加賀藩385年の流れ〜辰巳用水を辿り兼六園まで〜

2015年10月10日(土) [日帰り]

• GPS: 03:06
• 距離: 12.0km
• 登り: 57m
• 下り: 143m

コースタイム

日帰り

• 山行: 3:04
• 休憩: 0:00
• 合計: 3:04

12:28 辰巳ダム
15:32 兼六園

天候

曇り

アクセス

利用交通機関：

自家用車 自転車

■兼六園から県道10号線を湯涌方面に向け走り浅川町交差点を右折する。
　突き当たりの交差点で左折して県道207号を進む。
　北鉄バスの上辰巳バス停前の所を斜め右方向に下ると辰巳ダムに着く。
■辰巳ダムには無料駐車場があります。
　午前中の探訪会の後に再び辰巳ダムを訪れ車を止めて歩き出しました。
　帰りは自転車で辰巳ダムまで約50分でした。
■兼六園周辺に車を停め北鉄バスで上辰巳まで行き辰巳ダムから歩く方法もあります。
　但し、兼六園観光用駐車場は有料になります。

コース状況／危険箇所等

■辰巳用水の隧道や取水口への立ち入りは禁止です。
■途中で農道を通る事があり農作業の迷惑にならないように注意。
　市街地も通りますので車には注意が必要。
■兼六園への入園料は大人310円。
　金沢城公園の入園料は無料です。
　http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/japanese/top.html

写真

10/10 9:30

午前中の辰巳用水探訪会でご挨拶する金沢市文化財保護課のご担当者の方。
辰巳ダム管理棟にて

10/10 9:35

辰巳用水について詳しくご説明いただいた辰巳用水土地改良区の畦地さん。

10/10 12:25

辰巳ダム

10/10 12:25

東岩の取水口（現在の取水口）
辰巳ダムの真下にあります。
近寄ることは出来ません。

10/10 9:55

マイクロバス2台に分乗して隧道入口に向かいます

10/10 10:08

隧道に入る前に注意事項の説明を受ける

10/10 10:19

さて、いよいよ隧道内に入ります。ワクワク
出入り口は低くヘルメットが役に立ちました

10/10 10:19

隧道内部
外の音が一切聞こえず江戸時代にタイムスリップしたようです

10/10 10:19

タンコロ穴に昔ながらの灯明の明かり。
今回の探訪会の為に点けていただきました。
当時もこの様な光の中で作業を行っていたのでしょうね。
当時の雰囲気が伝わって来ます

