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Yamareco

記録ID: 520276
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ハイキング
中国山地東部

角ヶ仙修行(仙人)コース

2014年09月28日(日) [日帰り]
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Machapuchare その他1人
GPS
--:--
距離
7.9km
登り
650m
下り
633m

コースタイム

日帰り
山行
5:03
休憩
0:08
合計
5:11
9:03
40
スタート地点
9:43
9:43
37
沢沿い林道終点
10:20
10:20
65
沢登り終点(尾根取り付き点)
11:25
11:25
87
痩せ尾根取り付き点
12:52
13:00
38
13:38
13:38
7
角ヶ仙南斜面登下山口(林道出合い)
13:45
13:45
29
鏡野町&加茂町境(峠)
14:14
ゴール地点
角ヶ仙修行コース!?
登り3時間50分&下り40分コース
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2014年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
東側からアプローチする場合は加茂長倉見から庄原川沿いの道を、西側からアプローチする場合は鏡野町越畑から横内川沿いの道をそれぞれ進み、川の合流点(標高570m)の道路上の脇に3台程駐車できるスペースがあります。
コース状況/
危険箇所等
沢沿いの道(地形図で実線で示されている道)はとてもよく整備されており、スムーズに進むことができます。道がなくなってからもしばらくは難なく沢沿いや沢そのものを登ることができます。

いったん沢から尾根に入ると、傾斜が急になり、はっきりとした登山道もなく、直登のヤブコギを強いられます。ただし、まだこのときは草木がホールドの役割を果たしてくれますので、逆にヤブがないと登るのが困難な箇所も多々あります。また方角をつかみにくい地形なので自分が進んでいる方角(南南西)を時々コンパスで確かめながら進む必要があります。

標高1,050m辺りから痩せ尾根となり、尾根の傾斜が緩やかになり時々踏み跡も見られますが、チシマザサ(根曲がり竹)の強烈なヤブコギを強いられます。
特に町境に入った所からは数メートル前の人が見えないほどチシマザサが生い茂っています。
さすがにこの竹の筍(スギノコ)が大好物のツキノワグマもこのヤブの中は敬遠するに違いありません。
老骨(体)に何度も鞭を打たれながら、傷だらけになりながら進みました。
ここが今回の最大の修行コースでした。

角ヶ仙ピークからの下りは道が細いながらも、しっかりついており、クマザサがホールド代わりにもなり、とても歩きやすいので40分程で下り切りました。
道が沢と合流するところでやや迷いやすいポイントがありますが、最終的には沢沿いに下っていけば問題なく林道に出られます。

林道に出てから出発点までは林道(車道)を歩きます。町境までは登りで、それ以降は下りで距離が長い(3kmほど)割には35分程で。後半は特に角ヶ仙が見えたり、川沿いを歩くので登山のフィナーレとしては心地よいロケーションです。

