろしく美しい。
エベレストからご来光。
2014年04月08日 07:11撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
2
4/8 7:11
エベレストからご来光。
ディンボチェは大きな村だった。
2014年04月08日 15:13撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/8 15:13
ディンボチェは大きな村だった。
目指す先にはアイランド・ピークが見える。
2014年04月09日 08:01撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/9 8:01
目指す先にはアイランド・ピークが見える。
ベースキャンプから、お月様。
2014年04月10日 18:43撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/10 18:43
ベースキャンプから、お月様。
道は岩、ガレ場が多く、雪が出るまではかなり悪路の連続。。
2014年04月11日 07:07撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/11 7:07
道は岩、ガレ場が多く、雪が出るまではかなり悪路の連続。。
氷河の始まりからアイゼンをつける。
2014年04月11日 08:15撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/11 8:15
氷河の始まりからアイゼンをつける。
クレバスを越えるとかなり広いスノー・プラトー。その先には目指す氷壁。
2014年04月11日 08:48撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/11 8:48
クレバスを越えるとかなり広いスノー・プラトー。その先には目指す氷壁。
お陰様で登ることができました!感謝!
2014年04月11日 10:57撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/11 10:57
お陰様で登ることができました!感謝!
これぞまさにナイフ・リッジ。
2014年04月11日 11:02撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
2
4/11 11:02
これぞまさにナイフ・リッジ。
頂上から一望。
2014年04月11日 11:02撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/11 11:02
頂上から一望。
下りは懸垂下降。
2014年04月11日 11:25撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/11 11:25
下りは懸垂下降。
ポーターさん。荷物が大きすぎて、後ろからだともはや足しか見えない。。
2014年04月12日 13:39撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/12 13:39
ポーターさん。荷物が大きすぎて、後ろからだともはや足しか見えない。。
犬の可愛さに目覚めた瞬間!
2014年04月13日 09:28撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/13 9:28
犬の可愛さに目覚めた瞬間!
ネパールの犬はゆるくて面白い。
2014年04月13日 13:02撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/13 13:02
ネパールの犬はゆるくて面白い。
きれいな道。
2014年04月14日 09:09撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/14 9:09
きれいな道。
マムチェ・バザールに戻ってきた。
2014年04月14日 09:57撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
1
4/14 9:57
マムチェ・バザールに戻ってきた。
休憩するときは一本立てる。
2014年04月14日 11:47撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/14 11:47
休憩するときは一本立てる。
道中、はじめての猫を見つけた^^
2014年04月14日 13:04撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/14 13:04
道中、はじめての猫を見つけた^^
ここからは下界の様子。
カトマンズの街は埃っぽい。
2014年04月15日 13:58撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/15 13:58
ここからは下界の様子。
カトマンズの街は埃っぽい。
街中にもチョルテン。
2014年04月15日 15:14撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/15 15:14
街中にもチョルテン。
タントゥック(煮込みうどん)とモモ(餃子)。うまい。
2014年04月16日 13:36撮影 by  Canon EOS 70D, Canon
4/16 13:36
タントゥック(煮込みうどん)とモモ(餃子)。うまい。
撮影機器:

感想

3/28 日本を発つ
深夜00:20、まずはバンコクへ向かう。飛行機に乗るのはおそらく4年ぶり。緊張したが、飛び立つときのワクワク感はやはり好きだ。
早朝バンコクに到着。5時間待ちのあと乗り継いで、カトマンズのトリブバン空港へ到着。あ、暑い。臭いと肌で、異国に来たことを感じる。
空港の外にはたくさんの人だかり。みんな叫ぶようにして何か言っていて、こわい。。
「迎えが来るまで外には出るな」と事前にお達しがあったので待っていると、ガイドの方ががやっと来てくれた。一緒にタクシーで宿へ向かう。
ぼろぼろの建物。道端で何かを叫ぶおばあさん。たくさんの車やバイク。窓から見た景色は、どれも衝撃的だった。
宿にてご主人、奥さんと話し、ネパールのことについて教わる。日本人の登山者がよく訪れる宿で、お二人とも英語より日本語の方が堪能だ。
夜ごはんは他の泊り客と山の情報交換。シャワーは水しか出ず、今日は我慢。。

