何を怖がって南沢で撤退したのか


- GPS
- 05:17
- 距離
- 13.1km
- 登り
- 931m
- 下り
- 916m
コースタイム
天候 | 曇り時々雪(山中) |
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過去天気図(気象庁) | 2022年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
800円/日 |
コース状況/ 危険箇所等 |
南沢の登山道、勾配の大きな箇所には石を鉄のネットで包んで階段状にしてくれている。 下りの際、うっすら雪が乗った状態はとても滑りやすくなっていた。 不用意に足を置かないこと。 |
写真
装備
個人装備 |
ダウンジャケット
レインウェア上下
救急薬品
ナイフ
折りたたみ傘
行動食
非常食
携帯電話
帽子
ストック
ヘルメット
手袋(夏用
冬用)
マグカップ
タオル
水
カメラ
アイゼン
ヘッドランプ
予備電池
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感想
初冬の八ヶ岳を縦走するはずが、降り出した雪に臆して引き返した。
笑ってしまうようなあり得ない経過を辿ったこと、なんとか振り返っておこう。
以前の2月の硫黄岳から赤岳縦走の記憶があって、そこを基準に今回の難度を決して高くないと舐めていたのが前提にある。
事前のプランニング、準備時間がなかなか取れないのを気にもせずにいた。
雨か雪の天気予報から適当に装備をイメージし、当日出発時に詰め込んでいた。
事前の睡眠時間の調整ができず、途中の道の駅で少し仮眠するつもりでいたら、5時間も熟睡してしまい、スタートが2時間近くも遅れてしまった。
何もかもが適当な状況を作ってしまって、不安要素の多く残ったスタートにしてしまったのが今回一番の原因。
すっかり明るくなった山道を歩きながら、その不安を一つ一つ思い返していた。
想定される天気の変化や行程で準備の不足は思い至らなかったが、この季節の八ヶ岳を相手にする心の準備ができていないことに漠然とした不安感を抱いていた。
ただ一方で、そういった不安感とワクワク感は表裏一体なんだと自分を鼓舞することで前を向いていた。
最初のうち、曇り空ながら気温も低すぎず、安定するように思えた空模様だったが、南沢に入ってしばらくしたら、あられのような雪がばらばらと落ちだした。
それがほんの5分や10分で景色が霞む降雪になり、地面が一気に真っ白に変わっていった。
もちろん降り出したところで登ることにそれほど支障があるわけでもなく、アイゼンの出番でもない。
岩の上にうっすら乗った雪を踏む怖さがあるが、それくらいのことだ。
目を奪われたのは、降ってきた雪の量。
雨なら夕立のようなイメージだろうか、一瞬で白く変わった回りの地面とともに、「ドカ雪」という言葉が頭に浮かんだ。
風が増し、気温が低くなるのを感じて焦りが出た。
報道や情報検索の中で見た(気がしていた)、急なドカ雪で動きが取れなくなった登山者のシーンが頭の中に再現される。
目の前の状況に、「一旦立ち止まって様子を見る」という一番妥当そうな判断は浮かばず、降りしきる雪に臆した心は「直ちに引き返す」のを唯一の選択肢にしてしまった。
結果から言えば、下りだして数十分で雪はおさまり、登山口に戻るとまた稜線がきれいに見えだした。
あのまましばらく様子を見ながら状況をやり過ごしていれば、ゆっくりでも続行できていたのは間違いない。
防寒や足元などの装備は一応雪を想定していたので、その先の行程に支障なく動けていたと思う。
いったい何を怖がったのか、その場では考えられなかったが、つまるところ「変化」が怖かったのだろう。
積雪期の山で根雪の上にさらに積もっても、ラッセルの苦労が増すくらいで想定の範囲ではある。
今回、季節の変わり目での積雪、状況が短時間で変化していくなかでイメージが極端な方に流れてしまったのは、経験不足と同時に想像力に欠けていたところだったように思う。
積雪期の山にしても、ルートの難度にしても、そこにある変わらない状況に対してはそれほど不安を感じることはない。
ただ、今回のように変化する状況に対応力が欠けているのは、やはり経験を重ねることでカバーしていくしかないんだろうと思う。
一つの経験で引出しを一つ増やすのが理想だが、今回のケースはそういう意味でいい機会だったんだろう。
だったらなおのこと、その場でもう少し頑張って自分を鍛えてもよかったのに、勿体ないことをしたものだ。
体力の余裕がないことも以前に比べて自分の選択肢を狭めている。
遠い前回の記憶をいつでも再現できるというのも勘違いであると改めて痛感した。
いい加減なふわふわした気持ちで山と向き合っていてはいけない。
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