記録ID: 4409159
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沢登り
大台ケ原・大杉谷・高見山
【台高】絵馬小屋谷（江馬小屋谷） 遡行
2022年06月18日(土) [日帰り]
hillwanderer
- GPS
- --:--
- 距離
- 7.9km
- 登り
- 1,002m
- 下り
- 996m
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| 天候 | 曇りのち雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2022年06月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
【絵馬小屋谷（江馬小屋谷）】 ・ 目玉は何といっても五ヶ所滝ゴルジュ。一度は見ておいて損はないと思う。左岸からゴルジュ全体を高巻きし，一旦ゴルジュの上に出てから，今度はゴルジュの右岸側を下ってゴルジュ核心部を見に行くのが最も容易なルートと思われる（右岸巻きはかなり大変らしい。またゴルジュ入り口の滝は左手の大岩の間を登れるらしいが，水量が多いときは大変だろう）。左岸巻きは2か所程度切れ落ちた箇所がある以外は基本的に歩いて巻くことができる。ポイントはゴルジュの壁が切れるところまで十分谷を戻ってから巻き始めること。ゴルジュの上に出てしまえば右岸側も比較的穏やかで，ゴルジュの中を存分に覗き込みながら下っていくことができる。 ・五ヶ所滝ゴルジュと並びこの谷の核心部とされている3段18m滝は，通常は滝の右手のバンド又はクラックをロープを出して登攀するようだが，今回は滝の手前の少し戻ったところから右岸を高巻いた。やや大きめの高巻きになってしまうものの，歩いて谷に戻れる。 ・総じて，この谷は意外にゴーロ歩きの区間が長く，それほど技術的に難しくない印象。ガイド本によっては，この谷を「3級，上級者向け」と分類しているものがあるが，これはおそらく五ヶ所滝ゴルジュを右岸巻き（または入り口の滝を直登）し，3段18m滝も直登した場合のグレードではないかと思われ，今回のような軟弱なルート取りであればそれほどの困難はない。ただし，もちろん両岸は終始険しいため，高巻き時はそれなりに注意が必要。 【白倉谷登山道（下山）】 ・特に上部は踏み跡が薄くマーキングも途切れ途切れで，紛らわしい尾根の分岐もあり，念のため意識的に読図しながら降りたほうが良いように感じた。過去に何件か行方不明者が出ているルートでもあり，注意が必要。 |
写真
絵馬小屋谷林道の終点に駐車。林道は部分的に結構ガタガタで，時々車をストップして，落石を取り除けながらの走行となった。
絵馬小屋谷（左）と野江股谷（右）の二俣。下山に使う白倉山登山道は，この二俣の中間尾根（写真右手奥）に付いている。
左俣の絵馬小屋谷に入渓。基本的に自然林だが，時々植林や林業用のワイヤーが転がっているのが見られるなど，一度は伐採が入った谷のようだ。
意外にゴーロ区間が長い。連瀑に次ぐ連瀑，というような険谷を想像していたのだが，これはこれで穏やかで気持ちがいい。
と，前方の景色が一変。両岸が高い�瑤箸覆辰討修修衫�ち，極狭の廊下が現れた。行合と呼ばれる奇景だ。
神童子谷のへっついさんによく似ているが，こちらは足元はゴーロで，容易に通過していくことができる。
左手から流入する枝谷に架かる20mほどの美しい滝。観音滝と言うらしい。険しい谷では，枝谷は滝となって落ちてくるものが多い。
おお，出た出た。五ヶ所滝ゴルジュの始まりだ。谷は急角度で右に曲がり，圧倒的な岩盤の隙間の暗闇に吸い込まれている。見たいのは，その奥。
このゴルジュ入り口の滝は，左手の岩の隙間を登る強者もいらっしゃるが，今日は水量が多めのようで，さすがに滝のサラシ場に突っ込む気にはなれない。大人しく高巻くことに。
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このゴルジュ入り口の滝は，左手の岩の隙間を登る強者もいらっしゃるが，今日は水量が多めのようで，さすがに滝のサラシ場に突っ込む気にはなれない。大人しく高巻くことに。
