兵衛谷(シン谷)遡行


- GPS
- 12:12
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 1,447m
- 下り
- 1,446m
コースタイム
- 山行
- 11:27
- 休憩
- 0:41
- 合計
- 12:08
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
7月30日(日)「晴れ」 兵衛谷は、大まかに下流部、中流部、上流部(シン谷)と分けられる。本来は、入渓地点のがんだて公園から、2泊3日で完結するのが良いのだが、20110910にその積りで遡行したのだが、途中で挫折し、結果3分割になってしまった。中流部を20130713に踏破し、さて上流部になったのだが、あの御嶽噴火で入山が出来なくなってしまった。そうこうして居る内に年も取り、仲間の故障もあり、有志メンバーからも声が上がらなくなってしまった。今回は、偶然最新の行動記録を閲覧し、居ても立っても居られない気分になってしまった。正直単独は怖いが、ココヘリを信頼して行ってみようと決断した。朝4時過ぎ予定より早く目覚めてしまった。多少興奮気味なのかな。朝食の太巻きを食べていると薄明るくなって来た。御嶽濁河高地トレーニングセンター前から林道椹谷線を進む。アスファルトの良い道だ。兵衛谷大橋から右岸へと下降する。最初来たときは、橋が出来たばかりで、橋周辺には樹木が無かったが、今は樹木が生い茂っている。橋下でも雨を避けてテン泊が出来た。右岸から入渓し対岸へ渡ると、覚えのある茶色い温泉成分が流れ出ていた。早々上部へ遡行開始だ。思った程、水量も無く冷たく無く安心した。直線的にゴーロが続く。直ぐに右岸から支流が入る。少し狭くなると滑釜状が出て来て、全身ずぶ濡れを覚悟するが、両岸は低いので巻きを偵察しているとピンクテープを発見する。右岸から小さく巻く。沢が直角に左へ折れる場所には、大きな釜のある、落差の小さな滑状滝がある。左岸脇を通過した。釜上で右へ折れると、荒涼とした直線的な沢が続く。左岸、右岸と沢に抉られた、柱状節理壁が現れる。釜を持った滝が続き、両方とも左岸から巻く。右岸が抉られた所が現れ、抉れた上から流水が落ちている。自然が作り出した、打たせ湯の様だ。最後は本流が斜瀑となって落ちている。左岸を巻く。両岸が深くなると兵衛谷終点地の、シン谷と沢ナンゾ谷との二俣に到着した。水量は半部になる。兵衛谷から最初は正面にある沢ナンゾ谷の黒い30m滝が望まれる。沢ナンゾ谷も面白いかもしれない。シン谷には白いパノラマ滝40mが望まれる。滝左下はオーバーハング状となっている。滝右側は、沢を分ける尾根となっていて、白い岩から水が滝状に落ちている。白いのは温泉成分かもしれない。右岸を巻くが、途中から踏み跡がハッキリし、アイボルトで固定されたお助け紐と足場となる鉄杭1本が打たれていた。この辺りも、小坂の滝めぐりツアー関係者が整備しているのか。滝落ち口へと上手く抜けられた。小さな滝が続き、二条滝は、左側を登った。次の釜を持った滝10mは、瓦を積み上げたような滝で、容易に階段状を登って行けた。小滝が続き、両岸が急峻になると百間滝50mが現れる。滝左側にはハング状の壁が続く。左岸を巻くが、此方も巻くにつれて、踏み跡がハッキリしてくる。トラロープも掛かっている。滝落ち口と同じくらいの高さとなりトラバースするが、樹林帯が崩れていて行き詰まる。数メートル上のブッシュ帯に出られない。折れかけた5cmφ程度の木の枝がぶら下っているのだが、若干届かない。届いたにしても切れたら転落の可能性大だ。他ルートも考えられない。崩れた土の崖斜面をどうするか。こんな時は祈りながら、雪でもないのにキックステップだ。足場をキックで構築する。