福智山系縦走（音滝山・尺岳・福智山・焼立山・牛斬山） ※チャレンジ２０km＋α？
福岡県
marnim
- GPS
- 09:15
- 距離
- 24.2km
- 登り
- 1,552m
- 下り
- 1,969m
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| 天候 | 快晴 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2008年11月の天気図 |
| アクセス |
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物語はこれで終わりではありません。福智からさらに南へ１０kmにある「牛斬山」が本当のゴールで、実際には「チャレンジ３０km」です。写真はこの行程の難関ポイント「念仏坂」の急斜面。
感想
チャレンジ２０……。チャレンジ２０とは、北九州市が主催する市民体育祭の中の一つの競技で、北九州市八幡東区の皿倉山から、尺岳を経由して筑豊の名峰である福智山まで九州自然歩道を２０�匳珍�するというものだ。昨年以来、この大会には是が非でも出場したいという熱い思いを抱き続け、ようやく念願叶い出場することができた。しかし、ただ２０�劼鯤發�だけでは面白くない。せっかくなら、九州自然歩道の脇にある山々を全て登頂した上で２０�劼鯀�破しようと考えた。計画では皿倉山→権現山→建郷山→双伍山→音滝山→尺岳→福智山と、登頂可能な山々を全て登るというものだ。注意すべきなのは、１２km先の尺岳に１２時１５分までに通過しないと足切りされることだ。
当日の朝、夜も明けぬうちから自宅を出発し、最寄りの駅から日豊本線に乗り小倉方面へ。西小倉駅から鹿児島本線に乗り換えると八幡駅で下車した。八幡駅前にはザックを背負った参加者らしい人たちがケーブル山麓駅行きのバスを待っていた。見ると、参加者はほとんどシニアクラスで、若いのは私を含め数える程しかいない。八幡駅前から帆柱ケーブル山麓駅まで無料送迎のマイクロバスが用意されており、有難くそのバスに乗ることにした。帆柱ケーブルは九州最長のケーブルカーで、山麓駅から山頂駅まで全長１，１００ｍ、標高差４４０ｍ無事に受付も終わり、スタートフラッグの前で記念写真を撮ってもらう。
開会式が始まった。まずは今大会の会長である北九州市の〜課長の挨拶だ。「北九州市は昭和３８年に発足して以来、今年で４５周年を迎える。このチャレンジ２０は……。」次に大会実行委員長からの注意事項が発表された、「まず皆さん、ケガをしないように。ケガや体調不良があった場合は、ポイントポイントに市職員を配置しているので申し出ること。それと先頭を歩く市職員を抜かさないこと。抜かすと安全の保障はできませんよ！」。最後に参加者全員で準備体操をして７時５５分出発となった。
「急げぇー！」と、当然先頭の市職員をぴったりマークして行く。んが、しかし、そのつもりが……、アレ？カメラがない！しまった！さっきスタート前に写真を撮った時にザックの中に入れたかも…。ザックを開けてみると、やっぱりあった。「出鼻をくじかれた！」。カメラをズボンのポケットに収めると、ようやく出発だ。結局、このもたもたで先頭集団にいるはずが、最後方スタートとなってしまった。
皿倉平を出発した参加者は長い一列縦隊のまま権現山を巻くように進む。途中その巻道から左側に小道が現れ、一団はそちら方向へ向かって行った。見ると「市ノ瀬峠経由尺岳方面」との標識があり、「ありゃ、これだと権現山から離れていってしまう」。しかし流れに乗ってしまっていては、今さら権現山方面に向かうこともできない。この瞬間権現山は諦めざるを得なかった。傾斜は緩めながらかなり長い下りが続く。一列縦隊の陣形は変わらず、ほぼ最後方を歩いていたが、ペースそのものはかなりのハイピッチで、これには正直ビックリした。長い下りを下りきり、最後に階段を下ったところに市ノ瀬峠があり、８時２５分にそこを通過、さすがにまだ休憩する参加者はいない。
