第20回関東ブロック「雪崩事故を防ぐための講習会」


- GPS
- 32:00
- 距離
- 0.9km
- 登り
- 155m
- 下り
- 155m
コースタイム
流会
2日目6:00起床 7:00朝食 8:00集合 講習地へ移動 8:30から12:30現地講習 初期捜索デモ(講師) 弱層テスト(シャベルコンプレッション) ビーコン捜索訓練 埋没体験 ゾンデ使用練習 初期捜索デモ(受講生)
天候 | 初日:雪 2日目:雪のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
ファイル |
非公開
6379.xls
計画書
(更新時刻:2013/01/19 13:57) |
写真
感想
今月は登録しすぎたため容量オーバーのため写真なし。
さて、行きたかった雪崩講習。
1年目は募集かかったのかな、気付かず。
2年目は凄く行きたかったが、募集が流れてこず。
で、3年目にしてようやく初参加。
結論的には1年目に参加すればよかった。。。
内容的には、机上講習で学んだことをベースとして、
実地で以下のメニューをこなした。
・積雪断面観察
・雪質観察
・雪庇観察
・弱層テスト(円柱。コンプレッション)
・ビーコン操作
・プローブ使用方法
・掘り出し
・埋没体験
・捜索デモンストレーション(雪崩発生から搬出まで)
・雪崩捜索犬による捜索
殆どの内容は本や机上講習で学んできたことだったが、
現場での経験が何にも勝る経験、ためになった。
積雪の変態は、写真で見ていてもよくわからなかったので
楽しみにしていたが、今回の実技でももちろん分かった
気にはなれなかった。毎回の山行で意識的に見て行くことで
もっと判別できるようになるはずだ。
そして、捜索時の核心は、捜索を実行するかどうかの判断と
掘り出し。雪崩発生による混乱時に冷静な判断を行えるように
なるには、経験と訓練の積み重ねが必要だ。掘り出しはとにかく
時間がかかる。パーティメンバーの役割分担と明確な指示、
これなくしてスピードは確保できない。この点、2日目のデモで
リーダー役を演じたW大ワンゲルの若者の指示は的確、声大、
素晴らしかった。今のカモでここまできちっと指示出せる人、
とても限定的じゃないかな。
あとは、そもそも論だがビーコンの装着。アタック時、その
ルートは雪崩の危険がないからと言って、ビーコン、プローブを
BCに置いていくこと、ままあることだ。しかし、雪崩は
起きる。ルートも想定から外すこともある。その意味で、
過信、油断せずに装着を習慣化しなければと気を新たにした。
余談だが、掘り出しに時間がかかる以上、ビーコン捜索の
時間をいかに短縮できるかはとても重要。その意味でシングル
アンテナのフリー●イドとか使ってる人とは一緒に行きたく
ないなぁと思ってしまった。皆さん、トリプルでお願いします!
初日の夜、お夕食の後の机上で、川嶋さんが、
「登山者にとってもっとも危険な雪崩は面発生乾雪表層雪崩
ということはテキスト見れば誰でも分かるが、それがなぜ
もっとも危険か、説明できますか?」と質問してたことが
印象的だった。
雪崩は遭ってしまう経験はなかなかできないし、できれば
遭いたくない。遭わないままに遭わないようにする経験値を
積むことはそう単純ではないが、これまで多くの不幸のうえに
積み上げられた諸先輩方の経験と理論を少しでも自分のものとして
、最大限リスクを軽減できるようにしたい。
それにしても寒い2日間だった。2日とも2日酔いだったし。。。
可愛い女子メンバーと愛くるしい捜索犬のヒットがいなければ、
途中で挫折するところだった。ありがとう。
あと、余談だが、そんな真面目な2日間、雪崩講習を1度も受けて
ないだろうメンバー10人くらいが付近の山を吹雪の中登っている
のが何とも心配だった。良かった良かった。
講師の先生方、ありがとうございました!
