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Yamareco

記録ID: 896117
全員に公開
ハイキング
道東・知床

北根室ランチウェイ 〜71.4kmスルーハイク〜 (中標津から美留和)

2016年06月11日(土) 〜 2016年06月12日(日)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
73.1km
登り
1,729m
下り
1,610m

コースタイム

1日目
山行
12:27
休憩
2:32
合計
14:59
3:34
218
中標津バスターミナル
7:12
7:15
146
開陽台
9:41
10:09
126
佐伯農場
12:15
14:01
91
養老牛温泉
15:32
15:47
166
モアン山登山口
18:33
西別小屋
2日目
山行
6:16
休憩
0:47
合計
7:03
4:25
90
西別小屋
5:55
6:07
6
6:47
6:53
32
7:25
7:29
30
7:59
8:04
90
9:34
9:54
94
11:28
ゴール地点
天候 曇り、強風、小雨、晴れ(11日) ガス、晴れ、ガス(12日)
過去天気図(気象庁) 2016年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
帰りの行程 美留和〜標茶 12:10発JR(これを逃すと17:07まで無い)740円
      標茶〜中標津バスターミナル 12:50発阿寒バス 1700円  
コース状況/
危険箇所等
北根室ランチウェイ 公式ホームページ
http://www.kiraway.net/

特に危険なところは無い。
第1ステージ 街中を抜け歩きやすい道だが、長い砂利道はちょっと退屈。分
       岐などわかりにくい所は無かった。
第2ステージ 展望の良い開陽台から始まる。その景色の中を歩いていることを
       実感するコース。分岐など分かりにくい所はない。
第3ステージ 牧場や森の中は心地よいが、若干林道がだるい。分岐などしっか
       りしている
第4ステージ 養老牛温泉から森を抜け、道東の大地を眺められる北海道を感じ
       るコース。モアン山はAmore!分岐も分かりやすい。後半の林道
       は辛いかも。
第5ステージ 西別岳へひと踏ん張りの山登り。迷うところは無い。
第6ステージ 摩周湖展望を楽しんで、観光客の喧騒から、一瞬にして違う世界
       に入り込むコース。半分以上を占める林道は、長く感じる。要所
       は目印がある。