谷を少し戻り，ゴルジュの壁が切れて左岸側が穏やかになったところから左岸巻きを開始。2箇所ほど切れ落ちた箇所があるものの，基本的に歩いてゴルジュを巻いていくことができる。
谷を少し戻り，ゴルジュの壁が切れて左岸側が穏やかになったところから左岸巻きを開始。2箇所ほど切れ落ちた箇所があるものの，基本的に歩いてゴルジュを巻いていくことができる。
左岸側からも，少しだけ五ヶ所滝ゴルジュの中をのぞき込むことができるが，一番見たい部分は良く見えず，もどかしい…。
ゴルジュの核心部を見るべく，今度はゴルジュの右岸側を下っていく。ゴルジュの上に出てしまえば，右岸側は写真の通り穏やかで，容易に下れる。
右岸側を下っていく途中にある岩の丸いプール。真夏に泳いだら楽しそうですね。
爆発的な白濁スライダーとなって底知れぬ深潭に落ち込んでいく急流を左手に見下ろしながら，右岸を下っていく。
足下にちらちら見えるゴルジュ内部が凄まじい。ここを水線沿いに通過しようとしても，ボルト連打以外に方法はないんだろうなぁ…。
そして，ゴルジュの絶景ポイントに到着。恐る恐るゴルジュ内に侵入して見上げるなり，まず唖然となり，次に思わず笑い出してしまった。人間は，想像を超えたものに遭遇すると，言葉を失うか，笑い出すかしてしまうらしい。なんだこの空間は…
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そして，ゴルジュの絶景ポイントに到着。恐る恐るゴルジュ内に侵入して見上げるなり，まず唖然となり，次に思わず笑い出してしまった。人間は，想像を超えたものに遭遇すると，言葉を失うか，笑い出すかしてしまうらしい。なんだこの空間は…
白い岩盤がサイケデリックなうずまき型に穿孔され，その螺旋状の内面を，凄まじい勢いで圧搾された瀑水が滑り落ちてくる。
神様は，ときどき悪ふざけとしか思えない造形をされる。山ではそういった神様の悪戯を時々目にするが，ここまで鮮やかなものは久しぶりに見た。
ゴルジュ内の岩盤は，どこもかしこも巻貝の片割れのような形に抉られている。おそらく，悠久の時間の中で，滝は何度も流路を変え，岩盤の各所にこうしたやりかけの仕事の跡を残したのだろう。何百年，いや何千年単位でこうした造形が出来上がるのか分からないが…
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ゴルジュ内の岩盤は，どこもかしこも巻貝の片割れのような形に抉られている。おそらく，悠久の時間の中で，滝は何度も流路を変え，岩盤の各所にこうしたやりかけの仕事の跡を残したのだろう。何百年，いや何千年単位でこうした造形が出来上がるのか分からないが…
凄まじい水圧の瀑水。このゴルジュで滝スライダーをやったら，最高に楽しい最期を迎えられるだろう。
と，ゴルジュを過ぎて少し行くと，何と炭焼き窯の跡が。あの異空間を目にした後なので，この人工的な痕跡にはちょっとびっくりした。昔からよく人に利用されていた谷だったようだ。大きな滝に名前が付いているのもうなずける。
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と，ゴルジュを過ぎて少し行くと，何と炭焼き窯の跡が。あの異空間を目にした後なので，この人工的な痕跡にはちょっとびっくりした。昔からよく人に利用されていた谷だったようだ。大きな滝に名前が付いているのもうなずける。
しばらく行くと，この谷のもう一つの核心である3段18mの滝が現れる（滝の写真撮り忘れた…）。この滝は，通常は滝の右側のバンド又はクラックを登攀するようだが，少し戻った右岸に巻けそうな斜面があったため右岸巻きしてしまった（やや大きめの高巻きとなる）。谷に戻る際に18mほど懸垂下降したが，谷に戻ってからよく見ると，そのすぐ先で歩いて戻れる箇所があり，懸垂は不要だった。
