小川谷廊下 (要救発見のため通報/救護/警察合流まで)
- GPS
- 02:31
- 距離
- 7.8km
- 登り
- 376m
- 下り
- 337m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【注意】この記録は、小川谷廊下を遡行中に要救助者(以下、要救)の第一発見者となった我々が、その後どのような行動をとったかにフォーカスした記録です。警察消防の詳細な動きや、要救助者についての詳細な情報(例えば、どのような原因で怪我を負ったか)などは機微情報として記載しておりませんし、コメントでもお答えできないことをご了承ください。 ・水量: 増水気味 ・他パーティ: 沢内で5PT(2人=内1人が要救,3人,2人,4人,1人=釣り人) ・参考遡行図: 「丹沢の谷200ルート」P.200-201 (2級下〜2級) この記録でのGPSルートは、山行開始後、F2(CS2条4m滝)手前で要救発見後、SLのみが下山をし、下山中に電波があるところで110通報、その後、通報を受けて林道を下からあがってきたパトカーに乗せていただくまでのルートです。 ※3週間後に通常遡行しました: https://yamare.co/5947456 CLは現場に残り、要救に付き添いで、我々の持っていたサバイバルシート、ツェルトやホッカイロにて体温の確保、及び行動食やバーナーにより温めた白湯などの提供をしました。現場は陽の差さないゴルジュ内で滝の水しぶきなどが常にある寒い状態でした。発見時の要救の状態は、素人の我々の見立てですが、意識レベル0(正常=問題なく会話できる)、出血多少あるがほぼ止まっている、顔色や唇の色は正常、歩行不可(本人が「おそらく足が折れている」と申告)でした。 なお、その後のルートは以下の通りです; ・SL:パトカーに乗り、西丹沢県民の森駐車場まで ・SL:警察救助隊の皆さんと徒歩で林道を少し下り、石塀のある尾根から穴ノ平沢出合まで下降し入渓 ・SL:穴ノ平沢出合から少し歩いてF1(3m滝)を超え、要救現場へ到着 ・CL/SL:消防が少し遅れて到着し、緊急救護措置後、穴ノ平沢出合までストレッチャーで移動し、そこから消防のヘリで緊急搬送 ・CL/SL:それらの様子を要救のPTメンバーと共に見守ったのち、石塀のある尾根から林道まで戻り、パトカーにてユーシン駐車場まで ※内容について何か問題あれば、関係者からのご依頼であれば該当部分の削除をいたしますので [email protected] までお知らせください。 |
その他周辺情報 | ラストコンビニ: セブンイレブン 大井松田インター店 事後: 中川温泉 ぶなの湯 |
写真
装備
MYアイテム |
やっくん
重量:-kg
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個人装備 |
Tシャツ
長袖インナー
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
着替え
ザック
昼食
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
トポ
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
携帯トイレ
保険証
スマホ(GPS兼)
時計
ナイフ
カメラ
沢靴
ハーネス
ヘルメット
確保機
ロックカラビナ
カラビナ
クイックドロー
スリング
セルフビレイランヤード
アッセンダー
ハンマーバイル
ヒルよけ剤
特小無線機
サングラス
|
共同装備 |
ロープ(8mm30m)
カム(#.75/#.5/#.4/#.3)
ハーケン数枚
アブミ
ツェルト
衛星SOS発信機(inReach Mini2)
レスキューセット(プーリー/マイクロトラクション)
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感想
谷川・万太郎本谷に泊まり沢で行く予定だった週末、が、相変わらずの夏空で雷雨予報により転戦で日帰り沢となって、そういえばまだ来たことがなかった小川谷廊下へ。F2(CS滝)も左側から登る気満々の装備とヤル気にて。
もちろんヒル祭りは覚悟していたが、いざ小川谷廊下に入る前にヒル確認してみると足回りに4〜5匹を確認して……溜息。
が、F1を登ると、なぜかポツンとゴルジュ内に体育座りされてる方を見て、今回はヒルが核心ではなかったことに気付くことになったのだった……!