西別小屋はdocomo、au共に電波は入る。何かの時に安心。
その他周辺情報 途中にある養老牛温泉だいいちは、日帰り入浴の時間制限あり。
13:00〜15:00、19:00〜21:00
600円、タオルを貸してくれる。 
懐かしいスコットランドでの一コマ。エディンバラからグラスゴーに向かう、途中の村で歩かせてもらった。
3
懐かしいスコットランドでの一コマ。エディンバラからグラスゴーに向かう、途中の村で歩かせてもらった。
中標津バスターミナル横の出発地点。ここから長いトレイルが始まる。今日は長い一日になりそう。
1
中標津バスターミナル横の出発地点。ここから長いトレイルが始まる。今日は長い一日になりそう。
左手には野球場。
左手には野球場。
橋のアクセント。星座を刻んでいる。
橋のアクセント。星座を刻んでいる。
気温11.7度。
役場前、見落としやすい。
役場前、見落としやすい。
森林公園行きの道路から外れる。
森林公園行きの道路から外れる。
森の中を行くと。
森の中を行くと。
広場へ。
足元にもしっかり書かれている。
2
足元にもしっかり書かれている。
立派なパークゴルフのクラブハウス。
立派なパークゴルフのクラブハウス。
中標津空港の分岐。
中標津空港の分岐。
最初の牧場へ、桜井牧場。
最初の牧場へ、桜井牧場。
靴の消毒と記帳する。
靴の消毒と記帳する。
恐る恐る入った牧場。歩き出せば良い感じ!
1
恐る恐る入った牧場。歩き出せば良い感じ!
大きな虹が!ウイニング・ザ・レインボー!
5
大きな虹が!ウイニング・ザ・レインボー!
気持ち良い、防風林内の道。
1
気持ち良い、防風林内の道。
防風林と砂利道コースを選べる。
1
防風林と砂利道コースを選べる。
見上げると青空がまぶしい。
1
見上げると青空がまぶしい。
あまり分からないが、風が強い!
あまり分からないが、風が強い!
開陽台が見えてきたが、雲行きが怪しい。
開陽台が見えてきたが、雲行きが怪しい。
ここで砂利道を離れて、開陽台へ。
ここで砂利道を離れて、開陽台へ。
嘘のように風が止まった開陽台。
1
嘘のように風が止まった開陽台。
開陽台からの景色。
1
開陽台からの景色。
過去に行った時の開陽台からの景色。
1
過去に行った時の開陽台からの景色。
第2ステージ始まりはここ。
1
第2ステージ始まりはここ。
開陽台から見ていた景色の中へ、飛び込んでいきます。
3
開陽台から見ていた景色の中へ、飛び込んでいきます。
道路の向こうには牛さんたちが。
1
道路の向こうには牛さんたちが。
最初のマンパス。ちょっと慎重になる。
最初のマンパス。ちょっと慎重になる。
小川には橋がかけられています。
小川には橋がかけられています。
振り返れば、開陽台があんなに遠い!
3
振り返れば、開陽台があんなに遠い!
クマ除け鈴!
左手には、広がる水平線!
1
左手には、広がる水平線!
大切なのはマナーです。感謝の気持ちを忘れずに。
3
大切なのはマナーです。感謝の気持ちを忘れずに。
少し道道を歩きます。
少し道道を歩きます。
右手に折れ、砂利道の中。強風でツライ!
右手に折れ、砂利道の中。強風でツライ!
次は保科牧場。
こんなところや、
こんなところや、
こんなところにもマークが!
1
こんなところにもマークが!
切り株にまで。
心地よく伸びた道。
1
心地よく伸びた道。
川を渡ったら、
もう松岡牧場なんですね。
もう松岡牧場なんですね。
白い犬、小屋の横にでっかく名前が書いてある(たしか、しじみ?間違ってたらごめんなさい。)迎えてくれます。
2
白い犬、小屋の横にでっかく名前が書いてある(たしか、しじみ?間違ってたらごめんなさい。)迎えてくれます。
ここにも案内が。
ここにも案内が。
マンパスを抜け。
マンパスを抜け。
どこまでも歩いていたいような道。
2
どこまでも歩いていたいような道。
防風林の中は、なぜかホッとする。
2
防風林の中は、なぜかホッとする。
これもマンパス。写真では分からないが、強風で歩くのがツライ。雨も落ちてきた。
これもマンパス。写真では分からないが、強風で歩くのがツライ。雨も落ちてきた。
佐伯農場さんに到着。第2ステージの終了地点。多分、多くの方はここで泊まるだろう。
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佐伯農場さんに到着。第2ステージの終了地点。多分、多くの方はここで泊まるだろう。
向こうがレストラン牧舎。
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向こうがレストラン牧舎。
すぐ横の川から第3ステージが始まる。ちょっと板の長さが長く。微妙な揺れに、足を滑らさないように。
すぐ横の川から第3ステージが始まる。ちょっと板の長さが長く。微妙な揺れに、足を滑らさないように。
天気が良ければ、寝転がって空を見つめていたい!
1
天気が良ければ、寝転がって空を見つめていたい!
横田牧場さん。この頃になると、牧場に入るのも慣れてくる。
横田牧場さん。この頃になると、牧場に入るのも慣れてくる。
ここには馬もいる。
ここには馬もいる。
扉を開いて!
頬ずりしたくなるような緑。
2
頬ずりしたくなるような緑。
山が見えれば気持ち良いのに。バーチャルトリップ。
1
山が見えれば気持ち良いのに。バーチャルトリップ。
ダダン・ダーダダン、ダダン・ダーダダン、ダダン・ダーダダン
ダダン・ダーダダン、ダダン・ダーダダン、ダダン・ダーダダン
落ち葉を踏みしめる。
落ち葉を踏みしめる。
やがて林道に。
見上げた空が眩しい!
5
見上げた空が眩しい!
ここまで来れば、右に折れ養老牛温泉に一直線!
ここまで来れば、右に折れ養老牛温泉に一直線!
道道505号線の横を歩いていく。北風が強く結構キツイ!
道道505号線の横を歩いていく。北風が強く結構キツイ!
湯宿だいいち、玄関は奥まっている。
湯宿だいいち、玄関は奥まっている。
ホテル内、ここで寛いでいた。
1
ホテル内、ここで寛いでいた。
露天風呂がいっぱい!内湯もヒバ作り。
露天風呂がいっぱい!内湯もヒバ作り。
日帰り入浴時間の制限あり。午前中に湯を抜いて掃除をするらしい。
日帰り入浴時間の制限あり。午前中に湯を抜いて掃除をするらしい。
お風呂からあがって一息つけば、青空が顔を出していた。
お風呂からあがって一息つけば、青空が顔を出していた。
第4ステージの始まり。温泉街を過ぎて、すぐ左側に登り口。
第4ステージの始まり。温泉街を過ぎて、すぐ左側に登り口。
木に挟まれたマーク。
1
木に挟まれたマーク。
木漏れ日が気持ちいい!
木漏れ日が気持ちいい!
坂を下っていくと。
2
