富士山(七合まで)、幻の滝

- GPS
- 07:01
- 距離
- 10.5km
- 登り
- 1,168m
- 下り
- 1,161m
コースタイム
天候 | 足柄SAで霧雨、須走口曇り、2200m以上は雲の上 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年06月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
・登山ポストは須走登山口(建物が切れ登山道が始まる付近)にあります。 ・2500mより上はまだ残雪が多く、溶けかけていますがアイゼンは必要と感じました。(滑落の危険はありませんが転倒の恐れはあります) ・須走登山道はメジャーな整備された登山道ですが、ハイシーズン以外は小屋の営業も無く、バリエーションに相当すると考えられます。 ・幻の滝への道はマークも多く、高低差も抑えて整備されています。 |
写真
感想
仕事が一段落して休みが取れそうなのと、西低東高で天気が安定してそうなので、富士登山(の練習)に出かけました。
冬用の手袋をバイクのヘルメットと一緒に盗られてしまっていたので、越谷レイクタウンのモンベルに仕事帰りによることにしました。少し遅い仕事帰りでも立ち寄れる山道具やさんがあるのはありがたいですね。
以前よりほしかったサーモスがあったので一緒に購入し、ICIとサイクリーをひやかし、カーボローディングのつもりで絶望スパゲティをおいしくいただきました。
家に帰り準備をし、出発です。柏ICでは曇り空でしたが、足柄SAでは霧雨。須走口を目指して車を走らせましたが霧に巻かれ、一度通り過ぎてしまいました。
アザミラインをひたすら登り、駐車場についたころには徐々に明るくなってきていました。車の外気温計は10度。若干涼しいので準備運動を念入りにし、須走登山口を目指します。
今回は12Lザックに水1.5L、衣類はいつものfinetrackとmontbellでかわりばえしませんが、下りの砂走り対策でblackdiamondのトレッキングポールを持ってきました。普段は岩や藪の多いところばかりなので持って行きもしませんが、砂走りなら活躍してくれそうということで抜擢。実際には(今回は)上りでも必須でしたが。富士登山対策でもうひとつ持ってきたのが心拍計です。普段は自転車で使用しているのですが、練習なのでペースを図るため用意しました。
そして靴。ミドルカットです。しかもアイゼン/アックス無し。おそらく今回一番の冒険はこの装備でしょう。出発前からドキドキで心拍も上昇します。
須走登山道口は立ち入り禁止の看板が出ていますので、自己責任自己責任とお題目を唱えながら通過します。
古御岳神社までのよく整備された階段を過ぎると右手の林の中を鹿がかけてゆくのが見えました。大きな針葉樹たちの正体は何かと思っていたらコメツガと看板がついていました。
須走口で安静時66だった心拍は120程度まで上昇しています。今回は高くても150程度の運動強度で登りたいところですので、のんびりのんびり進みます。
霧がかった樹林帯が一度切れ、山頂が再び見えました。砂走りの黒く広大な砂地のはるか向こうに白い雪面が見えます。後ろを振り返ると雲海ができています。雲雀や鶯が鳴き、とてものどかです。それでも心拍は気を抜くと140程度になってしまうので口笛で鶯の鳴きまねをしながら意図的にゆっくりとザックリザックリ進みます。
一時間ほど樹林帯を進み、ようやく新六合に到着しました。行動時心拍は140程度となりなかなか下がりません。
新六合をでてしばらく続くダケカンバの樹林帯で残雪に初めて出会いました。トレッキングポールを出し、つついてみると、表層はやわらかいですが、中はまだ凍り付いているようです。仕方なくポールとキックステップで進むことにしますが、あっという間に心拍がバクバクと160を越えてしまいました。
ゼエゼエいいながら、肌色のダケカンバ樹林帯を抜け、岩に足をかけたところで雲海の下から雷鳴のような音が聞こえてきました。雲の下は雷なのかと不安になりましたが、どうやら自衛隊の基地から出ている音だったようで周期的にボンボンと音がしています。
しばらく眺めのよい道をザックリザックリ進むうちに、稜線上に小屋が見えてきました。双眼鏡で覗くと奥にももう一軒見えます。あれが目標の大陽館でしょうか。
稜線の小屋は見えてからが遠い。わかっていながらいつも感じることですが、今回もゼエゼエと息を切らせてようやく本六合に到着です。行動時の心拍は160からなかなか下がりません。息も乱れてきたので写真などを撮って小休止します。
途中までついてきていた鳥の声もせず、風もないので、まるで音が無くなったようです。静かな空間を独り占めという贅沢をしばし楽しみました。