市ノ瀬峠から少し車道を歩くと、右手から登り口が見え、ここから樹林帯の登りが始まる。「オッと！建郷山の登り口を見つけたぞ。エッ！」なんと、建郷山へ行けないようにあらかじめ「×」の貼紙がされているではないか。参加者が道迷いしないように強制的に道をブロックしていたのだ。これでは建郷山には行けない。チョロチョロしないでおとなしく歩きなさいということか。私のハイペースはとどまることを知らない。登りではペースの上がらない年配者をよそに、スキを見てどんどん追い抜いていき、少しずつ順位を上げていく。８時４５分に田床峠を通過、その後双伍山の登り口を見つけたが、建郷山と同じくやはり「×」の貼紙が貼られていた。
その後、しばらく年寄りのおじさんの後を歩いていたいたが、傾斜のきつい登りでそのおじさんのバランスが崩れ、後方によろめいた。「あっ！ヤバイ」と思った瞬間、私がおじさんの背中を両手で支え、事なきを得た。おじさんは「ありがとう！」こそ言わなかったが、目で「すまない」と言う意味の合図を送る。それからもそのおじさんの後を歩いていたが、なんと、とんでもない事件が起きてしまった。
現場はやはり傾斜のきつい坂でのことだ。何気なく登っていた私の顔の真ん前で「ぶぅーーーー、ぷぷぅーー」。な、な、な、なんと、そのオッサンは事もあろうに、このオレに、このオレに！さっき助けたこのオレの顔にめがけて屁をぶっ放したのだ。「コ、コイツ！なんちゅう無礼なヤツや！しかも何も謝らん！」腹が立って煮えくりかえり、一言文句言ってやろうと思ったが、親父くらいの歳のオッサンが一生懸命山に登り、急な坂でケツが緩んだんだろう。文句を言っても可哀想なのでやめることにした。しかしまた屁をぶっ掛けられたらたまらん！スキを見てさっさと抜かした。
一団だった参加者もバラけ、また一人、一人と抜かしついに一人旅となった。一人になり、ますますペースアップし、ランニング登山の如く後続をどんどん突き放す。すると音滝山の分岐点に来た。「オッ！ここには「×」の貼紙がないぞ！」当然進路は音滝へ。音滝方面を進んですぐにちょっとした道別れがある。標識もないので、踏み後のしっかりした左側へ。すると、どんどん下り道へ、「ありゃ、さっきの分岐は右だったか。」もとの道別れまで戻り、今度は右に向かった。ボロボロになった薄汚い建材が放置され、その辺をウロウロ歩き回ると、「あった！」９時４０分、音滝山の四等三角点の標識を見つけた。写真を撮り終えるとさっさと縦走路に戻る。
９時４７分観音越に到着。観音越には十数名の参加者が休憩中であったが、私は休憩をとらずノンストップで突っ走る。音滝でかなり抜かれてしまったので急がねば。早歩きで進んでいくと、さっきの屁コキ虫が歩いており、ココは意地でも抜かしに掛かった。そしてどんどん抜いていくうちに、またもや一人旅の様相に。１０時１０分田代別れ。ここでついに先頭を歩く市の職員を捉えた。市の職員は２名で、私ともう一人の計４名が先頭集団を形成していて、何かマラソンのような状態にも思えた。田代別れからの登りはかなりきつかったが、４名の先頭集団は変わらない。登りを登りきったところにかえで峠があり、もう一人の参加者が市の職員を抜かそうとスパート。私も負けじとついて行く。開会式での大会実行委員長の注意はそっちのけだ。その後私の二段ロケットがスパークしてぶっちぎり、単独トップに立った。そしてついに１０時４５分、尺岳平に到着。ここは出発してから約１２ｋｍ地点で、尺岳コースを選択した人はここでゴールとなる。私は福智山コースのためまだ先はあるが……。
