白井岳からヒクタ峰、そして定山渓へ〜雪庇の稜線と道道1号線を行く〜
- GPS
- 08:03
- 距離
- 21.1km
- 登り
- 657m
- 下り
- 1,518m
コースタイム
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
写真
感想
天気がよさそうなので、高校時代からの課題であったヒクタ峰に登ってみることにした。
車も免許も持っていないので、最近よく登られているらしい滑沢林道からはアプローチできない。そこで、キロロ・スキー場から白井岳に登って、そこから尾根伝いにヒクタ峰へ縦走することにする。
これは、昨年100歳で亡くなった一原有徳が、昭和9年に小樽から歩いて毛無山、朝里岳を越えて定天まで縦走し、定天の山頂で橋本誠二に会って定山渓へ下ったときに通ったルート。5年前のGWに白井岳の山頂から見て、行けそうだと思っていたが、やっと実行に移すときが来た。始点のキロロ・ゴンドラ終点の標高がヒクタ峰よりも高く、大した登りがないのが難というか、登山としては物足りないが...。
問題は帰り。バスに乗るには札幌国際スキー場まで戻るのが近いが、滑沢に下るとかなり距離がある。そこで逆川を下ってみる計画を立てる。バスの時刻が16時
当日、小樽に向かう鉄道や、小樽からキロロ・スキー場へ向かうバスの車窓からは、増毛山地がよく見え、晴れていたが、スキー場が近づくにつれ、曇ってくる。といっても高曇りで視界はよく効き、ゴンドラの終点から飛行場へ向かうと、背後にニセコや積丹の山並みがくっきりと見えている。
こんな天気のときは、やはり風が強い。雪はガリガリ。みんな余市岳へ向かっているが、頂上からの滑りは難儀するだろうな、などと思いながら、彼らと次第に進路を変えて別れ、飛行場を横断する。無意根山や、行く手には白井岳の頭も見えてくる。札幌国際スキー場から登ってきたと思われる先行者と後続パーティがある。
白井岳への尾根への降り口まで来ると、白井岳の右に、目指すヒクタ峰と定天が見える。シールを剥がしていると、いつの間にか白井岳の方から長靴を履いた人が目の前に。どうやら先ほどの先行者らしい。白井岳へ向かってみたが、雪が硬く、アイゼンがないので断念するという。
確かに下ってみるとアイスバーン気味で、うまくテレマーク・ターンができない。勿論行けないほどではないが、白井岳〜ヒクタ峰間の尾根の状況を考えてちょっと不安になる。
雪は硬いが、摩擦係数の高いざらざらしたアイスバーンなので、白井岳の登りはシールがよく効く。右背後の余市岳の横に羊蹄山が見えてくる。ツボ足の二人パーティとすれ違う。朝里岳沢から登ったらしい。白井岳の頂上はたしか3度目。中途半端に平らで何だかはっきりしないところだが、360度の展望が楽しめる。そして、
さて、シールを剥がして、ここからが本番。トレースはない。南南東方向へ下って、ヒクタ峰へ続く1044mの標高点がある尾根に入らなければならない。頂上から南東への尾根を下るとそこにつながるのだが、ここは途中から傾斜が急になっているので、一度東面を下ってから回り込んだ方がいいとは思っていた。しかし、尾根通しに行けるかどうか、行ってみることにする。早くも雪庇が現れ、その下を尾根沿いに行くが、案の定傾斜がきつくなって怖いので、引き返して、頂上の東南東面の斜面の一番緩い、木の生えているあたりを下り、傾斜が緩んだところで、再び南南東へ向きを変えて斜滑降し、目的の尾根に入る。
最初は太かった尾根も降るにつれて次第に細くなり、左(東)側に雪庇が出てくる。振り返れば、白井岳の頂上から南東に延びる、先ほど降ろうとしてあきらめた尾根の突端が、既にかなり上の方に、しかし大きく見える。これから、またあそこまで登り返す気にはあまりならない。だから、先に進むしかない。
行く手には定天とヒクタ峰が見え、ヒクタ峰までは尾根の連なりがわかる。尾根の上はところによるが、木の生えていない白いところが幅5mから10mぐらい。そのすべてが雪庇という訳ではないし、それほど張り出しているようにも思われないが、かといって下にすぐ尾根がある訳でもない。どこまでなら歩いて大丈夫というのもないのし、木の生えているところを通れないこともないが、スキーで行くのは結構大変なので、なるべく木に近いところを通る。
ヒクタ峰への行く手の尾根上にある三角形のP998が次第に大きくなってくる。990mぐらいまで降ると、尾根は南のP1010に向かって真っ直ぐ登っているが、こちらへは行かず、90度左に曲がって支尾根をP998へ向かう。最低鞍部あたりまで来ると、ここまで降ってきた尾根が、こちら側に雪庇を張り出させているのがよく見える。その右には白井岳が頭を出している。雪庇の尾根とこちらの間には逆川の源頭部が広がっており、ここを滑ってもそれなりに楽しめそう。
