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Yamareco

記録ID: 7748072
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
朝日・出羽三山

【薮山レコ】 ゲンジ元光兎(修験者の山)〜女川林道より〜

2024年11月04日(月) [日帰り]
 - 拍手
GPS
10:16
距離
17.1km
登り
870m
下り
875m

コースタイム

日帰り
山行
9:04
休憩
1:12
合計
10:16
距離 17.1km 登り 870m 下り 875m
5:42
15
スタート地点
5:57
79
林道ゲート
7:16
35
ダイモツ沢
7:51
7:52
32
トンネル(西口)
8:24
8:34
141
矢木ノ沢渡渉
10:55
11:47
93
ゲンジ元光兎
13:20
13:28
33
矢木ノ沢渡渉
14:01
14:02
39
トンネル(西口)
14:41
68
ダイモツ沢
15:49
9
林道ゲート
15:58
ゴール地点
(参考文献)
山岳渓流地図(関川村)、亀山氏資料「山遊亀 外伝」
※地理院地図での「矢木ノ沢」は、山岳渓流地図では「八木ノ沢」の表記。
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2024年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車 自転車
倒木のため林道のゲート手前1.7kmに駐車後、自転車に乗換。林道の荒廃、泥濘、薮化のためゲート先0.7kmでデポ。その後5kmに及ぶ長い林道歩きが始まる。
コース状況/
危険箇所等
・林道終点部にコウモリの住む無照明のトンネルあり。
・女川と矢木ノ沢の出合は深い廊下状になっており、この渡渉が最大の核心部。
・夏季の女川林道の通行の際は蛭に注意。
(参考)光兎山から望むゲンジ元光兎(元サイズ)
超マイナーな薮山
2
(参考)光兎山から望むゲンジ元光兎(元サイズ)
超マイナーな薮山
修験者の山の位置関係
※光兎山ー奥見立場ーゲンジ元光兎のトライアングル
※奥見立場ーゲンジ元光兎ー元光兎の一直線
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修験者の山の位置関係
※光兎山ー奥見立場ーゲンジ元光兎のトライアングル
※奥見立場ーゲンジ元光兎ー元光兎の一直線
女川林道のゲートを向かうと途中に倒木があり進入不可。手前の路肩スペースより自転車でスタート
女川林道のゲートを向かうと途中に倒木があり進入不可。手前の路肩スペースより自転車でスタート
薄暗い林道を自転車でしばらく走り、ようやくゲートが見えてくる
薄暗い林道を自転車でしばらく走り、ようやくゲートが見えてくる
ゲートから15分ほど進むと路面が陥没した橋がある
ゲートから15分ほど進むと路面が陥没した橋がある
川幅が狭まり険しい渓谷区間。路肩を踏み外せば谷底へ一直線。
川幅が狭まり険しい渓谷区間。路肩を踏み外せば谷底へ一直線。
表情を一変させた女川、細い急流になっている
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表情を一変させた女川、細い急流になっている
渓谷部を抜けるとひどい草薮と泥濘、とても林道であることが信じられない。手前で自転車はデポ。
渓谷部を抜けるとひどい草薮と泥濘、とても林道であることが信じられない。手前で自転車はデポ。
橋の上はコンクリートのため草が薄い
橋の上はコンクリートのため草が薄い
最近の豪雨の影響か、土石流が林道に厚く堆積。
最近の豪雨の影響か、土石流が林道に厚く堆積。
この先しばらく女川は穏やか
この先しばらく女川は穏やか
奥山を水源とするダイモツ沢、深い谷を急流で落ちている。
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奥山を水源とするダイモツ沢、深い谷を急流で落ちている。
両岸が狭まり女川との高低差が大きい林道。斜面はしっかり崩落対策されている
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両岸が狭まり女川との高低差が大きい林道。斜面はしっかり崩落対策されている
女川まで一直線に流れ込む急な谷
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女川まで一直線に流れ込む急な谷
観音ソ(沢)に架かる立派な橋。下は2013年秋の様子(当時はゲートから林道終点まで車で40分弱)
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観音ソ(沢)に架かる立派な橋。下は2013年秋の様子(当時はゲートから林道終点まで車で40分弱)
ようやく前方にオオゲンジ峰方向が見えてくる。林道は相変わらずの草薮に時々ぬかるみ混じり
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ようやく前方にオオゲンジ峰方向が見えてくる。林道は相変わらずの草薮に時々ぬかるみ混じり
地形図で破線になっている場所にトンネルが現れる。(長さ200mほど)
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地形図で破線になっている場所にトンネルが現れる。(長さ200mほど)
トンネル内は薮から解放、コウモリの巣が点在。右カーブしているので真っ暗
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トンネル内は薮から解放、コウモリの巣が点在。右カーブしているので真っ暗
トンネル出口(東側)より
トンネル出口(東側)より
トンネルと抜けると地形図にはない、荒廃した道路が続いている。女川第4砂防ダム建設時の工事道路と思われる。
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トンネルと抜けると地形図にはない、荒廃した道路が続いている。女川第4砂防ダム建設時の工事道路と思われる。
工事道路の終点から踏み跡が続いている。小尾根の松の根元に梯子がぶら下がっている。
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工事道路の終点から踏み跡が続いている。小尾根の松の根元に梯子がぶら下がっている。