坂を下っていくと。
からまつの湯。無料。ワイルドだぜ!
1
からまつの湯。無料。ワイルドだぜ!
橋を渡るところから、直視できる…
3
橋を渡るところから、直視できる…
待っていました。青い空!
1
待っていました。青い空!
根性あるわ。
坂の頂上手前、右に曲がる。
坂の頂上手前、右に曲がる。
モアン山新ルート。
モアン山新ルート。
左手には、でっかいどぉ!北海道!(わかる人は年齢もわかるよね。懐かしのANAのCM)
3
左手には、でっかいどぉ!北海道!(わかる人は年齢もわかるよね。懐かしのANAのCM)
ちょこんと見えたモアン山!
1
ちょこんと見えたモアン山!
何故か、笑顔がこぼれてる。早くモアンに会いたい。
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何故か、笑顔がこぼれてる。早くモアンに会いたい。
いくつかの橋を渡って、小川沿いの道を行く。
いくつかの橋を渡って、小川沿いの道を行く。
ロープのある斜面を登る。
ロープのある斜面を登る。
肩に食い込むザックの重さに耐えながら、登っていけば。
肩に食い込むザックの重さに耐えながら、登っていけば。
モアン山!
何故か、逆さにつけられた標識。
何故か、逆さにつけられた標識。
青空をバックにモアン山!
5
青空をバックにモアン山!
せっかくなのでここで休憩。
1
せっかくなのでここで休憩。
ここまでくると、Amore Nagatomo!ちゃうちゃう、Amore モアン! 
3
ここまでくると、Amore Nagatomo!ちゃうちゃう、Amore モアン! 
南側に回らないと見えない、モアン山の牛の字(昔、神の子池に行ったときに撮影)
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南側に回らないと見えない、モアン山の牛の字(昔、神の子池に行ったときに撮影)
この風景を、いつまでも残せたら良いね。
3
この風景を、いつまでも残せたら良いね。
川の流れも美しい。
1
川の流れも美しい。
右へ行くと清里峠。ここに自転車をデポして、中標津に帰るのが僕のお勧めかな。日帰り可能だし。
右へ行くと清里峠。ここに自転車をデポして、中標津に帰るのが僕のお勧めかな。日帰り可能だし。
絵になる(^^)/
クマよけ鈴をならして。
クマよけ鈴をならして。
湿原内は木とプラ板で、そのままで歩けました。
湿原内は木とプラ板で、そのままで歩けました。
湿原終わりの流れに作られた、水汲み場。西別小屋には水が無い。
2
湿原終わりの流れに作られた、水汲み場。西別小屋には水が無い。
青い空に白い雲。当たり前だけどそれが良い。
2
青い空に白い雲。当たり前だけどそれが良い。
林道歩きが長ーい。
林道歩きが長ーい。
西別林道に曲がります。ここからの上りのダラダラが、結構足に来る。夕方の林道はエゾ鹿が多いので注意。
西別林道に曲がります。ここからの上りのダラダラが、結構足に来る。夕方の林道はエゾ鹿が多いので注意。
分岐を右へ、後は直線を少し。
分岐を右へ、後は直線を少し。
工事中の重機が可愛く見える。
工事中の重機が可愛く見える。
無事西別小屋に到着。本日の歩数、76000歩越え。
4
無事西別小屋に到着。本日の歩数、76000歩越え。
小屋内部。誰かの別荘みたい。
3
小屋内部。誰かの別荘みたい。
第5ステージ。西別小屋横の西別岳登山口。登山ポストあり。
1
第5ステージ。西別小屋横の西別岳登山口。登山ポストあり。
ガスの中。我慢のがまん坂。
ガスの中。我慢のがまん坂。
ブラボー!青い空が広がっている。
3
ブラボー!青い空が広がっている。
西別岳は花の山でもあるらしい。
1
西別岳は花の山でもあるらしい。
右手には斜里岳の雄姿!
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右手には斜里岳の雄姿!
振り返れば一面の雲海!
1
振り返れば一面の雲海!
リスケ山への分岐を左へ。
リスケ山への分岐を左へ。
西別岳も見えている。
西別岳も見えている。
気持ち良い稜線歩き。
2
気持ち良い稜線歩き。
西別岳山頂。バックは摩周岳。
2
西別岳山頂。バックは摩周岳。
自然が作り出す絶景。
4
自然が作り出す絶景。
雲海の向こうに雄阿寒岳。
2
雲海の向こうに雄阿寒岳。
摩周湖に流れ込む霧。
2
摩周湖に流れ込む霧。
山頂をガスが覆っていく。
1
山頂をガスが覆っていく。
西別岳分岐。ここに荷物をデポしていく。
西別岳分岐。ここに荷物をデポしていく。
標高700m以上は晴れていた。
標高700m以上は晴れていた。
摩周岳山頂。
爆裂火口のすさまじさ。
4
爆裂火口のすさまじさ。
西別岳分岐に帰ってきました。
西別岳分岐に帰ってきました。
ガスの中、退屈な時間。
ガスの中、退屈な時間。
摩周湖展望台駐車場到着。第5ステージ終了。ここまで来ればもう一安心。
摩周湖展望台駐車場到着。第5ステージ終了。ここまで来ればもう一安心。
半熟たまごカレーパン。注文したら揚げてくれるので、アツアツ!300円なり。
6
半熟たまごカレーパン。注文したら揚げてくれるので、アツアツ!300円なり。
駐車場前の道路を横切り、このタイルが第6ステージの始まり。
駐車場前の道路を横切り、このタイルが第6ステージの始まり。
チシマ笹とフキの中を降りていく。
チシマ笹とフキの中を降りていく。
林道に出れば、我慢の歩き。
林道に出れば、我慢の歩き。
ゲートがあり。
鹿除けゲートを抜け。
鹿除けゲートを抜け。
ワンコに吠えられ。
2
ワンコに吠えられ。
林道から舗装路へ。
林道から舗装路へ。
すぐに踏切が。
美留和の駅が見える。
美留和の駅が見える。
北根室ランチウェイ終点。
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北根室ランチウェイ終点。
美留和の駅。最後を飾るには、ちょっと寂しい。
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美留和の駅。最後を飾るには、ちょっと寂しい。
標茶駅から阿寒バスに乗って。
標茶駅から阿寒バスに乗って。
中標津バスターミナル横の起点へ。
中標津バスターミナル横の起点へ。
バスターミナル前の美味しいジェラート屋さん。
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バスターミナル前の美味しいジェラート屋さん。
さっぱりメロンと黒ゴマのダブルコーン。350円なり!無事終了!
6
さっぱりメロンと黒ゴマのダブルコーン。350円なり!無事終了!

