岡山県美作市 10月上旬の日名倉山~武蔵ゆかりの地



- GPS
- 03:01
- 距離
- 6.2km
- 登り
- 462m
- 下り
- 474m
コースタイム
- 山行
- 2:35
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 3:01
歩行距離6km、歩行時間2時間半、歩行数10,600歩
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
武蔵ゆかりの地も楽しみたい人はここが駐車場となります。純粋に日名倉山のみを楽しみたい人は、さらに進んで「ベルピール自然公園」の駐車場まで進むのがよいでしょう。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
山牢跡を少し進んだ最初の車道と林道(左側)の分岐<写真07>や日名倉山とベルピールの分岐<写真22>以外はほとんど標識がありません。最初の林道を進むと程なく林道と山道(階段道)に分かれるところ<写真08>があります。どちらに行っても先で合流する(合流ポイントあり)と思いますが、過去に林道を進んだ人が途中で林道がなくなったという記録を残しています。山道(旧道)を進む方が確実かもしれません。自分たちは山道を進むことにしました。ただし、山道はコシダや低木が茂って道が不明瞭な所も多く、慎重に踏み跡を辿る必要があります。足元は見えますが、下りでは踏み跡がわかりにくいと思います。 日名倉山頂上までの岡山県と兵庫県の県境の北尾根は道があいまい(半ヤブコギ状態)なところもいくつかあり、コンパスやGPSナビ等で尾根上を歩いていることを時々確かめながら進む必要があります。最後の詰めは日名倉山頂上の西側を巻くようにしてトラバースし、ススキをかきわけて頂上南直下の尾根に出てきました。 日名倉山頂上からベルピール自然公園までの山道(遊歩道)は整備されて歩きやすいです。数か所で大きな倒木<写真21や23>が道を遮っていますが、くぐるなどしてすぐに通過できます。 ベルピール自然公園から山牢跡(駐車場)付近までの舗装道路は県道で一本道なので迷うことなく安全に歩くことができます。突き当りの国道429号から武蔵ゆかりの石造地蔵尊<写真44>や十国岩<写真45>に入るポイントは入口にこそ標識が出ていますが、中に入ってからの道がわかりにくく、踏み跡がかすかにあるかないかぐらいの半ヤブ状態です。武蔵ゆかりの…にしては案内板もありません。 |
その他周辺情報 | 今回は用事で出発が遅れ11時過ぎに現地に入ったので、山行開始前に目的地から約4.5km離れた美作市後山の「愛の村パーク」<写真01>で昼食をとることにしました。メニューは大人一人1,080円の「愛の村おかずバイキング」<写真02>でした。旬の地元の野菜などをたくさん使った料理をはじめ、固形燃料で炊いて食べる釜飯や鍋焼きうどん、デザートなど料理が豊富にあり、CPが非常に高いものでした。 愛の村パークは温泉施設「ゆらりあ」もあるので、本来は登山を終えてから、食事と温泉を楽しむところです。しかし、遠方の人は食事を先にして、ベルピール自然公園を起点に日名倉山で軽めの登山をして、最後に愛の村パークの温泉に入浴もありかと思います。 |
写真
中央に見えている丸い棟の1Fがレストラン「ベール・ドー」で2Fが温泉施設「ゆらりあ」です。コテージもあり宿泊が可能です。後山や日名倉山が近くにあるので、登山前後に寄る施設としては格好の場です。
国道429号から県道に入るとすぐにこの看板が出てきます。ここ(看板奥)を今回の駐車場としました。国道名に因みベルピール自然公園までモミジ429本が植えられています。ネットで保護された小さな木が多く、ベルピール自然公園付近は紅葉しかけていました。
以前はビジターセンターがあったそうですが、現在は更地になっており、車数台分のスペースがあります。
“武蔵を追っている武士達は、武蔵をおびき出すおとりとして、彼の姉のお吟を捕らえ、日名倉の牢に連れて行ったのだった。”
