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Yamareco

記録ID: 600201
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積雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜

爺ヶ岳 (東尾根) 猛ラッセル&雪庇崩落 JPまで

2015年03月14日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
4.4km
登り
795m
下り
785m

コースタイム

05:30 鹿島山荘
11:20 1,476m
13:30 JP
16:00 鹿島山荘
天候 くもり 時々晴れ
過去天気図(気象庁) 2015年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
 ラッセル三昧のコンディションだと相当な体力&時間が必要です。天候、時期、人の入りで状況が一変します。

 JP手前あたりから雪庇だらけなので踏み抜き、崩落に注意です。雪庇を乗り越えなければいけない箇所が何回か登場するのでトレースがない場合は特にルート取りの判断が必要です。トレースありなし、雪の量で天と地と程、山行レベルに差が出ます。

 表面サラサラで下の層は硬いとか、表面が少しクラストしているとか、深いところも柔らかいなど様々コンディションが存在します。

 気温の上がった午後の樹林帯の雪は重く、だんごのように固まりやすく、非常に歩き辛いです。足がはまるとそのまままわりが固まる感じです。片足がはまって、もう片足は足場がなくなり下に落ちると危ないです。足をとられやすい雪質です。雪の凹凸がそのまま中途半端に固まっていてゴツゴツ+サラサラでない滑らない雪で尻セードもできません。

 高い枝から落ちる大きな雪の塊にも注意です。高度を下げると午後は踏み抜きも増えます。

 積雪期の北アルプス入門、ルートに問題なしというのを良く見かけますが侮れません。ピンクのリボンがところごろこありますが、ルートファインデイングは必要です。特に1,476mあたりから下は、よくルートを確認した方がよいです。登りは尾根をつめていけばいいだけなので分かりやすいですが、下りは登りと景色が変わるし気を抜くと間違えがちです。
 
除雪作業中です。
除雪作業中です。
鹿島山荘
 駐車場は二駆だとスタック寸前。今日は駐車場の除雪からスタートです。帰ってきたときは全面除雪してありました。
 駐車場は二駆だとスタック寸前。今日は駐車場の除雪からスタートです。帰ってきたときは全面除雪してありました。
完全なるノートレース+新雪 鹿島山荘を通り過ぎて裏手に回ります
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完全なるノートレース+新雪 鹿島山荘を通り過ぎて裏手に回ります
 石碑の右が取り付き
 石碑の右が取り付き
 ここのつきあたりを右へ
 ここのつきあたりを右へ
 堰堤の右を通ります。
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 堰堤の右を通ります。
 堰堤を過ぎた直後からはじまる急登はこんな感じ。表面のやわらかい層だけで、これだけの厚みです。下にじゃりっとした層があります。踏み込めばピッケルの面からさらに太ももあたりかそれ以上沈みます。
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 堰堤を過ぎた直後からはじまる急登はこんな感じ。表面のやわらかい層だけで、これだけの厚みです。下にじゃりっとした層があります。踏み込めばピッケルの面からさらに太ももあたりかそれ以上沈みます。
キリンに見える?
キリンに見える?
 これはまだ浅い方
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 これはまだ浅い方
やっと視界が開けてP2をとらえた。でもまだ気が遠くなる程遠い。現在地は1,476mあたりのはず。ここまでに6時間費やしています。
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やっと視界が開けてP2をとらえた。でもまだ気が遠くなる程遠い。現在地は1,476mあたりのはず。ここまでに6時間費やしています。
キツネか狼っぽい?
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キツネか狼っぽい?
 写真だけみると浅いとこでおっさん何やってるの?な画ですが、表面に重くやや硬い層があって、削ってからでないと足が前に進みません。本日のルート内では浅い方です。場所によって雪質が違います。
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 写真だけみると浅いとこでおっさん何やってるの?な画ですが、表面に重くやや硬い層があって、削ってからでないと足が前に進みません。本日のルート内では浅い方です。場所によって雪質が違います。
崩落前の雪庇
 崩落後(帰りに撮影) 写真ではしょぼいですが、実際はなかなかのサイズです。ワンダーフォーゲル4月号にも山は違いますが、雪庇崩落で落ちたパターンの記事が載っていましたね。
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 崩落後(帰りに撮影) 写真ではしょぼいですが、実際はなかなかのサイズです。ワンダーフォーゲル4月号にも山は違いますが、雪庇崩落で落ちたパターンの記事が載っていましたね。
 この写真の右横を進みます。写真のような壁を崩して進めるよう踏み固めます。ぱっとみここがルートとは思えません。ルートの進行方向右側は雪庇です。
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 この写真の右横を進みます。写真のような壁を崩して進めるよう踏み固めます。ぱっとみここがルートとは思えません。ルートの進行方向右側は雪庇です。
 26の写真の右横。本日一番大変だった所。これで正解ルートです。前回('15.1.25)、何の苦労もなく通過できたとこなのでびっくり。ワカンは途中まで使っていたのですが効果に疑問を感じて付けていません(人によって違うと思います)。
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 26の写真の右横。本日一番大変だった所。これで正解ルートです。前回('15.1.25)、何の苦労もなく通過できたとこなのでびっくり。ワカンは途中まで使っていたのですが効果に疑問を感じて付けていません(人によって違うと思います)。
 この削った下面から、さらに沈んで雪面と顔が同じくらいになります。通常、ピッケルー膝ー足で進めるのですが、ここは沈みまくって、2度3度と同じ箇所を埋めてやらないと前に進めません。一歩進むのに異常に時間がかかります。
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 この削った下面から、さらに沈んで雪面と顔が同じくらいになります。通常、ピッケルー膝ー足で進めるのですが、ここは沈みまくって、2度3度と同じ箇所を埋めてやらないと前に進めません。一歩進むのに異常に時間がかかります。
 上の写真の箇所をラッセルして開通(帰りに撮影)
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 上の写真の箇所をラッセルして開通(帰りに撮影)
JPからの眺めは素晴らしい。P123
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JPからの眺めは素晴らしい。P123
p3へ続く
 8時間かかってやっとJP ここでギブアップです。でも、帰りはのろのろ歩いてもたったの2時間半。笑ってしまいます。道があるなしでこんなに違うんですね。
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 8時間かかってやっとJP ここでギブアップです。でも、帰りはのろのろ歩いてもたったの2時間半。笑ってしまいます。道があるなしでこんなに違うんですね。
 折り返し地点のJPで記念撮影。目をつむってしまいました。胸にある白いのは地形図です。
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 折り返し地点のJPで記念撮影。目をつむってしまいました。胸にある白いのは地形図です。
 帰りはぐずぐず、重たく、中途半端に硬くて非常に歩きにくいです。残雪期のただのぐずぐずな雪ではなく、硬さが残っているダンゴになるタイプです。
 帰りはぐずぐず、重たく、中途半端に硬くて非常に歩きにくいです。残雪期のただのぐずぐずな雪ではなく、硬さが残っているダンゴになるタイプです。
 あれ、登らなくても道路から普通に絶景です。31号線より。
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 あれ、登らなくても道路から普通に絶景です。31号線より。
31号線 三日町トンネル 大町側から撮影。
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31号線 三日町トンネル 大町側から撮影。