感想

読んでくださる方、申し訳ありません、長くなると思います。

昨年、533mさんのレコで知った北根室ランチウェイ。
533mさんのレコはこちら。
記録ID: 679515
記録ID: 751201  結構感動的なレコです。

今年になって、歩こうと決めた。仕事の都合上、日程を6月11日、12日に設定。
70km以上を歩くので、最初は養老牛温泉に泊まる予定で考えたのだが、帰りの余裕をかんがえて、1日目、西別小屋まで歩くこととした。50km以上になるのはわかっているので、その前に一度(3月)ダイトレを歩き、歩けるかどうかを確認した。
3月のダイトレはこちら。記録ID: 827314

そもそもランチウェイは、イギリスのFoot Pathを真似て作ったと言われて、興味がわいた。遠い昔、20代だった僕が、イギリスを周った時に、エディンバラからグラスゴーに向かう途中の村で、少し歩かせてもらった事を思い出した。イギリスでは、イーストボーンでも、セブンシスターズを歩かせてもらったし、あの時、出会ったもの、出会った人、懐かしい記憶と共に蘇ってきた。それは、かけがえのない大切なものだった。イングランドからスコットランドに入った小さな村で、川辺に座ってその美しい流れを、見つめていた。そこに近所の老人が散歩に来て、眼が合った。お互いサムアップのポーズをとり、ウインクする。そしておじさんは短く「Good」と言った。それで十分だった。あの頃、露骨に差別があった時代、日本人を強く意識させられたなかで、すごく嬉しかった。