ー吉川英治著「宮本武蔵」より
周遊コースですので、県道(右側車道)と林道(登山道)のどちらからもアプローチが可能です。左側の林道(登山道)を選択しました。道沿いにマツカゼソウ<写真34>がしばらく並んで咲いていましたが、日陰で暗かったためここでは撮りませんでした。
林道を進んで程なく、突然尾根上に登山道が出てきました。標識はなく、どちらでも行けそうでしたが、登山道を選択しました。結局、10分程で林道と合流し、また階段状の登山道を選びましたが、2分で再び合流しました。
日名倉山の北尾根を上っていると、突然視界が広がり、後山(右側)、船木山(中央)、駒の尾山(左側)の名峰がはっきりと見えました。道の右側にはネットが続き、足元はコシダや低木で少し見えにくくなっています。
階段に杉を使っているようで、何度か見かけました。平成16年と19年にスギヒラタケ摂取者に急性脳症を疑う事例が発生したことなどから、農林水産省より摂取しないように注意喚起されています。
ヤナギタデに対し、葉に辛味がなくて役に立たないためにイヌタデと名付けられたようです。赤い小さな果実を赤飯に見立て、アカマンマとも呼ばれています。実も葉も赤く色づききれいでした。この少し手前から登山道の脇にススキが茂ってきました。
日名倉山頂上近くになると、たくさんのススキ越しに後山と船木山が見え、秋らしい風景が眼前に広がりました。この辺りからススキで登山道がわかりにくくなり、最後はかき分けて進みました。
標高1,047.4mの三角点があります。地形図で想像していた通り、フラットな頂上でした。視界も効き、兵庫県や岡山県北部の山々(氷ノ山後山那岐山国定公園)の景観を楽しむことができます。
ここをまっすぐ進むと兵庫県側に下りるようです。兵庫県側の道もおもしろそうですので、機会があればチャレンジしようと思います。今回はベルピール自然公園の標識に従って下りました。
分岐を過ぎるとすぐに、倒木が道を塞いでいました。フィッシュボーンのような木でしたので、隙間をするりと抜けていくことが容易でした。この後も何本か倒木がありましたが、すぐによけられるので問題ありませんでした。
不意に水場<写真27>が現れ、草丈5cm程の小さなアケボノソウがひっそりと咲いていました。この時期、この山域で最も映えていました。黄色い花も小さく葉の形がよくわかりませんでした。ヤクシソウかもしれません。
水量が少ない沢ですが、このように竹筒を使って水を流していました。暑い日は恵みの水になりそうです。ここを少し過ぎた辺りから広い砂利道に入り、遠まわりしてリュバンベールの鐘の塔に向かうことにしました。
アサギマダラは「旅する蝶」として有名で、春から夏にかけて南から北へ移動し、秋(10月上旬)になると1,000km以上南下します。なぜここに居てベニバナボロギクにとまっているのかは謎です!?
この辺りのベニバナボロギクは一面に綿毛をつけていました。先駆植物なので、植物伐採後に突然出現し、新たな他の植物が育つと消失し、他の場所を求めて遷移を繰り返します。アサギマダラとは相性がいいのでしょうか。
季節柄、たくさんの栗が落ちていました。拾ったイガ栗はビニール袋に入れて3日程冷蔵庫に入れておくと、寒くなった虫が出てきます。さらに1ヶ月チルド室に入れておくと糖度が3倍ほど増すそうです。拾ってもいいのかわからなかったので、見るだけにしておきました。
この公園は、自然と調和の取れた美しい村づくりを目指す「愛の村づくり」を推進するためのシンボルとして建設されました。遊具や便利な施設はありませんが、大自然というかけがえのない環境に恵まれています。片方だけ扉が開いていたので、中に入ってみました。
大きなアーチ型の鐘楼には、直径2m、重さ5.8トンに及ぶ大きなスウィングベルが備えてあり、訪れた人は誰でも気軽に鐘を鳴らすことができます。音は麓の集落にまで響き渡るそうです。
傘の直径は大きいものでも3cm程で、紙のように薄く淡い色合いがきれいでした。周辺にたくさんありました。小さい時は傘型で、成長すると、まるで花弁が開いたような形になるようです。とても興味をそそられました。