音滝山へ寄り道した以外、他の山へは寄らなかったので、予定した時間よりもかなり早くついた。尺岳平に着くと、歩いて数分の尺岳山頂に足を伸ばす。尺岳山頂からは遥か先に皿倉山が見え、あんな遠い所から来たと思うと感慨深いものがある。尺岳平に戻り、本日初めての休憩とした。ここで水分と栄養を補給し、これから先の福智山に備え気力と体力の回復を図る。休んでいる内に何人かの参加者に先を越されてしまうが、特に気にもとめない。
「さあ出発だ。」先もまだまだ長いので頑張ろう。１１時１０分に尺岳平を出発すると、再び樹林帯の山道に吸い込まれていく。尺岳から先は割りと歩きやすい道が続いていた。これなら、いいペースで進んでいける。スタートしてかなりの距離を歩いてきたので、全体的な体の疲労はあるものの、足も動くしまだまだ行ける。山瀬越を過ぎ、１１時４７分に豊前越に到着。まずまずのペースだ。休み無しで先を進む。豊前越を越えると、ここからいよいよ本格的な登りが始まる。
登り坂を登っている時、ちょっとしたトラブルが発生した。どうやら右足の太もも前側の大腿四頭筋がつりはじめたのだ。やはり今までの疲労の蓄積に加え、急な登り坂で筋肉が悲鳴をあげ始めたのだ。太ももを揉みながら無理して登っていくと、今度は左側の大腿四頭筋がつり始めた。そして、ついに足が動かなくなってしまった。「ヤバイ！」しばらく休んでいると、先程抜かした人に抜かれてしまった。悔しいが、もはや人より早くゴールすることなどどうでもよくなっていた。ペースをかなり落として登って行くことにした。しかし、急激な登りでは太ももへの筋肉負担が激しく、すぐにつってしまう。これは大変だ。両太ももをマッサージしながら、だましだまし歩くことに。烏落とし手前の急坂で再び右太ももがつってしまい、足が曲げれない状態で倒れるように烏落としに着いた。ここで５分休憩し、１２時１５分烏落としを出発した。
ここから先はさらに急激な登りが始まり、「この太ももで大丈夫であろうか？」不安がよぎる。歩いてしばらくはなんとか大丈夫だったが、たぬき水手前でまたもつった！足が曲がらん！もう限界なのだろう、筋肉が軽い肉離れの状態になっている。動けなくなっている間に後続者にどんどん抜かれるが、もうどうでもいい！足を引きずるようになんとかたぬき水まで来た。ここでうまい水を飲み気を紛らす。たぬき水のすぐ近くには避難小屋の「荒宿荘」があり、福智山まではあとちょっとの所まで来ている。「もう少しだけもってくれ！」祈るような気持ちだ。荒宿荘から先は傾斜がまたさらに急になり、一歩一歩祈るような思いだ。そして、傾斜の急な段に足を掛けた瞬間…、足がつって固まった。もう本当に動かん。ついに足が動かなくなりうずくまってしまった。「あと少しなのに…」悔しい。足を動かそうと両手で太ももを持ち上げるも足が固まってピクリともしない。「ダメだこりゃ！ここでムリをしないで少し休もう。」山頂はすぐそこだが、あせっても始まらない。まずは冷静になることだ。この数分の休憩が結果的によかった。休憩後なんとかかんとか最後の急傾斜を登りきり、１２時４０分ようやく福智山山頂に到着できた。
ゴールの受付をすると、６０人中１２位の成績だった。いやぁ、最後は本当に辛かった。前半飛ばし過ぎたのが、後半足に来たらしい。成績よりもとにかく完歩できただけでもよかった。完歩賞をもらうとゴールフラッグの前で記念写真を撮る。天気は少し霞んでいるものの、３６０度の大展望が疲れた体を癒してくれた。山頂で食事と休憩を取り、いよいよ下山である。しかーし、物語はまだまだ終わっていない。実は今回の最終目標はここからさらに１０ｋｍ南の牛斬山を登って、最後はＪＲ採銅所駅に辿り着くのが本当のゴールである。太もものこともあり心配だが、とにかく行くしかない。