11日土曜日
第1ステージ
様々な思いを抱いて、歩き始める。中標津のバスターミナル横の小さな標がスタート地点。日が昇り、町は朝を迎えているが、静かな時間。心配なのは風だ。予想以上にきつい。町を抜けて熊鈴を付ける。静けさを切り裂くように、鈴の音が響く。今回45Lザックがおニューなので、それが心配だったが、まあ問題はなさそうだ。

夢の森公園内パークゴルフ場を抜け、中標津空港へ。その後、最初の牧場、桜井牧場。まず靴の消毒と記帳を済ます。ゆっくりと入っていく。ちょっと恐る恐る。牧草地横を歩いていると、右手に大きな虹が見えた。思わず「ウイニング・ザ・レインボー」と叫んでしまった。(わかる人だけ分かってください)ただ、山側は雨が降っているのだろう。ちょっと意気消沈。

舗装路に出てすぐに、ルートが2つになっていた。一つは砂利道。一つは防風林。少し遠回りだが、迷わず防風林を選ぶ。途中で朝飯代わりにあんパンを食べた。やがて道は元のルートに。遮るものがない砂利道は、風のせいで歩くのがかなり厳しい。

開陽台下の道路と交わった所で、風をしのいで一息入れる。この先開陽台まで行けば、第1ステージの終了。森の中を抜け、開陽台に着いた。なんと、風が止んでいる。霧雨のような雨が頬を濡らすが、とりあえずそのまま一息入れて歩き出す。

第2ステージ
駐車場横の木のテラスから、ゆっくり降りていく。先行するのは、ここから歩き始めた、群馬ナンバーの車で来られたご夫婦だ。ゆっくりと下って、森の中へ入っていく。早速マンパスのお出迎え。スコットランドとちょっと違うなんて思いながら越えていく。

小川を越え、丘を登っていく。振り返れば開陽台はもう、あんなに遠い。さっき見つめてた景色の中に、自分がいることを確認する。やがて熊よけの鈴をたたき、小川を渡ると、左手に景色が広がって来た。台地が作る直線、地平線が綺麗だ。森の中は、風、雨とも凌げるので、快適だし、中標津方面は天気は良さそうだ。

丘を下り、一度道道に出て右に折れる。右側にはのんびりと、置物のように牛たちがいる。ジオラマにも思える風景。ただ遮るものが何もないところは、まっすぐ歩けないくらいの強風が吹いている。半分泣きそうだ。手に持った地図で確認しながら、ルートを辿っていく。やがて林道から舗装路へ。

次の牧場は、保科牧場。靴の消毒と記帳。牛舎のすぐ横をぬけ、防風林の下の道を歩いていく。景色は心地良いが、風は相変わらずだ。やがて川を渡ると次の牧場へ。勝手に入っているようだ。白いワンちゃんが迎えてくれると、マンパスを抜け丘を登っていく。休んでる牛さんがのどかで良い。

森を抜けると、遠くに佐伯牧場がわかるが、風のふきっさらしがきつい。雨も気持ち大粒になった。牧場内をまっすぐ歩いていくと、佐伯牧場に着いた。多くの方が、ここで一日を終えるであろう、第2ステージのゴールだ。とりあえず雨風を凌げるところで、食事をとった。予定どおりに着いたのだが、このまま雨風が強くなるようでは、撤退も考えなくてはいけないと思いながら、空を見つめていた。

第3ステージ
ここで止めようかと思ったのだが、牧舎から出てきた人が、道道に向かって歩き始めたのをみて、僕もとりあえず、養老牛まで行ってみるかと思った。最初に川を渡り、牧草地に出ると、めっちゃ強い風。あ〜とため息つきながら、足を速めていく。たぶん晴れて穏やかな日なら最高だろうと思い、イメージの中へトリップ。

舗装路、砂利道、舗装路と風に耐えながら歩いていくと横田牧場へ。入り口で草刈りをしているご主人に、「美留和まで行くのか?」と聞かれ、「ええ」と答える。ただそれだけだった。入ってすぐに大きな馬が迎えてくれる。ここには馬も牛もいて、笑顔で迎えてくれる。雨は止んでくれた。

歩くところだけ刈り込まれたまっすぐな道。気持ち良い。だけど風は相変わらずだ。
小川、砂利道とつなぐと、大きなシンバルが出てきた。ここでは「ダダン、ダーンダダン」と3回。ターミネーターのテーマ曲。ただ、風が強く、鳴らしても聞こえないんじゃないの?