P998の登りは東向きなので、雪庇は今度は尾根の右(南)側に出ている。しかし、それははじめのうちで、上部は複雑なことに。右と左に互い違いに両側へ雪庇が出ているのだ。その真ん中をいくしかない。P998まで来ると、ヒクタ峰が間近に迫り、右手のII峰、III峰の岩塔もよく見えるようになる。
ここからは尾根を一度下り、小ピークを越えて、いよいよ1083m標高点のあるヒクタ峰I峰まで、一直線の最後の登り。標高差180m程度だが、それでも今回の山行最大の登り。最初は傾斜が緩いが、次第に急になり、振り返れば、白井岳と長伯稜の全貌が見えてくる。その左には余市岳も見え、下(手前)には、白井岳から今日たどってきた尾根が一望できる。尾根の左側は、降る予定の逆川の支流。
右上に2、3本の小岩塔が現れると、間もなくヒクタ峰I峰の頂上に飛び出す。まず百松三山が目に入る。ここから見る神威岳は細く小さい。右に目を向けると、III峰側から見る定天の大きな姿。後から一原有徳の「あのころの山」を見たら、ほぼ同じアングルの写真があった(当たり前か)。ここには滑沢の方から北東の尾根を登ってきた今日のものと思われる2人ぐらいのトレースがあり、“II峰”“III峰”の方へ続いている。
すでに1時をだいぶ回っているので昼食にする。一原有徳が登ったのはこの“ヒクタ峰I峰”(彼は1100m無名峰とか1080m峰と書いている)だし、標高点もあるので、最低ここまで登れればいいやとは思っていたのだが、登ってみると欲が出るもので、どうも南西に連なる岩塔上の“II峰”“III峰”の方が高いらしいし、とりあえず行ってみることにする。
最初は尾根上を行くが、すぐにスキーでは難しくなったので、右(北西)側の斜面をトラバースする。II峰はそのまま巻き、II峰、III峰間のコルの下を通り、そのままIII峰を目指す。斜面はそれほど急ではないが、雪が腐っているので、ファットスキーでのトラバースは気を抜くとずるずる滑落する。III峰も巻いて、向こう側の小コルに出ると、I峰から見るよりも、定天III峰とII峰が重なった姿で迫ってくる。
これ以上はスキーでは無理。スキーを脱いだら登れるかもしれないが、時間もあまりないことだし、今回はここでよしとしして引き返す。先ほどより傾斜の緩い、斜面の下の方をトラバースしてI峰へ戻る。II峰もパス。
I峰に着くとすでに2時過ぎ。札幌国際スキー場から札幌に戻るバスの時刻は4時。逆川を降っても、スキー場までは道道1号線を1時間ぐらいの歩き。ということは、余裕を見ると30分ぐらいで下まで降らないとならない。それほどの距離、標高差ではないが、未知のルートだし、雪融けで、どれぐらい沢が出ているかもわからない。バスを逃せば、歩いて帰るのは厳しい。ヒッチハイクかタクシーということになる。そこで、このルートはあきらめ、下山地点が定山渓に近くトレースもある北東尾根から滑沢に降ることにする。
こちらの尾根も雪庇は出ているが、大したことはなく、それほど快適な雪質ではないが、降っていくと、逆川の別の支流の源頭部が適度な斜度で広がり、ここを滑っていきたい誘惑にかられる。少しだけ滑って右の尾根に戻ると、やがて尾根上は木が多くなり、快適な滑りは望めない。P872.9で多少登り返し、その下りで雪庇の尾根から右の支尾根に90度曲がって入ると、あとはこの尾根を忠実に降っていくだけ。尾根の末端に達すると、そこがもう滑沢林道で、すぐに橋を渡り、ちょっと歩くと道道1号線に出た。
あとは、道道1号線を定山渓まで歩くだけ。高校時代によくやったヒッチハイクを少々試みるが、あきらめてひたすら歩く。四ツ峰トンネルは工事中で交互通行となっており、少し待たされた後、作業員の同行を受けて、トンネルを独り占め状態で歩く。
トンネルを抜けると、右手に定天や小天狗岳が見え、さらにトンネルをいくつか越え、木挽沢を越えて定山渓ダムへ。ダムの上からは烏帽子岳と神威岳を望む。ここからダム下へ降る近道の歩道があるかと思ったが、よくわからず車道を行く。結局定山渓まで3時間近くかかってしまった。
コメント
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天気が良ければ行ってみたいコースです。
ivyさん、こんばんは
想像以上に楽しいルートでしたが、確かに天気が悪ければ、そんなに楽しめないかもしれません。何カ所か支尾根に入るところもありますし、白井岳の下りもかなり急で、先が見えないと、ちょっとイヤな感じかも。
またGW以降、雪庇が落ちてブッシュが出ると難儀しそうです。一原有徳は(80年近く前の)5月6日に行ったようですが、ゾンメルを脱いだり、ピッケルを振るったりしています(それでも私より速いペース)。
逆川に下れなかったことと、II,III峰に立てなかったのが心残りですが、それは次の楽しみに。定天(あるいは小天狗?)までの縦走も課題です。
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