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記録ID: 8086787
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ハイキング
東北

駒寄城要害山(伊南古町)

2025年04月27日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
1
日帰りが可能
GPS
01:58
距離
4.2km
登り
287m
下り
294m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
1:59
休憩
0:00
合計
1:59
距離 4.2km 登り 287m 下り 294m
15:13
119
スタート地点
17:12
ゴール地点
過去天気図(気象庁) 2025年04月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
麓の居館部分は案内板(2つあるうちの目立たない方)の裏から踏跡あり。
詰城への登城路はほぼ完全に失われているが、藪は薄い。
奥会津博物館伊南分館にあった駒寄城の縄張図
奥会津博物館伊南分館にあった駒寄城の縄張図
林業用の作業道跡のようだが、付近の林相は利用されなくなった薪炭林であり、近現代の車両系伐採施業があったとは考えづらい。よって城の遺構(犬走り)だと思う。
林業用の作業道跡のようだが、付近の林相は利用されなくなった薪炭林であり、近現代の車両系伐採施業があったとは考えづらい。よって城の遺構(犬走り)だと思う。
犬走りが2段あるように見える。山城ではあまり見かけない構造。
犬走りが2段あるように見える。山城ではあまり見かけない構造。
主郭の北端は古町や久川城を見下ろす好展望地。
主郭の北端は古町や久川城を見下ろす好展望地。
主郭の南・東側は2m近い土塁で囲まれている。西側の土塁は少し低い。
主郭の南・東側は2m近い土塁で囲まれている。西側の土塁は少し低い。
主郭から水の手を見下ろす。
主郭から水の手を見下ろす。
主郭から南の尾根続きに設けられた堀切。
主郭から南の尾根続きに設けられた堀切。
三角点峰へ向かう途中、手前のジャンクションピークには岩塔があった。原義どおりのジャンダルムだ。
三角点峰へ向かう途中、手前のジャンクションピークには岩塔があった。原義どおりのジャンダルムだ。
ジャンダルムより唐倉山を望む。
ジャンダルムより唐倉山を望む。

感想

また昼まで寝てしまったので、奥会津博物館伊南分館で予習してから裏山の城跡を探索した。奥会津博物館は田島の本館は大変見応えがあるのだが、分館は来館者も滅多にいないようで展示物に対する解説も充分とは言えず、あまりやる気が感じられない。寂しいものである。

伊南河原田氏の久川城は伊北(只見)山内氏の水久保城と共に、蘆名氏亡き後で伊達氏への服属を拒み、その侵攻を凌いだ城として有名だが、久川城を整備する前の河原田氏は久川城の対岸にある駒寄城に拠っていた。城は山麓の居館部分と、三角点から北西に派生する尾根上に築かれた詰城からなる。
とは言え居館部分は防衛施設としても中途半端だし、日当りが悪く居住性もイマイチだったと思われ、平時は今の役場の辺りにあった東舘・西舘なる方形居館に居たようだ。なお東舘の方が新しいらしいが遺構は全く残っておらず、西舘の土塁の一部が今も見られる。堀は消え失せ、一部だけではあるが、結構立派な土塁である。
また伊南村の中心市街地こと古町の名は、元々伊南川右岸で駒寄城・東舘・西舘の城下町として存在した町が、伊南川左岸に形成された久川城の城下町を新町と称したのに対して発生した地名である。しかし新町の名はなんで消えてしまったのだろう?

駒寄城を歩く。国道からも見える看板を過ぎてから小白沢に向かってカーブする所に2つ目の看板があり、その裏が大手だったようだ。大手に向かって右手を上から抑えるように高い切岸を備えた郭があるが、居館部で城らしい遺構はほぼそれだけである。奥に進むと段々に形成された平場が続き、屋敷群があったと思われるが、今はスギ林となっているそこは数十年前まで田圃にされていたようで、だいぶ近世の改変が入っていると思われる。居館区域上端の祠がある郭の裏は浅い堀切で区切られているのみで、防御施設としては何とも心許ない。
居館の前に伊南中学の背後の680高地にも登ろうかと思ったが、クロカンのコースが造成されていて別の機会に簡単に行けそうだったからパス。このピークはかつて寺があり、河原田氏累代の墓もあったらしい。

居館の西側を囲む尾根を適当に登る。往時は居館と連絡する登城路があったはずだが殆ど分からない。縄張図の「曲輪6」が辛うじて分かったぐらい。普通山城は尾根に沿って段々に郭と切岸が連続するものだが、そんな普請をするには元の地形が急過ぎるのだろう。郭を造成できる緩傾斜地迄は比高150mぐらい登らねばならない。自然地形だけでかなりの防御力だが、籠城する側も疲れるし麓との連携も取れない、使い勝手の悪い城である。久川城に移ったのも納得だ。

フルマラソン以来トレーニングをサボりがち且つ引越のゴタゴタもあって運動不足で、遺構も大したこと無いなあと思いながら惰性でチンタラ登っていたが、上部の遺構は割と保存状態が良かった。使い勝手の悪い城にしては気合入れて普請してある印象。縄張図の曲輪5は自然地形と見分けがつかず、堀切2で城域は終わりだと思うが、その堀切から連続する形で主郭群の比高30mぐらい下の西側をコンター沿いに犬走りで囲んである(縄張図には描写されていない)のが珍しい。堀切の辺りから東側へトラロープが垂れており、こっち(居館から谷を詰めて)から登るのが現在の正規ルートのようだ。

三角点峰へも足を延ばす。三角点がある他は何もない山頂だったが、手前のピークはジャンダルムになっていて少し展望が得られた。

ジャンダルムから北側の尾根を下るのにも興味を惹かれたが、城に戻り曲輪3を見に行く。こっちの尾根伝いに搦手口があるかと思ったが、曲輪3の西側は崖になっていて通れない。今は木が伸びているが刈り払えば内川方面の眺めが良さそうだったので、見張り用の郭だったのだろう。北西側の斜面を適当に降りた。

総括すると城に上がるには今回登った尾根を登る(曲輪6で防衛)か、下った北西斜面を登る(犬走りとそれに伴う切岸で防衛)か、居館から谷を詰めるか背後の山々を経て、尾根伝いに主郭の南側に迫る(堀切で防衛)ことになる。伊達勢(実態は田島の長沼氏だと思うが)が攻めてきた時は内川方面を警戒していた所を多々石方面の大内沢峠から攻められており(当時駒止峠はメインルートでは無かったことが窺える)、そっちからだと尾根伝いに上から少数精鋭部隊に攻められ、同時に小滝川の谷蔭から現れた主力部隊に居館部を陥され、搦手らしい搦手も無いのでかなり困ったことになりそうだ。

ところで実戦に供された久川城の方は3年前に見分したが雄大な城である。河原田氏の後で蒲生氏の改修があったらしいがそれは未完に終わったっぽいので、河原田氏の対伊達戦の時点でこの雄大さの大半が完成されていたと思う。山間僻地の小領主には不似合いな巨城にも思えるが、博物館には江戸期に当地が特産の麻や苧麻でかなり儲けていたことも展示されていた。微妙な造りではあるがそれなりの規模の駒寄城に見切りを付けて新城を築くぐらいだし、中世河原田氏は今の感覚で考えるよりもずっと経済力のある勢力だったように感じられる。

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