心地よい森の散歩道を抜けると、林道に。これが結構長い。左手に広がる牧草地。防風林が風を防いでくれて、歩くのは良い調子なのだが、林道歩きは、なんか違うなと思ってしまう。

舗装路が見えてくると、右に曲がり、養老牛に続く道の横を、歩いていく。ただここでも風を受けて、結構歩きづらい。やがて温泉のホテルが見えてきた。また雨が落ちてきた。昔このあたりが砂利道だった頃に、オフロードバイクで来たことがあるので懐かしいのだが。

まだ12時過ぎ、湯宿だいいちで、一息入れようかと前まで行くと、おかみさんが「うちは13時からなのよ、でも上がって休憩していって」と声をかけてくれた。とりあえず、上がって寛ぎながら考えた。この先天気がよりひどくなり、このままの強風と土砂降りになったなら、ここで撤退しよう。まあ、せっかく声をかけていただいたのだから、ここはゆっくり温泉に入り、運試し。上がってきて、悪くなっているようだと撤退。良くなっていれば進もうと決める。

ただ、ここの露天風呂はいっぱいあって、川沿いすぐのところで、のんびり入れるので、気持ちよく時間を過ごすことが出来ました。朝から歩いて疲れた体には、本当にありがたかった。少し痛い左足の親指の付け根も、マッサージできたし(^^)/

風呂から上がり、この先の行程を考えれば、2時過ぎに出発すれば、予定時間までに、西別小屋には着くだろうから、大休憩となりました。結果、ホテルを出ると上空は晴れ。「天は我に味方した」とつぶやき、歩き始めました。

第4ステージ
上空の空は青い。気持ち良い。温泉で寛いだし、足取りは軽い。温泉街を越えてすぐに左手に曲がる。(登り口の木にマークがあります。)気持ちいい木立の中を歩いて行く。天気も良く余裕が出てきたせいか、のんびり鼻歌交じりに歩く。思えば、スコットランドはじめ、色々なところを歩かせてもらった。ありがたいことです。

坂を下り広場に出ると、からまつの湯だ。先客が何人か入っている。とりあえず温泉入りたてだし、ここはスルー。舗装路に出ると、坂の向こうの空は青い。それだけで気分は爽快。坂の頂上まで行くのかと思ったら、その手前を右手に折れる。モアン山新ルートだそうです。

坂を上ると、左手には道東の景色が広がり、大きな地平線。これぞ北海道。「でっかいどぉ!北海道!」ここで撮った写真を、すぐ友人にLINEする。ここまでの区間、ずっと電波が届くので、気持ち的には楽だ。丘の向こうに頭が見えるのが、モアン山だな。今回、一番楽しみにしていた光景かもしれない。

現金なもので、天気がいいと嬉しくなってしまう。景色は良いし、行程もあと少しだし、モアン山が楽しみで心は弾む。やがて小川沿いの道を、くねくねと歩いていく。ロープがかかった斜面を登ると、さっきから見えていた丘への急登が始まった。わかっていたとは言え、肩に食い込むリュックがキツイ。額に汗がにじみ始めた。でもこの向こうにはモアンが待っている。

登り切ると「見えた!モアンだ!」刈こまれた笹の道を気持ちよく歩くのだが、気になるのは左手のモアン山。青空をバックに素敵だ。きっとここを歩く人は、ここで、モアン山に恋するのかな?「Amore!モアン」笑顔いっぱいで過ごす時間は楽しい。

せっかくだから、モアン山登山口で一息つこう。この景色を見ながら、のんびり、良いね。おにぎり食べてボーとしていると、子供のころ、夕日で染まる一面のススキの中、ススキを振りながら歩いたことを思い出した。忘れかけているけど、大事なことなのかも知れない。

やがて道は道道に出る。右手は清里峠になる。残念なのは、この角度からでは、モアン山の、牛の文字が良くわからない事だ。そして今回思ったのは、ここに、自転車をデポして中標津に戻るのが、Foot Pathとして考えるなら、一番楽しめるかな。時間的にも余裕があるし。

まあ、今日はこのまま進もう。砂利道を進み、森の中へ入ると、クマよけ鈴のお出まし。大きく鳴らして降りていく。ケネカ湿原だ。一応ビーサンも持ってきたのだが、木やプラ板が置かれていて、登山靴で支障はなかった。湿原を離れる手前の流れに、わざわざ西別小屋に水がないので、ここで汲んでくださいと、水汲み場が作られていた。