10/10 10:20

タンコロ穴は約1.2〜1.5m間隔で設けてありタガネで掘られた跡が残る

10/10 10:20

隧道内は探訪会のために水量を調節してありました。
普段は腰の高さ位の水量があるそうです

10/10 10:21

壁面は湿気を含んでいます。
僅かな光がある所ではシダ系の植物も見られた

10/10 10:21

壁や天井にはタガネやツルハシの跡が残っている。
当時の作業が偲ばれる。
石を叩く音が聞こえて来そうです

10/10 10:22

横穴
隧道の壁面には20〜30m間隔で横穴が開口しています。

10/10 10:22

タンコロ穴は掘削時に灯りが空気の流れで消えないように工夫されたものです

10/10 10:23

横穴は現在塞がった物もありますが当時は139カ所ありました。

10/10 10:23

場所によっては170cm程の方で立って歩ける高さです。
身長の高い人は背をかがめないと頭をぶつけます。
昔の人の背丈なのでしょう。

10/10 10:24

横穴の一つで土砂が流れ込んでいた

10/10 10:25

横穴は土砂の搬出、採光、換気にも使われ隧道工区を分割する事で工期短縮を実現させたと考えられています

10/10 10:26

岩盤を手掘りで掘った当時の方々の苦労が伝わって来ます

10/10 10:27

隧道探検は終わって外に出ます。
ここも頭上注意です

10/10 10:28

フゥ〜外に出ました

10/10 10:28

10/10 10:46

次は三段石垣の説明をお聞きする。
この辺りの地盤は弱く土砂崩れ防止ため石垣を作ったそうです。

10/10 10:47

積み方や石の形が違う石垣があり時代が違うとの事です。
石垣の石はその辺りの河原にあった大きな石を使ったそうです。

10/10 10:57

この石垣の上を用水が流れています。
石垣は約260mの長さがある。

10/10 12:21

市役所に戻って探訪会は終了になりました。

その後一人で再び辰巳ダムに来ました。
ダムから上流部の山々を望むが霞んでいます

10/10 12:24

辰巳用水の当時の絵図

10/10 12:27

辰巳ダム管理棟横に車を停め辰巳用水を辿って行きたいと思います

10/10 12:28

管理棟前は芝生広場になっています

10/10 12:31

上流部は用水近くを歩けないので道路を歩きます。用水より数十m高い場所です。
まずは水渕・相合谷トンネルを通ります

10/10 12:32

キツネノマゴ

10/10 12:39

トンネルを抜けた場所にあった看板

10/10 12:43

犀川を渡ります。
この辺の川幅はまだ狭いです

10/10 12:46

上辰巳町を通過

10/10 12:48

道路横を犀川が流れている。
この道路も辰巳ダムに伴い出来たようです。
それまでは登山道の様な道しか無かったとか

10/10 12:53

再び三段石垣です。
当時は石垣の手前を河川が流れていたようですが現在は流れが変わり河川は数十m離れています

10/10 12:53

ミゾソバが綺麗に咲いていた

10/10 12:54

三段石垣を過ぎた辺りの斜面では再び隧道で奥深く入り込み見る事は出来ません

10/10 12:54

辰巳町の方に向かいます

10/10 12:58

辰巳町の交差点では右に曲がります

10/10 12:59

コスモスが綺麗に咲いていました

10/10 13:02

坂道を少し登ると眼下に辰巳町が見える

10/10 13:05

チャノキ

10/10 13:07

田んぼの横を通って行きます

10/10 13:10

犀川小学校を右に見て進みます

10/10 13:11

タカサブロウ

10/10 13:16

畑に加賀野菜の金時草（キンジソウ）です

10/10 13:17

田の稲刈りも終わりました

10/10 13:18

東高校が右手に見えた

10/10 13:23

ハキダメギク
ひどい名前を付けられたものです

10/10 13:28

集落内を通って行きます。
上流部は殆ど用水は見えません。
暗渠や隧道になっています

10/10 13:39

ようやく浄水場手前で辰巳用水が見えた

10/10 13:40

末町の犀川浄水場

10/10 13:41

辰巳用水に生活用水が入り込むようになり市内を流れる用水とは別に浄水場付近から兼六園専用ルートで取水されいる。

10/10 13:42

民家の壁にツタの紅葉が綺麗でした

10/10 13:53

農道や町道を歩き県道に出ました

10/10 13:55

再び用水が顔を出して道路下を通ると遊歩道横に出ます

10/10 13:56

ここから2km（大道割〜錦町）ほど整備された遊歩道横を辰巳用水が流れます。

10/10 13:56

遊歩道の案内板

10/10 13:56

遊歩道横を用水が流れます。
しかし今日は水量が少ない。
探訪会で水を止めたから？

10/10 13:58

用水にカルガモ

10/10 14:00

遊歩道右は辰巳用水で左には果樹園があります

10/10 14:01

リンゴが沢山なっている。
美味しそうです

10/10 14:02