みながいろいろ書いているので、自分のための忘備録として。
■「雪庇の中は複雑な層になっている」
・これまで雪庇を漠然とした塊としか捉えていなかったが、中に空洞や層、弱層、亀裂、いろいろあって雪庇が如何に不安定で不規則に崩れるのかということが分かった。そのことが頭にあると、雪庇は相当避けて通るべしと理解できた。
■「雪崩救助の掘り出しはとにかく時間がかかる」
・時間勝負なのに時間がかかる。すべてを効率よくやる必要がある、でもあわててはダメ。つまり訓練が必要。
・今回は訓練で実際の雪崩を掘ったものではなかったが、実際の雪崩だと、雪はもっと撹拌されて締まって硬くなっているはずである。
・ショベルはやはり簡易なものではなく、しっかりとしたものが必要だと思った。ショベルの取っ手が壊れている人がいたが、作りが弱いものだと、実際に雪崩の救助となったら役に立たないだろうなと思う。
・ベルトコンベア方式で掘り出すとき、メンバー全員が理解していないと結局テンデバラバラ掘りになってしまい、効率が悪い。トップとセカンドとサードがそれぞれ掘り出し計画を理解し自分の役割を理解することが大切である。
・掘り出しは、埋まっている深さ(プローブから読み取る)の1.5倍の距離離れた下の斜面から掘り始める。→(ここから私見)つまり下に掘るのではなく横に斜面を切り崩していく。下に掘るのは無意味で無駄であるばかりか有害迷惑である。下に掘ると遭難者を引き上げるのが困難になる。下に掘らないといけないくらいだったら、もっと距離を離して遠いところから横向きに切り崩していったほうが良いだろう。斜面が緩ければ1.5倍といわずもっと下から横に掘り進むほうが効率が良い。はじめに搬出道となるベースラインを全員がイメージを共有してから掘り始めるべきである。このベースラインは遭難者より水平高度が低い(つまりプローブでの深度+体の大きさ50cm+搬出で下に手を突っ込める高さ20cm)のがよいだろう。
・トップは斜面を“横”(★★ここ重要!★★)に切り崩して遭難者の方向に向かう。セカンドが切り崩された雪を外に掻きだす。サードはその雪をできるだけ遠くに投げ捨て掘り出した雪が邪魔にならないようにする。→つまり下に雪を掘る人は誰もいないはずである。誰かが下向きに雪を掘っていたらその人は救助の邪魔をしている状態である。
・(今回は訓練で斜面ではなく平地で行ったため、下に掘るのが必要だった。斜面だったらこの下に掘る作業は間違えになるのでしっかり頭に入れておかないと。もちろん遭難現場が斜度がないデブリだったら下に掘るしかないけれど。)
■「雪は踏み固めたり撹拌した後30分くらい置くとしっかり硬く締まる」
・イグルーのための雪ブロックを作るとき。→踏み固めたらお茶でも飲んでじっと我慢。
・テン場の整地をするとき。→踏み固めたらお茶でも飲んでじっと我慢。
・雪崩れて30分たつと雪はかちかちで掘るのは困難。→時間勝負。固まる前に掘れ!
