日永岳のふもと仲越分校跡(笹畑山遡行の下見)
コースタイム
天候 | 雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
谷合(神崎川と武儀川の合流地点)から伊住戸まで平日は大型ダンプの通行多い。(伊住戸に鉱山がある。)その先仲越までは全舗装されているが道幅狭く落石多い。 |
その他周辺情報 | 伊住戸の先に「ゴロゴロ滝」がある。 |
写真
感想
2か月前にシャクナゲの日永岳へ登ったばかりである。たまたま所用で美山まで来たついでに、長年の懸案であった「仲越ー廃道ー笹畑山ー日永岳」縦走の下見をしておこうと思い立った。美山から仲越廃村まで1時間弱で走れる。午後から休日にする旨、会社に連絡をいれ、ハンドルを北に切った。
そもそも登山の楽しみのひとつは計画の段階にあるのではないだろうか。その山の地理や歴史を調べ、かつて歩いたことのある他人の記録から、あれやこれやと思いを巡らせる。国土地理院の地勢図を枕元においてながめていると、すぐ1時や2時になってしまうことはないだろうか。
ツアーでの富士山や北アルプスも登山の楽しみ方のひとつに違いないが、私のような「やぶ」好きもまたその存在を許されるのではないだろうか。
ネットを見ているだけでも私以上の「ヲタク」御仁はゴマンと存在する。
また、だれも来たことがないだろうと思っていた滝の落ち口に、古いボルトが打ち込まれていたり、懸垂に使ったロープが残されていたりする。どこにも記録は残されていないが確かに私以外の先人猛者たちは存在した。
廃道はヤブに覆われて簡単に歩けそうもないから、沢を詰めて尾根へと上がるしかない。しかし、この谷に関する記録がネットや私の持っている本のどこにもない。もう一本の北側の谷は笹畑山から下る尾根を間違えた登山者の記録が残っているものの、登りには使えそうもない。沢が枯れた先はおそらく猛烈な笹やぶと急な崖が待っているに違いない。(この山の植生は日永岳に似ているはずだ。)
廃道沿いの沢を詰めるしかないが、倒木に塞がれていたり、地勢図では読み取れない思わぬ大滝が待っているやも知れない。時期は木の葉が落ちた雪の降る前しかないだろう。薄氷の浮いている沢を辿る登山ほど辛いものはない。
廃校のグランドの片隅に車を止めて、コンビニで買った弁当を開いた。
外は篠突く雨に煙っているが、どこからかオルガンの伴奏でこどもたちの歌声が聞こえてくるような気がした。
1986年の廃校時には二十五人もの生徒がいたらしい。それほど多くのひとびとがこの山深い最奥の集落に、どのような暮らしをしていたのだろうか。雪で埋まった寒い冬の夜は家族で、どんな会話があったのだろうか。温暖な海辺の町に育った私の想像をはるかに超えた厳しさだったに違いない。
かつて岐阜の柳瀬で行きつけの飲み屋に、根尾の越波出身だという娘が働いていた。おせじにも美人とは言えないが、リンゴのような頬をしていて一目で山から出てきた子だなとわかった。いつもニコニコ笑顔を絶やさない明るい娘だった。「どうしてあんな山奥に育ってこんなにも素敵な笑顔でいられるのだろうか」と不思議におもったものだった。
・・蛇足・・
家に帰って風呂に入ろうとして、脱衣場ではじめて気づいた。「ヒルにやられている。」 左脚の脛に血糊がついているではないか。痛みも痒みもなく4時間も気づけなかった。雨が降っていたためほとんど車の中にいて、写真を撮るため、数分間外に出ただけだった。登山靴もスパッツもつけていない無防備な人間を相手に卑怯なやつだ、と思ったが後の祭りだった。こんどからは「ジョージ」とかいう魔法のスプレーを準備しなければ。
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