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Yamareco

記録ID: 45386
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
アフリカ

トゥブカル(4167m)

2009年06月22日(月) 〜 2009年06月24日(水)
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コースタイム

第1日目 晴れのち雪: イムリル〜河原〜橋〜トゥブカル・レフュージ(6時間30分)
第2日目 晴れのち曇: トゥブカル・レフュージ〜トゥブカル山〜トゥブカル・レフュージ(4時間30分)
第3日目 晴れ時々雨: トゥブカル・レフュージ〜橋〜河原〜イムリル(4時間20分)
過去天気図(気象庁) 2009年06月の天気図
コース状況/
危険箇所等
トゥブカルは4000m級ですが無雪期は簡単な山で、日本の高峰に慣れている方ならガイドレスでも大丈夫だと思います。

トゥブカル・レフュージ(避難小屋)は2食付きで220DH(約3500円)でした。これはかなりボッタクラれていますので値切ったほうが良いです。半値にはなると思います。予約は不要です。
2009年06月23日 19:14撮影 by  FinePix F100fd , FUJIFILM
6/23 19:14
2009年06月23日 19:42撮影 by  FinePix F100fd , FUJIFILM
6/23 19:42
2009年06月23日 16:44撮影 by  FinePix F100fd , FUJIFILM
1
6/23 16:44

感想

6/22(月) 1日目

マラケシュ入りした翌日はまる1日観光。翌々日から山に入ることにした。幸い朝は天気は快晴で気持ちが良い。

登山口の村イムリルまではバスで行こうかと思っていたが、カマル君に相談したところ、グランタクシーがいいよとのこと。グランタクシーは大き目の車に6人くらい無理やり入れられる乗合タクシー。安くて速いそうだ。マラケシュの安宿のスタッフ、カマル君は数年前にトゥブカルに登った事があるそうで、アドバイスはとても心強かった。

朝7時半、ジャマエルフナでプチタクシーを拾い、市内の南にあるババラプというグランタクシーのステーションに行く(9DH)。乗合タクシーのまとめ役のような男を見つけ、イムリルへ行きたいと申し出た。すると、途中のアスニまでならすぐに出るというので承諾(15DH)。自分は4人目だったので、あと2人集まるまで10分ほど待ってから出発した。グランタクシーはベンツだが、前に2人、後ろに4人乗せられてぎゅうぎゅう状態。おまけにすごく飛ばすのでおっかない。スピードメーターは常に80キロを差していたが、止まっている時に見ても80キロだった(爆)。物凄い状況だったが、なんとかアスニまでの1時間頑張った。

アスニに到着すると、怪しげな男が寄ってきて、トゥブカルに登るのか?あっちの小屋で情報を教える、地図もあるぞ、お茶も飲んでいけ、と言い寄ってきた。これはまず間違いなく押し売り屋だろうと見込み、地図もあるし大丈夫だからと振り払ってイムリルに行くタクシーを捜した。幸い、今にも出ようとしてる車を発見、呼び止めて乗せて貰った(20DH)。その後もタクシーは客を乗せつづけ、なんとトランクも合わせて11人も乗せて走ることになった(前の座席に4人は驚愕!!)。ムチャクチャ極まりない。

イムリルには30分で到着。到着するとすぐさま人が寄って来て、地図はいらんか、ガイドはどうする、荷物を運ぶぞ、などとわめきだした。しかし、この時点で自分はガイドレスを半ば決めていた。カマル君が自分の力量ならガイドは多分要らないだろうとアドバイスをくれていたからだ。村には商店や食堂もあり、行動食程度は買える。水に至っては登山道にも店屋がいくつかあるので全く問題ない。しかも、オレンジジュースも登山道で売っている。贅沢なことに、頼んでから絞ってくれる。もちろん、うまいことこの上ない(10DHくらい)。