核心部の地図。渡渉地点はヒゲノ沢と矢木ノ沢が出合う廊下状地形になっており、極めて増水のリスクが高い。
核心部の地図。渡渉地点はヒゲノ沢と矢木ノ沢が出合う廊下状地形になっており、極めて増水のリスクが高い。
松の根元に垂直梯子。梯子の次は綱やトラロープ。
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松の根元に垂直梯子。梯子の次は綱やトラロープ。
最後にまた垂直梯子。沢底まで20m以上下降。
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最後にまた垂直梯子。沢底まで20m以上下降。
対岸にも垂直梯子
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対岸にも垂直梯子
今、下ってきた垂直梯子を見上げる。釣り師が設置した梯子と言われているが、よくもこんな危険な場所を選んだものだ。
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今、下ってきた垂直梯子を見上げる。釣り師が設置した梯子と言われているが、よくもこんな危険な場所を選んだものだ。
下ってきた梯子の全景、右の沢はヒゲノ沢
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下ってきた梯子の全景、右の沢はヒゲノ沢
渡渉地点全景(左:ヒゲノ沢、右:矢木ノ沢) 左右の岩壁にそれぞれ垂直梯子(元サイズ)
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渡渉地点全景(左:ヒゲノ沢、右:矢木ノ沢) 左右の岩壁にそれぞれ垂直梯子(元サイズ)
矢木ノ沢、ここから数十m奥に雨乞滝がある。昔は渇水期に雨乞いの儀式が行われていた。(男滝から縄を伝って水流のない女滝を潤す)
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矢木ノ沢、ここから数十m奥に雨乞滝がある。昔は渇水期に雨乞いの儀式が行われていた。(男滝から縄を伝って水流のない女滝を潤す)
渡渉地点から下流の女川方向。淵になっており岸辺を飛び石でヘツルしかない。
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渡渉地点から下流の女川方向。淵になっており岸辺を飛び石でヘツルしかない。
対岸の垂直な梯子に取付く
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対岸の垂直な梯子に取付く
登ってきた崖と梯子、見下ろす恐怖感
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登ってきた崖と梯子、見下ろす恐怖感
崖を登りきるとオオゲンジ峰の尾根末端に上がる
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崖を登りきるとオオゲンジ峰の尾根末端に上がる
尾根には所々に踏み跡が残っており、悪場もなく拍子抜けするぐらい登りやすい
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尾根には所々に踏み跡が残っており、悪場もなく拍子抜けするぐらい登りやすい
適度な広葉樹林が日陰をつくり薮も薄い
適度な広葉樹林が日陰をつくり薮も薄い
振り返ると光兎山の険しい岩壁が見え隠れ
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振り返ると光兎山の険しい岩壁が見え隠れ
目指すオオゲンジ峰上部
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目指すオオゲンジ峰上部
矢木ノ沢源流の峰々パノラマ(元サイズ) 左から光兎山〜下頭布
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矢木ノ沢源流の峰々パノラマ(元サイズ) 左から光兎山〜下頭布
南西方向展望、女川対岸に湯蔵山、元光兎(パノラマ)
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南西方向展望、女川対岸に湯蔵山、元光兎(パノラマ)
藪の薄い場所には明瞭な踏み跡。修験者が切り拓いた修行の径の名残か。
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藪の薄い場所には明瞭な踏み跡。修験者が切り拓いた修行の径の名残か。
登るにつれ、湯蔵山方面の山並みが広がってくる(元サイズ)
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登るにつれ、湯蔵山方面の山並みが広がってくる(元サイズ)
標高540mで尾根が広がり二重尾根が始まる。尾根の中央に落ち葉に埋もれた池がある。登りは南側の尾根を選択。
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標高540mで尾根が広がり二重尾根が始まる。尾根の中央に落ち葉に埋もれた池がある。登りは南側の尾根を選択。
驚いたことに二重尾根の始まりと終わりに比較的新しいピンクテープが残っていた。猟師か、修験者か、薮山マニアか。
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驚いたことに二重尾根の始まりと終わりに比較的新しいピンクテープが残っていた。猟師か、修験者か、薮山マニアか。
ゲンジ元光兎(670m峰)が近づいてくる
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ゲンジ元光兎(670m峰)が近づいてくる
山頂直下、日当たり良好でイヌツゲなどで足の踏み場もない。
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山頂直下、日当たり良好でイヌツゲなどで足の踏み場もない。
渡渉から約2時間半でゲンジ元光兎到着。山頂には三角点はなく、地図に山名もない。
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渡渉から約2時間半でゲンジ元光兎到着。山頂には三角点はなく、地図に山名もない。
山頂台地の東端へ移動すると見晴らしの良い広場へ出る。北〜東に開けている。
