ネパール ガーネシュヒマール パルドールピーク
yamarun
その他20人 コースタイム
| 過去天気図（気象庁） | 2010年04月の天気図 |
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ネパール・ガネーシュ・ヒマール2010/4/14〜5/2
パルドールピーク遠征 Yamashita
海外渡航(遠征)に備えて関係国の治安状況を海外安全HPで確認すると、経由するタイでは反独裁民主戦線によるデモが頻発し、ネパールではネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)による無期限のバンダと鳥インフレ発生が懸念されていた。
��(4/14):出国手続きが以前に増して厳しいので早めに成田空港に集合する。観光旅行とは違って大量の登山装備品を満載して乗り込む。荷物を減らすために登山靴を履いている者、防寒衣装いの者、様々の格好である。今回は日本山岳協会50周年行事の一環としてアジア合同ヒマール遠征と聞いているが参加国の詳細は不明である。明確なことは隊長(登山家Y)及び副隊長(登山家I)と11名の日本隊員が参加することである。遠征する山は、ネパール・ガネーシュ・ヒマール・パルドールピーク5928mである。ながい道程のベースキャンプ(BC)まで高度順化を繰り返しながらキャラバンし、BCからは雪あり、氷河あり、雪稜・岩稜を経てのピークハント登攀の13日間登山のライトエクスペディションである。
成田11:00発で無事にタイ・バンコク15:30到着した。宿泊ホテルまでは8年前になかった高速道路を利用したのでテレビ報道された反独裁民主戦線によるデモの影響は受けなかった。この時期、バンコクは旧正月と重なって市街地では水掛け祭りを見掛けた。夕食は、副隊長案内による地下鉄利用での海鮮料理である。今晩の夕食を境に暫くは美味い料理から遠ざかることになる。
��(4/15):ネパールに向けてバンコク出国手続きであるが、何故かしら小生は履いていた登山靴を脱がされ裸足になった。ネパールに近くなると飛行機から感動のエベレストを見られるが、今回はお目に掛かれなかった。まぁ1回、見ているからいいか。ネパール航空から首都カトマンズまで車で移動した。気温は35℃を超えている。
夕刻にネパール山岳協会主催による登山開始レセプションが開催され、韓国隊員6名(40〜60歳)とモンゴール隊員4名(34〜64歳)が紹介された。
��(4/16):今日は遠征準備の日である。特に準備を要しない我々は自由参加で寺院内にクマリ(女性の生神)がいるダルバール広場に出かけた。一部に崩壊も始まっているが、いつみても歴史を感じる重厚な趣の寺院である。運よく窓越しにクマリを伺えた。神秘的であった。これも海外登山に伴って異国文化に触れる楽しみの1つである。明日から遠征である。無事を祈った。
��(4/17):今日はカトマンズKathmandu 1336mから登山口となるゴテンGatlang 2240mまでをエアコンなしの中古バス2台で移動する。屋根裏にも装備品を満載し、一部のポーターは屋根裏に乗車している。土埃のなか車窓を開放して凸凹道を通り過ぎる。全身埃に塗れながら11時間を要して夕暮れに到着した。今晩から2週間は風呂なしのテント生活である。
��(4/18):今日はゴテンからソムダンSomdang 3270mまでの7時間キャラバンである。山道のいたるところでネパール国花の真紅・紫等に輝くシャクナゲが見られる(シャクナゲツアーもあるらしい)。3570mの峠越えを経て順調に幕営地に着いた。着くや同時に雷雨に見舞われたのでテント設営が整うまでロッジを間借りして持ち込んだウイスキーと地元の高濃度のラム酒で酒盛りをした。だが、小生には不運にも夜間から地獄の下痢症が待っていた。
��(4/19):朝から晴天。今日は、3800mまでの高度順化の日である。ところが、小生は昨夜からの連続下痢でお腹は空っぽになり、更には脱水症が始まった。飲んでも喰っても全てが数分後に出てしまう。高度順化をパスしようとも思ったが今後の高所登山を考慮して気力で参加した。高所故の水分不足か、やたらと喉が渇いてポカリスェットを懸命に補給するが下痢に繋がる。完全に病人状態(下界では安静状態)になった。皆が2時間で登るところを最後尾で3時間要した。進んでくれない足に渇を入れながら奮闘した。下りも50m毎に休憩する始末。
