塩の道トレイル スルーハイク
- GPS
- 34:13
- 距離
- 125km
- 登り
- 3,066m
- 下り
- 2,437m
コースタイム
- 山行
- 12:48
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 13:23
- 山行
- 12:03
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 12:03
天候 | 11/6 晴れ 11/7 朝小雨、晴れ 11/8 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所なし 古道なので現代マップに無理やり照らし合わせる難しさは所々あった |
その他周辺情報 | ■温泉:終始多くあり ■水場:町中以外は無いと思った方がいい、時々手洗い場の水道はあるので浄水器必要 ■宿泊: ・テント(予想以上に設置できそうな場所はあるので心配無用) ・宿(短距離であれば計画的に予約を勧める、長距離であればたどり着けない可能性もあるので予約なしでもいいと思う、また定休日や臨時休業しているところも多いので事前に確認を勧める) ・野宿(季節と場所考えなよってことだけ言っとく、可能か不可能かでいえば余裕で可能) ■トイレ:割とあるので意外と苦労しなかった |
写真
感想
前置きとして、成るべく文字数減らしたけどそれでも結構長くなってしまった。この道を歩きたいと思う人のために、今度実務レベルの詳細はまた別途書き残してみようとおもいます。正しいルートや知りたいこと調べてもあまり情報でてこないんですよね、わかります。
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さて、
今回のきっかけは、ロングトレイルはまだ45km(2日間)クラスしかやったことがないので、もう一段階上の手頃な距離を探していたら高島トレイル(80km)と塩の道(120km)をみつけた、天気の都合で塩の道を選択。
必要日数は自己調査の結果、平均5日位でかなり個人差あり。サンプルが少なかったのであまり統計的ではない。色々計算した結果自分は2泊3日で設定。荷物は初期値全込11kg(カメラ、食料、水なども込)、自分は一日に何キロ歩けるのか、また何時間掛かるかなんて考えてもわからなかったのでやりながら物事決める事にした、目標が無いと甘さが出るので一応設定はした感じ。
宿泊は、テント、宿、野宿の3択。3日コースというスピードを要するパターンを選択したのでテントは仕方なく省いた。但し寝具は野宿もできるように一応持っていった。もし5日間の設定だったなら絶対テント泊にしていたと思う。テント張れる場所はかなりあちこちにあったので心使いたかったと思った、山でも町付近でもわりと豊富にあり。
ルート選択は、糸魚川と松本からのどちらからスタートするかは迷った。自分の脳内では松本→糸魚川だと都市→田舎となる、つまり(環境的にも肉体的にも)段々状況が厳しくなっていき
、更に都市部からスタートする場合は日常環境と変わらない場所からスタートとなるのであまり古道を実感できなくジワジワ感じてくるパターンだと考えた。
逆に糸魚川からだと地方のアウェイ感で心高まり、すぐに古道らしい古道を歩くので気持ち的に入り込めると思った、そして徐々に山から村へ、町から都市へ向かって歩いていくので荷物の量の計算や宿泊場所の計算もどんどん楽になるし、なんとなく時空が現代に近づいていくという変化も楽しめると思ったから。最初はあらゆるコンディションが良いのでリスクが高いところは早めに終わらせておきたいという考えもある。最悪リタイアすることになっても町があればどうにでもなんとかなる、問題が起きるのは序盤でなく後半に多いだろうと思ってる。
11/5、糸魚川まで新幹線で行き、前泊する。
11/6、起点と呼ばれる場所からスタート、この日の目標は最低でも中土駅、最高で千国駅まで行きたい。開始早々あらゆるところに「↑塩の道」という標識が沢山あるので助かるし、町として塩の道を大切にしている感ある。峠を越え、また峠を越え、朝焼けは美しく、田んぼばかりの平地に出たり入ったり、山と山の間には集落があり、人間が全然いなく、この時空は俺しか生きていないのではと何度か錯覚してしまうほど。時々マップを見るが母数が120kmなので10km歩いても全然進んでいない。まだまだ楽しみがたっぷり残っているんだねとポジる。折角なので当時の歩荷(ぼっか)になりきって歩いた。
