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ハイキング
近畿
まほろば跋渉記#48 続・奈良県上北山村東ノ川 奈良県東南端 人里離れた辺境の集落・竹ノ平を訪ねて
2023年02月15日(水) [日帰り]
まほろば1839
体力度
2
日帰りが可能
体力度について
- GPS
- 06:16
- 距離
- 12.8km
- 登り
- 569m
- 下り
- 567m
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日帰り
- 山行
- 6:16
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 6:16
距離 12.8km
登り 585m
下り 571m
8:08
376分
スタート地点
14:24
ゴール地点
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2023年02月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
|
写真
池原ダムから国道425号線を辿り、備後橋袂から延びる林道備後川線に入って落石の多い舗装路を走ること8km。この「林道備後川線(終点)」の看板から路面がダートに変わるので、この脇に車を駐めて出発します。
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池原ダムから国道425号線を辿り、備後橋袂から延びる林道備後川線に入って落石の多い舗装路を走ること8km。この「林道備後川線(終点)」の看板から路面がダートに変わるので、この脇に車を駐めて出発します。
500m程で備後川に架かる備後川橋を渡ると県境を越えて一旦三重県に入ります。橋を渡った先には三重森林管理署のしっかりしたゲート、その手前奈良県側にも簡易的な車止めチェーンがあって、林道備後川線(終点)の看板から車で進入してもそこまでとなります。
500m程で備後川に架かる備後川橋を渡ると県境を越えて一旦三重県に入ります。橋を渡った先には三重森林管理署のしっかりしたゲート、その手前奈良県側にも簡易的な車止めチェーンがあって、林道備後川線(終点)の看板から車で進入してもそこまでとなります。
塔谷(とうのたに)林道のゲートを越えて進むと、山向こうの国道42号線を起終点に大又国有林をぐるっと周回する大又佐渡林道に合流します。
この大又佐渡林道は、かつて1923(大正12)年に開設された大又森林鉄道の路盤跡を林道に転用したもので、林道には林鉄時代の遺構がいくつか見られます。
この大又佐渡林道は、かつて1923(大正12)年に開設された大又森林鉄道の路盤跡を林道に転用したもので、林道には林鉄時代の遺構がいくつか見られます。
この1号トンネルも林鉄時代の1935(昭和10)年に開通した一号隧道を拡幅して林道に転用されたもの。
歩き始めて3km余りで、右にカーブする林道から左へ逸れる道が。ここが竹ノ平集落への入口です。
道はすぐ行き止まりとなりますが、そこからは落ち葉が降り積もった石の階段が続きます。
備後川左岸の斜面には、立派な石積みで築かれたひな壇状のいくつもの平地が並びます。かつてここには1937(昭和12)年に開設された大又斫伐(しゃくばつ)事業所(後の大又製品事業所)があり、それに伴う林業集落「茗荷渕山(みょうがふちやま)」がありました。
備後川左岸の斜面には、立派な石積みで築かれたひな壇状のいくつもの平地が並びます。かつてここには1937(昭和12)年に開設された大又斫伐(しゃくばつ)事業所(後の大又製品事業所)があり、それに伴う林業集落「茗荷渕山(みょうがふちやま)」がありました。
最盛期には百数十人が暮らしたそうで、作業事務所や職員住宅、五郷(いさと)小中学校分教場(大又分校)や教員住宅の他、診療所や売店まであったそうです。
診療所があった一角にはコンクリートの流し台が遺され、杉林の中でひっそりと往時を偲ばせます。
ひな壇の一番下には、ひときわ広い平場。ここに1941(昭和16)年に建てられた木造平屋建ての五郷小中学校分教場がありました。最盛期には30名ほどの児童・生徒が通い、校庭には一周50mのグラウンドがあったそうです。
ひな壇の一番下には、ひときわ広い平場。ここに1941(昭和16)年に建てられた木造平屋建ての五郷小中学校分教場がありました。最盛期には30名ほどの児童・生徒が通い、校庭には一周50mのグラウンドがあったそうです。