斜面を登りクマよけ鈴を鳴らしたら、左手に牧草地を見ながら歩くことになる。まもなく砂利道の林道になり、ここから西別小屋まで、ずっと林道歩きになってしまう。夕方になるとエゾシカが出てくるので、気を付けて歩く。さすがにここからの8kmがキツイ。右手に曲がり西別林道に入ると、ダラダラと上りが続く、ここが我慢の為所だ。右手に折れ、しばらく歩くと西別小屋。今日の宿泊地だ。これ以上歩かなくて良いと、思うだけでホッとした。本日76000歩以上。タフだ。

小屋には先客が2名おられた。地元の方と東京から来られた方で、東京の方は中標津からここまで、3日かけて来たと話された。しかも、ネパールなどの遠征もされる方らしい。ただ気になるのは、外の強風だ。お二人によると、今日、西別岳に登った方は、強風で大変だったと言って降りてきたらしい。確かに吹きさらしの斜面で、あの強風では、一歩進むのも大変だろう。僕なら間違いなく撤退だ。朝起きて、同じ天気なら撤退しよう。

12日日曜日
西別小屋は、気持ち良い快適な小屋だった。朝、外の明るさで眼が覚めたら、風は止んでいた。ラッキー!リュックに荷物を詰め、出発の準備をする。ほかの二人の方も起きだしてきた。今日は二人とも西別岳を目指すらしい。風が止んだだけでも嬉しいのに、昨日見えなかった空がわずかに見える。ありがたい。12時過ぎのJRに乗るためには、ここを4時半に出よう。時間が余り、天気が良さそうなら、摩周岳も登れるだろう。

第5ステージ
西別岳へは、小屋のすぐ横から登る。ここからは登山となる。まっすぐに伸びた森の中の道。朝の空気を感じながら、歩いていく。横でかさかさと音がした。エゾシカだ。やがて道は、吹きさらしの道となる。強風ならまっすぐ歩くのは、まず無理だろう。533mさんも引き返したのが、よくわかる。ただ、ガスが降りてきた。エーと心の中で叫ぶ。風がないだけマシか。一人うなずきながら、がまん坂に耐えて歩いた。

しかーし、ここで奇跡が!なんと上は晴れているではないか!右手に大きな山が見える。あれは斜里岳!振り返ると一面の雲海!絶景だ!先ほどまでの心はどこへやら?急にスキップ気分。厳しい登りにも耐えられると言うものよ。

第1お花畑、第2お花畑と過ぎ、リスケ山分岐を左へ。気持ちよく続く稜線。これこれ!待ってました!心で叫びながら歩いていく。右手には、摩周岳も見えている。爆裂火口の感じがよくわかる。もともとの摩周岳は、かなり大きな山だったのだろう。

稜線歩きを楽しんでいるうちに、あっけなく西別岳山頂に着いた。山頂下に休憩場所がある、ここは結構強風が吹くのだろう。素晴らしい雲海の中、遠くに雄阿寒岳も見えた。今日は間違いなく運の良い日だ。と思ったら、急にガスが上がってきた。

みるみる視界を閉ざしていく。まあ、これだけの景色を見たのだから仕方あるまい。西別岳分岐を目指して歩いていく。分岐で摩周岳に行くかどうか思案したが、十分に時間があると考え、荷物をデポして歩き出す。

しばらくはガスの中、退屈な歩きだったが、標高700mを超えると再び晴れ間の中に。今日は嬉しさと悲しさが交互に来る日だな。まあこれも自然の中、仕方あるまい。山頂は見事な景色で、迎えてくれた。飛び交う燕たちの数が多いことに驚いたが、楽しい時間に変わりはない。

西別岳分岐に向かう途中、すごくきれいな外人さんカップルが歩いてきた。分岐のベンチで一息入れ、再び稜線を歩き出すが、またまたガスの中になってしまった。まあ霧の摩周湖、当然か?今まで何度も摩周湖に来ているが、初めて湖面が見れないかも知れない。

退屈な時間が過ぎていく、左手に車の音が聞こえ始めた。展望台は近い。やがて展望台の駐車場に。ここで土産物屋さんにはいり、休憩。JRの時間調整をする。ちょうど腹も減ったので、半熟たまごカレーパンを食べた。

