【甲斐駒】大武川一ノ沢アイスクライミング
山梨県
tamoshima
その他2人 
体力度について
- GPS
- 27:52
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 2,040m
- 下り
- 2,002m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 3:14
- 休憩
- 6:33
- 合計
- 9:47
| 天候 | 3日とも晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2023年01月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
【アプローチ】 ・一ノ沢下部は氷結が悪いため、通常は左岸尾根を1393m点まで登ってから沢に下るルートを取る。地形図に記載の大武川沿いの車道は実際には左岸にあり、下から一ノ沢左岸尾根に取りつくには、大武川の渡渉が必要。渡渉は面倒であるため、朴の木橋で右岸に渡ってから尾根に取りつくほうが楽と思われる。橋を渡ってすぐの場所から始まる細い尾根にはテープが付けられているようだが、さらにその西の尾根のほうが歩きやすいと考えられたため、今回はそのルートで往復した。 ・1393mから一ノ沢へは、今回のルートの復路の経路が最も楽と思われる。すなわち、1393mの東の尾根〜同尾根の南側のルンゼ〜同尾根〜先のルンゼより1本下流側のルンゼ。ルンゼに入った後、そのままそのルンゼを下ると氷瀑が出てきて、懸垂下降が必要になる。 ・下の大滝を巻く場合、左岸から巻くほうがスムーズと思われる。 ・下の大滝の上に幕営適地がある。 【氷瀑】 ・この3連休では他に2パーティ4人が一ノ沢大滝を登った。 ・下の大滝は氷の裏に水流が見える程度の氷結で、簡単なラインでIV程度。ロープスケール50m程度。 ・大滝は良く氷結しており、簡単なラインでIV+程度。ロープスケール170m程度で、60mロープなら3pで登れる。 ・中滝は上部がシャンデリア状で悪く、V+程度。ロープスケール55m程度。中滝を登るなら2泊3日の日程でないと厳しい。 ・一砂滝(いさごたき)(仮称)は登りやすいラインで右がIV、左がIV+程度。右はロープスケール35m、左は40m程度。 ・一砂滝の下にもロープスケール35m程度、��+程度の氷瀑がある。 |
| その他周辺情報 | ・メンバーのS藤によるYAMAP記録：https://yamap.com/activities/21927275 ・一砂滝の名称は、滝壺の標高が約1350mであることと、一ノ沢の枝沢であることに拠る。この滝がある左岸支流を一砂滝沢と仮称する。 ・tamoshimaによる無雪期遡行の記録（遡行図あり） https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2391659.html ・昨年同時期の記録（茅ヶ崎山岳会） https://chigasaki-alpine.club/report/2022/01/2021-1-8-1-10-omukawa_ichinosawaotaki.html ・翌週の記録 https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5096381.html 暖気により下の大滝や大滝3p目が崩壊している。 |
写真
拍手
装備
| 備考 | 焚き火ができるので焚火缶を持っていく方が良い |
|---|
感想
【計画の経緯】
大武川一ノ沢大滝は、南アでも最大の氷瀑で、是非登りたいと思っていた。今シーズンは12月の気温が比較的低く、1月上旬でも良好な氷結が期待できたため、中滝まで登れるだろうと思い、3連休で計画した。
3日間でこの滝を登る場合、初日と3日目がアプローチと下山だけになっている記録も多いが、そうならないよう、初日は下の大滝を登り込んで、3日目は枝沢を探索する計画とした。
【山行】
○1日目
ゲート前に車を置き、所々凍結した車道を歩く。途中で一ノ沢大滝も見え、良く凍って良そうで、気持ちは高ぶる。朴の木橋を渡ったところで尾根に取りつけそうな場所を探し始め、擁壁が切れたところから入山。下山はしたくないような急斜面だったが、休み休み登っていくと、次第に尾根に出て、傾斜は緩くなった。
この尾根は想定通り歩きやすく、1箇所だけ右側が崩壊して狭くなっている場所があった程度で、順調に一ノ沢左岸尾根に乗れ、そこから少しで1393m点。
小休止の後、下り始める。テープとトレースがあったのでそれを追っていったが、ルンゼを暫く下ったところで氷瀑が出てきて、懸垂下降1回。そしたらすぐに一ノ沢に合流。
一ノ沢を適当に遡行していくと、大した障害もなく下の大滝に到着。想像以上に順調。下の大滝は、トレースと自分の遡行記録を参考に右岸から巻いたが、割と大巻で面倒だったので、左岸のほうが良さそうである。下の大滝の上には幕営適地があり、予定通りここで幕営。
テント設営を終えて下の大滝を懸垂下降する準備をしていると、下から滝を登ってくる2人組がいて、山登魂の方であった。下の大滝はS藤が最初にリードし、途中の立木にフィックスロープを1本セット。これで、2人組でのリードと、フィックスでのTR練習が同時にできるようになり、1人4本程度ずつ登りこめた。フィックスを張ったラインはそれなりに傾斜もあり、良い練習になった。
最後にtamoshimaがリードして幕営地に戻ると、山登魂の2人は既に焚火を始めている。お言葉に甘えてお邪魔させてもらい、しばし歓談。お湯や酒までもらったりして感謝しきり。夕食はS藤による鍋で、重い材料を運んできただけあって、美味しかった。
○2日目