3/29 ルクラtoパクディン
早朝再び空港に向かう。今度は国内線乗り場へ。多くの人でにぎわっている。
チェック・インでは現地の人が横入りするのでなかなか進まなかった。なんとか済ませ、飛行機乗り場へ。
おもちゃみたいな小さなセスナ機。10人ほどしか乗れない。大きなプロペラの音とともに飛び立つ。風で時々揺れるのでスリル満点!
やがて衝撃を感じた。無事到着したらしい。
空港の外にはまたしてもたくさんの人だかり。ガイド、ポーターの勧誘だろう。
声を掛けられたので断ると、その人が約束していたPさんだった。
Pさんは21歳大学生。ガイド見習いだそうだ。日本語の勉強をしており、英語、ネパール語の3つで宿に着くまでたくさん話をした。

3/30 toナムチェ
今日もPさんと二人で歩く。私の荷物をほとんど持ってくれているのに歩みは軽い。
途中とっても大きな荷物を抱えたポーター、ゾッキョの列とすれ違う。
道端にはたくさん糞が落ちていて、踏まないように神経を使った。。
昨日よりも登りはややきつい。大きな橋を越え、さらに登るとナムチェに到着!
宿で本隊と合流。予定通り来られてよかった。

3/31 toターメ
これからは現地のガイドBさん、見習いPさん、クライミングシェルパSさん、
一緒に登る日本人の仲間Hさん、Gさん、Aさん、Tさんの8人で歩く。
仲間は登山の経験豊富な方々で、道中たくさん話を伺った。
ターモでは、かつて『小さな巨人』と称賛されたシェルパさんに出会い、温かく歓迎してくれたことがとても嬉しかった。
夜にAさんと話していて、「無事に帰れた時、山から下りると登らせて頂いてありがとうと思うよ」という言葉が印象に残った。
この時、話せて本当によかったとつくづく思う。

4/1 to ルンデ(2泊)
はじめて4000m台に到達。すでに富士山を上回る高度だけれど、周りの山が高すぎてそんなに高いと感じない。
高度順応のため2泊。軽度の頭痛。他の人も食欲不振、消化不良などの症状あり。
順応のためには寝ているよりも動いているのがよいらしく、皆でお散歩したり、一人で歩いて近場でヤクのカルカ(石を積んで作った囲い)の絵を描いたりしていた。

4/3 to レンジョパス、ゴーキョ
行動時間が13時間以上になる見込みで、早朝暗いうちに出発。動き続けているのに、日が出るまで全く体温が上がらなかった。
震えながら指先を心配する。動かし続けるしかない。
4000m台から5360mの差に驚く。
最後は石段が続く。休んで息を整えては進む。
12時ごろ、やっと到着。皆で喜びを分かち合う。
雲行きが怪しい。早々に下山開始するも、途中で吹雪となった。
行く手のゴーキョは見えるも、なかなかたどり着かない。日本の山とのスケールの違い。
一瞬にして雪がやみ、太陽の光が差した瞬間があった。きれいだ、息を飲む。
夕方ごろやっと宿に到着した

4/4 to ゴーキョピーク
全員疲労抜けず、ゴーキョピークだけ行ってステイすることに。
宿のすぐ隣、頂上も見えているのに、登れども進まない。
頂上からはチョー・オユー、タムセルク、カンテガなど、見渡せる。
横にあるエメラルド色の湖は一面氷だった。

4/5 to タンナ
3時間ほどしか歩かなかった。
散歩すると、ヤクがたくさんいた。
飼い主のお兄さんはしきりに何かを作っている。
「それは何?」と聞いた、どうやら毛糸を編んでいるようだ。
ヤクを簡単に移動させるのを不思議がっていると、「簡単さ、ヤクはお利口さんなんだよ」と。

