赤兎山


- GPS
- 03:41
- 距離
- 6.4km
- 登り
- 564m
- 下り
- 576m
コースタイム
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく踏まれた登山道 |
その他周辺情報 | 越前海岸の温泉郡 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
|
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感想
あっという間に梅雨明けとなり、夏山シーズンに突入。オオヤマレンゲを見に行くか、それともニッコウキスゲか、この二択となった。オオヤマレンゲなら愛媛・高知県境の寒風山、ニッコウキスゲなら赤兎山だ。最後の選択を託されたkinuasaの決断で赤兎山に行くことになった。14年間過ごした東北なら、少し高めの山ならどこにでもニッコウキスゲは咲いていた。わざわざ「見に行く」対象とはならなかったが、関西に引っ越してからというもの、トントご無沙汰している。そうなると、どうしてもその姿を見たくなる。これまでに見た最も見事なニッコウキスゲの群落は、中学生の時に野外学習で訪れた長野県の霧ヶ峰八島湿原のものである。見渡す限り、湿原がびっしりとこの花で埋め尽くされたその様は、壮観であった。赤兎山には一昨年の夏に、やはりニッコウキスゲ狙いで登っている。しかしその時には花はすっかり終わっており、ことごとく実に変わっていた。中部山地や東北ではお花畑の大方の花より遅れて、8月の長ーい期間咲くので、そのつもりでのっそりと訪れたのが敗因だった。そこで今回は、絶対外さない、を基本に、慎重にタイミングを見計らっての赤兎山である。
関西から日帰り圏ではあるが、福井の白山山地はいかにも遠い。阪神高速から名神、北陸道とつないで永平寺大野道路を勝山で降りる。小原林道に入って少し進むと手作りのゲートでおっちゃんが門番をしている。てっきり一台あたり400円と思い込んでいたが、一人につき400円の入山料を徴収するのだそうで、800円を支払う。これであとは舗装された林道を進むのみ、と少し気が緩む。しかし、細くてきわどい林道は登れども登れども駐車地に着かないのである。随分高いところにやってきたな、と思う頃、道路わきのスペースに2,3台ずつ車が止まり、登山支度をする人たちを目にすることになった。駐車場はいっぱいなのか、と不安を募らせて進むと、案の定、駐車場の正面の狭いスペースに溢れた車が3台、無理やり止まっているのだった。asakinuは構わず駐車場に乗り入れ、最奥部の草が生い茂る「隙間」に突っ込む。自ら「除草」して駐車スペースを新設した格好だが、とにかく車を置くことができて一安心。駐車場入り口のホースから溢れ出る山水でのどを潤して、真夏の青空のもと、すぐに登山開始だ。駐車場を出て林道を2,3分登ったところで、「もう一つの駐車場」を発見。いや再発見、というべきだった。一昨年来た時に確かにこれを見て知っていたはずだからだ。すっかり忘れていたのだが、こちらにはまだ少し、まともな駐車スペースが残っていた。
ここ数日、里は36℃、ところによっては40℃を越える高温記録を更新する猛暑であり、今日の登山の最大の懸念事項は熱中症なのだった。その対策として、普段より1本余分にペットボトルをしょってきている。実際に歩いてみると、幸いにも小原峠のすぐ下までは沢沿いの林下を進むので、直射日光はほとんど受けず、水にも恵まれている。途中、ササユリを見る。単独行の男性一人に道を譲ったほかは、いくつかのパーティーを抜いて進み、思いのほか早く小原峠に到達した。木陰はここまでと予想していたが、実際にはこの先もブナの大木の林が続き、ほっとする。そのうち、木の根、岩角に縋るところも出てきてぐいぐいとのぼるようになる。ふと左後方を振り返ると、わっ、白山!まだ雪を残して聳え立つ秀峰が木々の間から青空を背景に姿を見せる。登ってきた方角には、きれいな形をした大長山が対峙する。足元にはマイズルソウやゴゼンタチバナ、アカモノが花を咲かせている。ミゾホウズキは黄色い花をつけ、開花したばかりのミヤマハハコに夏の訪れを実感する。やがて周囲の林が矮化すると山頂はもうすぐだ。太陽は容赦なく降り注ぐが、高度が1500mを越えて少し涼しくなっているからバテずに済む。左手には白山がますます大きなその姿を誇示する。そしてついに、ニッコウキスゲのお出迎えである。傾斜が緩くなった道を進めば、多くの人でにぎわう赤兎山の山頂に飛び出す。
ここから避難小屋に向かって下降を始める。道の両側を埋めるササの斜面には、あちこちにニッコウキスゲが咲き、ところどころ大きな群落をつくっている。なだらかな稜線を花と眺望を楽しみながら進んでいく。避難小屋手前に、小規模ながら池塘がある。赤池湿原と呼ばれているものだ。やはりニッコウキスゲは池塘にふさわしい。ここにはイワイチョウの小群落もあって、東北の山の池塘の潤いを思い出させてくれる。
避難小屋の周りにも多くの登山者が休憩している。我々は小屋を通り越してその裏の山に進み、ここで巨大チキンカツサンドの昼食をとる。日差しを浴びて汗も乾き、心地よい夏の高原のひと時である。
ゆっくりと食事をとった後、往路を引き返す。ニッコウキスゲと池塘とに別れを告げ、次第に雲の広がってきた空の様子を伺いながら下山を急ぐ。こうして、最高の天候のもと、ニッコウキスゲを眺める山行を無事終えたのであった。下山後は、越前海岸へと車を走らせ、国民宿舎「鷹巣荘」に泊まる。ここはアルカリ性単純温泉の源泉かけ流しである。温泉井戸から直接浴槽に注がれる湯はわずかに匂いがあり、無色透明で、浴後の肌はツルスベになる。露天風呂からの日本海の眺めは雄大で、体も心も完全に弛緩してしまうasakinuなのであった。
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