角ヶ仙はコース(キャンプ場跡からのコース)によっては初心者(幼児)でも登山ができますが、加茂町側からのアプローチはそれなりに登山のスキルを持った人のみが許されると思います。パイオニア精神溢れる人はおもしろいかもしれませんが、普通の精神をお持ちの方にとっては修行の場と化します。
その他周辺情報 岡山県北部には山の名に“仙”がつく山が多いように思います。
角ヶ仙の周辺でも花知ヶ仙、人形仙、三十人ヶ仙、萩原仙、ギラガ仙・・・など。
所説によると、8世紀に天台宗角磐山大山寺が開かれ、大(だい)も山(せん)も呉音であり、天台宗とともに大陸から渡ってきた目新しい文化であったため、そのハイカラな呼び方が近隣の山名にも普及したとのことです。
また、県北の山々は多くの修験山伏の行場であり、行者(仙人)のこもる山を“セン”と呼び、“仙”とも書くようになったとされています。
今回のコースはまさに修行さながらのコースとなってしまいました。
川の合流点(標高570m)で、ここが出発点です。
この手前に道路が橋のようにかかり、すぐ側に車を停めるスペースがあります。
川の合流点(標高570m)で、ここが出発点です。
この手前に道路が橋のようにかかり、すぐ側に車を停めるスペースがあります。
川の合流点から北西に伸びる川沿いにある林道入口です。
ここからしばらくは川沿いに道が続きます。
川の合流点から北西に伸びる川沿いにある林道入口です。
ここからしばらくは川沿いに道が続きます。
川を最初に渡るポイント(標高700m)です。
ここまではおよそ30分程度で来ることができます。
川を最初に渡るポイント(標高700m)です。
ここまではおよそ30分程度で来ることができます。
さらに川を上流に向かって進むと、人工堰堤が3つ続けざまに出てきます。
何れも左側を巻きます。
三つめの堰堤を過ぎると、沢登りが始まります。
事実上、沢沿いの道はここまでです。
さらに川を上流に向かって進むと、人工堰堤が3つ続けざまに出てきます。
何れも左側を巻きます。
三つめの堰堤を過ぎると、沢登りが始まります。
事実上、沢沿いの道はここまでです。
沢の水量がほとんど無くなってくると、沢を登りきるのは困難と考え、標高800m辺りから、尾根に進路を取りました。
まだ、その時点では傾斜もそんなに激しくなく、登山道はないとは言え、比較的歩きやすかったのですが・・・
沢の水量がほとんど無くなってくると、沢を登りきるのは困難と考え、標高800m辺りから、尾根に進路を取りました。
まだ、その時点では傾斜もそんなに激しくなく、登山道はないとは言え、比較的歩きやすかったのですが・・・
急傾斜の斜面をやっとのことで登り切り、尾根が比較的緩やかになった途端、チシマザサ(根曲がり竹)がことごとく我々の行く手を阻みました。
この尾根を歩いている時に手足は傷だらけになりました。
急傾斜の斜面をやっとのことで登り切り、尾根が比較的緩やかになった途端、チシマザサ(根曲がり竹)がことごとく我々の行く手を阻みました。
この尾根を歩いている時に手足は傷だらけになりました。
超過酷なヤブコギルート(角ヶ仙の北北東からのアプローチ)で時折、不意に現れるキノコたちが萎えそうな気持ちを癒してくれます。
1
超過酷なヤブコギルート(角ヶ仙の北北東からのアプローチ)で時折、不意に現れるキノコたちが萎えそうな気持ちを癒してくれます。
登り始めてから、なんと3時間50分もかかって、突然角ヶ仙のピークに出てきました。
もし、正規の登山ルートを登ってきた人がここにいたら、我々はきっとクマか何かに間違われていたでしょう。
2
登り始めてから、なんと3時間50分もかかって、突然角ヶ仙のピークに出てきました。
もし、正規の登山ルートを登ってきた人がここにいたら、我々はきっとクマか何かに間違われていたでしょう。
角ヶ仙から南斜面に下りるルートです。
幸い、道はしっかりとしていました。
また、チシマザサではなく、ホールディング代わりにもなるクマザサがたくさん生えていてラッキーでした。
2
角ヶ仙から南斜面に下りるルートです。
幸い、道はしっかりとしていました。
また、チシマザサではなく、ホールディング代わりにもなるクマザサがたくさん生えていてラッキーでした。
しばらく景色を楽しみながら下りることができます。
角ヶ仙の北と南のあまりの違いにただただ驚くばかりです。
しばらく景色を楽しみながら下りることができます。
角ヶ仙の北と南のあまりの違いにただただ驚くばかりです。
さらに、“ホツツジ”の花が多く咲いており、心を和ましてくれました。
さらに、“ホツツジ”の花が多く咲いており、心を和ましてくれました。
下りきり林道との合流点です。
なんと、登りの3時間50分に対し下りはたったの40分でした。
さあ、ここからゴール(出発点)まで、さらに長いロードが続きます。
下りきり林道との合流点です。
なんと、登りの3時間50分に対し下りはたったの40分でした。
さあ、ここからゴール(出発点)まで、さらに長いロードが続きます。
途中で鏡野町と加茂町の境(峠)を通過しました。
左足が鏡野町で、右足が加茂町です。
ここから下りとなりますので、楽になります。
途中で鏡野町と加茂町の境(峠)を通過しました。
左足が鏡野町で、右足が加茂町です。
ここから下りとなりますので、楽になります。
苦労して登った角ヶ仙ピークを望みながら、長い長い山行を振り返りました。
苦労して登った角ヶ仙ピークを望みながら、長い長い山行を振り返りました。
ゴールに近づいた頃、突然チョウセンカマキリが現れました。
例によって擬態を演じ、フリーズしました。
これをポーズと解釈し写真に撮らせてもらいました。
1
ゴールに近づいた頃、突然チョウセンカマキリが現れました。
例によって擬態を演じ、フリーズしました。
これをポーズと解釈し写真に撮らせてもらいました。
ゴールまであと100mのところにあった倉見高区配水池の施設です。
今回の出発点(ゴール)はこの建物が目印となります。
ゴールまであと100mのところにあった倉見高区配水池の施設です。
今回の出発点(ゴール)はこの建物が目印となります。
チシマザサ(根曲がり竹)とおよそ1時間半余り格闘した勲章です。
歳が歳なので治るのに一カ月以上かかりそうです(*_*)
2
チシマザサ(根曲がり竹)とおよそ1時間半余り格闘した勲章です。
歳が歳なので治るのに一カ月以上かかりそうです(*_*)

装備

個人装備
長袖シャツ ズボン 靴下(厚手) 着替え用衣類 雨具 スパッツ 日よけ帽子とフード 雨用帽子 登山靴(防水加工) 靴ひも予備 アタックザック ザックカバー 地形図 ファスナー付クリアーファイル コンパス 筆記用具 携帯 時計(防水) タオル カメラ 飲料水(スポドリ&茶) 水筒(保温) 非常食(栄養補助食品) スマホ(山使用可能)
備考 予想以上にヤブコギが多かったので軍手が必要でした。
ヤブコギで生傷が絶えない状態でしたので、救急用薬品も必要でした。