園芸品種がいろいろありますが、一年草ではなく、春に再び芽を吹いて花を咲かせる宿根草(しゅっこんそう)タイプの「ルドベキア タカオ」のようです。どこからか種が運ばれてきたのでしょうか。
国道429号沿いの道標からわずかに右方向に見えていますが、反対方向に進んでしまい、数分間うろうろ探しました。
日名倉の十国岩のそばに、その岩の頭が欠け落ちたようにぽつんと、一個の黒い物が座っている・・・じっと、腕を供うだまま、武蔵は谷をへだてて見える日名倉の番所の屋根を睨んでいた。ー吉川英治「宮本武蔵」より
国道429号沿いの道標から延びている踏み跡は途中で不明瞭になり、行きは南側を通り過ぎてプチヤブコギになりました。
「近づけない」武蔵は、腹のそこで唸った。そして二日の間も、十国岩の下に座りこんで、作戦を考えたが、いい知恵もなく、「駄目だ」と思った。ー吉川英治「宮本武蔵」より
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
軍手
雨具
スパッツ
日よけ帽子とフード
雨用帽子
登山靴(防水加工)
靴ひも予備
アタックザック
ザックカバー
地形図
コンパス
ファスナー付クリアーファイル
筆記用具
携帯
時計(防水)
タオル
カメラ
飲料水(スポドリ&茶)
水筒(保温)
非常食(栄養補助食品)
スマホ(山使用可能)
eTrex30(GPSナビゲーター)
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感想
日名倉山は兵庫県と岡山県の県境にある山ですが、アプローチする地点によってその印象は随分と変わります。岡山県側から見ると、<写真03>のように、「美作富士」と言われる美しい景観が映えます。今回は宮本武蔵ゆかりの地も訪問するために、県境近くにある山牢跡を出発点とし、日名倉山の北尾根から上ることにしました。
この時期の日名倉山は山全体が茅場(かやば)と化しています。“茅(かや)”とはイネ科の総称でこの地ではススキ<写真25,28,39など>やチカラシバ<写真31>などが無数に生育していました。特に鐘楼<写真40>の裏手には、文化庁のふるさと文化財の森に認定された茅の群生地「日名倉山茅場」が約10ヘクタールに渡り広がっています。<写真28や39>を拡大してみると、その圧巻のスケールが分かります。また、日名倉山頂上から見える県境に近い山々<写真13,16,18など>もススキ越しに見えたりするので、この時期特有の景観を楽しむことができます。イネ科以外の植物も生育していましたが、相対的に存在感が弱い印象でした。
宮本武蔵ゆかりの地は、作家吉川英治氏の「宮本武蔵」の作品内で具体的な描写が出てきます。
「何処だ、姉上の捕まっていった先は。−その牢獄は」
「日名倉の木戸だと、村の衆はうわさしていたが。」
「日名倉・・・・・」
「そうだ、おれはこれから日名倉の木戸へ行く」
「え?・・・・・日名倉ですって」
「あそこの山牢には、姉上が捕まっている。姉上を助け出して行くから、お通さんとは、ここで別れよう」
今回、訪問した山牢跡<写真05>、石造地蔵尊<写真44>、十国岩<写真45>はそうした宮本武蔵の舞台となった所です。実は先週の霰ヶ山(あられがせん)の登山口に行く途中にはNHK大河ドラマ「武蔵」のロケ地になった千年杉の佐波良の大杉も訪問しました。こうした歴史上の重要人物の軌跡を辿る旅もなかなか楽しいものです。
今回の山行中も山道では誰一人会うことがありませんでした。10月上旬という中途半端な印象があるのかもしれませんが、日名倉山はこの時期がもっとも輝いているようにも感じました。アサギマダラ<写真29,30>が見られるのも、今週が最後かもしれません。この後、1日200kmにも及ぶ移動を繰り返しながら、南の方に帰っていくのでしょう。来年この地に再び戻ってくるかどうかはわかりません。貴重な瞬間に立ち会うことができました。
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