2人Pで速そうな山登魂Pに先行してもらうことにして、30分遅れくらいで幕営地を出発。氷結の悪い滝には既に巻くトレースが付けられていて、一方凍っている滝はフリーソロでさくさく登り、快適に大滝下に到着。
ちょうど準備を終えた頃に山登魂Pの2人目が登っているところで、無駄に待つこともなくS井により1p目のリード開始。傾斜は強くない登りやすいピッチで、60m一杯にロープを出して、左岸のRCCボルト2本の終了点まで(IV-)。RCCボルトや残置スリングはやや古くて少し心もとない。
核心と言われる2p目はtamoshimaリード。だが、傾斜はさほど強くないし、先行Pの穴も利用できるとあって、かなり登りやすい(IV+)。さくさく登りながら滝を横断し、55m程度出した右岸の雪面でピッチを切る。S井がフォロー中、2番手のS藤から落氷を受け、肩を少し傷めてしまった。
3p目はS藤がリード。少し登ると傾斜が緩んで氷の上に雪が積もっており、どんどんロープを伸ばして、最後にちょっとした氷をまた登り、55m程度で登攀終了(IV-)。
ロープを畳み、次は中滝だ、と思って上流へ進むと、山登魂の2人が早くも戻ってくる。聞くと、氷結が悪くて下部だけ登って降りてきたそう。不安になりながらも進み、滝を見上げると、確かに滴りが多く悪そう。とはいえ登れそうではあるので、tamoshimaリード。1pで登ることを目論見、まっすぐなラインで登る。下部だけでも大滝よりは傾斜が強く、少し疲れてくるが、氷結は良く問題ない。しかし上部はシャンデリア状の氷で、壊しながら登らざるを得ない上、スクリューも非常に決めづらい。ビレイヤーも、絶え間なく降ってくる落氷を避けるのに大変だったらしい。ノーテンションではスクリューの決め場所を吟味できず、甘効きのスクリューでは突っ込めないため、1度テンションを入れてスクリューを決めなおすしかなかった。その後少し登ると徐々に傾斜が緩んだので、レストしながら登って、何とか滝上へ(V+)。大滝で肩を傷めたS井はフォローしないとのことで、S藤のみフォロー。フォローでも沢山氷を落とさざるを得なかったらしい。リードはまだしたくないとのこと。
中滝の上を少し見に行ってみると、10m程度はありそうな氷を発見。もう時間もやる気もないので登らないが、アルパインアイスとしても楽しめる場所かもしれない。
中滝は立木に直掛けで、大滝は1p目を木にかけられた残置ビナで、2p目をV字スレッドで、3p目を怪しげなRCCで懸垂下降し、無事終了。下降中、登ってくる2人Pとすれ違った。
テン場に戻るのは結構面倒かと思ったが、先に下った山登魂Pのトレースにも助けられ、懸垂下降無しで、日暮れ頃にテン場到着。この日は自分たちで焚火を熾し、暖まってから日清の新作、カレーラーメンを食べた。
○3日目
3日目は枝沢の探索と下山のみのため、朝から焚き火をしてゆっくりのスタート。とりあえず下の大滝を懸垂下降し、不要な荷物を置いて、左岸枝沢へ。出合の氷結の悪い滝は左からあっさり巻いて、ゴーロを進むこと少しで左に結構立派な氷瀑あり。確認するとこの左が本流なので、早速この氷瀑を登る。tamoshimaはフリーソロし、S藤リードでS井がフォロー(��+)。ロープスケール35m程度、軽快に登れて良い滝。
この滝は良かったが、ここから連続する小滝の氷結が悪い。薄い氷を騙し騙し登っていくが、これはこれで面白い。小滝群が終わると、存在を予想していた大滝が出現。滴りが多いものの、2条あって、想像以上に立派で嬉しい。2条をtamoshimaとS藤のそれぞれでリードすることにして、まずはtamoshimaが右をリード。概ね快適で楽しく登れる。
3人登り終えて、せっかくなので上流を少し見に行くと、10m強はありそうな氷瀑発見。が、行くのが面倒な割に面白そうでもないので引き返し、V字スレッドで滝下へ戻る。
次は、左の右端をS藤がリード。中滝を思い出すようなシャンデリア状だったが、傾斜は強くなく、順調に登って滝上へ。こちらの方が、やや上まで氷が続いており、ロープは長く出た。3人登り終えたら先ほどのV字スレッドを使って滝下へ。良い開拓だった。
これでこの山行のアイスクライミングは終了だが、悪かった小滝群の下降をどうするかが問題である。周辺の地形を吟味した結果、右岸の立木を懸垂下降でつなぐこととし、30m程度を2回で無事に最初の滝の下に降りられた。これで一安心。
枝沢出合にデポした荷物を回収し、トレースを追って下っていくと、初日に下ってきたルンゼよりも登りやすそうなルンゼを発見。ここには氷もなく実際登りやすくて、チェーンスパイクで左岸尾根まで登れた。とはいえ、傾斜が急で結構疲れた。
左岸尾根まで出てしまえばあとは下る一方で、足どりは軽い。登るときは出だしだけ急で降りたくない感じだったので、少し迂回をし、安全に車道まで下山。
車道まで下山すると気持ちが切れるので、最後の車道歩きが随分長く感じたが、温泉と食事を楽しみに、車まで歩き続けた。
【感想】
南アルプスでも最大級の滝である一ノ沢大滝だけでなく、氷結条件の厳しい下の大滝や中滝、さらには未知であった一砂滝も登れ、大変満足できる山行であった。
天候に恵まれたし、翌週の記録では下の大滝が登れないほど融けていたり、大滝3p目が崩落していたりしていたようなので、タイミングも非常に良かった。
こっそり拍手
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録するこの記録で登った山／行った場所
関連する山の用語
山行記録を公開しました
X
Facebook
リンク取得
メール
ブログパーツ
情報提供のお願い
山行記録を投稿して、ヤマレコのコミュニティに参加しよう！
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する