などなど、いろいろな場面で応用が利く。
■「対象ビーコンの埋まっている深さによってビーコン反応はだいぶ変わる」
・訓練の時は浅い深さとか落ち葉の下とかで行うことが多いが、実際に深いところに埋まっているときのビーコンの反応を頼りに探し出す練習をしていないと、場所の特定は難しい。
■「雪は断熱材でもある」
・雪は空気をたくさん含んでいるので、マットとかと同じく断熱材である。ただし氷でもあるためそれ自身が冷たいけど、逆にその冷たさ以上には冷たくなりにくい。
・積雪の層によって温度が変わる。→温度勾配ができる原因でもあり、これによって中で弱層ができる。
・遭難者を掘り出した時、上に雪を載せておいた方が、外気にさらすよりも保温できる。
■「搬出では首(頸椎)の確実なサポートを」
・雪崩れに巻き込まれた場合、一番弱い首の部分に損傷が来ている可能性が高い。もっとも重要な頸椎に損傷があった場合は命に係わる。
・搬出時に首のサポートが適切でなければ、救助によって障害を与えてしまう。
・搬出にあたって、必ず一人は首のサポートにあたり、その人はそれに集中するべきである。首のサポート役が転んだりするとそれで障害を与えることになってしまう。
・搬出にあたって首をサポートする人が躓いたり無理がないように場所を掘り広げたり、安定した場所をルート取りできるようにする必要がある。
▲(不確かなので要確認)「弱層となるしもざらめ雪、こしもざらめ雪は鏡面のように光を反射する」
・最も弱い層になるのは霜の層である。霜は柱、板状の氷なので、光を一律に反射する面(それぞれは1mm程度の広さだが)が出来ていて光の反射具合に特徴(ラメとかスパンコールみたい)がある。
・霜は温度勾配によってできるので、ある程度深い雪の下(30cmくらいまでか)の温度勾配によっても霜の層ができる。
前夜発で土合山の家へ。
車中で3時まで飲み、暖房のきいた広間で寝る。
山気分はどこへやら。。
そもそも装備が少なすぎて違和感ありあり。なんか忘れてないかと心配でしょうがない。
8時半受付開始なので8時前まで寝てようと思ったけど、
7時頃から続々と周りが起きだすので、仕方なく起床。
ご飯を食べてまったり。時間があるので無意味にザックの中をいじいじしたり。
ようやく受付開始。
名札を貰い、講師の説明、自己紹介、班分けの発表や行程の説明がはじまる。
新幹線で向かっている学生2人が遅れているとのことで、しばし待機。
講師の車でロープウェーまで向かって全員揃うのを待ち、出発。
山頂駅を降りて、ビーコンチェックをしたのち、田尻尾根へ向かう。
tyakuさん先頭、htokさんが続きラッセル。後続を引き離していく。
隣はゲレンデ。ああ、いい雪だ〜滑りたい〜…。ヨダレ垂らしながら黙々と登る。
尾根に出たところで講習開始。
初日の講習メニューは下記の通り。
●円柱テスト(ハンドテスト)
直径30cm、深さ70cm以上の円柱を掘り出し、
腕で引いてみて破断するかどうかを観察。
上方向に引いてしまいがちなので、足場を掘って腰の高さを低くし、
水平に引くのがポイント。
最初は手首でやさしく、徐々に力を入れて引いていく。
●雪観察
破断面の雪質をルーペで観察。
ぶっちゃけ形はあまりわからなかった。
●断面観察
2m50cmほど雪面を掘り下げ、断面を観察。
とはいえ、行ったときはすでに2m近く掘ってあった。
どうやら山スキー班があらかじめ掘っておいてくれたらしい。ありがとう会長!
さらにV字コンベアで雪を掘りまくる。寒いので体を動かせるのが嬉しい。待ってる時はマジで寒い…。
地層みたいな層ができてます。いちばん下には氷板があった。
次は10cmごとに雪温を計る。地面に近づくにつれて温度は上がって行く。
雪の表面は外気温の影響を受けやすく、地面に近づくほど暖かくなり、おおむね0度となるらしい。
そして断面に触って感触を確かめてみる。
どれだけ入るか。
・フィスト(拳)
・4フィンガー(4本指)
・1フィンガー(1本指)
・ペンシル(鉛筆)
・ナイフ
●雪庇観察
雪庇に切れ目(通路)が作ってあり、断面を見ることができた。
層ができているのがわかる。
積雪層を巻き込みながらさらに積もって行く過程で、中に空洞ができるらしい。危ない。。
亀裂とかも入ってるし、これは怖くて近づきたくない。
●ショベルコンプレッションテスト
30cm四方、深さは70cm以上の雪柱を掘り出し、ショベルで叩く。
手首で軽く10回、肘から10回、肩から10回。
弱層が飛び出てくることもあるが、今回はそれはなく、崩れるのみ。
スパッと破断もせず。