10時半ころ、出発する。この日は3200mにある避難小屋までの6時間の行程だ。イムリルの標高は1800mなので1400mの標高差、まずまずのボリュームである。しかし、登山道の入り口をいきなり間違え、20分くらいロスする。その後もいくつか分岐を間違え、村人に教えてもらった。村外れは道が錯綜していて非常に分かりにくい(地図からも判別不可)。一番確実なのは分岐分岐で人に聞く事だ。誰でも親切に教えてくれる。

30分も急坂を登ると河原に出る。とても大きな河原で、30分以上も歩かされる。しばらく左岸を歩くがやがて道がなくなり、行き詰まってしまった。ふと対岸を見ると、キャラバン隊が歩いており、地図で確認すると河原の登山道は右岸を歩くことになっていた。サンダルに履き替えて渡渉することにする。流れはかなりきついが、深さは膝下で問題ない。水は冷たかった。河原に出たタイミングですぐに右岸に渡るのが良いだろう。

河原が終わると急坂が続くようになる。この辺から民家はなくなり、完全に登山道に入った実感が湧いてくる。すれ違う地元民はいなくなり、登山者とガイド・ポーターと馬だけになる。やがて急坂は終わり、川の上部を水平にトラヴァースするようになる。しばらく行くと橋があり、また左岸に渡る。ここには比較的大きな店屋があって休憩した。店員がしつこくて、帰りに自分の店に必ず寄れという。日本人のグループがたまに来ると言っていたが、多分A社のツアーだろう。ここは今日の行程の約半分の地点である。

橋から先は最大の難所で、急坂が500m以上も続く。しかし、危険なところはなくて単にきついだけ。抜かしてゆくキャラバン隊の馬もきつそう。良いだけ荷を背負わされ、悲鳴をあげている。自分もきつくて、ここで完全にばててしまった。今日は入国3日目で、時差ボケが最もひどいときだ。ねむくてかなわん。やがて傾斜がゆるくなると、前方に避難小屋が見えてくる。石造りの大きな建物が3つ、まるで要塞だ。体力的には限界を超えていたが何とか頑張り、へとへとになって小屋にたどり着いた。午後から少しずつ天気は怪しくなっていたが、小屋を目の前にして雨も降りだした。

3つの小屋のうち、どれに泊まってよいか分からないのでとりあえず一番下のに入ったが、これが正解だった。上2つはフランスのアルパインクラブの私的な小屋だそう。宿泊は1泊2食で220DH。ちょっと高いと思ったが、どうやらこれもボラれていたっぽい(あとでカマル君に聞いたらそれは高いと言われた)。でもこのときは既にディスカウント交渉する元気もまるで無し。居間で休んでいると、急激に気温が下がって来て、すごい音で雷が鳴り出した。ふと外を見ると吹雪になっている! ぶったまげて、思わず窓に近づいた。なんてこった! もう少し到着が遅れていたら確実に雪につかまっていた。

夕飯のスパゲティを食ったらあまりの疲労にすぐに寝ることにした。寝室はアメリカ人の8人パーティと香港人の単独行の人と一緒になった。今日の宿泊者は総勢40人くらいか、ずいぶん多い。でも、かなり大きな小屋でベッドも半分くらいしか埋まっていない。マットと枕もあって、とても快適だ。シュラフは持ってきたが、貸し毛布もあるようだ。3200mとは思えないほど夜も冷え込まずに、快適に眠れた。

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6/23(火) 2日目

トゥブカルに登頂する日。前日が雪だったので天気を心配していた。だが結論から言うとこの日は天気は最高(夜に15分ほど夕立があったが、これはほぼ毎日必ずあるという)。

5時前にアメリカ人達と香港人が起きはじめた。それにつられて自分も5時半には起床。朝食をとって6時15分に出発した。日が長いとはいえ、ライト無しで歩けるほど明るくなるのは6時以降だ。

