三ツ森北峰-権現山-不老山 〜若葉と風に思いを馳せる〜 C6
- GPS
- 07:10
- 距離
- 13.7km
- 登り
- 1,285m
- 下り
- 1,364m
コースタイム
- 山行
- 6:18
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 7:09
− 雨降山 13:40 − 高指山 14:30 − 14:50 不老山 15:10 − 16:00 不老下BS
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路 不老下BS16:13(富士急山梨バス、490円、渋滞で7分延着)16:45上野原駅16:58(臨時特急かいじ118号)17:51新宿駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
鋸尾根 踏み跡多い個所、まき道と尾根道悩む個所など有るが、方向さえ合っていれば何とかなる。 北峰〜麻生山 岩場少しあり。 |
写真
感想
今日で5月が終わる。今日も若葉たちが主役の一日となるのだろう。「五月の別れ」、今日の主題だ。高尾発小淵沢行の列車の中で、この素敵な曲を聴きながら若葉と風に思いを馳せる。
90パーセントの確率が徐々に数値を下げ、予報サイトに登山日和のマークが出始めた。次週への備えを名目として、のんびり寝てないで早く山へ向かえと言わんばかりの好天となった。候補は3コース。いずれも冬に行こうと取っておいた山々である。眺望に恵まれなくとも後悔しないコースを選んだ。
やけに登山者が多いと思っていたら、上野原でそのほとんどが降車した。今日は下山後この駅に帰って来る。猿橋で先日も乗車した上和田行に乗車、例によって登山者は一人。20分あまり揺られて降車、空のバスを見送り歩き始める。沢音涼しく、風も爽やか、日射しは少し強いけれどこの上なく心地よい。それなのになぜか気が晴れない。俯きかげんに歩いていると、地元の方にショートカットの道を教えていただいた。
鋸尾根、訪れる人の少なそうな道。2匹の猟犬を連れたハンターが先を行く。手に猟銃は携えていない。訓練だろうか。彼らが登山道から外れたのち少しして尾根道となる。途中まき道の分岐や広い尾根ゆえのルート取りに悩むが、不安なく進める。
突然、左手から猟犬の呼ぶ声が聞こえたのち、すぐに猟銃の音。ちょっと!野生動物との遭遇よりも恐怖が走る。そういえば麓でお仲間が出発の準備をしていた。私が登ったことを確認しているからまさか上に向けて発砲するまい。そう思ったとき、2発目の音が聞こえた。
若葉が眩しい。清々しい新緑の中、風と陽の光のお蔭で長い尾根歩きを飽きさせない。少し息が上がる。このところの疲れが現れてきたようだ。水分補給の回数も量も多くなる。標高1,000mを越えると、熊鈴の音をかき消すようにハルゼミの音色が響き渡る。歩き始めて2時間、ピークを小さく捲いた後のヤセ尾根、谷から吹き上がる風にしばし当たり、ほてりを鎮めた。
三ツ森北峰からの展望ははっきりしない。大菩薩連嶺や中央線沿線の山々が望めるはずだが、晴れているだけでも良しとしなければならないのだろう。北峰から麻生山にかけては岩場も現れる。樹林帯が続き、強い日光の直射からは免れるが、アップダウンの繰り返しに、暑さとの闘いもピークを迎える。麻生山到着は計画より15分遅くなった。これではコーヒータイムを得られない。高低差の少ない稜線上の道、先を急ぐ。
以前には目もくれなかった、登山道沿いの花、誰の影響か立ち止まることが多くなった。けれども私にはやはり新緑の美しさの方が勝っているのだろう。カメラはその美しさが際立つ方向へと向いている。権現山、ほとんど眺望は得られないが、静かな山頂のはずだった。あたりかまわず叫び続けるアマチュア無線に辟易し、早々に立ち去ることにした。
権現山からの稜線は実に気持ちの良い道が続いた。木漏れ日、そよ風、新緑に導かれ、自然と歩みも速くなる。遅れは十分取り戻した。和見分岐の通過時間によっては、眺望の得られない雨降山経由にしないことも考えていたが、見たくもない電波塔を見るだけのために赴くことにした。横目でその工作物を見たのちすぐさま道なき斜面を直降する。たまにはこれも良い。不老山への道に復帰してから間もなく雨降山からの本来の道が左手に現れた。林道を横切ってから登り返す。山中湖畔の峰と同じ名の高指山、眺望は無いが静かでベンチが有り、虫も少ない。一瞬躊躇したが、大いなる期待を胸に次なる峰へ向かった。
前回の山行で最初に登った西丹沢の山。その同名の峰が今回の最後の峰であり目的地だった。不老山、予想以上に開けている。高山にない、人の営みを感じられる程よい距離に、あたりまえのようにここにいられることの有難さを感じる。風に揺れる若葉たちを見ているだけで幸せを感じられる。
さて、制限時間は25分、コーヒーを淹れよう。確かにティファールより早い。よそ見しているうちに沸騰したお湯を、最近オフィスでお気に入りのドリップパックに注ぐ。山では一層美味い。標高839メートルの至福の時。
名残惜しくも下山の時間。九十九折に町に近づいて行く。野田尻の集落、民家の現れる前に林道傍らで着替えなどバス乗車前の準備を行う。良くない予感は的中、バス停までに自販機無し、バス停にトイレ、自販機、ベンチ無し。予備の飲料水まで費やしていたために、下山後の一杯は駅までお預けとなった。
途中、国道20号を経由するため、渋滞で上野原駅には7分延着となった。予約していた特急券を発券してから、待望の炭酸でのどを潤す。ホームのベンチに座り列車の到着を待つわずかな時間、今日一日を振り返る余裕はなかった。青空を見上げ、若葉に別れを告げる。今の私にこれ以上力を与えてくれるものは無いかもしれない。そう思った時、臨時列車が静かに滑り込んできた。
コメント
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kimichin様
おはようございます。
おつかれれさまでした。
「五月の別れ」素敵な主題ですね!!
新緑に癒やされていらっしゃる御様子よくわかりました。
私も今の時期、新緑の若い緑色にすがすがしい気持ちになります。お山に来てよかったなあと実感します。
それから、今日の光と影の木々の間からのぞく雲の形がなんとも不思議な感じでした。
私はお花はあんまりわからなくて、例えば、同じ所にいらした、他の方のお花のヤマレコを見て「へえー」「こんなお花咲いていたのかあ」などと言っています。自分ではほとんど気がついていません。どちらかというと上ばかり見て歩いているようで、小ピークや木々の緑や、空や雲ばっかり見ています。
6月に入りました。
梅雨の合間の晴れに恵まれて、富士山との楽しいひとときをお過ごしになれますように!!
reochi19様
シャーベット、おいしそうですね。明確な目的があると頑張れますね。でも、最近の暑さは半端ではないので、長距離頑張りすぎて体調を崩さないよう気をつけてください。
若葉の強さと力を見習って、梅雨どきの厚い雲を吹き飛ばしたい、そして明確な目的と大切な目標を忘れずに日々過ごしたいと思っています。
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