けっこう安定していたみたい。
休憩時にはすかさず救助犬ヒットと戯れる。
朝は落ち着きがないほど元気だったのに、時間が経つにつれておとなしくなって遊んでくれなくなった。。
でもリードを解かれると途端に走り回る。寒くても犬は元気だなー。
ブログで知っていたので、会えて大興奮。とにかく癒された。
15時ごろまで講習やって、ロープウェーで下山。
お風呂(小さい家庭用のお風呂って感じだけど温泉)入って
ボリューム満点の夕飯(カニ出た!!)食べて、19時から机上講習。
このタイミングで机上講習か〜…とテンションは下がり気味。。(風呂&ご飯後って、いちばん眠いよ…)
でも講師の方もそれを理解してくれていて、
「なるべく眠くならないようにしますから!」と言ってくれたり
講師同士のかけあいが面白かったりで、
最初は睡魔と格闘していたけど何だかんだで楽しみ、21時に終了。
続けて懇親会。各自持ち寄ったお酒で飲む。飲む。飲む飲む…。
23時までって予定だったけど、結局1時まで飲んだ。。
ビールにワインに日本酒に焼酎と、飲み過ぎて最終的にはかなり気持ち悪くなって危なかった。。。
もう完全に旅気分です…。
屋根があり、暖房がきいた部屋で、お風呂も入れてご飯も出てくる。布団で寝れる。荷物は軽い。
こんなことがあっていいのか。
しかもめちゃくちゃ楽しかった。講師の方々、個性強すぎ。
知識も経験も豊富でスゴいのに、気さくな人柄で、話が楽しすぎる。
1日目にして、すでに大満足。
翌日、完全に2日酔い。
リキヤ(tama18の別名)が起こしてくれなかったら絶対起きれなかった。
2日目は山の家付近での訓練。
●捜索シミュレーション(デモ)
講師と山スキー班で捜索デモ。
半身埋まった登山者を見つけ、同行者1名が埋まっているという想定で
ビーコン捜索、プロービング、掘り出しまで実施。
その他の受講生は見学して手順を理解。
埋められ役の川嶋さん(労山事務局長なのに埋められ役…)が
「掘り出しの時に足の上に乗っかられて、痛いよ。。」と
顔をしかめていたのが印象的だった。
あと、顔を出そうと必死に頭回りを掘る際、雪がガンガン口の中に入ってきて苦しかったそうな。
実際の現場だと、もう無我夢中でそんなこと考えられないかもしれないけど、
少しでも要救助者にストレス与えないようにしないとなーと思った。
●捜索(救助犬)
救助犬ヒットによる捜索。
今回は1度デモをやった後だったので、人のニオイがついた雪がそこらへんに散らばり、
見学者も多かったからか、なかなか特定できないようだった。
埋まっていても外の音はよく聞こえるらしく、
埋められ役の川嶋さん(事務局長なのに…)が
「ヒットの足音がするのになかなか吠えてくれないから不安になった」と言ってた。
犬の足音まで聞こえるんだと、びっくりした。
●ショベルコンプレッションテスト
前日と同様に実施。
斜度がなく、周りに木があるのでちょっとやりづらかった。
●捜索
ビーコンを埋めて、2人ずつ捜索シミュレーション。
ビーコンで、「いちばん数値が小さいところ」までは絞れるけど
埋没点までの深さがあるので、位置がなかなか特定できず。
プロービングしても、「なんか当たる」場所が、
ターゲットなのか地面なのか硬い雪の層なのか障害物なのか、よくわからない。
「とりあえず掘ろう」とだいぶ掘って、またビーコンで探して…とやったけど
振返ってみると、
ビーコンでだいたいの場所を特定、
周囲をそこそこ掘り下げ、
またビーコンで探す、を繰り返した方がよかったかな。
電波の特性とビーコンの向きにもより
「いちばん数値が小さい場所が、いちばん近い場所とは限らない」ので
埋まっている方向(ビーコンがタテかヨコか、その向き)によっては
かなり捜索が大変だなと思った。
あとプロービングの感触をつかむのが難しい!!
●捜索デモ
山スキー班+α、W大ワンゲルのコがリーダー役となってデモ。
リーダー役が指示出しと救助要請&連絡係、
ビーコン捜索が1人、
あとはプローブ、ショベルを出して掘り出し準備。
搬送の道を作る人も1人。
発見、掘り出しの間にツェルトを用意したり、
全てが手際よく進められた。
学生のテキパキとした指示、ハキハキとした大きい声、非常に頼もしかった。
●埋没体験
最後にちょこっと埋没体験。時間がないので1人のみ。
立候補のmacorinが代表で埋められ役。
デモ用に掘ってあった穴に入り、雪で埋めていく。
ついでに「人間をつついた時の感触」を知ろうと、プローブを差してmacorinをつんつんつつく。
靴の部分はもちろん硬いんだけど、肌の部分はやっぱり柔らかい!
