富士山(御殿場ルート・厳冬期)
- GPS
- 11:03
- 距離
- 19.7km
- 登り
- 2,509m
- 下り
- 2,567m
コースタイム
- 山行
- 9:54
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 10:59
天候 | はれ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大砂走りの下りは極めて危険 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
靴:スカルパミラージュ
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感想
2年越しの目標だった富士山厳冬期の登頂を達成してとても感慨深い。と同時に、いくつか学ぶこともあり考えさせられる山行になった。
富士山厳冬期の登頂は2年前から漠然と目標の一つとして据えていた。無雪期の御殿場ルートも下見してあったのだけど、昨年は骨折で冬季を棒に振ってしまった。今季も比較的風の弱そうな休日を狙って待ち続けていて、ようやくそれが実現した。逃すわけにはいかない。
富士山スカイランは積雪・凍結なく、ノーマルタイヤで太郎坊洞門まで行けた。6時過ぎだったので洞門先の空き地は満車。路肩に残雪があるので路肩駐車も容易でなく、やむを得ずバリケード近くに路駐っぽく車を止めた。
山行は本当に素晴らしいものだった。登山者は極めて少なく、広大な富士山を見渡す限りほぼ一人きりで歩いていたようなもので、爽快な非現実感を味わっていた。今でも夢のように思う。
しかし、雪山の恐ろしさを思い知った山行でもあった。晴天、無風、比較的暖かいという、冬富士ではめったにない好気象条件であるにも拘わらず、山頂では暴風、そして下りでは滑落の恐怖を味わった。滑落をピッケルで止めたことのある人って実際のところどれだけいるのだろうか? ピッケルなんてただの飾りで、滑落したらピッケルくらいでそうそう止められるものではないと僕は思っていた。滑落停止訓練と違って、とっさの際に適切にピッケルを突き立てる行為もそううまくできるとは思えなかった。なので、登りでは急斜面でもポールで歩くことが少なくなかった。しかしそれではいけないのだ。滑落の危険のあるところではポールではなくピッケルを持つべきなのだ。しかも、転んだ時にすぐに使えるような向きに持っていなければならないのだ。
今回の富士山に関していえば、大砂走は下りに使ってはいけなかった。斜面が急すぎて、万一滑落した場合あまりにも危険すぎる。雪が腐れば気持ちよく走れそうだけど、今回はダメだ。ブル道を下ったほうがまだマシだったのだろう。
数少ない冬山経験において僕は既に2回も滑落している(初の滑落も富士山)。今回は運よく止まったからよかったものの、このまま同じことを繰り返していたら確率的に言って遠からず止められない滑落に遭遇することはまず確実である。どうしたものかと思う。
登りの失速には愕然とした。とくに八合目から山頂までは、高度差300mに1.5H以上かかっている。トレラン時なら300mは30分程度なので、3倍以上だ。もちろん雪の上なのでトレランと同等とまではいかないけれど、大差ないスピードで行けるものだと思い込んでいた。何が違うのか? 足の重さだ。普段のトレランシューズは片足約300g。一方で冬用の靴とアイゼンは合わせて片足1200gを超える。まったく、桁が違う重さだ。トレランと同等のスピードなど出せるはずもない。こうなると考えどころは、トレランシューズも軽くすればさらにスピードを出せるのか? ということだ。今さらながら靴の軽さの重要性を改めて認識した次第である。
下山後、左足親指爪が内出血していることに気付いた。下山時に妙に足先が痛かったのはこのためだったのだ。トレランシューズでは足先を痛めることがまったくなかったのに、より足保護に優れているはずの登山靴でなぜ足先を痛めてしまうのか? たぶんサイズが小さいのだろう。登山靴は固くて融通利かないからなあ。これもまたどうしたものか。
確実に好天を狙っていたのは、僕の手持ちの冬用装備品が貧弱そのものだからだ(逆に貧弱な装備品でどこまでできるのか/できないのかを試してみたかった)。何しろヘルメット、ゴーグルがない。厳冬期用ハードシェルもないのでレインウェアで代用、中間着も持ってないのでユニクロのフリース、手袋は25年前のスキー用だ。今回は事なきを得たが、マジで命がかかっているので命を守る装備品を疎かにするのは愚かなことだ。山に行く回数を減らしてでもまずは必要な装備品を揃えたいところだ――といっても先立つものが…。
とまあ、いろいろ考えることの多い山行だった。
水分持参:1.4L(うち保温1L)、消費800ml。食料消費:稲荷x6、赤飯おにぎりx1、大福x3、煎餅小袋x2、板チョコx1。比較的暖かくて荷物は何も凍らなかった。
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