大雑把に糸魚川から峠を越えて→小谷村に行くわけだけど、このエリアは一番楽しい。時々ルート上に歴史ネタが掛かれたボードがあるのでそれをいちいち読んで進むと、今歩いている道はどういう道だったのかイメージしやすかった。
大網峠を越えたあたりからルートと現実のギャップが出始める。ルート通りに歩くと民家に突っ込むとか、ルート上ここに道はあるはずなのだがどうみてもないとか、目の前の現実優先で最小限に迂回。通行禁止標識も何度か出くわしたが、迂回できないのであればいくしかなかった。このあたりの細かいところは日々変化していく現実の中でベストな選択をしていくしかない。その通行禁止も数か月後にはなくなっているかもしれないし、逆にどこかで生まれるかもしれない。臨機応変に対処すべし。
歩行距離20kmくらいから足の疲労感を感じ始めるが想定内。正直このまま40〜50km行けると思った。
道の駅おたりに着いた頃(15時台、歩行距離35km)、そろそろ宿泊場所を考える。前泊の糸魚川では17時台では街中でも闇化したので16時台には終了したいと思ってた。初日は山道が多いので選択肢が少なく、また計画段階でもかなり悩んだエリア。早めの時間に終わらすと距離が稼げないので後の日程に響く、距離を稼ごうとすると次の宿泊可能なポイントまで距離がかなりあるので足の具合と時間の問題もでる。
この時点で足もかなり痛いが、この辺に宿はないのは調査済み(定休日とか;;)、北小谷駅(無人駅)で休憩する選択も考えたが、残す日程にも影響が出るので距離を稼ぐことにした。
最低目標の中土駅を目指す。途中一か所藪の中へ行かなければいけないルートがあったが、スコールのような一時的雨と日没の闇が同時に発生し、すぐ横に車が通れる並行する道があったのでそちらで巡回した、不幸中の幸い。
そして中土駅到着。ここで朝まで休憩するかとマッタリしてたら徒歩15分のところに温泉宿サンテインおたり発見。空室ありで今から行くOKもらい移動。温泉&サウナ+布団というヘブンはここにあった。近くに初コンビニもあり明日の補給も完璧な立地。気になることと言えば足の痛み具合である。箇所は足の裏だけ。こんなところからこれほどの痛みをもららすとは初の経験だった。これまでも足の裏が痛いレベルは登山をしていればあったことだけど、説明できないくらい痛い、足の裏にある小さな筋肉を一回全部剝がして、剥がした筋肉をハンマーでつぶして、もう一度足の裏に張り付けた後の様な痛み。正直一晩寝ただけで良い状態まで回復するとは思えない。しかし寝るしかできないのでストレッチしてこの日は約45kmの歩行で終了。
11/7、朝から予報通り雨、ならば予報通りすぐ晴天になるってことだなとポジる。足は少し回復したのか分からない程度で痛みは殆ど引いていない、歩けばまた痛みは最大化することは想像できる。この日も40kmくらい歩きたく、目標としては木崎湖を越えた信濃木崎駅辺り。
山の麓を歩き、市街地を歩きまだ古道を感じる古き良き道が続く。現代化された道でもルート上にはその歴史に関わるモニュメントや建物跡など沢山出てくる。時々地元民に声をかけられる「そこの道ねー熊出るよ、この前もいたし気をつけな、マジで、マジデ」。心拍数急上昇を検知したのは我が相棒のガーミンスマートウォッチ、こいつには心の中までお見通しってわけか。
足の裏はどんどん痛みを増す、昨日の11kgを背負って45km走行は俺にとって足が痛くなるレベルだったんだなとまた一つ自分を知ることが出来た。おかげで休憩の回数も増え、ペースが悪い。気力も体力もあるのにじれったい感じ。折角モタモタ歩いてるので景色を堪能しまくる。
小谷村→白馬村に入った瞬間リゾート感が出てくるのには少し笑った。この境界線って陸間続きの国境よりすごいなと。
14時頃、一つ目の青木湖に到着。3つの湖を越える頃には足のことも考えれば日没になる。しかし登山ではないので遭難することはなく進むだけである。そして更に悪いことに、足の裏が痛いせいで歩き方が変になっていたのか、右ひざが痛み出していることに気づいた、ちょっとこの感じやばいなと思い更にペースを下げて歩く、痛みは段々増してきて気が付けば引きずるかのようにもう歩き方が普通じゃないのは分かる。一瞬最悪の想定をしてしまい「ク〇ッ!〇ソッ!クソ〇!」と吐き出てしまう。トレッキングポールでもあればこうはならなかったかもしれないとミスを認める。
