西上州立岩3ルンゼ
- GPS
- --:--
- 距離
- 1.7km
- 登り
- 398m
- 下り
- 379m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ネット上に有る他の記録にも書かれている通り、 登りよりも下りの懸垂下降で大変に気を使う事になった。 帰路の関越自動車道は殆ど渋滞も無く戻ることができた。 参考にしたサイト http://homepage3.nifty.com/carpaccio/carpa2003_01_25_tateiwa3runze.html http://climbing.x0.com/2005/050205tateiwa.htm |
写真
感想
道の駅しもにたのベンチで前日の夜を明かし、5時前にT氏がお湯を沸かすストーブの音で目を覚ました。
ベンチの上にシュラフを広げて寝たのは初めてだが、いつものマットではどうもは背中が痛くなるようだ。
暗いうちに出発し立岩3ルンゼへ行く前に下見で手前に有る行者の滝へ寄ってみた。前回は見つけることが
出来なかったようだが今回は発見。写真で見るより直に見ると遥かに鋭く立っている。S氏は「面白そうだね〜」
とさも嬉しそうに仰るが。。こりゃぁ勘弁してくださいってかんじ。。
堰堤の工事中の現場に到着。日曜日の為か休みのようなので資材などを置いてある少し広めの場所へ車を駐車する。
堰堤を越えて沢床へ下り登っていくが水流は結構細い。この沢にあの巨大な堰堤は??登りは沢床をメインに登って
行ったが、下りは上からの踏み跡を辿ると右岸に有る作業道を辿ることになり、そのまま堰堤の直前まで出ることが
できた。
最初に現れるのは右岸に有る支流で1ルンゼの氷瀑だ。この支流もF3まで有り登ることが出来るようだが今回はスルー。
小さなルンゼを越えると程なくして左手の奥に氷瀑が見えてきた。広いテラスになっている取り付きで装備の準備を
していると小さな落石の音が聞こえる。がひと際大きな音が上の方から聞こえてくるのでそちらの方へ目を向けると、
驚いたことに小鹿が横になったまま背中を下に向け、垂直に近いルンゼ状の斜面を滑り落ちてきた。初め既に死んだ鹿が
落ちてきたのかと思っていたが、斜面の途中で止まった鹿をよく見るとまだ微かに動いている。足を滑らせて落ちたのか。
しばらくすると完全に動かなくなってしまったようだ。合掌。
F1。T氏リードで登っていく。2番手は自分。垂直部分は下に有る数メートル。前回の仙波の滝、前々回の塩沢右俣と
経験値は少ないながらもヘビーに揉まれてきたのでプレッシャーは皆無。しかしこの慢心がミスを招いてしまった。
最近はアックスを打つポイントも大分正確にピンポイントで打てるようになってきていた。目の前にダブルのロープが
2本流れているが、丁度登るラインに有りアックスを打つポイントになってしまう。今、自分のアックスを打つ精度から
だとロープの5cm位横でも大丈夫だろうと思いっきり打つと、その瞬間ロープも少し動いたこともありロープにヒットし
突き抜いてしまった。直ぐに確認するが芯の方は大丈夫だが表面は完全に裂けてしまったようだ。
F1の上に上がりロープを確認すると、もう切ってしまうしかない。1本のロープは車に置いてきたので50mのダブルロープ
2本だったが1本は40mになってしまった。今回のルートは50m一杯に使うラインなのでかなりやばくなったが、両氏はとり
あえず行きましょうと先へと進んでいく。。
ナメを100m位進んでいくと今度はF2F3が見えてきた。下から見ると50mまで行く前にも支点の取れそうな所が有る。
T氏リードで登っていく。F2核心部の上部抜け口でT氏がビレイしている私に「ビレイお願いしまーす」と声をかける。
ん。。やばい?。。氷瀑は細くなり氷も薄そうだ。両側の岩へ大きくスタンスを取りながら上えと抜けていった。
これを見ていたS氏「ナイス。ナイス。ナイスクライミング。」とご満悦の様子。。
次は自分。核心部の抜け口まで来ると、やはり氷が薄い。下手に強く打つと氷がどんどん割れてしまう。かといって氷の
下に有る見えない岩に引っ掛けて体重を乗せる気にもならない。何とか厚めの氷にアックスを決め、岩へのスタンスを
うまく使いながら上へと抜けた。最近はクライミングジムへもなるべく行くようにしているので、身体の使い方が良いのか
それほどプレッシャーは感じなかった。S氏は「もう2パーティーも来たら氷は無くなるね」と仰っていた。
F3は80度の50m。ただし下から見るとそれ程長くは無い。ただ表面が泡だって白くなっている。晴れると日が当たるのか?