※今回は、CLがトレーニングとして山行計画及びリードをするもので、CLに比べて沢経験の多いSL(僕)がそのサポートをする山行でした。が、要救発見後からは行動のリードをとったのは僕となりました。
というわけで、この記録を公開するにあたり、CLといろいろ話しながら「少なくとも我々がした決断や行動については世の中に発信しても問題ないのではないか」という結論に至り、そこにだけ着目した記録を書くこととしました。
ですが、例えば警察に僕が通報できたのは偶然通りがかった登山者がお持ちのスマホの電波が圏内だったのでそれをお借りできたことだったり、我々はバーナーを日帰りでは装備に入れておらず、通りかかった別PTにお借り出来たお陰だったりと、我々だけの力で出来たことは多くなかったことをここに書き加えておきます。お世話になった皆さん、その節は本当にありがとうございました。
また、警察及び消防についても、本当に通報から初動が早くて非常に感激しました。僕の通報完了から10分ほど歩くと下からパトカーがやってきて本当にびっくりした次第です。帰りには駐車場まで乗せていただき、非常に助かりました。ありがとうございました。
沢登りは「ロシアンルーレットだ」と言う人がいます。どんなに経験や技術がある人でも、一定の運により不幸が訪れる。ホールドが抜けたり、支点が壊れたり、落石があったり。いつその"ハズレ"を自分が引くかは分からない、それでも我々を惹き付けるものが沢にはあると思います。
今回不運だった要救の方やそのPTの方にも、不幸の中で繋がった命を大事にした上で、ぜひそんな魅力のある山や沢に戻ってきていただいて、そしてそこで次は他の不運な誰かを助けてもらえれば、本当に嬉しく思います。
今回、改めて僕も「明日は我が身」だと思い直すことができました。今後も気を引き締めて、しっかりトレーニングを重ねて、引き続き沢で遊んでいければなと思います。(下山後、ホームのボルダリングジムに駆け込んで閉店までトレーニングしてましたw)
ぜひ、また、どこかの沢で。
ヘリ到着時の動画: https://x.com/yaklimber/status/1696060191194976449
泊まり沢の予定だったところを天気予報を見て変更、まだ行ったことのなかった小川谷廊下へ。
CS滝や下山ルートなど注意が必要な箇所を考えながらゴーロを歩き、F1を登ったところで要救と遭遇。現場の状況を見て今日のルートは頭から吹っ飛びました。
私は過去にこういった現場に遭遇したことはなく(パートナーは沢以外で経験あり)初めてのことでしたが、要救ご本人(以下ご本人)が話ができる状況だったので症状など聞き取れ、我々パーティのその後の行動に移せました。
パートナーはソロでの沢経験もあり、体力技術面でも私より上なので下山して通報に当たってもらい、私は現場に残りました。
パートナーと要救現場到着直後に沢の水流中央付近へ人の頭大の石といくつかの小石の落石があったため、ご本人と壁側へ移動。(お尻の位置をずらしてもらう程度だったが)
それ以降落石に注意しつつケア。緊張感のある場所だった。(後続パーティーや後に到着する救急隊にも都度注意喚起した。)
下記は現場に残った私の記録として(使用したものなども)
・ゴルジュ内だったのでずっと日陰、滝のそばで水飛沫のせいか空気が冷たい。怪我の状態が悪く動かせない。ご本人、濡れていない岩場の上にいたためその場で荷物を広げてケア。寒さで体が震えていたのでサバイバルシート(ご本人のものも含め2枚使用)、レインウェア上下、ツェルトを体にかけ寒さ対策。(※私自身は下にウェットスーツを履いていた&ケアするために動いていたので寒さはなかった。)
・出血部位はガーゼを飲料水で濡らして拭き、絆創膏を貼った。
・ご本人が持参した痛み止めを飲ませる。
・定期的に無理なさそうな範囲で話しかけて、顔色なども含めて状態に変化がないかを気にした。
・最初は大岩に座る形だったが、ずっとそのままは疲れて来たため背面に置いていたザックに寄りかかってもらい少し仰向けに近い体勢になる
・持参の小さいカイロ使用と、後続パーティの方に貼るタイプのカイロを背中に貼ってもらった。
・別パーティの方がガスバーナーを置いていってくださったのでお湯を沸かして飲ませた。(使用後は処分してくれていいと言われましたが「ご返送します!」と住所を伺う。が、そのあとまたお会いできたのでその場でお返ししました)
体が温まるとご本人の表情も和らぎ、私も安心できました。助けてくださった皆さま、本当にありがとうございました!!(大人数でいても特にできることが無さそうだったので、他のパーティの皆さんには先に進んでもらった)
パートナーとお互い無線機を持っていたのでもしかしたら何か連絡来るかもと思い常に手首にかけていたが今回は特に使用無し。(沢、かつゴルジュ内なので当然スマホは圏外)
連絡が取れるはずもない孤立した状況下で、正直、救助が来るのは早くて昼過ぎ?13時くらいか、夕方くらいまでかかるかも……と覚悟していたのだが、警察救助隊の方々が午前中には現地に到着、その後すぐ消防の方々も合流。迅速な対応に感謝します。
パートナーと共にこちらへ向かってくる救助隊の姿が見えた時は本当に安堵した。もちろんご本人が一番嬉しかったと思う!!