当然、下山後の昼食は見送った。明日からの体力を考えると多少でも食べ物を摂取したかったが、下痢は止まらない。遂には、遠征に向けて一緒に準備してきた友人Mに「このままではBCまで行くのが限界になるかも。」と告げた。下痢止め処方箋ストッパーが定量では効かないので医師治療ではあり得ないことだが、定量2倍を服用した。何となく下痢は収まった。不安を抱えながら明日の行動に備えてテント内で静かに待機した。テント越しに聞こえる隊員達の楽しい団欒の響きが羨ましかった。脱水症は初めてであるが、縁りによって遠征中に発生した。
��(4/20):今日はソムダンから鉱山跡地(金の採掘所だがマオイストの圧力で休止状態)のジャスタカニJasta khani 3990mまでのキャラバンである。何とか下痢は治まっているが坂道を登ると凄く疲れる。昨日の高度順化山行の様態を知っていた現地ガイドが見かねてパンを分けてくれた。お腹には何も残ってないので助かった。多少の元気も取り戻し、最後尾からやっと登り上がった。夕刻からは雷雨に見舞われたが、直ぐに風雪になり食事用キャンプはポーターによる雪落としで大忙しである。
��(4/21):今朝も晴天。今日は待ちにまった待望のパルドールBCPaldor Base Camp 4300mに向かう。4200mコルを越えて更に登る。お腹は相変わらず不安定であるが、気分70%回復、体調50%回復である。Aさんが腹痛に悩まされていた。コルを越えて直ぐにBCに着いた。
今日は行動時間が短く皆元気である。目指すパルドールが展望できる位置にBCテント設営である。隊員達は記念撮影に忙しく、それぞれに気分が高まってきた。そこに、また恐れていたあの下痢が再発した。小用のつもりで外に出たが下痢になったが、あいにく手元にはトイペはなく手袋を代用し不足分は雪で補った。この調子では最終アタックに参加できない。再度、下痢止めストッパー定格2倍量を服用した。明日はアタックに向けて、このBCで最終休養日である。何とか体調を取り戻したい。
��(4/22):今日は終日フリータイムであるが安全のため隊長から単独行動が禁止された。お天気もよく、濡れ物と衣類の甲羅干しである。衣類はアタック用に着替えて、靴も厳冬期用に変えた。この天気が2日続くことを願いながら、皆、ハイテンションだ。高所での体調不良の影響か、小生は全身が浮腫んで手の爪の生え際にひび割れが発生して痛い。夕刻からは雹が降り、そして雪に変わった。
��(4/23):今日はBCから最終アタック用のハイキャンプClimb to High Camp 5360mへの移動である。体調80%回復だが脱水症の影響による体力消耗もあって最後尾を友人と追従して登る。明日の本番登攀に備えてスローペースで登っていたが、副隊長から「最後尾が遅い」と連絡がはいった。3、4時間程登ると従何故かしらポーターは途中の4800m地点にテント設営の準備をしていた。理由は当初計画のハイキャンプ地はコル乗越しの強風があるのでダメだと主張している。とんでもない事態になった。5000m手前からの最終アタックだとパルドールピークClimb to Summit of Paldor Peak 5928mに登頂して4300mBCまで1日で下山することは、高所で高度差約2800mを行動することになり、かなり困難だ。登頂確立が落ちると隊長がテント設営場所の変更を要請した。
設営場所を上部に変更移動することになったが、ポーターは暗闇でのクレパス地帯へのテント設営を拒否した。結局、テント設営時間の幕切れとなって約5000m地点にACテント設営である。一抹の不安を残すが止むを得ない事態である。夕刻、日本隊員に高度障害による肺水腫者が発生して仲間の1人が付き添った下山することになった。隊員のなかでも実力者だったので残念だ。そして2人が血中酸素濃度低下による体力不足を判断してアタックを断念した。
��(4/24):泣いても笑っても今日は最終アタックである。登攀するのみである。深夜の2時に起床し、3時スタートである。ガイドを先頭にアンザイレンの韓国隊、モンゴール隊、日本2隊の4パーティでスタートする。我々のパーティもヘッデンを照らしてクレパスを避けながら雪原を登ること2時間後に、過去の古傷に起因する膝の痛みで1人が登攀を中止し、更に1時間後には血中酸素濃度低下による体力消耗で友人がフイックスロープ手前で登攀を断念した。力量不足が原因ではないので残念だ。