感想

角ヶ仙の登下山ルートは原則2つしかなく、いずれも鏡野町側にあります。
今回はあるルート案内図でたまたま見つけた角ヶ仙の東尾根ルート、つまり津山市加茂町側から登るルートから登ろうと考えていました。ただし、そのルートを登った人の山行記録はどこを探してもまったくありませんでした。

当初は出発点と目された沢と川の合流点をカーナビの地図に登録したつもりでした。ところがカーナビの地図は山林エリアでは極めてアバウトで、「だいたいこの辺りだろう」と思われるポイントを登録しておきました。
カーナビに登録された地点に着くと、確かにそこは川の合流点だったのですが、地形図の道と川の位置関係がおかしいと感じました。
しかし、その時は気持ちはもう角ヶ仙登山に向かっていましたので、そのまま登山を開始しました。

すぐに地形図を見ながら角ヶ仙の東尾根道に取りつく道を探したのですが、どうもそれらしき尾根道が見つかりません。地形図の道がなくなっているケースはよくあることです。その逆(地図にはないのに道があるケース)もあります。
仕方がないので、尾根道に並行して流れている沢沿いに向かって右側に延びている道を進むことにしました。
もちろん、この時点ではまだ角ヶ仙の東尾根と並行して流れている沢だと勘違いしていました。

沢沿いの道は非常に整備されており、車も通れるぐらいです。地図にはなかった道でしたので、後で造られたものと思っていました。
やがて、その道も突然なくなり、対岸を渡ることになりました。

対岸に渡ってからも、沢沿いに登ることはできます。
途中、人工堰堤が続けざまに3つ出てきました。やや興ざめでしたが、人が通ることが可能な沢であることが確認でき、逆に安心できました。

上流に向かうにつれ、水量が少なくなり、傾斜も少しずつ急になってくるので、沢の真ん中を歩くことができます。しかし、沢を詰めるにしたがって、浮き石が増え、足場が不安定となるので、安全性を考え、尾根に入りました。

角ヶ仙は単独峰ですので、尾根を逸れない限りはピークに着くだろうと考え、そのまま傾斜が厳しくなった尾根をヤブコギしながら直登を続けました。
ヤブコギとはいえ、斜面に生える草木はホールドとして利用できたので、まだこの時点ではヤブコギは苦痛には感じませんでした。
むしろ、ヤブがなければ、登るのが困難な傾斜と軟弱な土壌でした。
たぶんヤブコギ慣れしている人は我々のコースタイムの半分程度で進めるはずです。逆に初心者の方が同行していると、ここで引返す勇気が必要となるでしょう。

まれに視界が広がるところに出たときに、ふと向かって右方面に角ヶ仙とは異なる見えるはずのないピークの姿が見えました。ここで初めて、今登っているルートは角ヶ仙の東側ではなく、北東側ではないかと疑うようになりました。つまり、最初に登っていた沢は別の沢ではないかという疑念が生じました。

やがて、痩せ尾根に出てきました。尾根の方向はだんだん南寄りに向かいます。想定していた西方向とは違っていましたが、尾根を詰めるとピークに必ず辿り着くという信念のもと、そのまま痩せ尾根上を進みました。

痩せ尾根はチシマザサ(根曲がり竹)がこれでもかというくらい我々の行く手を何度も何度も阻みました。そればかりか、こちらの押しのける力で、しなってはその反動(反作用)でこちらを容赦なく鞭打ったり、折れた竹の先端がちょっとした竹やり状態となり、不意に刺さったりもしました。
さすがに、チシマザサの筍(スズノコ)が大好きなツキノワグマもこのコースは避けるに違いありません。
軍手、スパッツなど防御しないとえらい目に遭います。
最後の写真は防御を怠った悲惨な状況を示しています。

もはやこの角ヶ仙最大の難所を進むのは修行以外の何ものでもありませんでしたが、突然角ヶ仙のピークに出てきたときの感動は正規のルートを辿った場合と雲泥の差があることを今回初めて実感しました。
十数メートル前まで本当にピークに気付かないのです。
まるで出口の見えないトンネルにさまよい、突然出口(光)が見えた感じです。

角ヶ仙のピークからの南斜面沿いにある下りルートは一転して、道もしっかりとしていました。また両サイドに生えるクマザサはホールド代わりになり、急な斜面もうまく制御しながら進むことができました。
もしかして、この下りに入って程なく2つに分かれていたルートのうち、南東に延びていたルートが当初想定していた角ヶ仙東尾根ルートであったかもしれません。
機会があればまた確かめたいと思います。
下りは結局登りの約6分の1の時間で済みました。

林道に出てからは、町境(峠)までは平凡なロケーションでだらだらした登りが続きます。県境からは下りとなり、川沿いに歩いたり、展望がよかったりで、最後のルートとしてはなかなか楽しむことができました。
その途中で当初登ろうとしていた登山口らしき道が見えたのですが、ただの作業用道路かもしれません。下りに使ったルートとここがつながっているのか否か機会があれば確かめてみようと思います。

もともと勘違いから生じた新規ルートでしたが、苦行?を重ねながらも、結果的には刺激的な楽しい思い出深い山行となりました。
まさに角ヶ『仙』コースでした。

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