何とか数歩を崩れながらも騙し通過できた。神様有難う。ブッシュ帯に入ると明瞭な踏み跡が続いた。やはり其処がルートだったのだ。もう後戻りは出来ない、片道切符完全使用済み。その上のナメ滝も巻き、滝上に飛び出る。数個の斜瀑等をやり過ごすと、堰堤状滝20mの滝が現れる。右岸を巻くが、アザミが密生していて、どんなに気を付けて進んでも、全身に棘が刺さり痛い。草なのに油断ならない。そして転倒防止で掴んでも、痛いだけで当てにはならない。此処も滝上に上手く降りられた。また同じような荒れた沢が続く。水流は徐々に少なくなり、右岸より流れ出る水流を最後に本流の流れは涸れた。若干濡れる程度はあるか。正面に濡れた大きな悪相の滝が現れる。横縞があり脆そうな感じだ。右手にも巨石のルンゼンが落ちている。本流下から眺めると滝とルンゼの間は、島ようにも眺められた。先ずはルンゼを登ると島の頭に出て、滝を間地かに臨む事が出来る。その上のルンゼも登る事は難しいので、頭から右手のブッシュ帯を登って行く。左岸を巻いているのだが、岩も出て来て絶妙に避けながら、登ったり下ったりトラバースして行く。ルンゼの上部に出たようだが、此処も絶妙な巻き道で、滝落ち口に出られた。荒涼な荒れた沢が再び続く。樹林限界の御嶽山稜も見えるようになり、高山帯に入ってきた。暫く荒れた沢芯を進む。左に黄色い槍のような岩峰が目立つ。両岸がV状になると、赤い滝の神津滝30mが現れる。左岸を巻いて行く。山抜けしているが、根っ子が旨く絡まり、ダケカンバが空中で落ちずに成長している。強い物だ。此処も絶妙な巻き道で滝上へと抜ける。相変わらず黄色い槍のような岩峰が目立つ。振り返ると高度が上がった分、展望が開けて来た。いよいよ高山帯に入って来た。樹林は無くなり、右岸の摩利支天や左岸山肌が異様な景観を呈している。階段状滝20mが現れる。水量は少ないと云うより、濡れている程度だ。門のような景観で登って行ける。その上にも赤茶色の岩場が続く。赤い斜瀑が現れるが、濡れた状態だ。火山性の脆い岩なので、左岸を巻くが此方も脆い。赤い滑滝が続くが、濡れも無い状態となった。日本最高所の滝が出て来た。此方は少しだけ水が流れている。左手に進むとサイノ河原草原に飛び出し、白竜避難小屋まで詰め上げて、足掛け12年でやっと兵衛谷(シン谷)を完結できた。白竜避難小屋からは、摩利支天をバイパスする登山道から御嶽五の池小屋へと出る。コバルトブルーの三ノ池展望が素晴らしかった。兵衛谷では、誰一人と会う事も無かったが、登山道へ出ると沢山の登山者と擦れ違う。皆元気でトレラン風だ。五の池小屋は綺麗な小屋で、摩利支天の展望を楽しめるよう小屋前には、展望テラスが整備されている。ソファーやベッドもあり、利用するのは有料なのかな。小屋慣れしていないので、飛騨頂上を踏み下山と掛かる。少しガスが掛かっていた摩利支天も、ガスが晴れ綺麗に見えた。まだ残雪も残っている。シン谷から見る摩利支天と違い、此方は這松が生い茂り、眩い緑が美しい。濁河温泉への登山道も、大きな這松が鬱蒼と茂り続いているのは見事だ。道が無ければモーレツなブッシュ帯となる事は間違いない。少し暑くなってくると、岳樺などの高層樹林帯となる。緊張感も無くなり疲れが出て来てスピードダウンとなる。休息を所々入れ、のぞき岩避難小屋を通過する。湯の花峠、ジョーズ岩を過ぎる頃には、数名の下山者に抜かれた。嘗ては仙人滝へと登山道は抜けていたが、今は尾根状を大回りして濁河温泉へと抜けた。あと少し、車道を歩き最下部駐車場へと下山した。体を拭いて汗を落とし、飛騨川温泉しみずの湯へと温泉に入りに行く。そして、大安食堂でとんちゃん定食を食べて帰宅の途に着いた。長い一日だったが、達成感を味わうことが出来た。
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