記録ID: 6599513
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
甲信越
毛猛山
2024年03月27日(水) 〜
2024年03月28日(木)
天候 | 3/26 みぞれ 3/27 朝は曇り、標高上がるとガスとあられ雪でで視界悪い。夕方以降、西の空から晴れ。 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
◎電波 太郎助山やこの先のコルでドコモがしっかり入る。よく調べてはいないがあの強さなら他の場所でも十分入りうる。 ◎アプローチでの注意点 危険な個所はない。大白川駅は4,5人なら余裕をもって駅カンできる。国道252号線は冬季閉鎖。駅から数百m先のゲートまでは車で入れ、路肩のスペースに駐車可能。尾根取付きへは線路を渡るので、電車の時刻はしっかり調べる必要がある。基本的には小雪崩沢二号スノーシェッドから線路に降りるが、その手前のスノーシェッドから行く方が近道だった。 ◎全体を通した注意点 資料を作ったのは二月中旬で、その頃はかなり雪が少なく、三月末には残雪のような感じになっていると予測していた。しかしふたを開けると、三月に入ってから寒気が強まり多量の降雪があったことで、しっかり雪山だった。雪が多く基本雪庇をつないで歩くことができ、毛猛特有の藪の大変さはほとんど味わわずに済んだ。とはいえ、ところどころの崩落を避けるため藪に逃げる必要があるので、覚悟はして臨むべき。今回雪は標高800mを超えたあたりから尾根上でも繋ぐことができた。そんな今年でも、足沢山から1084p周辺の区間は雪庇の崩落が進んでいた。 ◎詳細 3/26(火) 天気:東京雨、新潟はみぞれ 行動:東京=(車)=大白川駅▲0 今日は山でも雨の予報だったので、未丈への縦走は諦め、今日アプローチ、明日と明後日で毛猛ピストンとする。雪の状況が読めない以上、29日は行動予備とするが、これまた雨予報なのでなるべく使わないよう頑張ることにした。直前にバタバタと人が減ってしまったこの企画、Lが三年会として行く最後の山でもある。雪庇とクラックに守られた辺境の山岳、毛猛山。その頂を何としても踏もうではないか。 3/27(水) 天気:曇り、標高上がるとガス、昼前から雪(あられ)、夕方西から晴れる 行動:4:30大白川駅=(車)=4:45ゲート〜(ワカン回収20分ロス)〜7:00小雪崩沢二号スノーシェッド7:15〜8:20たるみ8:30〜9:20たるみ9:30〜10:20たるみ10:30〜11:15足沢山〜11:30たるみ11:40〜12:30たるみ12:45〜13:30たるみ13:40〜14:30太郎助山14:35〜14:55太郎助山西1360c▲1 冬に毛猛に行くには、まず冬期閉鎖の国道252号線を5キロちょい歩かなくてはならない。日の出前の4:30に出発。数百m先のゲートまで車で進む。例年この時期は残雪っぽくなっており、駅周辺にも大して雪がないのでワカンをデポした。が、すぐに踏み抜き地獄が始まったので、引き返してワカンを回収。デブリなどはないが、道路の積雪は5.60cmで、ワカンでも少し沈んで早速辛い。ラッセルを全員で回す。取り付きまでは70分読みだが、気づけば二時間半かかってしまった。まずい、思っていたよりよっぽど雪が多い。 今さっき電車が通っていった橋を渡り、尾根に取りつく。クラックが入り始めた湿雪で、ラッセルの体力とショートRFの双方が必要だが、隊員の頑張りで突破。鉄塔めがけて上っていく。結構頑張ったつもりなのに、振り返ったら線路がすぐそこに見えて萎えかけた。その後しばらくラッセルを回していくと、尾根上に踏み跡が現れた。かなり明瞭だが、皆寝不足と降りしきるあられの悪天候で元気がなく、遅々として進まない。825p辺りから尾根上も雪になり、ワカンを着けて再びラッセル。トップは何度も隠れたクラックにはまってとても大変。最後の急登を越え、何とか足沢山に到着したが、ここも120読みなのに4pかかってしまった。本当に今日、太郎助山を越えられるのだろうか?行く先はガッスガスの真っ白でもう何も見えない。五里霧中とはまさにこのこと。 ここから1084pまでは、今山行で最も雪がズタボロだった区間だ。2mの厚みはあろうかという雪のブロックがゴロンゴロン転がっており、その隙間からは強靭な灌木藪が顔を出している。おまけに雪庇が東側に張り出していて、いつ崩れるかという恐怖との戦いでもある。まさにRFの新境地という感じ。行けるところは雪の上、無理なら藪を巻いて、ジリジリ漸進。1084pは巻こうと思えば巻けるが、尾根上にしっかり雪が付いていたので登った。 その先雪はよく繋がっていた。今年は3月になってからたくさん雪が降ったので、例年より半月くらい季節が遅れている気がする。雪庇はどんどん大きくなり、クラック地雷も増えていく。