弾力があるので、これなら人間ってわかるかも。
しかし、ガシガシ差すのはやっぱり痛そう。
でも必死な状態だと力いっぱい差してしまいそう。
あと、グローブが滑って差しにくかった。
その後記念撮影、山の家に戻って修了式をして解散。
かなり濃い2日間だった。
11月の立山BCでも、一通り教えてもらっていたけど
何度も何度も繰り返して、身につけていかねばと思いました。
最初申し込むときは
「他に誰もいなくて1人だったらどうしよう、レンタカーで雪道運転するの不安だなぁ」
とか色々悩んで参加に踏み切れず、〆切を過ぎたりしてご迷惑をかけました。
なるようになれ!と申し込んで、結果的には6人集まり、みんなで楽しく行けてよかったです。
講習はとてもよかったです。
内容の充実度と、講師・受講生の皆さまの気さくさ、受講してホントよかった!!
次は山スキークラスで受けたいです。
雪崩事故を防ぐための講習会に参加しました。
感想はずばり、とてもためになりました。内容を100%理解できたわけではないですが、雪山を歩くために最低限必要かつ重要な知識だと思います。
雪山をつづけていこうと思っている人には是非参加してみることをおすすめします。
当日まで雪山を始めたばかりだし雪崩にあうようなところはまだいかないだろうし、お金もかかるし、、と、参加はちょっと時期尚早だったかなあ・・・とおもっていましたが、参加して本当によかったと思います。
外部の講習に参加するのは初めてでしたが、講義や実技だけでなく、講師の方からきく経験談、他会の方との交流などいろいろな経験ができてとても充実した2日間でした!
山の世界は広くて奥深い。会の活動だけでなく、いろいろな刺激をうけることも大事だな、と感じました。
以下スケジュールと主な実技
<スケジュール>
一日目
・開講式(講師の紹介、装備のチェック、班割発表等)
・現地講習(天神平から田尻尾根に上がり、弱層テスト(円柱テスト、シャベルコンプレッション、雪屁観察、積雪断面観察を実施)
・入浴、夕食。
・机上講習(弱層テスト復習、ビーコンをつかった埋没者捜索について、気象について、事前レポートについてのフィードバック)
・懇親会
二日目
・朝食
・現地講習(白毛門登山口広場にて、雪崩に遭遇した場合の初動捜索デモ、ビーコン捜索、埋没体験、弱層テスト(復習))
・閉校式(総括、アンケート、簡単なテスト)
主な実技
弱層テスト手順
◆円柱テスト
雪の円柱をつくり、両手〜腕をつかって積雪層のずれやすさを観察し、弱層を見つける手法。行動中に手早く行うことができる。
<手順>
1.斜面に対して垂直に立つ。
2. 正面の雪面に直径30cmの円を描く
3.円周を重力方向に掘り下げ、雪の円柱をつくる。深さは靴底から70~100cm位。(経験則として、70cm以上であれば衝撃の影響を与えることがないため)
4.身の回りは腰を落とせるよう深く掘っておく。
5.円柱を両腕と手でかかえるようにして上層から下層へ向かってスライスするイメージで動く層がないか確認していく。
力の加え方は 手首でトントンたたく。腕で抱えて腕の力だけで引く。腰を入れて引く。の三段階実施する。
6.崩れ具合により積雪の状態を評価する。
「危険度評価」「結果」⇒「積雪の状態」⇒「行動判断」(5段階評価)
5:テストしなくても崩れた。⇒非常に不安定⇒非常に危険・中止
4:円柱を掘り出したら崩れた。⇒非常に悪い⇒危険な状態・行動変更 中止
3:手首ではたいただけで崩れた。⇒結合状態が悪い⇒不安定である・行動不可・注意
2:腕で抱えて引いたら崩れた。⇒概ね安定⇒注意を様子・注意
1:腰を入れて引いても崩れない。⇒安定⇒特に問題なし・行動可能
※円柱が高いと途中でテコの原理で円柱を倒してしまう可能性あり。深さをニ段階に分けて行うとよい。
