上郡アルプスと弦谷のカタクリ


- GPS
- 05:40
- 距離
- 10.5km
- 登り
- 794m
- 下り
- 795m
コースタイム
- 山行
- 4:39
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 5:41
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
よく踏まれた登山道 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
|
---|
感想
先週末は、福井・滋賀県境の三十三間山でシーズン最後の雪山を満喫した。夏のような高温の日が続いた後、寒の戻りがやってくるこの週末だが、さすがにもう雪は融けてしまっているだろう。すでにザゼンソウやセツブンソウを見に行っているが、これからは本格的な春の花シリーズが始まることになる。フクジュソウは今季はパスして、まず先頭を行くのはカタクリだ。東北にいるときにはそこらに普通に生えていたカタクリだが、関西ではなかなか巡り合えない。例外は大和葛城山と金剛山で、ここは都市部に囲まれた山域でシカがおらず、おかげで花が豊かでカタクリもたくさんある。この季節、羽化を迎えるギフチョウがカタクリの花で吸蜜する様子は、春を象徴する写真の定番だが、それを目の当たりにできるのが大和葛城山である。兵庫県もかつてはそんな自然が各所にあったはずだが、今は数えるほどしかない。県下でカタクリの名所と言えば、丹波のカタクリの里。氷上町にある。今回、西の佐用町にも三カ所、カタクリの自生地として保全されているところがあるのを知った。その一つである佐用町弦谷(ツルダニ)を今週末は訪ねてみることにした。今年は雪が多く、寒い日が続いて桜の開花も遅れている。ようやくこの週の後半にぽつぽつと開きだしたところなので、カタクリを見るには早すぎるタイミングとは思ったが、次々に花の咲くこの時期、今見ておければそれに越したことはない。
先に花ありきの山行計画で浮上したのは、佐用町の隣の上郡町にある上郡アルプスだ。いわゆるご当地アルプスの一つである。兵庫県にはご当地アルプスが目白押し。新龍アルプス、播磨アルプス、小野アルプス、加西アルプス(加古アルプス)、須磨アルプス、六甲アルプス、命名の新しいところで三木アルプス、上郡町の隣の和気町(ただし岡山県)には和気アルプスが控えている。これらの「アルプス」には全部登っているが、上郡アルプスは未踏であった。いずれも大きな岩盤がむき出しになった丘陵地で、岩と眺望の良さ、標高の低さ!がウリである。
自宅からは山陽道を使って1時間半くらいで行けるのはありがたい。電車だとかつての幹線ながら本数が限られ、相生乗り換えになるから少々不便だ。登山口近くのコープに駐車するという話もあるが、我々は気兼ねなく停められる町役場の広大な駐車場を選ぶ。目前には目指す上郡アルプスの山並が迫っている。のどかな地方の町の一角を山の麓に向かって歩く。以前、前立腺癌の治療のために足かけ3か月を過ごした光都(播磨科学学園都市)から、暇つぶしに「モロヘイヤうどん」を食べに来て以来、2度目の上郡である。こんなところで隠居生活を送ったらのんびりといいだろうか、いや、ボケが進むかな、などとぼんやりと歩くうち、予定していた駒山城への登り口をやり過ごしてしまい、羽山ルートを登ることとなる。入り口には表示がなく、もっぱら下山路として使われている様子である。
雑木林の中をジグザグに登るとすぐに尾根末端に達する。乾いた尾根を登っていくと、ところどころに紫のあでやかな花を鈴なりにつけたコバノミツバツツジが、春の訪れを実感させる。葉を落として裸になっている周囲の灌木も、よく見れはコバノミツバツツジが主力で、もう少しすれば尾根が紫に染まって見事なことだろう。最初のピークである羽山三角点にはすぐに着く。眼下には千種川が蛇行して流れ、のんびりと広がる田園風景と相まって和みを感じさせる。この先、アップダウンを繰り返していくつものピークを越えていくが、この眺めが終始励ましを送ってくれる。行く手右には台形の双耳峰が存在感いっぱいである。生駒山である。本当はあっちの尾根を登る筈だったわけだ。
山陽本線の走行音が時々聞こえてくる。播磨の低山ハイクでは、それは大切な舞台装置の一つである。登っては下って、の末に大鳥山に達する。ここで生駒山に周回したのでは物足りない感じなので、岩木山に向かうことにする。その方角に目をやると、尖った目立つピークがあるが、あれは手前の鳳凰山かもしれない。その左横の奥側にあるのが岩木山であろうか。縦走路を岩木山方向へと進む。これまでの稜線と比べて平坦な区間が多くなり、距離が稼げる。鍛冶山三角点で道は右に90度曲がる。続く船谷山からは、目指す岩谷山方向に鳳凰山が綺麗な三角形で眺められる。ここから岩盤の上を大きく下り、平坦なところを挟んでやがて傾斜の増した尾根となる。喘ぎ登ると南面に眺望の開けた鳳凰山に達する。ここからは緩い登りで間もなく岩木山に至る。きれいに晴れ渡った青空の下、岩に腰かけて眼下の中山間の穏やかな眺めを楽しみながら、昼食をとる。あとから登ってきた3人パーティーと単独行者は、一足先に大鳥山方向へと戻っていった。
お花見の予定があるので、そこそこで昼食を終えて我々も引き返す。途中、3パーティーとすれ違って、来た道を大鳥山に戻ったが、すでに結構な距離を歩いてきたので登り返しがつらくなっている。ここから急降下で生駒山との鞍部まで行くのだ。この区間が今日のコースで最も急なところで、ロープがぶら下がっているが、使わずに終わる。登りに入ると木々の隙間から生駒山の北面の絶壁を垣間見る。何やら人工的な地形を感じつつピークに上がると、「二の丸跡」の表示があって、城の址であると知る。生駒山の山頂が「本丸跡」で、赤松氏の駒山城が建っていたというところだ。この先は緩い傾斜の尾根を幅広の道が伸びている。というか、尾根が丸ごとむき出しの岩盤で、その上を降っていくのだ。アップダウンがない分、楽に下れる。間違えて逆周回になってかえってよかったかもしれない。
駐車場に戻った時にはかなり疲れていたが、20分程度のドライブで佐用町弦谷(つるだに)のカタクリ群落を目指して車で出発だ。途中、11年前に入院して過ごした光都を予期せず通過することになり、妙に懐かしい気分に浸る。学園”都市”を抜けて佐用町に入り、下りきった左側が群生地であった。まだ咲き始めで一面の花とはいかないが、さいたばかりのカタクリの濃い紫はインパクトがある。こうしてとにかく目標達成し、満足する我々である。佐用のホルモン焼うどんをまた食べたいという思いを残して、家路を急ぐのだった。
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