入道ヶ岳

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感想
令和6年4月28日 山行記録673
人波を避けて足慣らし 〜入道ヶ岳 単独 地図:伊船
節分の日に鎌に登って以来、実に3ヶ月近いブランク。本当ならこの間に2〜3回は登っていたはずだったのに、葬式やらコロナやらなんやらかんやら、気がつけば連休に入っていたのである。
これだけブランクがあると1発目の山と変わらない。しかも連休。ヘタにメジャーな山へ行ってしまうと溢れる人に溺れてしまう。普段静かな山も賑やかになるパターンもあって、行先に困ってしまうことが多い。
それだったら、久しぶりに谷詰めでイワクラ尾根に上がってみようか。入道に上がって新道を下りてくれば、足慣らしにちょうどいい。
前日の夜に思い立った山。天気図を確認していないので、ラジオの天気予報で聞いた「晴れて暑くなりそう」の言葉を信じて家を出る。
夜が明けた5時過ぎに宮妻峡の駐車場に入ってみると、すでに10台近くの車が居て、出発する人、準備をする人、やはり連休は侮れない。
5:36駐車場を出発。林道をゆっくり歩き始める。よく晴れたこともあって、空気は冷たい。歩き出せば温まってくるだろうとノン気な林道歩きである。50分ほどで内部川の渡渉点に到着。少し汗ばんできたので上っ張りを脱いで、6:35出発。おそらく20年ぶりぐらいのルートに入っていく。
記憶では、堰堤を越えてすぐに右岸へ渡って、そのまま南から合流してくる支谷へ入るはず。ピンクのテープに導かれて進むと、その通りに入って来いと言っている。
本流から岸への段差を「よっこいせ」と上がって支谷に入ると、比較的広い沢岸の砂地に上がる。久しぶりのルート、地図にコンパスをあてて谷の向きを確認。OK。ついでにこの先の地形を頭に入れる。谷はほぼまっすぐ南南西に鞍部の直下まで這い上がり、最後は少し南に向きを変えて尾根へと這い上がる。
谷に入ってすぐ、ピンクのテープが左岸に渡れと言っている。流れに降りて上流に目をやると、まだ陽射しは低く谷芯には届いて来ないが、樹冠の若葉が陽射しを受けて、こっちまで染まりそうな緑の輝きについ見とれてしまう。谷は、そんな穏やかな森に包まれている。
踏跡はまあまあわかるし、ピンクのテープが比較的シッカリと設置されている。道標もあるにはあるが、やはり流れを横切る所や、流れから1段上がる所などは薄れていたり枝分かれしていたりして、ピンクテープを探しながら周囲を見まわす場面も出てくる。コロナの間、山をサボっていたせいもあるだろう、ルートファインディングの感覚が少し衰えてしまったのかも知れない。
谷が少しずつ明るくなってきた。森に陽が射し込み始めたのも大きい。この谷の詰めは比較的広々した雰囲気だから「稜線は近いのかな」と見上げながら登っていくと、程なく稜線が見えてきた。詰めはほとんど平面的な斜面となった谷をジグザグを切っていく。踏跡はナントカ残っている程度ではあるが、イワクラ尾根の鞍部の道標がよく見えているので、それを目指して登って行けばいい。7:28イワクラ尾根イワクラ西鞍部に登り着いた。少しもたついたが、内部川徒渉点から1時間はかかっていない。
イワクラ尾根を入道に向かう。メチャクチャ道がいい。イワクラまではなだらかなのでノソノソ歩いて7:40、874m独標通過。「仏岩(イワクラ)」方向へはロープが張ってあるので入っていかず、とりあえず、ピークの二俣から入道ヶ岳の山頂が望めることを確認したから、迷い尾根まで進む。
迷い尾根。相変わらず南の尾根に向かう踏跡がメインと見間違うぐらいに明瞭である。道標が立てられたので、たぶん間違えることはないと思うが、ウッカリということもあるから頭に置いておく必要はあるだろう(経験者は語る)。
コンビニおにぎりを一つついばんで7:56出発。すぐに重ね岩に差し掛かる。以前は積み重なった大岩が尾根の上にデンと鎮座していたが、いつの間にか樹々が育って森に佇むような雰囲気に変化しつつある。
尾根を下り始める。久しぶりの山なので、ヒザを言わさないように注意しながらゆっくり下る。そこから小ピークに登り返したあとは、逆落としのような下り。そして再び急登。しかし、入道への最後の登りの起点となる少し暗い雰囲気の鞍部はまだ先である。「相変わらずやな〜、この尾根は…」。
イワクラ尾根の東半分は、コンターに現れない割に顕著なピークや鞍部がいくつかあって、地図で見るよりも消耗を強いられる。特に、入道を起点とする場合、特に鎌尾根まで足を伸ばしたいとき、序盤で思いがけない消耗を強いられて、県境尾根への最後の急登でバテバテになって、さらに水沢峠〜水沢岳の急登で止めを刺され、肝心の鎌尾根はただただ足を引きずってガマンの2時間、その挙げ句、鎌ヶ岳をあきらめて下山、みたいな事態に陥りがちな、地味に手強い尾根である(経験者は語る)。そんな状況がわかっているから、時々灯りが点ったような明るさを見せるミツバツツジや、そろそろ盛りを迎えたイワカガミなどを楽しみながらノン気に行こう。
入道への本格的な登りに取り掛かる。まずは3点確保の練習。釈迦の庵座谷道の詰めのような登りを抜けると、行く手の山が低くなってきて、少しずつ穏やかになっていく。やがてなだらかな山頂部に上がるところで、目の前にシダがたくさん芽吹いて、先がクルクルと丸まった新芽の群れが面白い。
入道ヶ岳の平頂に登り着いた。アセビの茂みの中を最高点に向かって奥宮へ。パンパンとあいさつを済ませたら北の頭へ移動する。
8:50北の頭に到着。すでに20人ぐらいの人影が見える三角点に背を向けて腰を下ろして、早速ラーメンなど…。しかし、正月もそうだったが、ピーク1の調子がイマひとつ。火が大きくならない。火力調整のツマミを何回か動かすと、どうにかいつもの勢いになってくるが…、長い間山をサボっていたから、ジェネレータが詰まってしまったのかもしれない。しばらく様子を見て改善しないようなら交換しないといけない。「換えたばっかりやったんやけどな〜」。
鎌尾根を眺めながらラーメンをすする。陽射しは強いが、ほどよく冷たい風が吹き抜けて気持ちがいい。「やっぱり山は登らなあかんな〜」。
用事は済んだ。9:18、ザックを担いで歩き始める。目の前で大きなタカが輪を描きながら上昇して飛び去っていく。
下りは宮妻新道を取る。昨日は弱い雨が降っていたが、思ったより地面が乾いているので、最初の急降下もほとんどスリップの感触がなくて済む。
そろそろ緑が深くなり始めた尾根をゆっくりと下りていく。しかし、天気予報で「暑くなります」と言っていたとおり、下るに従って暑くなってくる。ほとんどが森の中なのでいいが、尾根を離れ、斜面を横切るルートに入るところで給水の休憩をとる。ここからは、落石注意の斜面を慎重に下るだけ。斜面の上の方に耳を澄ませつつ鳥の声を楽しみながら、足元に注意して下っていく。春先から少なくとも梅雨が終わるまでは、1年でも落石が多い季節と心得る。石を落とすな、石に当たるな。
10:29宮妻峡到着。とりあえず、足慣らしも無事に終えることができたから、次はどこへ行こうかな。できるだけ静かな山がいいが、「まあ連休中は、雨でも降らんと無理やろな」。
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