◆シャベルコンプレッションテスト
・角柱をつくり、角柱の上部を叩き荷重を加え、層がせん断される様子から弱層を見つける手法。
新雪層の弱層も知ることができ、感覚的なブレが少ない。ということで連盟ではできるだけこちらを推奨。
<手順>
1.斜面に対して垂直に立つ。
2.正面の雪面に奥行き30cm、幅はシャベルの大きさの四角柱を作る。深さは靴底から70~100cm位。(経験則として、70cm以上であれば衝撃の影響を与えることがないため)
(スノーソーで切りだすと早い)
3.身の回りは腰を落とせるよう深く掘っておく。
4.シャベルを柱の上に被せて上から手で叩く。
力の加え方は 手首を支点にして手の平で10回叩く。ひじを支点にして拳で10回叩く。肩を支点にして腕全体を使ってコブシで10回叩く。の3段階。
5.断面に亀裂の入りせん断された層がないか観察する。
6.せん断状況により積雪の状態を評価する。
「記号評価」「結果」⇒「積雪の状態」⇒「行動判断」(5段階評価)
CTV:角柱切り出し中に崩れた。⇒Very easy(非常に緩い 不安定)⇒非常に不安定、危険・中止
CTE:手首を支点にして叩いた際にせん断⇒Easy(緩い)⇒不安定・行動変更・中止
CTM:ひじを支点にして叩いた際にせん断⇒Moderate(柔らかい)⇒吹き溜まり・急傾斜地は注意
CTH:肩を支点にして叩いた際にせん段⇒Hard(堅い)⇒概ね安定・注意して行動
CTN:せん断が起きない⇒No Shear(せん断しない)⇒安定・行動、滑走可能
◆積雪断面観察(雪質の違いを知るための観察)
雪面を深さ約2M〜2.5M幅5M位の堀雪の壁を作る。
断面をブラシで整える。
気温測定後、積雪表面から底までの温度を測定し記録する。
(温度計を層に水平に差し込む)
触診により雪質を評価する。
測定基準 ⇒ 雪質 ⇒ 弱層となるか?
握りこぶしが入る⇒ 新雪 ⇒ なる
4本の指が入る ⇒ こしまり雪⇒ なりうる
1本の指が第一関節〜全部入る⇒閉まり雪⇒ならない
その他 指は入らない、強く押すと指が入る、ぱらぱら崩れる等の差を観察し雪質を評価する。
圧密、焼結、という現象を経て新雪はしまり雪に変わる。また、温度勾配(温度差)によりしまり雪はしもざらめ雪(弱層)へと変化する。
◆コンパニオンレスキュー
初期捜索
・救助リーダを選出する
・消失点を確認する
・遭難時のメンバーと遭難位置、時刻の確認をする。
・救助メンバーの役割分担と方法を決める。
(見張り役、ビーコン操作、プローブ準備、掘り出し準備、避難場所確保等人数によって役割分担をきめ効率的に作業を行う)
・二次雪崩の危険性を確認する。避難場所を決める。
・装備を確認する(ビーコン、プローブ、シャベル、ツエルト)
・現場にて遺留物を確認する(遺留物の下流に埋没者がいる可能性が高い)
掘り出し
・プローブがヒットしたら抜かない
・遭難者が埋まっていると思われる位置に立ち入らない(エアーポケットの確保)
・掘り出しはプローブがヒットしたポイントより1〜1.5M下部から横穴を掘るように行う。
・V字コンベア方式で雪を効率よく取り除く
・気道の確保優先で掘りだす
埋没者の状態確認と搬出
・呼吸、意識、脈の確認
・頸椎固定
・外傷の確認
・ツエルト等で保温し安全地帯へ搬出
※
行動は声がけをしながら行う
適宜警察等への一報を行う
記録をのこしておくことを忘れないこと。
その他いろいろ。盛りだくさんでした。
天候、雪質、地形などの様々な要素を観察し総合的にとらえて判断することで、雪崩に遭う可能性をへらすことができることがわかり、山に行くには体力づくりや歩行訓練といった肉体面だけでなく、科学的な知識もとても重要なのだと改めて認識しました。安全に登山をするため、こういった講習にはこれからもできるだけ参加していきたいと思います。