山頂台地の東端へ移動すると見晴らしの良い広場へ出る。北〜東に開けている。
広場からの展望。北東方向にはのっぺりとした頭布山。
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広場からの展望。北東方向にはのっぺりとした頭布山。
北方向には荒々しいスラブ斜面の光兎山
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北方向には荒々しいスラブ斜面の光兎山
西方向パノラマ(元サイズ) 女川下流、日本海方面。
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西方向パノラマ(元サイズ) 女川下流、日本海方面。
女川下流方向拡大、女川林道が確認できる
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女川下流方向拡大、女川林道が確認できる
南西方向パノラマ(元サイズ) かつての女川古道が通っていた稜線 湯蔵山〜元光兎(711m)
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南西方向パノラマ(元サイズ) かつての女川古道が通っていた稜線 湯蔵山〜元光兎(711m)
南東方向パノラマ(元サイズ) 女川源流域の峰々
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南東方向パノラマ(元サイズ) 女川源流域の峰々
北東方向パノラマ(元サイズ) 光兎山(左)となだらかな頭布山(右) 時間があればコゲンジ峰まで行きたかった。
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北東方向パノラマ(元サイズ) 光兎山(左)となだらかな頭布山(右) 時間があればコゲンジ峰まで行きたかった。
光兎山、直線距離で僅か2km
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光兎山、直線距離で僅か2km
登ってきた尾根を下山
登ってきた尾根を下山
二重尾根は北側を通る。陰陽信仰に関係していた大岩か?(下段は同じもの、上段は別の場所)
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二重尾根は北側を通る。陰陽信仰に関係していた大岩か?(下段は同じもの、上段は別の場所)
これから下るオオゲンジ峰下部を望む
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これから下るオオゲンジ峰下部を望む
尾根の下部は針葉樹が出てくる
尾根の下部は針葉樹が出てくる
登ってきた垂直梯子を通りたくないので尾根の最末端まで下る。古いワイヤーが残存。
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登ってきた垂直梯子を通りたくないので尾根の最末端まで下る。古いワイヤーが残存。
尾根の最末端から女川に突き出した大岩に乗り移る。丸渕周辺は流れの穏やかな深い淵が広がる。
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尾根の最末端から女川に突き出した大岩に乗り移る。丸渕周辺は流れの穏やかな深い淵が広がる。
降りてきた尾根最末端の崖を見上げる
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降りてきた尾根最末端の崖を見上げる
大岩から女川上流方向 この廊下状の女川を泳ぎながら下る遡行記録を目にしたことがある。
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大岩から女川上流方向 この廊下状の女川を泳ぎながら下る遡行記録を目にしたことがある。
女川下流方向
画像右の岩の隙間から矢木ノ沢が出合う。女川下流の奥に第4砂防ダムのコンクリートが見える。
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女川下流方向
画像右の岩の隙間から矢木ノ沢が出合う。女川下流の奥に第4砂防ダムのコンクリートが見える。
再び尾根末端に上がり矢木ノ沢側の溝状地形を降りて沢底へ。山師だったらこちらのルートが自然だ。
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再び尾根末端に上がり矢木ノ沢側の溝状地形を降りて沢底へ。山師だったらこちらのルートが自然だ。
さすがに対岸にはフリーで登れそうな崖は見当たらず、垂直梯子を登る。
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さすがに対岸にはフリーで登れそうな崖は見当たらず、垂直梯子を登る。
女川第四号砂防ダムを偵察。洪水時は中央部を越流させる構造か
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女川第四号砂防ダムを偵察。洪水時は中央部を越流させる構造か
ダム下流方向
ダムの上流方向
平常時は右岸から河原に降りて遡行でオオゲンジ峰の末端に取付けそうに見える、しかしどれほどの水深かは不明
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ダムの上流方向
平常時は右岸から河原に降りて遡行でオオゲンジ峰の末端に取付けそうに見える、しかしどれほどの水深かは不明
堤防端を振り返る
堤防端を振り返る
あとは気の遠くなるような長い林道歩きが待っている。それでも核心部を過ぎているので精神的には楽。
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あとは気の遠くなるような長い林道歩きが待っている。それでも核心部を過ぎているので精神的には楽。
樹があると薮が薄くて助かるが...
樹があると薮が薄くて助かるが...
橋の上の陥没にも注意して歩き続け
橋の上の陥没にも注意して歩き続け
ゲートが見えてくればゴールは近い
ゲートが見えてくればゴールは近い
明るいうちに無事に下山できて良かった。帰途、振り返ると光兎山が秋色に輝いていた。
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明るいうちに無事に下山できて良かった。帰途、振り返ると光兎山が秋色に輝いていた。