柿も沢山

10/10 14:04

ツリガネニンジン

10/10 14:08

マユミ

10/10 14:10

土清水煙硝蔵跡
当初城内にあった煙硝蔵をこの地に移した。
脇の辰巳用水の水で水車を回し原材料を加工していた。

10/10 14:11

当時この周辺には搗蔵や調合所などの多くの施設があったが現在は田畑や民家が建っています

10/10 14:09

奥に見える青いシート部分が硝石御土蔵があった場所です。

10/10 14:18

遊歩道は散歩やジョギングされている方も見られました

10/10 14:21

左手に涌波の住宅街が見える

10/10 14:27

辰巳用水の平均勾配は10m進んでわずか4cmと緩やかです。
江戸時代初めで優れた測量・土木技術を持っていました

10/10 14:29

遊歩道もそろそろ終わり左手に民家が出て来ました

10/10 14:31

錦町では用水は県道の下に潜ります

10/10 14:32

辰専のマンホール
この下を流れているようです

10/10 14:33

しばらく町内の道路をマンホールに沿って進みます

10/10 14:39

再び用水が顔を出した

10/10 14:40

旧金沢大学工学部があった横を流れる

10/10 14:42

旧工学部校舎が無くなっていた。
美大などが新たに入るようです

10/10 14:43

再び大通りに出ました

10/10 14:44

用水も道路横を流れて行きます。
バス停で待つ人々

10/10 14:45

スーパーの前を流れ再び地面に潜る。

この後カメラの電池切れ

10/10 14:52

天徳院前で民家の下から出て来た

10/10 14:52

天徳院

10/10 14:52

天徳院付近の辰巳用水説明

10/10 14:53

小立野通りでは暗渠になっています

10/10 15:00

福光屋さん

10/10 15:01

小立野商店街を進みます

10/10 15:03

交差点を直進ですが右手には金沢大学付属病院があります

10/10 15:04

この辺は藩政時代は安藤町だったようです

10/10 15:05

旧紫錦台中学校前で再び地表に出て来ました。
ここからは兼六園まで一直線です

10/10 15:05

辰巳用水は江戸時代の代表的な用水として高い文化財価値を持っていて平成22年に国史跡に指定される。

10/10 15:06

旧紫錦台中学校前を通ります

10/10 15:09

金沢医療センター前の土塀下を流れる用水

10/10 16:24

辰巳用水の最後です。
道路下を抜けると兼六園です

10/10 15:17

兼六園の取水口。
奥の穴から流れ出ていました

10/10 15:19

そして園内の曲水をゆっくりと流れて行きます

10/10 15:22

根上松

10/10 15:23

この辺は五月のカキツバタが美しいです

10/10 15:24

用水の水は霞ケ池を潤します

10/10 15:27

シュウメイギク

10/10 15:28

園内は着物が似合います

10/10 15:30

園内を流れる水は綺麗です

10/10 15:36

卯辰山

10/10 15:36

ことじ灯篭の手前に水道の遺構（逆サイフォンの原理）

10/10 15:38

兼六園の象徴でもあることじ灯篭と霞ケ池

10/10 15:38

唐崎松

10/10 15:43

日本最古の噴水と言われ霞ケ池を水源としており水面との落差で3.5mまで噴き上げる

10/10 15:54

入園口の一つ桂坂口です

10/10 15:46

お店通り
飲食店、土産物店が並ぶ

10/10 15:51

お堀通り
右の兼六園から一旦下って左の城内に水を引き入れていた

10/10 12:24

伏越の理（ふせこしのことわり）
隧道と並び高く評価される逆サイフォンの原理。

10/10 15:52

石川門

10/10 16:02

金沢城公園にも寄り道

10/10 16:03

橋爪門から若殿と姫が出て来た

板屋神社
上辰巳バス停より少し上にあるこの神社は用水掘削に尽力した板屋兵四朗を祭ってあります。

板屋神社境内には当時使われていた石管が置いてあり見る事が出来ます

撮影機器：

PowerShot SX60 HS CANON

iPhone 6 Apple

感想

okia0893

兼六園の霞ヶ池を潤す水は辰巳用水から取り入れています。
その辰巳用水の水はいったい何処から来ているのだろうか？
そんな辰巳用水の探訪会（金沢市主催）が10月10日にありました。
毎年10月中の土曜に行われていて今年ようやくチャンスが出来たので参加しました。

金沢市役所に午前9時に集合してマイクロバスに乗り辰巳用水の取水口の辰巳ダムに向かいました。
参加者は40数名でした。
探訪会で解説いただいたのは金沢市文化財保護課のご担当者の方で取水口や用水の水路内の見学をさせていただきました。
当日は長靴とカッパ、ヘッデン（懐中電気）持参での探訪会です。
主催者側で準備していただいたのがヘルメットと軍手でした。
水路内部の観察では事前に用水の水量を調整して隧道内に入る事が出来ましたが普段は立ち入り禁止の場所です。

