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記録ID: 566203
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ハイキング
丹沢

大日沢径路(消えた登山道)を歩く【塩水橋〜オバケ沢出合〜新大日】

2014年12月27日(土) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
07:14
距離
16.7km
登り
1,589m
下り
1,585m
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2014年12月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
7:15 塩水橋
8:15 本谷林道終点
9:45 オバケ沢出合
10:35 F1
11:10 最後の二俣
11:45 新大日茶屋
13:20 札掛分岐
14:00 本谷橋
14:25 塩水橋
コース状況/
危険箇所等
少し前の登山地図やガイドには、塩水橋を起点とする本谷林道終点から表尾根の新大日茶屋まで破線で引かれた登山道が載っていた。現在、すべての地図から消えてしまったが、現在もその登山道は残っているのか痕跡はあるのか、破線図を追ってみた。
塩水橋ゲート前。
塩水橋ゲート前。
本谷林道は終点まで約一時間かかる。ゆるい傾斜がついているが、歩き始めにはこれが意外と応える。
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本谷林道は終点まで約一時間かかる。ゆるい傾斜がついているが、歩き始めにはこれが意外と応える。
キューハ沢出合などを見送って林道終点に到着。左の大日沢へ降りていく。
キューハ沢出合などを見送って林道終点に到着。左の大日沢へ降りていく。
最初の堰堤。右から越えていく。
最初の堰堤。右から越えていく。
左の丸岩に垂れる二本の紐を頼りに、ゴボウでクリアしたが、シュリングを繫ぎ合せた紐はボロボロで、これは結構あぶなかった。
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左の丸岩に垂れる二本の紐を頼りに、ゴボウでクリアしたが、シュリングを繫ぎ合せた紐はボロボロで、これは結構あぶなかった。
とても径路があったとは思えないゴルジュのなかを歩く。
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とても径路があったとは思えないゴルジュのなかを歩く。
二段構えの大きな堰堤を右から越えると沢幅も少し広くなり、やがてこの象徴的な岩が現れる。
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二段構えの大きな堰堤を右から越えると沢幅も少し広くなり、やがてこの象徴的な岩が現れる。
岩の先の小さな滝は倒木などで厄介そう。右の斜面を巻くことにする。斜面には湧水が流れ落ちていて、一部凍っていた。
岩の先の小さな滝は倒木などで厄介そう。右の斜面を巻くことにする。斜面には湧水が流れ落ちていて、一部凍っていた。
巻きの途中にあらわれた径路。何故、沢沿いから見つからなかったのだろう。
巻きの途中にあらわれた径路。何故、沢沿いから見つからなかったのだろう。
振り返ると土砂などに消されている。これでは分からないはずだ。
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振り返ると土砂などに消されている。これでは分からないはずだ。
径路は沢の上数メートルの斜面を水平につけられている。
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径路は沢の上数メートルの斜面を水平につけられている。
掛け橋もこんな状態だが、まだまだ十分使える。
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掛け橋もこんな状態だが、まだまだ十分使える。
同じく。
面影を残す路のライン。
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面影を残す路のライン。
径路は一旦、日本庭園のように苔むした林の中を通る。雰囲気の良い所。
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径路は一旦、日本庭園のように苔むした林の中を通る。雰囲気の良い所。
日本庭園を越えて径路が消えてしまった。沢沿いを歩けというのか。しかし、今日は旧登山道の探索である。可能な限り忠実に辿ってみたい。しばらく急斜面をうろうろする。
日本庭園を越えて径路が消えてしまった。沢沿いを歩けというのか。しかし、今日は旧登山道の探索である。可能な限り忠実に辿ってみたい。しばらく急斜面をうろうろする。
結局、はっきりした径路は見つからず大日沢へ戻ってしまった。
結局、はっきりした径路は見つからず大日沢へ戻ってしまった。
破線図として画かれた地図を手に、一昔前の登山者は沢筋を歩かされたのであろうか。
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破線図として画かれた地図を手に、一昔前の登山者は沢筋を歩かされたのであろうか。
モヤモヤしたままでオバケ沢出合までやって来てしまった。右がオバケ沢、左が本流の大日沢。どう見ても本流はオバケでしょう。
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モヤモヤしたままでオバケ沢出合までやって来てしまった。右がオバケ沢、左が本流の大日沢。どう見ても本流はオバケでしょう。
大日沢に入ってすぐ、左岸にこんな石積みを発見。炭焼き用の窯のようでもあるが、ほとんど沢中にあることを考えるとどうなんだろう。
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大日沢に入ってすぐ、左岸にこんな石積みを発見。炭焼き用の窯のようでもあるが、ほとんど沢中にあることを考えるとどうなんだろう。
誰かが忘れた「ヒル下がりのジョニー」。
誰かが忘れた「ヒル下がりのジョニー」。
この沢は登攀対象となるような棚はないが、この時節柄、少しでも水のかかった岩はツルツルに凍っていて、数メートルの滝でも緊張を緩めることはできない。(F1)
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この沢は登攀対象となるような棚はないが、この時節柄、少しでも水のかかった岩はツルツルに凍っていて、数メートルの滝でも緊張を緩めることはできない。(F1)
その約6割は伏流水の大日沢にも源頭部が近くなってきた。この二俣を左に進むと大日茶屋、右は木ノ又小屋方面である。破線図通り、左俣に入る。
その約6割は伏流水の大日沢にも源頭部が近くなってきた。この二俣を左に進むと大日茶屋、右は木ノ又小屋方面である。破線図通り、左俣に入る。
両尾根に挟まれたザレの谷筋を登る。本来は下の二俣の時点で左への尾根に逃げるのが自然だと思うが、ここはあえて最後の最後にあらわれる正面の尾根を詰めの花道にした。
斜度だが、写真から受けるイメージと違い、かなりきつい。
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両尾根に挟まれたザレの谷筋を登る。本来は下の二俣の時点で左への尾根に逃げるのが自然だと思うが、ここはあえて最後の最後にあらわれる正面の尾根を詰めの花道にした。
斜度だが、写真から受けるイメージと違い、かなりきつい。
尾根から初めての雄大な景色。
尾根から初めての雄大な景色。
塩水橋から4時間30分、林道終点から3時間30分、やっと新大日の茶屋が見えてきた。太陽を見るは今日初めて。一般登山客もいるようなので、そっと柵の右手側に回り込み茶屋前に出た。
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塩水橋から4時間30分、林道終点から3時間30分、やっと新大日の茶屋が見えてきた。太陽を見るは今日初めて。一般登山客もいるようなので、そっと柵の右手側に回り込み茶屋前に出た。
新大日ノ頭。
ここからは長尾尾根を使って帰るだけである。
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新大日ノ頭。
ここからは長尾尾根を使って帰るだけである。