事務所跡から東側の小さな谷へと下りていく小道を辿ると、谷を渡る地点には朽ちた木橋が遺っていました。
その小さな谷を渡った備後川そばの平地には、1937(昭和12)年から1946(昭和21)年まで現業員を養成する大又修練道場がありました。高等小学校を卒業した少年達がここで林業について学び、厳しい研修を終えたのち各地の国有林へと巣立っていったそうです。
その小さな谷を渡った備後川そばの平地には、1937(昭和12)年から1946(昭和21)年まで現業員を養成する大又修練道場がありました。高等小学校を卒業した少年達がここで林業について学び、厳しい研修を終えたのち各地の国有林へと巣立っていったそうです。
道場跡地の先にも、ひな壇状の平地が。こちらには従業員住宅が並んでいたそうです。そんな賑わいを見せた茗荷渕山集落でしたが、1953(昭和28)年に製品事業所が宿ノ谷という場所に移転するとやがて集落は消滅、後には大又国有林伐採事業が始まる以前からあった竹ノ平集落だけが残されます。
道場跡地の先にも、ひな壇状の平地が。こちらには従業員住宅が並んでいたそうです。
そんな賑わいを見せた茗荷渕山集落でしたが、1953(昭和28)年に製品事業所が宿ノ谷という場所に移転するとやがて集落は消滅、後には大又国有林伐採事業が始まる以前からあった竹ノ平集落だけが残されます。
そんな賑わいを見せた茗荷渕山集落でしたが、1953(昭和28)年に製品事業所が宿ノ谷という場所に移転するとやがて集落は消滅、後には大又国有林伐採事業が始まる以前からあった竹ノ平集落だけが残されます。
台高山脈南端部・保色山(ほいろやま)など熊野の山並を源流とし、奈良・三重県境を穏やかに流れる備後川。この川を県境に右岸側が奈良県上北山村、左岸側が三重県熊野市となりますが、製品事業所があった場所も竹ノ平事業地と呼ばれた通り、広い意味では茗荷渕山も含めて竹ノ平でした。
台高山脈南端部・保色山(ほいろやま)など熊野の山並を源流とし、奈良・三重県境を穏やかに流れる備後川。この川を県境に右岸側が奈良県上北山村、左岸側が三重県熊野市となりますが、製品事業所があった場所も竹ノ平事業地と呼ばれた通り、広い意味では茗荷渕山も含めて竹ノ平でした。
河原には林鉄時代のレールが。末期には木炭機関車も導入されたそうですが、頭部幅からすると軽レールのうち最も軽い6�團譟璽襪任靴拭�
備後川の対岸には集落へ上がる丸太の桟橋が。かつては備後川を渡る橋も架かっていたようですが今はなく、飛び石伝いに流れを渡って対岸へ。
丸太橋を上がると備後川右岸の平地に出て、ここが本当の意味での奈良県上北山村東ノ川に属する竹ノ平でした。対岸は大又国有林ですがこちらは民有地となっていて、「眞栄緑化センター」の看板が立っていました。
丸太橋を上がると備後川右岸の平地に出て、ここが本当の意味での奈良県上北山村東ノ川に属する竹ノ平でした。対岸は大又国有林ですがこちらは民有地となっていて、「眞栄緑化センター」の看板が立っていました。
先程見た通り対岸には大きな事務所や学校まであり、アクセスは奈良県側、三重県側どちらからでも遠い道のりではあるものの森林管理事務所で鍵を借りれば対岸の林道まで車ではいれることもあって、現在はそこまで孤立した雰囲気はありませんが、大又国有林伐採事業が始まる前はまさに隠れ里のような深い深い山に守られた陸の孤島でした。
先程見た通り対岸には大きな事務所や学校まであり、アクセスは奈良県側、三重県側どちらからでも遠い道のりではあるものの森林管理事務所で鍵を借りれば対岸の林道まで車ではいれることもあって、現在はそこまで孤立した雰囲気はありませんが、大又国有林伐採事業が始まる前はまさに隠れ里のような深い深い山に守られた陸の孤島でした。
杉林の中の広い平地にはいくつもの石積みがあり、また地面には水路のような跡も。1967(昭和42)年発行の森林基本図には家屋とともに水田のマークもあって、このあたり水田が広がっていたようです。
杉林の中の広い平地にはいくつもの石積みがあり、また地面には水路のような跡も。1967(昭和42)年発行の森林基本図には家屋とともに水田のマークもあって、このあたり水田が広がっていたようです。
集落入口にある看板の場所から備後川上流側に続く道を辿ると、河原に出て小さな谷を渡った先の沢縁には深い石積みの跡。ここには水車があったようで、ここで田畑に供給する水を揚水していたのか、それとも動力として精米などに利用されていたのでしょうか。