感想

ゲンジ元光兎は頭布山から南西に延びる尾根(オオゲンジ峰)の下部にある小突起(670m峰)に過ぎなく、地形図には山名すら掲載されていない。この山名を知っている人は相当な薮山マニアくらいかと思われる。

ゲンジ元光兎には光兎山を信仰する修験者(山伏)の行道が通っていたとされる。ちなみに元光兎(湯蔵山北西の717m峰)も奥見立場(頭布山南西の970m)も光兎山の遥拝所であり、この2山を直線で結ぶとその中央にゲンジ元光兎が位置している。これは偶然の一致ではなく、ゲンジ元光兎も光兎大権現の遥拝所であった証拠にほかならないという。(「山遊亀 外伝」より)

核心部の沢を無事に渡渉できれば対岸のオオゲンジ峰は意外にも薮は薄く踏み跡も存在し登りやすい。途中の二重尾根区間ではピンクテープが見られ、他にも入山者がいることに驚く。光兎山の南面のスラブ斜面や女川対岸の湯蔵山などを木々の合間から目にして標高を上げれば、ゲンジ元光兎は容易に辿り着ける。迫力の光兎山の岩壁や重厚な頭布山を好ロケーションに望める山頂は遥拝所であったことが納得される。

叶わぬ夢かもしれないが、次回は時間と体力に余裕があれば矢木ノ沢出合からゲンジ元光兎からコゲンジ峰(三百谷を挟んで一本北側の尾根)へと周回縦走をしてみたいと思う。

山行の詳細は写真のコメントを参照。

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