辰巳用水は加賀藩三代藩主前田利常が金沢城防火のために造らせました。
上辰巳町から兼六園までの手堀りの水路の長さは約11kmでその間の高低差が50mです。
1/200の勾配という緩い勾配を維持しながらの工事でありました。
水路内にはそのための工夫も随所に見られました。

380年以上前の寛永6年（1632年）に九ヶ月の短い期間で完成させたそうです。
工事ではのべ14万人以上の人数（毎日500人以上の人）で同時に工事を行いました。
人夫は地元の人や能登からも多くの人が雇われていたようです。

この工事の指揮を取ったのが現在の小松市出身の板屋兵四郎という方です。
その当時としては画期的な逆サイフォンの原理を利用して高台にある金沢城内まで揚水することにも成功しています。
また、兼六園にある日本最古の噴水もそのサイフォンの原理が用いられました。

現在辰巳用水は五郎兵衛新田用水（長野）、玉川上水（東京）、箱根用水（神奈川）と並び日本四大用水の一つとされている。
385年も昔に掘られた隧道が現在でも残っていて使われているのは日本では辰巳用水だけとの事です。

探訪会では取水口から隧道内部に入り髄道内をライトを付け説明を聞きながら20〜30分程暗闇の中を歩きました。
その後外に出て三段石垣などを見学して来ました。
一通り観察と説明をお聞きしてバスで市役所に戻って解散になったのが12時前でした。

その後、辰巳用水の水路を辿って見たくなり再び辰巳ダムにやって来ました。
そのような訳で国史跡にも指定されている辰巳用水を辿る水レコがスタートしました。
ヤマレコではありませんがご勘弁下さい。
取水口が眼下に見える辰巳ダムから出発して用水近くを往時を思いながら歩いて兼六園まで行きたいと思います。

金沢城から見て辰巳（東南）の方角にあたる犀川上流の当時の取水口は、現在の辰巳ダムより少し下流の雉（又は鶏）口にありました。
現在の取水口は工事当時の取水口より500m程上流の東岩に1855年より移されました。
辰巳用水に水を取り入れている河川は金沢市と富山県五箇山との県境に位置する奈良岳や大門山などを源流とする犀川で一級河川になります。

辰巳用水の途中にある土清水町は加賀藩の煙硝造りの拠点だったところで今でもその当時の建物跡（貯蔵倉）が残っているとの事ですが、現在は野菜や果樹などの畑になっていました。
煙硝は火薬の原料となり火縄銃などに用いられていました。
質の良い煙硝の素は五箇山から運ばれ煙硝道と呼ばれ現在のブナオ峠や横谷辺りに道があり数十キロの煙硝を担いで山道を一日で土清水まで運んだ当事の人の健脚ぶりには驚かされます。

辰巳用水の話に戻りますが、辰巳ダムから辿って来た水路は中流域の大道割では整備された辰巳用水散策路横の開渠を流れ錦町で県道10号線にぶつかります。
そこから道路下に一旦隠れます。
小立野の旧金沢大学工学部近くで再び地上を流れるようになりますが数百メートルで見えなくなります。　
そこからは県道沿いを流れ天徳院方向に一旦曲がり暫くして再び道路下に隠れます。
再び現れるのが金沢大学病院前を少し過ぎた石引町あたりで県道横に顔を出します。
そこからは道路脇を兼六園に向けゆっくりと流れて行きます。
金沢医療センター前を通り兼六園前の道路にぶつかったところで再び道路下に潜り兼六園へと取り込まれていました。

探訪会では普段入る事の出来ない隧道内の観察も出来て楽しかったです。
辰巳ダムから水路近くを歩き兼六園（金沢城公園）まで歩きました。歩いて当時の方々の大変さを感じました。特に緩い傾斜を保ちながら水が流れる水路や隧道を作った技術には驚きました。