感想

登山道に関しては、ほとんど痕跡を見つけることは出来なかった。手持ちのガイドブックは2000年発行のものだから、もう少し残っていてもよさそうなものだ。もっと、明瞭な道らしきものがあるのかと思っていたが、結果は期待に反するものだった。破線とは言え、ヤマケイあたりが載せるぐらいだからこの道を尋ねて山行計画を立てた人も多かったはずだ。オバケ沢出合まではともかくとして、今回歩いてみた感じから、当時も現在も状況は変わっていなかったのじゃないかと思われる新大日までのコースが心配だ。路迷いなど遭難事故は起きなかったのだろうか。
それにしても、未だにオバケ径路がV愛好家の人によって歩かれていることを考えると、オバケ沢出合からの登路は、踏み跡すらない寂しい破線登山道のような気がしてならない。

●沢名について???
東京雲稜会編「丹沢の山と谷」(昭和43年)や「丹沢の谷110ルート」などには、クモガフチ沢が出合う本谷川までを本谷川の本流としてオバケ沢の名を記載しているが、現在の大日沢とオバケ沢の二俣が1:5であることを考えれば至極当然。しかし、何故か国土地理院ではそこには大日沢の名前が落とされている。不思議だ。

●オバケ沢の名前の由来 (知ってても、この話知ってるーなどと野暮なことは言わない)
あるとき、秦野の某寺の娘がノイローゼになり家出をして行方不明になったそうです。家の者はもう死んだものとして供養したらしいのですが、7年後、今のオバケ沢の上流で漁師によって発見されます。女は気が狂っていて、ちらし髪がお化けのようだったそうです。その後、女は川で亡くなります。それからこの川をオバケ沢というのだそうです。詳しくは丹沢の天狗さんことH・シュトルテ先生の「丹沢夜話」に載っています。


さすがに人気コースの表尾根。たどり着いた新大日でも登山客の途切れることがない。休んでいる人も沢山いる。ただ、自分はこういう所は苦手なので写真だけ撮ると、長尾尾根を使って帰路に着いた。
その長尾尾根で、今日は尊仏山荘に泊り、明日丹沢山から塩水橋へ下るという75歳のお婆ちゃんに出会った。下手をするとめったに山で話すことのない自分だが、この長い尾根をマイペースのピッチ走法で登ってくるお婆ちゃんの姿を目にして、そのまま素通りすることは出来なかった。珍しく声を掛けリズムを止めてしまった。
還暦を過ぎて始めたという山登り。話を聞くと山には相当通っているようだ。経験に裏打ちされた呼吸の乱れの無さ。恐れ入谷の鬼子母神である。
昨今、体力の衰えを痛感する毎日であるが、お婆ちゃんからは帰りのザックが重たくなるほどの元気をもらった。
自分のことをみそっ子扱いして、アンタ、人生これからだよと言ってくれたお婆ちゃん。しばし、後姿を見送った。

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