また今回は現場が遡行ルート内かつ人気沢という事で数組のパーティにお会いし協力を得られました。
これが別の、もっと上流の入り組んでる場所だったら、悪天候だったら等々、取る行動も変わっていたでしょう。
今回の件で日頃から沢は怖いものと思って来ていましたが、あらためて色々考えさせられました。
沢は一般登山道と比べてもリスクが高いのは承知ですが、数えきれないほどの魅力があります。美しい景色が見たい、面白い滝が登りたい、そのためにはリスクを少しでも減らす努力・日々のトレーニングと場数をこなしていこうと思います。
一晩経ち、あらためて自分はあの場で適切な行動ができていたのだろうか?と何度も振り返っていますが、あの時は自分ができる最大限だったかな、と。また次遭遇しないとも限らないし、自分が事故を起こすかもしれません。装備・荷物など再確認したいと思います。
今回怪我された方の一日も早い回復を願っています。そして回復されたらまた沢に戻って来てくれると嬉しいな。
沢登りされる皆さま、これからも安全に沢登り楽しみましょう!
コメント
この記録に関連する登山ルート
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バーナーでの湯沸かし。なるほど。もう少し涼しくなると私もお湯を入れた保温ポットを携行したりしますが、まだ暑い時期だと割愛しがちです。サバイバルシートは結果としては常に携行してはいるのですが、準備の段階で意識の中ではわりと優先度が低く「まぁ一応入れときましょうね〜」くらいの感覚になりがち。もちろんなんでもかんでも持っていくことはできませんが、最近軽量化の方向に振りがちな装備についても、色々と考えさせられました。
おっしゃるとおり、この手のアクティビティでの事故との遭遇は、技術の巧拙による程度の差はあれど、最終的には確率論的な要素は排除できないですよね。私も以前に初心者向けと言われている沢で、パーティ内のメンバーが高さにしてほんの2m程度のところから飛び降りた(←途中まで登ってムリそうと思っての行動)際の着地が悪く、踵を骨折して動けなくなり、ヘリの救助要請をしたことがあります。そんな危ないとわかっていること、やめた方がいいのでは?という声もあるのでしょうが、そういうわけにもいかないんですよね。未知のものを見たい、向き合いたいという生きる上での本質的な好奇心や衝動は抑えられないので。完全にゼロにはできませんが、そのリスクをカバーしてコントロールできるようにトレーニングするのは怠らないようにしたいものです。
ありがとうございます。
バーナーはこの時期日帰りだと持ち歩かないですよね。今回は要救さんが不幸に見舞われた中でもたまたま運が良かったのかな、という感じでした。
サバイバルシートは必須ですね。泊まり沢だと夏でも夜は(私の場合)ウルトラライトダウンを着るほどには気温が下がるので日帰りでも万が一を考えて毎回ヘッドランプとセットにして持ってます。軽いしかさばらないし、『お守り』としても良いと思います。ですが、まさか本当に使う日が来るとは思っていませんでした。
沢は本当に魅力的なのでやめられません。が、それを続けるにはやはりトレーニングもやり続けないとですよね!お互い怪我や事故に気をつけて長く楽しめるように頑張りましょう!
実は当日、小川谷廊下、遡行していました。
朝の5時からスタートしたので我々は先行していたと思われます。途中で我々パーティの真上をヘリが飛んで旋回した行ったので何かあったのかとは思っていましたが、やはり事故でしたか。
人気の沢のはずなのに誰にも会わないなと思っていましたが、そういう事だったんですね。
下山時のヒル攻撃がものすごくてみんなで騒いでいましたが、こういった事故に比べるとかわいいものです。沢だけでなく登攀、縦走などでも気を抜いてはいけないと肝に銘じました。
こういった情報は大変参考になります。ありがとうごさいました。
コメントありがとうございます。
朝5時!お早い!
我々含め5パーティが9〜10時台に集中していたようです。
ヘリが近くを飛んでいたら心配になりますよね、このような状況でした。
使用したギア・アイテムなど共有して少しでも今後誰かの役に立つ事があればと公開いたしました。
下山は噂通りヒル地獄なんですね、、、。お疲れ様でした。我々もまたいつか小川谷廊下に再挑戦したいと思うのでジロウさんの記録も参考にさせていただきます。
今後も安全に山や沢を楽しんでいきましょう。
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