感想

 これぞ雪山。これぞ北アルプス。これぞ冬の後立山。ラッセルを満喫しました。日に日に気候が春めいてきて冬らしい爺ヶ岳を楽しめないかもと心配しましたが、昨日の降雪もあって、ラッセル三昧を味わうことができました。しかし、もう3月も半ば過ぎ、これからは新雪も少なく、気温も上昇し安定してくると思われます。去年のレコを拝見すると、3月ですでに、もっと雪が少なかったようです。

 駐車場から鹿島山荘へ行くだけで こりゃ登頂どころかP3までも分からないなというのをすぐに理解することができました。これで天候が穏やかでなくて荒れていたら、ハードさマックスです。今回の山行と比較すると'15.1.25の回(AM8時前に出発してP3まで)はラッセルではなかったんだなと思う程の雪の量です。これからは膝程度ではラッセルとは呼べなくなりそうです。

 今までの山行がどれ程軟弱だったか思い知らされました。腰や胸まできて、さらに同じ箇所を何度も踏み固めないと、足場がずぶずぶ沈みまくりの崩れまくりで登りようがありません。目と鼻の先の距離でも信じられないくらい時間がかかります。スタンス、手がかりさえあれば、きつい斜度でもクランポンとアックスでどんどこ登れますが、深い雪と沈みまくる足元で全く進めません。まずはアックスで雪かきです。これほどアックスを横一文字で使いまくったのは初めてです。

 

 自分が原因となって雪庇を崩落させてしまいました。

 JPよりしばらく手前の本ルートで最初に登場する雪庇の箇所でやってしまいました。なんてことはない所なのにです。雪庇を通過する際はひさしの側を歩いてはいけないなんていうことは十分すぎる以上に理解(頭で)していたはずで、また、これまでの実際の山行においても注意して歩いていました。
 今回の崩落箇所の直前にも、気をつけて進もうと意識していました。それでも実際には崩落させてしまいました。振り返って冷静に見てみれば、なぜあんなに端っこを歩いたんだろうかと思うようなルート取りでした。そうなった原因のひとつにズブズブ沈んで進むことに手一杯になり、視界を広く見て周囲を把握することができなかったこと。次に直前の雪庇の反対側の斜面が切れ落ちていてビビって雪庇側によってしまったことなどです。気がついて、しまった!と思ったときにはすでに、無音で片足の足元が消えており、次の瞬間にドーンという音とともに大きな雪の塊が斜面に落ち、ころがって行くのが見えました。自分が丁度、雪庇の破断面のクサビになったような状態です。落ちなかったのは運がよかっただけで本当にラッキーでした。写真ではとても小さいですが、実際には結構な大きさです。

 同じ山を三桁回数登った大ベテランの方が雪庇を踏み抜いて亡くなったという話を仕事の取引先の方から聞いたことがありましたので、ああ、こういうことなのかなというのを実感しました。

  
  ノートレースの真っ白な雪に最初の足跡をつける。誰一人いない世界。最高でした!技術的にも様々なラッセル、雪のシチュエーション、コンディションを経験できてよかったです。ずーーーっと1人でしたが、本日初めて出会った登山者の方はジャンクションピークから折り返して帰る途中に1パーティー2人のみ。午後1時半くらいにJP手前で、これから冬季小屋で鹿島槍へ行くと行っていたので冷池山荘だと思うのですが、日没までに到達できるのだろうかと下山してから思いましたが、スノーシューだと行けるのかな?次の日の午前は晴れそうなので、頂からの眺めは素晴らしいでしょうね。いいなー。私は一体いつになったら登頂できるんでしょうか。笑 テント泊も検討中ですが、重量でさらにスピードが落ちるので悩みどころです。なかなか登頂できない山の頂に立てたときの感動を味わう日がくるのを楽しみにトライを続けようと思います。安全第一に。

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