最終パーティは、辛うじて体調を取り戻した小生と登攀中に腹痛を訴えたAさんと副隊長になった。必死で先行パーティを追う。雪原を越えるころに夜明けになった。アンザイレンを解く。まず300m程の急稜に張ったフイックスロープの雪面をユマールとピッケルを駆使して奮闘する。稜線に出ると3級ほどの岩稜帯になった。眼前には眩しいほどにガネーシュヒマール山群が迫っていた。先行パーティの行方を無視して一休みする。ここはBCからみた山容とは異なって別世界である。神々しいヒマールの峰々が競って白銀に輝きながら連なっている。下界の半分の酸素濃度の環境下で、体調不振の御身は峰々に励まされながら重たい脚を前に進める。岩稜のやせ尾根を過ぎた。再度、コルを登り返してピークに達した。
他の3パーティ同様にパルドールピークに登頂したのだ。みな記念撮影に余念がない。真っ青な空天のもと、頂上からは、連なるヒマール山々の水平線の向こうに、白銀に輝く中国チベット山群も確認できる。何故に人は山に登るのか、一瞬考えた。新たな一歩があるからである。できればもっと快適に登攀したかったが、登らせて戴いたヒマールに感謝した。
下山路300mの懸垂下降は登攀で消耗した身体に堪えた。ハイキャンプに留まらずBCまでの下山である。高所での12時間を越える行動である。ハイキャンプの荷物を回収してBCまで引き返す。下山中に浮石に乗りバランスを崩して足の脛を傷付けた。今晩は下痢を無視して地元のラム酒で祝杯しよう。
��(4/25):今日は悪天候事態を加味した予備日である。疲労の蓄積もあり、天場移動を避けてBCに留まることになった。ここはパルドール全容が眺められる地点であり、異論はなかった。BCから見上げると今日のパルドールは朝から終始吹雪いていた。一日遅れだったらアタックを断念して帰国の途となったであろう。
��(4/26):今日は肺水腫で仲間が待っているソムダンまで下山である。みな気持ちが弾んでいる。雪道をアイゼンなしでの下山である。荷物が重たくてバランスを崩したポーターが滑り転んでいた。途中、キャンプ地に利用した高山跡地で休憩し、ソムダンに向かった。途中、行者にんにく群生を発見して全員で採取した。酒盛り用のおツマミである。心配していた仲間は低所に引き返したので高度障害も回復していた。
��(4/27):今日は、山岳温泉入浴を希望する者ものあり計画コースを変更してチリメ1680mに向かう。帰路、リオラリ峠3585mに上がると7000m級のランタンリルン未踏峰が前方に一望できた。一気に2000m程12時間を要してチリメの谷間に下山した。村にはビールがあった。当然ながら常温での保管であるが、久々の味である。天場に着く前に酒盛りである。チリメの村には発電所がありテン場には照明もあった。
��(4/28):昨日の一気呵成の下山行動で1日早く下山できたのでチリメでは自由行動の温泉入浴日である。足を負傷している小生はテントキーパー組である。昼間は下着の洗濯をして、余す時間を散策しながら記念に手織り布を半値以下で現地調達した。夜は、ゲットした20羽の鶏で夜遅くまでの懇親会となった。
��(4/29):今日はカトマンズまで再度、10時間を要する車での移動である。揺られて、土埃まみれの移動である。カトマンズに着くと雨季前の雨模様であった。雨の中、夕食、街に出掛けて久々に冷えたビールで乾杯した。
��(4/30):帰路の荷物梱包(軽登山靴はザックに納まらず放出)とみやげ物調達日であり、また夕刻から下山後のレセプションがあった。ネパール山岳協会要人の顔ぶれの主催だ。予期しなかったネパール公認登頂証明書が発行された。舞踊に併せて銘酒振る舞い接待だった。
��(5/01):カトマンズ13:50発、バンコク18:35着の飛行機に乗るために空港への移動中、メーデーに併せたマオイストのデモ行進に前路を阻まれたが特にトラブルはなかった。飛行機はオンタイムでバンコクに着いた。バンコクでみやげ物を調達し、夕食をとった。そして、22:10発タイ空国便で一路成田を目指した。
��(5/02):機内サービスのビールで睡魔に襲われ、定刻6:30に成田に着いた。長くも短かった19日間の遠征の旅は無事に完了した。
この遠征の機会に導いてくれた方々に感謝し、それぞれの山岳会から参加した仲間が様々な想いで遠征に臨んで健闘されたことに敬意し、また貴重な経験を得たことを報告し、同時に日本の山の良さを再認識したことを付記します。
≪完≫
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やまさん あらためて登頂おめでとう！
懐かしのネパールの風景、山の写真とすばらしいですね。
かめ
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