大菩薩峠-熊沢山-大マテイ山 〜懐かしの峠から静かな牛の寝へ〜 A5
- GPS
- 05:25
- 距離
- 16.1km
- 登り
- 757m
- 下り
- 1,626m
コースタイム
- 山行
- 4:41
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 5:29
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路 小菅の湯14:45(西東京バス、980円)15:35奥多摩駅16:23(ホリデー快速おくたま号) |
コース状況/ 危険箇所等 |
辿ったコースに急坂がなかったためと、標高1600m超にうっすらと雪が残る程度でアイゼン装着の必要なし。落ち葉が多く一部道の不明瞭な箇所があるが、落ち着いて見極めれば問題ない。棚倉から大マテイ山までは尾根道を行く直登ルートが無駄なくわかりやすい。 |
写真
感想
紅葉期の喧騒去った牛の寝を静かに歩きたかった。どうせなら大月市秀麗富嶽十二景の奈良倉山まで足を延ばそうと、今月7日が最終運行となる大菩薩上日川線のバスに乗車することにした。
前日に降った雪がうっすらと積もる上日川峠を出発し、懐かしい大菩薩峠へ向かう。まだ大菩薩湖も上日川峠へのバス便も無く甲斐大和駅が初鹿野駅だった頃、私は長野に帰省する友と年末、裂石から大菩薩を目指した。大菩薩嶺から峠へ向かう途中で見た富士の美しさ、福ちゃん荘で飲んだおしるこの美味しかったこと、その後忘れることはなかった。
マイナス10度、風速10m以上のピンポイント予報に脅され、やむなく着てきたダウンジャケットを脱ぎ、峠への緩やかな道を進む。やがて介山荘が見える頃、急に空が広がった。これ以上何を望むべきか。予報に反して快晴無風、南アルプスの雄姿も奥多摩、奥秩父の山々も素晴らしい眺望だ。名残惜しかったが、最も美しい姿の富士に会うべく峠をあとにし熊沢山へ向かう。
細部まで確認できるほど澄んだ空気を経て目の当たりにする、その均整のとれた姿に息をのむ。おそらく34年前にはまだ小さかったであろう針葉樹と、変わらぬ富士を視界に収め、少し早いけどメリークリスマスMt.富士。
石丸峠を過ぎまもなく分岐、昨年同時期に歩いた小金沢連嶺への道を分け、牛の寝通りに入る。しばらくは緩やかに下り、やがて静かで快適な平坦の道、確かに良い道だ。しばしば写真を撮るために立ち止まる。併せて意識してゆっくり歩いたためか予定よりも少々遅い通過時間となり、昼食休憩場所を一つ先のポイントにずらした。
大ダワにてのんびりと昼食を取りながらこの先のコースを選んだ。少しずつ白み始めた青空を眺めながら、これでは奈良倉山から「秀麗富嶽」は見えないかもしれない、この時期には15時までに終えるという誓いも守れないだろう、と言い聞かせ大マテイ山経由の下山ルートを辿る。大ダワから少し東進し、尾根道の無駄なく分かり易い直登ルートを進む。
眺望の開けない大マテイ山を過ぎ、再びまき道(日向道)に戻る。右下に名前のせいか幽玄に映る松姫湖が見える。ぼんやりと遠き昔の出来事に思いを馳せていると、不意に落ち葉をかき分け大きな音を立てながら近づいてくる物体に気付く。クマではなく、サルの群れが目の前の道を横切って行った。あまりの高速移動にシャッターは間に合わず茫然と見送った。
山沢入りのヌタ分岐で松姫峠への道を見送り、大マテイ山のまき道を経て小菅村を目指す。敷き詰められた落ち葉じゅうたんが疲れた足に心地よい。いつしか植生は変わり奥多摩らしくなってきた。山沢川のせせらぎとわさび田の清々しさに癒される。そういえば石丸峠以降、マウンテンバイクの2名に抜かされた外、誰にも会っていない。期待どおり静かな山歩きを心から楽しめた。
いつものペースに戻ったせいか、小菅の湯には1時間ほどで到着した。多くの人の姿に一瞬にして夢から覚まされたような気がした。上野原駅行のバスを50分ほど待つつもりだったが、奥多摩駅行に乗れる時間だった。およそ1時間弱の車中で、もう少しだけ夢を見続けたかった。忙しく飛び回っていた十代最後の年の夢を。
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