どうでもいいが1時間に一本も電車が通らないような線路で踏切が鳴りだし行く手を止められる、幸運だと捉えて笑った。
ついでに、木崎湖を歩いている時パトカーに乗る警察二人とすれ違う、なんとなく敬礼したら二人とも敬礼バックしてくれた。
3つ目の湖、木崎湖を歩いている間に寝床を探す、足の具合からして野宿は選択肢から外した。つまり運んできた寝具全部無駄だったーーー!と思ったがこれはただの結果論。必要の可能性があるから持ってきたのだ。湖を越えたあたりからはもう町なので宿探しは難しくなかった。できればルート上に近いところを探して運よく見つけた空いてた、これが平日パワーである。ただ木崎湖最南端から1時間くらい歩かなくてはならない、その間に右膝と足の裏の具合を考えたら明日のラスト40kmは無理だなと少し考えてた。明日の朝に絶望を感じる前に気持ち的に予防線張っているわけだが、そういうパターンの可能性も頭には入れておくとその時が来たらさっさと行動できると思ったから。寧ろ自分の歩行限界点がココなのかと、この領域にこれた経験をポジる。
宿に着き寝る準備ができたところで、我がアウトドア史上初めてエマージェンシー袋を開く、”使い捨てアイシングパック〜”、”ロキソプロフェ〜ン”を出す時脳内でドラえもんの声が聞こえた。思っている以上に疲れてるんだなと理解できたので寝た。
11/8、予定最終日。明日も明後日も暇なので無理せず旅程延長してもよいのだが性格上弱気に向かうのが苦手である。目標は達成するためにある、できるかできないかではなく、やるかやらないかである。
今朝は寒く(6度くらい)、流石に過去2日同様の夏仕様では無理だった。ミドルレイヤーとシェルを装備。
足の具合だが、手持ちの日本語では上手く説明が出来ない、あえて言うなら足の裏全体に大やけどの状態だ、歩かなくても痛い。膝は予想以上にマシ、これは想定外にうれしい誤算。しかし歩行を始めていくと膝に棲む眠れる獅子が起き始める。一瞬電流が流れるような痛みが出た。昨日はそんなのなかったじゃん・・。
ゴールまで残り40km。40kmっていう数字を冷静に見る。
・・・。
ようやく長いってことに気づいた、いつも現実が俺に追いつくのが遅いので困る。
前半は暗闇の中、人間界と熊界の境界線を歩く、後半は松本駅に向かうので徐々に都市化されていく工程を歩く。自販機という文明は素晴らしいと実感する。
思えば北アルプスの真横をずっと歩いているのでいつも視界に入っていた。全貌が見えるポイントではとても綺麗だったし、南アルプスに比べて町と山の距離がめちゃくちゃ近いように感じた、だからアクセスが楽な北は南より人気あるのかと勝手に持論で納得する。
進めば進むほど村が町らしくなっていく、塩の道の標識も気が付けば殆どなくなっていた。石やモニュメントは時々隠れたように出くわす。
足の不調で一時間に一度は休憩をする羽目になったが、脳内で足の痛を擬人化させてぶっ殺〇しまくってた、なんとなくスッキリする。
ようやくスマホ画面上にゴールが見えてきた。高まる気持ちを抑えてゴールするまでは一切油断しないと決めている。動画サイトでたまに見るアレ、ゴール寸前でスピード落として抜かれるヤツを思い出す。足の状態を考えれば何が起きてもおかしくないので絶対油断しない、むしろオーバーキル思考でいく。
背の高い建物が視界に入るようになり、もうそこは大都市であり、タイムスリップかして現代に戻ってきた感じだ。あと10分でゴールというような距離で笑いが止まらなくなった、ここまできて通報されて逮捕されるわけにはいかないので手で押さえた。
なんだかんだやっぱり結構感動するもんです。
ついにゴールである牛つなぎ石が視界に入る。もう既に自分自身が都会人モードに切り替わっているのに気づく、はしゃぎませんし叫びません、ソッと写真納して終了した。
行く前の塩の道の想像は、自然一色ではなく街歩きも多いので楽しみはほどほどで120kmの達成感を味わうほうがメインになると思っていたけど、全然そんなことはなくとても良いトレイルだった。
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