隊員の一人が肩まですっぽりはまってしまい、かなり怖かった。昨日と今日で降り積もったと思われる新雪も深さを増し、ラッセルを回していく。皆の疲れもピークに達し、誰も何もしゃべらない。雪のお陰で藪はなく、読みから少し伸びるくらいで太郎助山に到着した。山頂付近はガスで、視界が2.30mといったところ。RFに気を遣った。軽くたるみ、1360コルへ向かう。うねるような雪庇たちをこの視界で処理していくのはなかなか神経を遣ったが、流石はこの隊、あっさりコルにたどり着いた。 コルは10m弱の雪庇が東に張り出した斜面になっていて、スノスコで掘りまくって整地した。こんなにたくさん掘れるなんて、土木工事好きのLには至福のひとときである。7天のスペースを作るのは、やればできるが大変そうで、45天二式になったのは怪我の功名だった。意外にも、ドコモの電波がしっかり入る。今日の夕方から明日午前にかけて天気がよさそうだ。サイト中、ベンチレーションから青空が見えた。それどころか、テント越しに赤い光が見えたので外に出てみると、今まさに太陽が、白と黒のモザイクになった山々へ沈んでいく所だった。この名もなきサイト地で、こんなにも素晴らしい夕日を拝めるとは。皆今日一の歓声をあげ、寒さも忘れてしばらく見とれていた。三年会最後の日の入りと思うと感慨深い。三月合宿土産のきりたんぽ、ラーメン5人分をはじめ、明らかに炭水化物過多の盛大な宴会をやって、20:00頃就寝。今日はしっかり8時間寝られる。 3/28(木) 天気:朝快晴、昼頃から高曇り 行動:4:00起床〜5:35出発〜6:00百字ヶ岳〜6:35たるみ6:45〜6:55中岳〜7:25毛猛山7:40〜8:00中岳〜8:20百字ヶ岳〜8:40太郎助山西1360c、サブ装解除9:00〜9:20太郎助山〜9:50たるみ10:00〜10:55足沢山11:05〜12:00たるみ12:10〜13:00たるみ13:10〜13:30線路〜13:50小雪崩沢二号スノーシェッド手前のスノーシェッド14:00〜15:00ゲート 疲れと寝不足が効いてよく寝られた。サイトはちくわ、餅の味噌汁で、めちゃ美味しい。空は雲ひとつない快晴。朝日に照らされていく孤高の毛猛山を見ながらテントをたたみ、サブ装を作る。この先はクラストしているところが多そうなので、アイピケにする。 十分な睡眠とこの上無い景色のおかげで、皆昨日が嘘のように元気だ。波のようにうねり連なる雪庇たちを左手に見ながら、ダガーを交えつつずんずん進む。百字ヶ岳山頂は前情報通り3mの岩がある。溝っぽくなっているところから登れた。その先、クラック地雷はますます巨大化し、皆たまに落ちる。トップは気が気でなかったと思う。中岳手前は少し雪庇の崩落が進んでいるので、西側に巻き気味で突破した。中岳を越えると、いよいよ最後の登り。藪は一切見えず、白い壁だ。その威圧感はマイナー12名山の名にふさわしいものであった。こんなにも真っ白な毛猛に出会えるとは。冬山は一期一会だから面白い、と言う人もいるが、その気持ちがよく分かる。雪庇を避けて急登を西寄りにラッセルし、ついに山頂に到達。360度の大パノラマにはありったけの山々が詰め込まれていた。集合写真を撮り、しばし景色を楽しむ。ひとしきり感動を噛みしめた後は、特にやることもないので下山を開始した。 下山はトレースを使え、ふみ抜きの心配も少ない。これが驚くほど速く、1p強でサイト地まで戻ってしまった。百字ヶ岳の岩は藪が出ていたのでフリーで下れた。また、ところどころ急斜面があるのでダガーを使った。20分でパッキングとたるみを済ませ、いざ下界へ。太郎助山へは5mほどの急斜面があるが、ダガーで登れる。なお昨日は尻セードで降りた。太郎助山からの下りもトレースが使えて爆速。とはいえ1084p付近からは藪が出現し、一気にペースが落ちる。気温も上がり、時折遠くから雪崩の音が聞こえる。どうか足元が崩れませんように…! 足沢山でたるみ、アイゼンを外す。しばらく雪の上を歩けるが、800mくらいからは尾根上の雪はなくなり、踏み跡を歩く。藪が引っかかるのでペースが上がらず、80読みは行きと同様短すぎた。一度踏み跡に誘導され尾根を間違えかけたが、落ちる前に修正できた。送電線より下はかなりの湿雪で、足がはまって歩きにくい。皆尻セードを楽しんでいた。線路に出ると、行きに目星をつけていた西側の橋を渡り、国道に上がった。幾分かショートカットできるのでオススメ。ここでワカンを履き、黙々と5km強を歩く。なんやかんや今年も林道を歩きまくっている。歌を歌って歩けば、もはやこの距離は短い。ハイエースに着くと、時刻は15:00、思ったより早く下れた。白石荘で風呂に入り、例のごとくギリギリ()で車を返すことに成功。打ち上げして、解散した。お疲れ様です! |
その他周辺情報 | 温泉は白石荘にて |
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