豪雨の、北アルプス蒲田川左俣・わさび平
- GPS
- --:--
- 距離
- 9.9km
- 登り
- 368m
- 下り
- 358m
コースタイム
天候 | 雨、時々激しく降る。雷鳴あり。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
新穂高温泉からわさび平までは、林道に異常個所なし。 |
写真
感想
お盆は例年、秋の雰囲気が漂うのだが、今年はなんと秋雨前線のように、日本列島は停滞前線(!!)に支配されてしまっていた。
変化する気圧配置とは思えず、天気予報の変化もあまり期待できない。何かが動けばよいのだが。
それでも、笠新道から笠が岳と計画した当初案を前提に、とにかく新穂高温泉まで行ってみることとし、早朝に駐車場に入り、仮眠。しのつく雨、いつもより激しい沢音、お盆にしてはすいている駐車場。
雨のやむ気配もなく、出発していった登山者のグループはあったが、このままで笠新道が登れるとは到底考えられず、笠が岳でテントを張るなど無理というもの。
しばらく眠りを貪るが、可能性としては鏡平小屋泊でチャンスを狙うという考え方もあり、テント装備を解き、パッキングを直した。だいぶ軽くなる。
あまり寝ているわけにもいかず、合羽を着て、登山指導センターまで行ってみる。
ちょうど大雨注意報から警報に変わったという知らせが示される。
遭対協の方だろうか、詰めている方から情報を聞く。
計画書は準備してきたが、先ほどから頻繁にチェックしているヤマテンでも、Yahoo天気でも、動きは見られないため、登るのは到底できないと考え、届は出さないこととした。ワサビ平くらいまで見てこようかと、林道の様子が気になって聞いてみると、左俣の林道が崩れたことはないという。では、わさび平まで行ってみます、と声をかけ、歩き出した。
雨はそれほど激しくなく、蒲田川も平時より水量と流速が増しているのは分かるが、白い泡を上げていて、濁りもそれほどではない。上部はどうなっているのだろうか。
やばかったら速攻帰ろう。
ゆっくりと雨の中を行くが、どんどん登山者が下りてくる。双六あたりからの下山だろうか。学生の団体と何組もすれ違い、次第に激しさを増す雨の中、1時間20分ほどでわさび平小屋に着く。十数人が小屋の中や周囲で休んでいる。
中に入り、珈琲をたのむ。泊まりを決めている人たちもいる。上の小屋の予約を取り消している人たちもいる。下山でタクシーをたのんでいる人もいる。
少ないが、上に行こうとしている人もいた。
外を見ていると、見る見るうちに雨が激しくなってきた。早く降りたほうがいい。
来る時とは雨の降りが変わってきた。雷鳴も聞こえる。足早に下る。川を見ると、先ほどと異なり、激しく濁ってきている。地響きのように、川床を転がる音も聞こえる。
遭対協の人は、ここの林道が崩れたことはないと言ったが、この流れを見ていると、場所によっては、足元をえぐられそうな気になる。
速足で下り、新穂高温泉の仮橋で振り返ると、水量と激しさ、そして濁りの強さが、出発時とは違い、まったく驚くほどの変化だ。
ちょうどこの時と時を同じく、右俣の滝谷出合で、遭難事故があった。
http://blog.goo.ne.jp/yaridairagoya/e/a8b6bcde3b6a7d894420bc62654d329a
11時頃に激しさを増したと記されているが、わさび平からの帰路で経験した激しい雨が、それにあたると思われる。
車の中で一息。相談のうえ、奥秩父へ転進することにした。
この日、笠ヶ岳としたものの、山は逃げない。
わさび平小屋まで散歩。
ガスの錫丈を左手に、沢の水量が多いこと、山肌から流れ込む水の多さも確認。
すぐ安全地帯に引き返せる場所しか歩けない、そんな状況ではありました。
このときはまだ雨脚もゆるく、時々フードを脱ぐほど。
しかし、わさび平小屋でコーヒーを待つ間、さらなる大雨。
たくさんの方が登山道から避難してこられました。
軒先を貸す小屋主さんも浮かないお顔。
雨水飽和状態の山は怖い。地盤もユルユル。どんな形で土砂が流れるか予測不可能。天気が上がったとしても標高を上げる気にならないチキンな私。
出てみるとドーン、ドーンと鳴動する山。
あたり一面、苔のにおい。
さっきまで白く流麗だった流れは濁流になり、ゴンゴンと岩がぶつかる音、そして水が激しくあわ立つ音。
駐車場まで降りる途中も水抜きの穴という穴から勢いよく水が噴出していました。
そして、標高を下げると先ほどの濁流がうそのように、水かさこそ増してはいても色の変わらない流れの川。岩稜帯が多い場所とそうでない場所の違いをまざまざと目の当たりにして息をのむ。
翌日、行き先を知る知人からの連絡で事故を知りました。
経験豊富なみなさまだったとのこと、胸が痛みます。
末尾ながら、亡くなった方のご冥福をお祈りします。
コメント
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増水した川の流れ、画像で見るだけでも恐怖を覚えます。
遭難事故のすぐ近くにいたなんて、もしかしたら自分に起こっていてもおかしくなかったと考えますよね。
的確な判断でしたね。無事で良かったです。