4/6 to チョラパス、ゾンラ
呼吸は問題なかった。少し自信を持って歩を進める。
峠直下の急登はガレ場と氷、雪のミックスで、トレッキングシューズで登るのにかなり不安を覚えた。道がかなり悪い。
峠を過ぎ、チョラツェ、タウツェが見える。
さらに行くと、アマダブラムが大きく見えた。美しい山だ。
登りたい。でも、次なんてあるのだろうか。。
霧の中、ゾンラへ到着。
宿の横は切れ落ちており、霧で見えない。映画『ランゴリアーズ』のようだ。

4/7 to ゴラクシェップ
不調のメンバーと一時分かれることに。
ゴラクシェップまでの道はいわゆる『エベレスト街道』であり、今まで通った道よりもかなり人が多い。
NZ人の二人組と話が盛り上がる。エベレストを目指すそうだ。
夜はバイオリンの旅人によるバイオリンの演奏、素敵な時間だった。
話しかけたら、「今度は君がチェロを持ってくるんだよ」とからかわれた。
その場で出会った単独校の日本人男性と仲間で話をしたが、底の見えない異様な目に私は怖くなって、早々に部屋に戻った。

4/8 to カラパタール、ディンボチェ
4時出発。カラパタールも丘にしては登り応えがあった。
雲が無く、天の川、星々が本当にきれいだった。休憩の度に空を仰ぐ。
空の色が変わり始めたので頂上まで走る。
エベレストはその頭を覗かせている。左背後にはプモリ。
夢中でシャッターを切った。数分ごとに空は表情を変えていく。
日の光を浴びて、山が輝いている。なんて美しいんだ!
下ってから、仲間の待つディンボチェへ。
行く手にアマダブラムを眺め歩くこの道が一番好きだ。

4/9 ディンボチェ stay
ピーク登山前に家族や友人に最後の連絡。
親は気を付けてと。
帰ったら親友の式が控えている。私の勘違いのせいで、お互い気がかりができてしまったままwifiが切れてしまった。。
夕食時の話し合いで、明日B.C.まで行くことになった。
目指すピークは近い。

4/10 to アイランドピークB.C.
2時間半ほど歩き、チュクンに到着。さらに3時間歩きB.C.へ到着。
大きな砂利山の横を通過する。この向うにイムジャ湖が広がっているらしい。
温暖化で氷河が溶け、そのうち崩壊するかもしれないそうで、チュクン、ディンボチェにまで及ぶそうだ。
B.C.へ到着、テントは10張り以上あった。
夕食。リーダーの人といろいろ話をした。
明日を思い寝た。

4/11 to B.C. to アイランド・ピーク to チュクン
午前1:00に起床、朝食は問題なく食べられた。1:45には出発。
少し登ると岩場、かなり悪いガレ場が続く。暗い中、冬靴で登るにはきつい。
500mほど登ったところで段々と体がつらくなってくる。
ようやっと『クランポン・プレイス』と呼ばれる氷河と雪のある場所に着いたころには夜は明けていた。
ここからはアイゼンを効かせて氷の急登を登る。
ところどころ氷河はパックリ口を開けており、予め張ってあったフィックスロープとアッセンダー、ピッケルを使いながら登る。
ほんの2mほどの小高い部分を越えるだけでも、確実に体力は消耗していく。
下を見ると、底の知れない死の隙間が広がっていた。
歩いている間に崩れないとも限らない。落ちない保障などない。
それを越え、ようやっと『スノー・プラトー』(氷河の平らなエリア)までやってきた。
ずっっと先に、垂直にそびえる氷壁が見え、人が点となって張り付いていた。最後の200mの氷壁だ。
後続のメンバーが進まなくなり、自分はシェルパと二人で進む。
徐々に坂になっていく。息がとにかく苦しい。5歩進んで休みを繰り返す。
先を歩くシェルパはどんどん進む。体の疲労はこの時点でかなりたまっていた。このままで氷壁を登れるのだろうか。。
9:30、ようやく氷壁の取り付きに到着する。2口くらい昼食をとり、休んだが、体力はほぼ回復しなかった。
息は整い、氷壁を登り始める。
張ってあるロープを利用しアッセンダーを進め、片手にはピッケル、アイゼンの前爪を蹴って氷に刺し上に進む。これをひたすら繰り返す。
苦しい。息が辛すぎてすぐに動けなくなる。
少し整えて、一歩進み、休むの繰り返し。
全然進んでいる気がしない。何度上を見ても近づいている気がしなかった。
苦しくて息を吸っても、酸素は体に入ってこない。
段々と一歩ごとに1、2分休まないと動けないようになってきた。
その度、前方のシェルパは「push up!」と声を掛けてくれ、それに反応して体を動かすだけの状態になった。
もうこの時点で降りてもよいのではないかと。何十回も思った。
でも、これを越えたら何かが拓ける気がして、とにかく上を見上げた。
5ピッチほど繰り返し、ようやく最後の1ピッチ。頂上が見えた!
最後は勢いで、意地しかなかった。そして、やっとの思いで登りつめられた。心はすでに真っ白だった。
頂上まではナイフリッジを数m進み、10:50、狭い頂上へ。登頂できた。
ワッと涙がでた。
ずっと、頂上では達成感でいっぱいになるのだろうと思っていた。
でも実際は、とてもおおきな「ありがとう」という感謝の気持ちが沸き起こってきた。
生きてこれたこと。
出会ってきた人々、親や友人、仲間。いつも支えてくれた人たち。
たくさん笑ったり、泣いたりしてこられたこと。
私を私として生きている今、この心と身体。
登山はずっと、自己の満足なのかと思っていた。
でも、この時この瞬間は、すべての人やものに、感謝することができた。。