１２時５５分に福智山山頂を出発した。さあここからは第２部のスタートである。スタートしてすぐのことだ、秋らしいススキの草原の中を下っていくと、右膝が「ズキッ！」ときた。「ヤバッ！」ついに膝にもガタがきたか。おそるおそるもう一歩足を踏み出すと、やっぱり「ズキッ！」と痛む。これはやばいぞ！登りは太もも、下りは膝とどっちに転んでもヤバイ。足をかばいながらこの坂を下りきり、平坦な道になると足の痛みはなくなっていた。おそるおそる歩くので歩くペースも上がらない。アップダウンを繰り返しながら、１３時１５分頂吉分岐到着。頂吉分岐を過ぎると、太もも痛はないものの膝の痛みがどんどんひどくなってきて、少しビッコをひくような状態になっていた。「このまま採銅所まで辿り着けるだろうか？」本当に不安になってきた。
頂吉分岐の先には小さなアップダウンが続き、足にはボディーブローのように利いてきている。さらにこの先には難所の一つ念仏坂がある。「それを越えれるのだろうか？」念仏坂らしい物凄い急激な傾斜の坂が見えてきた。「まさかアレを登るのか？」歩を進めるごとに、そちら方面に向かっている。「この坂では太ももがパンクするぞ！行けるのか？」自問自答しながら登っていくと、「ん？」どうやら太ももは山頂での休憩で機能回復したようだ。急激な念仏坂でもなんとか足は動く。しかし登り坂でも少々膝が痛い。念仏坂を休みながらなんとか登り終えると、そこは「赤牟田の辻」と呼ばれ、１３時５５分その場で休憩とした。休憩中、膝をマッサージしたりしたが、そんなんで治るような状態ではない。逆に時間だけが無駄に過ぎていく感じがして、すぐに起きあがって歩くことにした。
念仏坂を過ぎると、緩い傾斜の下り坂が続く。見晴らしもよく、普段なら気持ちのよい山歩きができるはずなのだが、「痛い！膝がかなり痛い。」完全に膝がきだした。もはや膝を曲げるたびに痛みが走り、右足を曲げることができない。辛い山行が続く……。びっこをひきながら、前だけを見て歩いた。１４時０５分、知らないうちに焼立山の山頂に来ていた。ここでおにぎりやチョコレート等を食べ気持ちを落ち着かせる。そうだ、まずは冷静になることだ。そして気をしっかり持って、絶対に諦めないという強い気持ちを持たなくては……。
焼立山からいきなり傾斜のきつい下り坂が待ち構えていた。「これはキツかった。」足も痛いけど、神経を使いすぎてマジで胸も苦しい。こんな調子で、ビッコをひきながらの地獄の山行が続く……。１４時４０分、山犬の峠を通過。牛斬山はいったいどこなんだろう、どこまで歩けばいいのか、心が折れてしまいそうだ。足を引きずりながらアップダウンを繰り返し……、しかしオレはまだ歩いている。気持ちではまだ負けていなかった。「ウン？あれか？」ようやく牛斬山らしい山容が見えてきた。
１５時１５分牛斬山分岐に到着。やっとココまで来た。歩くのでも難儀しているのに、こんな状態で牛斬山なんぞ登れるわけがない！が、オレは行く！ここで登らないとここまで苦労した意味がない。わずか５分だし無理しても行こう！足をひきずりながら登った牛斬山が本日最後の山となった。皿倉から約３０キロ、「ようやくここまで来たか。」感慨もひとしおだ。牛斬山からは五木寛之の「青春の門」で有名な香春岳が見える。特に香春岳の一ノ岳は真横にぶった切られ無残な姿を見せている。そろそろ日が傾いてきた。ここから採銅所駅まではまだかなりある。本当のゴールに向けて出発だ。牛斬山を出発してから１時間４５分後の１７時１０分、ＪＲ採銅所駅まで着いた。長かった……。辛かった……。思えば７時５０分に皿倉平を出発して９時間２０分、最後は気力だけで歩いていた。採銅所駅に着いたときには、安心して膝から崩れ落ちた。とにかく無事に帰れてよかった。今後はあまりムリをしすぎないようにしなくてはと反省だ。終わり。
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