今回の講習で習ったことはいわば初めての手習い。講師の方々も言われていましたが、講習で教えて頂いたことを繰り返し実行することで雪に関する感覚を身につけることが大事。今後の山行でもできるだけ機会をつくって感覚を養っていきたいとおもいます。
以下おもいつくままのおまけの感想
・捜索犬 ヒットはちょっとお調子者でめちゃめちゃかわいい。ちょっと甘えん坊だったりするのも最高。終始癒されました。また会いたい〜〜。
・講師Sさんはヒットに負けず劣らず癒し系。楽しいひとときをありがとうございました。またお会いしたいです。
・講師Kさんは何気ないおもしろ一言がツボにはまる。ときどきビシっと厳しいことをおっしゃるあたりがシビれる。イグルーの作り方教わりたい。
・参加者は老若男女。W大の学生がすごかった。遅刻してきたけどレスキューのデモはすばらしかった。指示は的確、声も通るし行動も早い。よく訓練されている感じ。勉強になりました。
・吹雪の中の講習は寒かった。けどためになりかつ楽しかった。弱層テストはフカフカの雪で雪遊び気分。
・埋没体験。潜るときは結構怖かったけど、かぶせる雪を軽めにしてくれたので慣れてくると大丈夫だった。でも、確実に助けてもらえる確信があるから大丈夫なわけで。。。。これが本当の雪崩による埋没だったら、と思うと恐ろしい。
気道を確保するためにとにかく鼻と口をカバーする。これだけは絶対忘れないでおきたい。
・下りのワカンはむずかしい。何度もこけて尻セード。ゲレンデはワカンではなくできればお尻かスキーで下りたい。
・雪を掘るのは楽しいが大変。レスキューの際一番時間がかかって大変なのは掘り出しかな。。。すばやく特定し、ガンガン掘る。
ヒロシちゃんのシャベルワーク、ラッセルともにすばらしかったです。見習わねば。ほれぼれするほど男らしかったです。
・新雪のスノボがすごく楽しそうだった。スキーより楽しいかも。一回やってみよーかな。
・土合山の家は快適。暖かい畳部屋、小さいけどお風呂もある。洗面所はお湯もでる。
知ってしまった屋根付き、暖房付きの快適さ。もうテン泊できなくなってしまうカモ・・・。
飯は朝、夕ともにボリューム満点。夕食メニューはカニ。ちなみにヒロシちゃんはカニマスターでした。
・焼酎「御岳」は旨いがやばい。飲みすぎ注意。
・ポヤ顔のアイリーンは早寝早起きでした。朝起こしてくれてありがとう。アイリといるといつもなごむし楽しいです。
・tyakuさんはやっぱりMr.Perfect 二日酔いとはいえスキがありませんでした。おそるべし洞察力。今後ともよろしくおねがいします。はじめてのtyaku号はおしりがあったかかったです。
・会長、風呂上がりはやっぱり浴衣ですよね。はだけた胸元がせくしーでした。宿題は早めに提出しましょう。
・とくさん、額の傷と浴衣の柄がちょっとヤクザっぽかったです。捻挫早くよくなるといいですね。雪はとくさんの天敵でしょうか・・・。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
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来年は是非行きたいと思います。
ほんと、雪山(もとい山全般)って怖い所だと改めて思う今日この頃です。
何も知らずにヒョコヒョコ行ける場所じゃないと思ったので色々勉強したいです。
自覚は大事だよね。
かぶーの経験値は着実に上がってるね。
私も頑張りますよ〜
雪崩コワい。雪山コワい。
コワいのになんで行くんだってカンジだけど、行きたい。
だから少しでも危険を回避できるように、精進せねばですね。
とにかくヒットの愛らしさにやられました。
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