後続の仲間も無事に登頂、狭い山頂にはいられないのでわずか10分居たあと、私は退いた。
懸垂下降、下の他国チームがかなり時間がかかっている。
風が出てきて無い体力をますます消耗する。
後方の仲間も手こずっている様子、私の都合もあり、シェルパと私は先に進んだ。
ガレ場を下り、B.C.を過ぎ、吹雪き始めた中、荒涼とした土地をチュクンまでひたすら歩き続ける。脚はもう使い物にならない棒だった。
ヤクの糞を燃やす匂いがしてきた。村は近い。
17:30、チュクンに到着した。

4/12 to ディンボチェ
意外と冷静に荷物など片付け休めた。
B.C.から後続の仲間たちがやってきた、無事に合流できたことを喜ぶ。
ディンボチェまで『カントリーロード』を歌いながら歩いた。
到着後はwifiで皆に連絡。皆気にかけてくれ、すぐに返信してくれた。
有難かった。

4/13 to キャンヅマ
昼にジョン・クラカワーの『in to the wild』の青年の話が出た。
私はずっと、あの青年みたいになりたかった。

4/14 to ルクラ
昨晩の夕食時に、85歳の細いご婦人と出会う。
何十回もネパールに来て、エベレストを目指しているらしい。
なぜ山はこんなにも人を魅せるのだろうか。
エベレスト・ヴュー・ホテルを通り過ぎ、一度見たかったシャンボチェに寄り道する。苔むす静かな村で一泊したかった。
ナムチェで休憩後、ここからは一気に空港のあるルクラへ向かう。
雨が降り、随所に春の花が見られた。
まだ2000mはあるが、草木があるのはとにかくほっとする。
長い長い道を経て、最後のゲート。くぐり、にぎやな夕方のルクラへ到着した。
晩はキッチン、ポーターの子たち(殆どが10代!)にお礼。
みなで乾杯した。

4/15 to カトマンズ
天気は快晴、今日は多くのフライトが飛びそうときいた。
8時頃の便が取れ、少し外を出歩く。
甘いパンを食べられて、幸せだった。呼ばれ、焦って空港へ。
ポーターたちに別れを。
フライトの順が来た。

相変わらず転がり落ちるように、でも無事に飛行機は飛び立つ。
今までずっと眺めてきた山々が窓越しに見えた。
ジリまでの山道が細長く見えた。

カトマンズの空港へ到着、宿へ。
3週間ぶりのシャワーはとにかく最高だった。
昼は贅沢に、ムスタン製の蕎麦を食べ、仲間と別れた。

ここからは、一人で1週間ほど旅をした。

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