ここはT氏もあまり状態は良くなさそうだと言う。何箇所か下の方へスクリューを試してみると以外と効いているようだ。
S氏が登ってきたのでこの事を告げると。ちらっと一瞥して「ふ〜ん、そお。」。。とっとと行けだそうです。。
またT氏リードで登るが、ここでまたしても自分がミスを犯してしまった。スクリューを回収するのに今までにも何度かあっ
たが、スクリューにヌンチャクを付けたまま回すと、抜ける瞬間持ち易いが、そうすると回している最中にカラビナが引っ
掛かり外れてしまうことがある。今までは何とか落とさずに済んでいたが、今回初めて登っている途中に落としてしまった。
私が登ると3m位の間隔を空けてS氏が下から直ぐに後を追って登ってきている。私が10m位。S氏が7m位登った所だ。下の
テラスでヌンチャクは止まっているが、帰りは懸垂を使わない可能性が有るので今回収するしかない。自分が下りますと
告げるが近いS氏が回収に向かう。T氏がルベルソの自動ロックシステムを使っているので私はスクリューとアックスで
3箇所に確保を取り、その間にS氏を下まで下ろし登り返してもらった。F3を登ったところで既に14:00。もうF5まで行く
時間は無くなってしまった。
F4は60度から70度位の緩い傾斜の氷瀑。今回ここでリードをとらせてもらおうと思っていたが、いざ到着してみると確かに
緩い。。これはスクリュー無しでも良いくらいに見えるが、まともなリードをしたことの無い自分には十分か。となるべく
斜度の立ったところを探しながら練習なので4本のスクリューを使い、最後はテラスにスクリュー2本を使い支点を作り後続を
迎えた。懸垂の支点をT氏が作っている間にS氏はF5を偵察。下に在る垂直の核心部分は50cm位しか繋がってなく、どうやら
時間が有っても登ることは難しかったそうだ。F5は次回のお楽しみということで。
然しながら今回のアルパインアイスの核心部は実はここからの下降に有った。
自分のミスの為に、今ザイルは40m1本と50m1本しかない。2本のロープを結び、支点からロープの回収時に引く方へ結び目を
ずらすと45m使える。F4は特に問題ない。F2F3はトポを見ると巻き道が在ると書かれている。当初はこの巻き道を使う予定
だったが、いざ行こうと確保支点を取りながら、まじまじと見ると相当悪い。急斜面がザレまくっている。トポをもう一度
見ると此方にも悪いと書かれている。やはり懸垂下降で行って見ましょうとなり、T氏が支点を作りロープもギリギリなので
自動停止システムを使った懸垂下降でまず初めに下りていった。他のサイトでは一箇所くの字になるのでカラビナを1枚献上
したとか、岩側を懸垂下降したとか書いてあった。今の一杯に使えて45mではかなりやばい。
T氏がテラスに下りてロープを試しに引いてみるとビクともしないと下で大声で叫んでいる。木に支点を取っているが引っ掛
かる様な所は無い様に見える。S氏は私も続いて下りろと告げるので、そのまま続いて懸垂でくだった。下りてからロープを
引くと確かに動かない。暫くS氏が何か細工をし下りてきた。するとロープを引き抜くことが出来た。どういったマジックを
使ったのか聞いてみると、木と土の境目にロープが食い込んでいたそうだ。これでとりあえずF3はテラスまで下りることが
出来た。ただ、ここの懸垂下降は支点から振られないように真っ直ぐ下りると右岸の岩側に寄り、ほぼ体感は垂直になりテラス
は40m位の真下に見える。これは結構恐怖を感じた。もしバランスを崩し右手を離すと。。
F2上部のテラスからF2を下るのが一番のポイントになった。左岸はルンゼになっているが登っているときに確認していたS氏は
ルンゼを下るのは厳しいと言う。すると懸垂下降しかない。右岸の少し離れた斜面の木に捨て縄が数枚かかっている。これは
岩を真っ直ぐ懸垂してきたものか?テラスに有る岩に1ヶ所ロープを直でかけることが出来そうなところが有るので、ここへ
ロープを掛けT氏が下まで懸垂で下りてロープを引いてみるがビクともしない。S氏はここは直ぐに諦め右岸に在る木へ支点を
取ることに変更となった。急斜面の10m位先に在る直径15cm位の木に古い捨て縄が掛かっているが、遠めに見るとかなり心許な
い。ただ、その奥に太くしっかりした木が有るので、もし手前がダメでも太い方の木を使うことが出来る。
S氏のビレイで自分がクライムダウンしながら捨て縄の掛かった木まで近づいて行く。取り掛かりの無いところはアックスを土
に打ち込みながらも何とか支点へ辿り着いた。4本位有る新旧の捨て縄の束に確保を取り、木を揺さぶって見ると結構しっかり
としている。ここで今度は自分がビレイしながらS氏を迎えた。ここからロープを下ろし、極力静加重を掛けるようにしながら
無事テラスまで懸垂下降し、ロープを回収することが出来た。
続くナメ滝も支点になるようなものは無い。T氏はクライムダウンはしたくないと言い1枚ハーケンを献上。スクリューでバック
アップを取り、T氏は自分が下りて問題無かったらスクリューを回収して下さいと下りていった。S氏もこのハーケンは効いてるよ
と太鼓判。F1は特に問題なく懸垂下降できた。この辺りからヘッデンの準備をしておいたが、沢筋を下りだすと直ぐに渓谷は闇へ
と覆われていった。月明かりや星明りの無い渓谷は真の闇。少し解りにくい所も有る踏み後を辿りつつ車まで戻ると、恒例の硬い
握手で立岩3ルンゼ終了となった。
この立岩3ルンゼはゲレンデには無い判断力も強いられ緊張感もとても高い。2人のベテランの好判断によりトラブルも無く下りて
くることが出来たが、経験の浅いパーティーがおいそれと入り込むにはとても辛い。アルパインアイスの力を試される好ルートで有
り、いつかはリードで望んでみたいルートの1つであった。
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