pokoroさん、こんはんは。
濁流を見ると本当に恐ろしいです。突然沢の水の増水、信じられないほどの急変は予測を完全に超えていますね。
鏡平の途中の秩父沢もえらいことになっていたのではと想像できます。とにかく無事下山よかったですね。
まさに渦中の蒲田川におられたのですね
転進のご判断は適確でおられますね。さすがです。
今回の報道は何度も通ったばしょだけにとても吃驚しました。
川の様子がおどろおどろしいですね。。。
本当に天気の悪い夏です
でも、ご無事でなによりでした。
ご心配おかけしました。ありがとうございます。
さすがに登る気になりませんでしたが、朝のうちは予想に反して水は濁っておらず、まだまだなのかなという気持ちもありましたが、昼前にものすごい雨になり、一気に増水したようです。事故は、無理な行動をしなければ起こらなかったものと思います。左俣側ではそういう行動がなかったから、何もなかったのかもしれません。
とにかく、こういう時の行動は慎重を期しますね。
こんにちは、はじめまして。
ご心配ありがとうございます。
突然の増水というより、大雨警報が出ていたこともあり、予測されたものだったと思います。山では、いろいろなことを常に想定して行動することが大事かと思います。
逆もまたありえて、以前にここを登った際には、増水で濁っているので、わさび平でテント泊後、下ろうとしていたら、一気に水量が減っていて、その隙に笠が岳に登れたことがありました。
いずれにしても、自然の力は人間など簡単に呑み込んでしまうこと、肝に銘じて山を登って行かなくてはならないと思います。
ありがとうございます。
そもそも停滞前線で、雨雲の様子もわかっていましたので、現地まで行くこともなかったのかもしれませんが、休みが融通利かないと、ワンチャンスがあれば、と淡い期待を抱いて行ってみたりします。今回は、転進するにはどこがいいかも、事前に相談した上でのことでした。
しかし、まさか、同じ水系での事故とは、驚きました。容易に行動することなど考えられない豪雨でしたし。慎重に行動すれば、防げたのではないかと。。
うわぁ・・・凄い流れですね。
これを渡ろうとしたら事故って当然だなって思いました。
こんな天気でも上を目指す人っているんですね。
ザイル出しゃあいいってもんでもないだろうに・・・
遭難事故の相次いだお盆の週末。
今年の天気は山のぼら−の判断力も奪いましたかね?
山に行けなくて、かなりうっぷんが溜まってきましたが
天気わかってるのに命かけるものでは無い。
遭難したら他の人にも迷惑をかけることになる。
的確な判断、お疲れ様でした。
私はこの日は快晴の三浦半島にいましたよ〜〜〜
暑かった
日曜は上の二匹のペンギンとでは無く実物のイワトビペンギンとたわむれておりました
今週末も大きな計画をしていたのですが
遭難や事故の相次ぐ気象状況が続く中、涙を飲んで計画を白紙撤回しました。
夏山らしい山行が出来ずに終わる夏になりそうです
pokoroです。おはようございます。
皆様にはご心配おかけしました、また気にかけて頂いていること、心から感謝申し上げます。
今回の降水量は高層天気や雨雲を見ても予測できなかったと聞きました。
滝谷はいつもは涸沢ながら少しの降雨も全て集めてしまう場所、亡くなられたパーティの皆様も、それはご存知だったと思います。さらに、これまでもっと酷い場所を安全に通過した実績もおありだったかもしれません。
3人のうちザイルを張った方は少なくとも渡渉できた状況ですし、ただ単に急に増した水量に、さらに「待つともっと酷くなる」との判断をされたかもしれません。
ああ、やっちゃったね、でも全力を尽くしたよ、と天で笑っておられるのかも。
幸せな最期とご本人たちが感じておられますように、そんなことを考えていました。
戻れば済むものを、とか、小屋の関係者がそう助言しているのに、とか、ガイドさんは何を考えて、とか。残念ですね。この手の小さなことはよく起こっていますけど。
いずれにしても、林道でなかったら、見にもいかなかっただろうと思います。
それほど悪天候。
転進してうまくいったのが、ラッキーと感じるくらい、日本全体ダメでしたね。
海もねぇ、実家が湘南だから行きたいんだけど、山に忙しいし。
夏山計画は、壮大なのですが、仕事のせいで休みがキャンセルになりました。
再起を期していますが、どうなりますか。。。
だめなら、秋にまた楽しむか・・という悲しいことになるかも。
生憎の天気というか、なんとも悪条件の天候となった今年のお盆後半。
まずはご無事でなによりです。
今回の飛騨沢での遭難、天候の判断が難しいとはいえ、悔やまれます。
まさかあんな形で濁流に飲み込まれ事故に遭うとは、誰しも想像してなかったでしょう。本当に残念な事故です。
今回は笠ヶ岳の狙いでしたか。きっと次のアタックの時には
槍穂高の絶景が見れますように!!
tekapoさん、おはようございます(^-^)/
お判り頂けてうれしいです。残念ですし、悲しいのか、無念なのか…、胸中複雑です。
錫杖の、沢を詰めて前衛も、いつか。
まずは笠ヶ岳。次はお天気の日を狙います(^ ^)
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