岩の多くなった登山道をトンボリトンボリひたすら進んでいると、折り返しの地点で下からスキーをしょって登ってくる人影が見えました。大きな荷物でなかなか大変そうです。私などはもっと小さな荷物なのですから弱音をはいている場合ではありません。ひたすらトンボリトンボリ進みます。と、犬の声が聞こえてきました。上のほうに小さく見えていた七合小屋からのようです。姿が見えなくても犬にはわかるんだなぁと改めて感心しつつ登ります。
七合小屋まであとひとつの曲がり角を曲がったところで、10mほど前の斜面を30cmほどの大きさの四角い石が転がり落ち、残雪に突き刺さって止まりました。びっくりして見上げると、どうやら興奮した犬くんたちが身を乗り出すあまり石垣の石を落としてしまったようです。あぶないあぶない、と思いながら最後の坂を登り、出発から3時間ほどかけ、ようやく大陽館に到着しました。小屋の扉が開いていたので中を覗いていると小屋の方が出ていらしたので、少しお話を伺いました。
それによると、山頂側はおととい雪が降ったそうで何人かすでに登られているが、今日は晴れて風も強く山頂は零下20度近く、上に行くならもっと装備を固めないと無理ですよとのこと。
ですよねー。私もうまるっきり夏装備ですもの。うん、ムリムリ。とはいえ、せっかく雪があるので少しでも雪山気分を味わおうと、サングラスを出し、アウターのジャケットを着たりとしているうちに下から到着された方はなんと半袖でした。この方は特にスキーなどは持っていないようでしたが、ブルドーザー道を登ってアプローチするようで、アウターやポールなど装備を整えなおすと笑顔で上を目指して出発されました。
私は砂走りの入り口で、サーモスのお湯を使ってカップラーメンを食べ、大休止です。下は黒、上は白と二分された世界の間にいるのが面白く感じられたので、写真もぱちぱちと撮ったり、ブルドーザー道路のみぞれっぽい傾斜でグリセードごっこなどをしました。しかし一時間もするとさすがに靴が冷えてきたので、降りることにしました。
以前、富士山に登ったときも上りは吉田からでしたが下りは須走で転げるように下った記憶があります。
ポールの長さを調整し、駆け下ります。抵抗の大きなスキーか、足のモトクロスといった気分で、エッジの聞かせ方や踏み出す足の勢いで速度や方向が自在に変えることができます。うーん、楽しい!
ずんずんザシザシと降りてくることができたので、調子に乗ってカメラで動画をとりながら下ってみようとしたところ、さすがに無理があってか、まだ溶けきらない硬い層に足を捕られ転んでしまいました。あわててカメラを拾ったところ、幸いレンズには傷はありませんでしたが液晶面にはこすったような痕が残り、シャッターボタンが戻りにくくなってしまいました。とほほ。
徐々に傾斜や砂の厚みが減り、ブルドーザー道路を過ぎこしたところで砂払い五合に到着です。靴の砂を払い、ポールをしまい、小休止です。
行動食などを食べて落ち着いたところで、出発です。林の中をすぎ、ブルドーザー道路を下りしばらく進むと登山道への合流地点にでます。ここから先のブルドーザー道路は立ち入り禁止マークが付いていますが、次の目的地である幻の滝方面はブルドーザー道路の奥になるため、ショートカットさせてもらうことにします。
木の根坂にある立派な避難小屋をとおり、車を停めた第3駐車場の奥に出ると、大きく滝の文字の書かれた石がありました。ここからはお中道のようなトラバースルートで滝を目指します。
豊富にある白いペンキのマーカーを追いかけてゆくとすぐに沢にぶつかりました。が、涸れています。。やはりもっと早いシーズンでないと雪解け水の量が足りないようです。
沢を渡り丘を越えると目の前にカラマツの生えた草原が広がってきました。富士山は砂と岩というイメージが強かったので、なかなか新鮮です。200mほど先の稜線にケルンが見えます。のんびりとした眺めのよい道で、ハイキングにぴったりです。
サクサクと歩いてちょっとした尾根を越えると遠くに高さ4mほどの大きな涸れ沢が見えてきました。どうやら滝はその沢にあるようです。
近づくにつれ、なかなかみごとな沢だということがわかってきます。沢の横に階段状に溜まった岩を登り越すと目の前に2段7mほどの滝(らしきもの)があらわれました。草がまるで水の流れのようにたれていますが、やはり水は流れていません。
写真を撮っているうちに年配の方々のグループがおりてらっしゃいました。上のほうがどうなっているか気になったので、ちょうど入れ違う形で上に移動することにしました。
砂がちの斜面を登り滝上に出ると、幅4m行き10mほどのやや青みがかったナメトコが広がっていました。はるか山頂側を見上げると、雲の切れ間からV字型の雪渓が見えます。やがてはあの雪渓も消えるのでしょうが、ここまでは水が届かないでしょうし、やはり幻を見るためには時期が重要なのだな、と思いながら砂山をすべりおります。
滝登山口(?)まで戻り、ブルドーザー駐車場を越えると先ほどのパーティーのかたがたがお昼の最中でした。車に戻り、衣類と靴を替え、職場に七合からの写真をメールした後、帰路に就きました。
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