イムリルからずっと川筋を登ってきたが、小屋を過ぎて初めてこの川から離れる。東に見えている巨大な谷を登る。山頂まで標高差は1000m弱だ。谷の水量は少なく、下部は滝になっている。昨日はほんとうにこんな急な谷を登るのかと驚いて眺めていたが、先行するアメリカ人が登っているのを見ると、ルートはうまく弱点を突いてトラヴァースしており、それほどでもなさそうだった。砂状のザレ場を横切り、滝を渡り、巨大な1枚岩を2回にわたって回り込みながら登ると、台地上の場所に出る。ここまで1時間弱。もっと危険かと思っていたが、あまり問題になる場所は無かった。

この先も急な岩場が延々続いたが、危険を感じるところはほとんどなく順調に進んだ。ただ、標高3700mを越えると完全に雪の上を歩くことになる。朝は雪が堅くキックステップがほとんど効かず、スリップ注意だ。日本の雪山に慣れている自分としてはあまり問題は無いのだが、モロッコ人達はかなりすったもんだで大騒ぎになっていた。申し訳ないが、片っ端から抜かせてもらう。半月状に見えている鞍部を目指すが、やがて左側(北側)にトゥブカルのピークも見えてくる。ピーク部は真っ白で岩の露出はあまり無い。6月でこんなに雪が多いとは全く聞いておらず、驚きを隠せぬまま登ってゆく。鞍部には2時間ちょっとで着いた。標高は4000mだった。

初めて東側の景色や、アトラス山脈の全貌が分かる地点だった。アフリカの大地のパノラマを目の当たりにして興奮するよりは、何て緑が少なく単調な風景なんだろうというのがまず感想だった。ひたすら続く赤茶けた岩山と不毛の砂地。川のあるところだけ、線のように緑が連なる。オアシスがいかに貴重なものかが分かる。なんて厳しい土地なんだろう。。。

ここからは打って変わって平坦な道を150mほど北に登ってゆけばよい。反射がきついのでサングラスをする。やがてピークの三角錐のモニュメントが見え始め、徐々に近づいてくる。最後は雪原をひたすら歩き、ようやく頂上に到達。のんびり広広したピークだった。あっけなかったが、これが4167mアフリカ第6位の山なのだ。

アメリカ人たちと登頂を喜び合った。高山病の症状は全く出ず快調そのもの。あれだけ先行していた香港人やモロッコのパーティもかなり抜かしてしまい、自分は結局この日3番目の到着だった。アトラス山脈は特徴的な形の山がなく、あまり目を引かなかったが、北側には初めてイムリルの町が見えた。マラケシュ方面はかすんで見えない。南側はひたすら茶色のサハラ砂漠だ。はるか彼方はアルジェリア、そしてマリへと続いているはずである。ヨーロッパからモロッコに渡り、アトラスを越え、マリのトンブクトゥへと続くキャラバンの道がかつてはあったのだ。。。モロッコ人たちや、英国人、フランス人、香港人も到着し、徐々ににぎやかになった。360度のパノラマを十分楽しんでから下山にかかった。

帰りは快調そのもので、2時間かからず小屋に戻った。体力的・時間的に十分イムリルまで下山できたが、のんびりしたかったので、小屋にもう1泊することにした。午後は玄関前の広場で日なたぼっこをしながら本を読んだ。あまりに天気がよいので、川沿いを遡って1時間くらい散策もした。小屋周りはハイキングにうってつけだ。

この晩は昨日と打って変わって登山客が減り、10人くらいだった。昨日はにぎやかだった寝室も自分ひとりだけ。こんな豪華な空間を占拠できるとは日本では考えられない!

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6/24(水) 3日目

山の最終日。何もなく無事に下山しました。ただこの日は天気が不安定で、晴れ、曇り、雨、全部が襲ってきた。でもカラッカラに乾いて暑いので、雨降ってもカッパは着ない。

イムリルの村でまずい昼食を食った後、またもぎゅうぎゅうのグランタクシーでマラケシュへ。偶然にもマラケシュ直行便があと一人で出発という幸運極まりない状況だった(50DH)。

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