三滝・熊鷹山 🛰au Starlink Direct調査山行


- GPS
- 03:42
- 距離
- 9.1km
- 登り
- 767m
- 下り
- 782m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
三滝へのルートは荒れています |
その他周辺情報 | 🍚 シャンゴ(伊勢崎市) |
写真
感想
🛰au Starlink Directを登山の安全補助へ実用できるか検証第一弾、失敗😭
◆ 計画
当初はもう少し高山を目指そうと考えていましたが、直前の天気予報によると3,000m級や那須近辺は午前中いっぱい20m/sを超える強風予報でした。
このため風の影響がほとんどない低山で栃木の山150を巡ることにしました
山リスト上の未訪問スポットはまだ50以上あるので選び放題です。4日前にサービスがスタートした非au回線利用者向けau Starlink Direct🛰を使った山行中のスマホ圏外からの位置情報送信テストを兼ねるならどこが良いかなと考えた結果、鹿沼の三滝が未訪だったのでここをメインとしました。
三滝へのルートは谷筋を歩く沢登りに近いコースで、せっかくなら尾根や見通しの良い場所でのテストも織り込めると良いなと考えて過去記録を探したところ
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-8143097.html
こちらのルートがとても良さそうだったのでこのルートで歩くことにしました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-8141548.html
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-7749032.html
なお、ルート上の危険箇所類はこちら2つのレコがとても丁寧だったのであわせて参考にさせて頂きました
計画段階での懸念は上記レコでも言及されているヤマビルで、鹿沼あたりの山へ登るにはちょっと時期が遅いかもしれないと思いつつ ツツジがちょうど良いタイミングでもありそうなのであまりにも酷ければ撤退する覚悟を決めて山行計画を作りました
◆ 衛星利用の準備
若干技術的になりますが、現在au Starlink Directで使えるのはSMSとRCSと緊急地震速報類で、音声通話非対応、通常のデータ通信は夏以降対応予定とアナウンスされています
現状のau Starlink Directを使ってヤマレコのいまココ(個人的にはヤマレコの革命的に素晴らしい機能だと思っています)のような仕組みを実現するためにはどうすれば良いか、を探索するのがこの日の目的です。
Androidスマホからは「Googleメッセージ」アプリ経由で位置情報を送れる、Geminiとのチャットもできる、というのが現状のサービス内容ですが、逆に言えばそこまでしかできないのでたとえばヤマレコアプリが山行中にデータ通信で自動送信する位置情報はau Starlink Direct経由ではヤマレコのサーバーに届かず、いまココに反映されないということになります
このため、現状au Starlink Directで送信できるSMSを使っていまココのような仕組みを構築します。
今回の山行で一番準備に時間がかかったのはこの部分でした。
なんとか山行前に完成したので、仮にanzenmapと呼んでいます
https://anzenmap-asd-alpha.tozantools.workers.dev/
anzenmapを開いた時点から遡って72時間以内に登録されたGPS位置情報を軌跡で表示します
Web側の中身はCloudflare Workers + Cloudflare R2で構成しています。
機微データを保護しつつ簡単・高速動作する大規模インフラとして大変便利です。
現在は自分専用ですが、基本構造としては利用者ごとのユーザーキーとアクセスキーの発行方法を用意すればいまココと同様に複数人がプライバシーを保って利用出来るようになっています
厄介なのはSMS/RCS経由でGPS座標や関連の安全関連情報を適切に受信する方法です。
正攻法でいくとRCSの企業ユーザー(+メッセージでいう公式アカウント)を用意して携帯キャリア側とのゲートウェイを設置する必要がありそうですが、時間もお金も相当かかります。
今回はSMSを受信してデータを抽出してクラウドへ転送する端末を自宅に置いておくことにしました
au Starlink Direct専用プランはeSIM契約としてGalaxy Z Flip 4へeSIMを設定、データ送信系・受信系はいずれもAndroidスマホ上にTermuxのシェル環境で構築しました
◆ 山行
三滝までのルートは荒れているという事前情報通り、落ち葉が積もりつつもヘツリの道が崩壊しつつある箇所が多めです。
場所によっては60度ほどの斜面で20mほど下の崖までほぼノンストップで落ちそうな箇所もあったので、結構慎重に歩きました。
このあたりの嗅覚は栃木百名山の尾出山で鍛えられました
途中の看板のところは「↑」の矢印の方向的にはそのまま沢を進むようにも見えましたが少し引き返して高巻きを選択しました。
踏み跡は多めだったのでよく使われている高巻き道のようでした
三滝自体はちょっと遠巻きに眺めた程度です。ルートの末端はあと20mほど続いているのですが、前夜までの雨で水量が多く、飛び石でのルート進行は無理でした。