第6ステージ
最後のステージはほぼ下りの道、足元に気を付けて降りれば良い。駐車場前の道路を横切り、タイルの入り口目印を探す。さあ長かったトレイルの仕上げだ。ただ降り始めると、フキとチシマ笹の生い茂る谷沿いの道は、決して気持ちの良いものでは無い。ヒグマのことを考えると、夕方や早朝は遠慮したい道だ。

30分ほどで道は林道に出る。ここから先は林道に沿って歩くだけ、分岐にはランチウェイの標識があるので、迷うことは無い。右手にアトサヌプリが見えてくると、あと少し。舗装路に出れば、すぐに踏切があり、そこから美留和の駅が見える。

美留和駅に着いた。古い客車を駅にしただけの誰もいない駅。最後を締めるには、ちょっと寂しい気もするが、無事に歩けたことに感謝した。駅の前の、北根室ランチウェイの標を写真に収め、ゆっくりと電車を待った。

一両編成の列車で、標茶へ。そこから、バスで中標津バスターミナルへ。バスの中で広がる景色を見ながら、ボーとしていた。やがて心地よい眠りに。20分ほどして目が覚めたら、この2日間を思い起こしていた。

多くの方に支えられて、この道が成り立っている。関わって下さっている皆様に、感謝。もちろんそれは、すべての事が同じなんだろうけど。素直な気持ちで、ありがとうと思った。

当たり前だけど、感謝する気持ちって大事だよね。そう思いながら、バスを降り、もう一度、出発点の標を写真に収める。

昨日停めた愛車は、帰って来たねと、迎えてくれた。ターミナル前の美味しいジェラート屋さんで、お祝い代わりにダブルコーンを頂いた。終わったことへの安心感と、皆様への感謝の気持ちが広がっていく。

ここまで読んでくれた方が居たとしたら、本当にありがとうございました。今、無事に、このトレイルを終えてホッとしています。

最後に、佐伯さんは、根室から中標津までもFoot Pathを作るらしい。機会があれば皆さんもぜひ!COMINCIAMO!

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コメント

お疲れ様です
山行記録、読ませて頂きました。
え!2日で完歩!!
初日で西別小屋まで!!!
すごい!!!!
私は小刻みにランチウェイ完歩を目指し、先日やっと西別小屋でした。
松岡牧場さんの白い犬。吠えられてしまい、早々に退散しましたが。
私も「しじみ」だったような気がします
2016/6/14 18:42
Re: お疲れ様です
stone_riverさん、コメントありがとうございます。

仕事の都合上、2日間しかなかったもので、確実に計画を練りました。
まあ、無事に歩けて良かったです。

やっぱりしじみでしたか。
stone_riverさんも、美留和までの旅を楽しんでくださいね。
2016/6/15 0:21
otoさん!!
行かれたのですね〜^^
スルーハイクおめでとうございます♪
それにしても、なんというスピード!私には空身でも無理な速さです(*_*)
昨年痛められた肋骨の調子はどうかな、とぼんやり思っていましたが
全然心配無用でしたね^^

どの写真も懐かしく愛おしく、まるで自分がまた歩いているような気持ちで拝見しました。
そしてあちこちに素敵なサインがどんどん増えてる〜!
ルートも少しずつ進化しているし、また行かなくちゃ。
歩く人にも、その土地の方にも、どんどん認知されていってるのがわかります。
根室までも繋げて歩けるなら、バックパック背負ってのんびり旅がしたいな〜

素敵なレコを見られて元気もらいました。
いつかスコットランドのお話も聞かせて下さい^^
2016/6/14 19:58
Re: otoさん!!
533mさんこんばんは。

533mさんのおかげで、知ったランチウェイ、楽しく歩かせていただきました。
533mさんのレコを何度も読んでいたので、半分自分が行った気分でした。
そして、養老牛温泉でのんびり過ごしている時、533mさんはどんな思いで、この温泉入っていたんだろうと、思っていました。
結果として、お先にスルーハイクさせていただきました。

そんな533mさんに楽しんでもらって嬉しいです。
咋年傷められた所は、良くなられましたか?
もし3度目が有るのなら、一日ぐらい一緒に歩きたいものです。

きっと533mさんのレコをみて、ここを歩きたくなった人が、自分を含めて一杯いると思います。モアン山に早く会いたかったのも、きっとそのせいです。
本当にありがとうございました。
2016/6/15 0:50
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