集落入口にある看板の場所から備後川上流側に続く道を辿ると、河原に出て小さな谷を渡った先の沢縁には深い石積みの跡。ここには水車があったようで、ここで田畑に供給する水を揚水していたのか、それとも動力として精米などに利用されていたのでしょうか。
水車跡の背後の斜面にも段々状に石積みが築かれ、こちらにも田畑が広がっていたようです。
再び看板の場所へ戻り、最後に北西方向へと斜面の登って行く坂道を辿ります。150m程進むと上部の緩斜面に出て、こちらも広範囲にわたって段々状の平地が広がり、かつてはかなり立派な棚田や段々畑が広がっていたようです。
再び看板の場所へ戻り、最後に北西方向へと斜面の登って行く坂道を辿ります。150m程進むと上部の緩斜面に出て、こちらも広範囲にわたって段々状の平地が広がり、かつてはかなり立派な棚田や段々畑が広がっていたようです。
ここ竹ノ平の起源は古く、平家の落人が最初に住んだのが始まりとされます。最も賑わったのはやはり大又国有林伐採事業が行われていた1927(昭和2)〜1940(昭和15)年にかけての頃で、最盛期には7戸の民家があったとされています。
ここ竹ノ平の起源は古く、平家の落人が最初に住んだのが始まりとされます。最も賑わったのはやはり大又国有林伐採事業が行われていた1927(昭和2)〜1940(昭和15)年にかけての頃で、最盛期には7戸の民家があったとされています。
平地の一角には、現在の地形図にも記載されている一軒の民家が残されています。集落がいつ廃村になったのかはわかりませんが、「上北山文化叢書(1) 東ノ川」が執筆された1961(昭和36)年には「山稼業者二人が定住」とあり、少なくともその頃にはまだ住む人がおられたようです。
平地の一角には、現在の地形図にも記載されている一軒の民家が残されています。集落がいつ廃村になったのかはわかりませんが、「上北山文化叢書(1) 東ノ川」が執筆された1961(昭和36)年には「山稼業者二人が定住」とあり、少なくともその頃にはまだ住む人がおられたようです。
表はしっかりと雨戸が閉められていましたが、裏に回ると完全に開け放たれた状態で、やはり中はだいぶ荒れた状態でした。
廃屋の裏手には杉林の中にひときわ大きな杉が立ち、その袂には小さな神社。牛頭天王をお祀りする備後神社で、かつては毎年お祭りも行われていたそうです。
竹ノ平を後に林道へ戻り、もう少し上流方向へと林道を進むと、林道路面から備後川方向へ少し下った平地に、大又索道の竹ノ平停車場跡の遺構が遺されていました。
竹ノ平を後に林道へ戻り、もう少し上流方向へと林道を進むと、林道路面から備後川方向へ少し下った平地に、大又索道の竹ノ平停車場跡の遺構が遺されていました。
森林鉄道で運ばれてきた木材は、ここから索道で賀田港へと運ばれていました。索道は当時最先端の循環式架空索道が導入され、最も高い支柱は30mもあったそうです。109基の支柱が設置され13kmの距離を運んだ大規模な索道は当時日本一ともいわれました。
森林鉄道で運ばれてきた木材は、ここから索道で賀田港へと運ばれていました。索道は当時最先端の循環式架空索道が導入され、最も高い支柱は30mもあったそうです。109基の支柱が設置され13kmの距離を運んだ大規模な索道は当時日本一ともいわれました。
竹ノ平を後に大又佐渡林道を戻ります。写真中央の平らな杉林が竹ノ平で、よく見ると備後神社の杉の巨木が頭を出しているのがわかります。
最後に少し寄り道して、林鉄時代の1938(昭和13)年に建設された宿ノ谷洞門(三号隧道)へ。
中は素掘りでなかなか厳つい雰囲気を漂わせていますが、これも大又佐渡林道の現役の隧道です。
感想
大台ヶ原の南東麓に位置する奈良県上北山村東ノ川。池原ダムと坂本ダム、2つの巨大なダムによりかつての集落はほぼすべてが水没し、新たに造成された数少ない集落も台高山系の深い山並に囲まれた隔絶地故に今は全て廃村となり、東ノ川地区は無住の地となっています。
そんな東ノ川に属しながら、その東ノ川の各集落からも遠く離れ山を越えた深い山中にポツンと位置していたのが竹ノ平集落でした。
酷道で知られる国道425号線から荒れた林道備後川線を辿り、奈良県東南端、東ノ川の支流・備後川上流に平家の落人伝説が残るほど人知れず辺境の地にあったという竹ノ平集落を訪ねます。
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