靴を脱げば奥へ進むこと自体は出来たと思いますが沢用ソックスも持ってきていないため足を石で切っても嫌だし想定外の入渓をするほどではない、と結論付けました。
この日持ってきていませんでしたが、モンベルの沢用ネオプレンソックスは最低限の滑り止めもついているので数m程度の渡渉なら足裏を保護しつつ安心してこなせます
三滝から少し引き返して展望台経由で尾根に登ったら、あとは鹿沼の雷電山のようにガンガン登っていけばほぼ熊鷹山です。
電波状況のチェックがてら十二山にも立ち寄りました
熊鷹山の山頂展望は素晴らしいものでした。電波チェックの文脈ではちょっと展望が良すぎて50kmぐらい先の地上基地局からの電波も平気で届くのであまり向いていない感じでしたが、、
少し地上見通しが悪くて頭上が開けている場所へ移動したりしつつ、衛星への接続が確立する場所を探しました
山頂ではソロの方と2人パーティーの方と一緒になりました。どちらの方もよく近隣の山へ登っていることが感じられました。
特に、2人パーティーの方は私がウロウロしていたら「別の尾根(沢)へのルートに入ってますよ」と声をかけてくださったり、白ハゲ口ルートは以前はとても良いルートだったけれど5年前の台風19号の影響でかなり荒れて(これは三滝側も)からあまり人が入らなくなった、ちょうどヤマビルもその時期から出るようになってなおさら人が減った、など教えて頂きました。
この山域が好きなのだなぁと伝わってきて、良いひとときでした
◆ 衛星経由の通信の結果と次回
結果としては一度もStarlinkのD2C経由でのSMS送信はできませんでした。
anzenmapに反映されているのは、途中で通常の地上基地局経由で送信したSMSによる安全確認データのみです。
しかしau Starlink Directへの接続状態を検出する方法は十分に絞り込めたので、次は行けると思います
今回、au Starlink Directに関する情報収集があまり足りていませんでした。
具体的には、通常のStarlink衛星(地上550km)よりもさらに低軌道(地上340km)へ新規投入した衛星を使っているということぐらいしか知らない状態でした。
最終的にこれが失敗の原因で、もう少し事前に情報収集しておけばより充実した実験結果が得られていたと思います
致命的なポイントとしてSIM側の設定だけではなくPLMN選択に関する端末側のキャリア設定が必須という点を見落としていました。
今回利用したGalaxy Z Flip 4は対応端末リストに入っています( https://www.au.com/mobile/service/starlink-direct/enabled-device/ )が、これはあくまでもau販売版 SCG17 の話で 手元端末はdocomo版 SC-54C です。
「au/UQ mobileで購入したスマートフォン」というのは契約上の話かと思って読み飛ばしていました
私の認識ではStarlinkのD2Cは技術的にはBand 1のLTE基地局がたまたま340km上空にあるようなもので、なるべく技術セット的に従来の仕組みから変えないこともまた重要な端末カバレッジ要件であるため、新規発行したeSIMを使っていればせいぜいアンテナピクトがStarlinkにならない程度でau回線として普通につながると思っていたのですが、考えが甘かったです
au Starlink Directの仕組みは? ―スマホが直接衛星とつながり、100%のカバレッジ実現―
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/column/fujioka/2010587.html
これから技術的にau Starlink Directを扱うならこの記事が必読です。
地上局よりもD2C局が優先接続されるとかなり厄介なので地上局圏外の状態でのみ接続されるような何かしらの制御はあるだろうと思っていましたが、この記事を読んでそもそもKDDIがOTAで設定データを流し込んだ約600万台の端末(+今後OTA更新がかかるもの、ほか)とiPhoneとPixel 9シリーズが現状の正確な対応端末群だと理解しました。
iPhoneはキャリア設定更新がau版だろうとdocomo版だろうと関係なくOTAで降ってくるのですが、Pixelシリーズ以外のAndroidでは仮にSIMロックフリー版でも端末・キャリアのセットによって主にキャリア主体でこれらの更新データが管理される、というのは考えてみれば当然のことでした
次回は別の端末で検証してみます
コメント
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私も au Starlink Directが山中で使えるようになるとどうなのかな
ととても興味深く読ませて頂きました
次回以降もトライください、フォローしています。
本論からずれましたが、ここの登りは崩れているのでルーファイ注意と思っていましたが、やはり気の抜けないルートなのですね
お疲れ様でした。
こちらのルートはおそらく元々よく整備された登山道だったようで、大雨などの事情でほんの数年間手入れが入らないだけでどんどん荒廃して危険箇所が増えているのを感じました。
au Starlink Directについてはこの週末の山行でだいぶ情報が集まったのでもう少し整理してみます!
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