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しばらく行くと，この谷のもう一つの核心である3段18mの滝が現れる（滝の写真撮り忘れた…）。この滝は，通常は滝の右側のバンド又はクラックを登攀するようだが，少し戻った右岸に巻けそうな斜面があったため右岸巻きしてしまった（やや大きめの高巻きとなる）。谷に戻る際に18mほど懸垂下降したが，谷に戻ってからよく見ると，そのすぐ先で歩いて戻れる箇所があり，懸垂は不要だった。
今度は，落ち口にチョックストーンが詰まった美しい15m滝。石谷滝と呼ばれているらしい。この滝は少し戻った左岸の小さな枝谷から高巻き。谷に戻る際も急なルンゼを歩いて下ることができ，それほど難しくない。
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今度は，落ち口にチョックストーンが詰まった美しい15m滝。石谷滝と呼ばれているらしい。この滝は少し戻った左岸の小さな枝谷から高巻き。谷に戻る際も急なルンゼを歩いて下ることができ，それほど難しくない。
石谷滝を越えると再びゴーロが続く。この谷は意外に滝が少ない印象だ。水量も減ってきて，もしかしてもう終わり？と思っていると…
この滝は，上部がハングして飛瀑となっており，下部のスダレ状の部分との対比が美しく，水量の割には見栄えがする滝だ。左岸の斜面に取りつき，簡単に巻くことができる。
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この滝は，上部がハングして飛瀑となっており，下部のスダレ状の部分との対比が美しく，水量の割には見栄えがする滝だ。左岸の斜面に取りつき，簡単に巻くことができる。
雨の中，稜線を江股ノ頭方面へ。風も結構強く，濡れた体が急速に冷えて寒い。
もともとは野江股谷を下降してもいいかな，と思っていたのだが，風雨で体が冷え切ってしまったため，白倉山登山道を下る。写真は途中に生えていたミズナラの巨木。
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もともとは野江股谷を下降してもいいかな，と思っていたのだが，風雨で体が冷え切ってしまったため，白倉山登山道を下る。写真は途中に生えていたミズナラの巨木。
【おまけ（野江股谷）】右俣の野江股谷にも，五ヶ所滝ゴルジュによく似た（でも規模はずっと小さい）不思議な形のゴルジュ地形が何か所かあります。写真は何年か前に野江股谷を遡行した際の鶴小屋滝。
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【おまけ（野江股谷）】右俣の野江股谷にも，五ヶ所滝ゴルジュによく似た（でも規模はずっと小さい）不思議な形のゴルジュ地形が何か所かあります。写真は何年か前に野江股谷を遡行した際の鶴小屋滝。
装備
| 備考 | ・ラバーソールの沢靴を使用。ラバーでも可だが，結構岩にぬめりがあるので注意。 ・40mロープ携行。両岸が立った谷が続くので40mはあったほうがいいと思う。3段18m滝の高巻き時に懸垂で使用したが，そのすぐ先に歩いて降りられるポイントがあったため，無用な懸垂でした。 |
|---|
感想
絵馬小屋谷。不思議な名前だなと思う。いちめんの新緑に覆われた谷のどこか片隅に，鮮やかな朱色の絵馬がひとつ掛かっていて，人知れず風に揺れているような，そんな幽かな幻想が浮かんでくる。
蓮川の主だった谷は大方登っていて，その謂れのありそうな谷名と五ヶ所滝ゴルジュの奇景に惹かれて，絵馬小屋谷も登ってみたい谷だったが，今回やっと訪れることができた。
五ヶ所滝ゴルジュは確かに圧巻だった。別に名所めぐりみたいな沢登りをする必要はないと思うけれど，ここは一度見ておいても損はないと思う。ルート取りにこだわらなければ，それほど困難な目に遭わずに核心部を見に行くことができます。
この時期になると，なぜか毎年，大峰や台高に向かいたくなる。166号線や168号線，169号線を南に向かって車を走らせていると，ひと冬越えてまた一年経ったんだなぁ，と感慨が湧いてくる。今年も沢登りの季節がやってきたのだ。
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