久曽木谷遡行

- GPS
- 05:25
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 596m
- 下り
- 629m
コースタイム
- 山行
- 6:41
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 6:41
天候 | 晴のち雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
沢自体は大きな二つの滝以外、問題となる箇所なし。下山は道のない尾根+作業道。 |
その他周辺情報 | 鹿伏の北にある食堂「みやなか」 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
地下足袋
わらじ
ヘルメット。
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感想
台風6号が北に抜けて大気はますます熱気をため込み、全国津々浦々でほとんど40℃に達する日々が続いている。こんな時にはせめて1500m、かなうなら2000m超えの山で涼みたいところだが、近場にはそんな山はない。大峯が一つの候補ではある。しかし帰路は大阪方面に向かう車で山の中から大渋滞という事態を想像すると、二の足を踏んでしまう。その点、西に位置する中国山地は、渋滞の憂き目にあう確率が低い。沢ならば標高がどうであれ、涼を求めて潤いある山行ができる。kinuasaも同行できそうな中国山地の沢、ということで選んだのは久曾木谷であった。ここは氷ノ山の南西を流下する谷で、尾根一つ東の「家の谷川」の遡行後、下降路として使われているようだった。つまりは、下降も問題のない沢ということである。谷の中ほどに幻の滝と異名をとる久曽木大滝があり、一応”探勝路”もあるらしいが、相当荒れた山道のようである。
久曾木谷を挟んで走る二つの尾根は、積雪期に「大段」を登った際、周回している(記録ID: 3030944)。その時、ブル道より下はすでに雪が消えていたが、藪はなく、通行に何の問題もなかったので、夏場も特段の問題はないはずだ。そこで今回は、久曾木谷を遡行して大滝を越え、ブル道を使って西尾根に回って、尾根を下山するという目論見である。
久曾木集落への狭い車道の分岐には、前回来た時にはなかった真新しい案内板が「久曾木幻の大滝」入口であること知らせている。集落の最奥には新しい駐車スペースができており、若桜町が建てた真新しい看板に「幻の滝トレッキングコース」の説明を見る。説明の下には、コースが荒れているから注意するように、と書かれているのだが、看板だけ立てて整備はしていないという実情が透けて見える。ここに車を置いて、まずは林道を辿る。間もなく林道は二又となり、谷の奥に行くには左に登って行く道を進むのだが、我々は右下の谷に降りて行く道に入る。こちらのほうには車輪の跡もあって、「本道」に見える。すぐに何頭ものクロアゲハ、カラスアゲハの出迎えを受ける。そこにはちょうどクサギの花が咲いており、アゲハたちはその蜜に酔いしれて、いつになく優雅にフワフワと飛んでいる。すぐに林道が久曾木谷をまたぐ地点に達する。ここが入渓点となる。わらじを沢水に浸して、しばしくつろぐ。asakinuは去年、六甲のミッ下谷を遡行記録(記録ID: 4739540)する時に地下足袋・わらじを付けているが、kinuasaは久しぶりの沢装束である。
支度が済んだら、いざ出陣。温帯広葉樹林に包まれた清流と戯れながら、ざぶざぶと水線に沿って遡行を開始する。大岩の間を滑り落ちる水が小滝にように見えるが、滝らしい滝はなく、ゴーロが続く。途中、ふと右岸を見上げると山道が斜面を斜めに走っていた。珍しく両側に岸壁が迫って来たな、というところで右岸を見ると、くだんの山道は鎖場に差し掛かっていた。我々は水線通しに進む。すると正面に小滝が現れ、その背後に古い堰堤が構えているのが見えた。近づいて左右を観察し、左手の山道が堰堤横をかすめて通るところに一旦乗って堰堤を越えた。再び水線に復帰して遡行を再開する。左についていた山道はやがて九十九を切るように斜面を上がっていき、視界から消えた。正面にはやっと滝らしい滝が姿を現わす。五段の滝、というもので、きれいに階段状になっていて、快適なスタンスが得られる。五段の滝を越えると沢には大岩が目立つようになり、傾斜も増してきた。核心部が迫って来る予感がある。案の定、行く手にはこれまでになく大きな滝が逆くの字を描いて落下している。落差20メートルはあろう。出合の滝と言うらしい。狭まった落ち口から勢いよく押し出される水は、中段から斜瀑となって四方にしぶきを飛ばしながら落下している。下部は水線を登れそうだが水の勢いが強く、今の自分には耐えられそうもない。右岸を大回りするように付けられた山道を辿って落ち口上に立つ。ここからさらに上流に向かう。谷が明るく開けると、突如眼前に沢幅いっぱいに広がった岩盤を幾筋もに分かれてしぶきをあげて流下する大滝が現れる。仙台郊外の盤司岩の奥にある白糸の滝に似ている。この滝の前で昼食とする。中段に出る”道”もあると聞くが、よくわからない。下段は水線沿いに登れそうだが、中段はオーバーハングしており、無理だろう。ここはおとなしく左岸を大きく巻いて落ち口に出る。落ち口より上は傾斜が乏しくなり、一気に源頭近しの雰囲気となる。滑床が多くなり、水線をすたすたと登って行くと、左手奥に草原の斜面が見えてくる。ブル道下の法面である。一気にこれを登り、ブル道に出る。これで遡行終了である。ブル道を西に歩き始めると、黒い雲が空を覆い始めた。と同時に雨滴がぽつりぽつり。ああ、やられてしまった。しかし、とにかく谷を抜けた後でよかった!その後、ひどい降りとなり、沢では大して濡れなかったのが、雨で全身ぬれねずみとなったのである。久曾木のすぐ西の小鞍部から、以前は左に降りてすぐに林道に降り立ったが、この法面を降りるところは大きな段差があって、「尻ゼート」にスリルがある。kinuasaは随分怖がっていたので、今回は右に降り、林道を一回りすることにした。だが、これが失敗。結局、林道に降りる手前で急斜面を下降することになり、これが厄介な上に、林道の巻きが思いのほか長く、上りまである。一方、左に下っていた場合、法面の下降点の土壌は雨後も堅く、特段問題にはならなかっただろう。反省しきりである。今度来ることがあったら、絶対左!である。その代わり、このうんざり林道で優美なミヤマカラスアゲハの姿を楽しむことができた。いろいろあった一日であるが、核心の大滝は降り注ぐ陽光に輝いて我々を迎えてくれたし、それはそれでよい山行なのであった。
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