鍋割山〜蒸し風呂蝉時雨
- GPS
- 08:20
- 距離
- 18.0km
- 登り
- 1,190m
- 下り
- 1,189m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
堀山の家から二俣のルートはやや荒廃。杉林を南西へ真っ直ぐ下り、赤黄や赤のテープの目印で右(西寄り)に曲がって急斜面に入る。ジグザグに縫う道形は薄れかけているが、辿れない程ではない。梅雨時ながら小草平ノ沢の渡渉は問題なかった。 西山林道は一般車通行止の筈ですが一番奥まで何台も入っています(いいのかなぁ) |
写真
感想
とめどなく噴き出す汗。とにかく暑くて体が動かない。無類の暑がり汗かきゆえ、高温高湿無風の山行が苦手であることは以前、奥多摩の本仁田山に登った時に痛感した筈なのだが、喉もと過ぎればで「何とかなるだろう」と思ってしまった自分が甘かった。鍋割山から雨山峠を経て未踏破の檜岳山稜を目指す計画を立てたが、早々に諦め、東へ鍋割山稜を辿って西山林道へ戻るルートに変更。それでも相当にバテた。
出だしからつまづいた。梅雨のせいで1か月半ぶりの山行となり、家にラジオと買ったばかりのGPSを置き忘れてきてガッカリ。バス停で登山カードを提出し、漫然と人の流れに沿って歩き出せば、何と大倉尾根への道を辿っている。あわてて左へ曲がって西山林道への細道を探したが、曲がり角が思い出せない。他の登山者に聞いたりしてウロウロし、10分近くロスしてしまった。
既に暑い。日陰の林道は炎天下のアスファルトに比べればマシだが、平らな道にもかかわらず汗が噴き出す。ここにも蛭が出ることがあるというので、忌避剤をしみこませたスパッツを着けているため、足も暑い。山はガスがかかり、空気はねっとり体にまとわりつく。全くの無風。風を感じたのは一ノ沢を横切る時、沢沿いの涼風が一瞬届いた程度だ。
県民の森ゲートの分岐を過ぎると傾斜が増した。小関広像前を通り、登山訓練所跡が見えてやっと二俣着。勘七ノ沢を渡り、鍋割山荘の空ペットボトルのデポに至った時は、とても水を背負う気力は残っていなかった。
林道終点の沢で汗で濡れたタオルをすすぎ、給水して、いよいよ斜面に取り付いたが、恐れた通り全く力が出なかった。前夜、ウオーミングアップの乗りでスポーツジムで少々自転車を漕いだ影響もあるかもしれないが、やはり暑さのせいだろう。全身が火照って息が上がり、動悸が激しくなる。立ち止まって頭に巻いたタオルと汗拭きタオルを絞ると、ジャーと大量の滴が落ちる。山慣れない感じのカップルにも先を越されてしまった。
風さえ吹けば! そうだ、後沢乗越の峠へ出れば微風くらい吹いているだろう・・・そう信じてやっとの思いで辿り着いた後沢乗越は、しかし、見事なまでの無風だった。汗絞りの大休憩を取りつつ考えた。とにかく鍋割山頂を目指そう。檜岳は諦めて、頂上での体調に応じてエスケープルートを探そう。
気を取り直して鍋割へ。といって歩みがはかどるわけではなく、あえぎあえぎ登る。周囲でセミがやかましく鳴きだした。雄の体が黄色っぽいエゾハルゼミという奴らしい。近くで鳴いている奴を捕まえてみたが、声が大きい割に小柄だった。「ミョーキン、ミョーキン、ケケケケ」と変な声で鳴くそうだが、実際は「ギューエッ、グエッ、ギギギギギ」といった風に聞こえる。書くとこれも変な感じだが、いずれにしてもそれが大合唱しているとまさに蝉時雨としか形容のしようがない。
標高1000m付近で木道が現れた。やがて傾斜が緩まって道が右に曲がり、木道が増えて頭上の木々が低くなると頂上も近い。大倉で合わせた腕時計の高度計が50mほど狂っていて、思ったより早く小屋の太陽電池パネルが見えたのは嬉しい誤算だった。後で関東の梅雨が明けたと知ったが、気圧がかなり上昇していたようだ。
頂上はガスに覆われ、時々切れ間から雨山などが見える。かすかながら風があり、生き返る気分だ。気温もTシャツ一枚で丁度良い。鍋焼きうどんならぬ岳食の味噌煮込みうどんを作り、缶ビールを買って昼食とした。3.5L持参し、沢で500CC補給した水も、食事が終われば残り既に1.5L余。水の量からいっても檜岳山稜を縦走するなどとんでもない話だ。
食後もゆっくり休んで出発。体調次第で小丸分岐か大倉尾根の堀山の家から西山林道へ戻るルートを取ることにした。歩き始めると、稜線は南からのそよ風があって非常に心地よい。ガスで眺望は利かないが、ワンワンと響く蝉時雨の中を行くのは夏のハイキングらしくて楽しくなる。苦しい登りと違って道端の花々にも目をやる余裕ができた。
小丸分岐はパスして金冷シから大倉尾根へ入った。間もなく風がピタリと止まり、標高1000m以上の下りにもかかわらず再び大汗をかくことになったが、何とか水筒の水が切れる前に堀山の家に着いた。ここで大勢の行き交う大倉尾根を離れて二俣への支道に入る。杉林の尾根を真っ直ぐ降りていくのだが、道標は堀山の家にある以外、一本も無い。
踏み跡のはっきりしない植林帯を下ること15分、赤と黄のテープが巻かれた杉の木を発見。右を見ると赤テープの木も2本ほど見える。赤テープの木に向かうと、斜面をジグザグに下る道形があった。ところどころ薄くなる道形に気をつけながら急勾配を下って行くと、道がやや南に振れ、間もなく小草平ノ沢に出た。渡渉地点の下流側に黄色のテープがある。
梅雨時なので心配したが、水量は大したことなく、簡単に通過できた。蛭がいないか足元に注意しながら5分ほど歩くと、朝通った二俣の西山林道に到着。ここからなお1時間以上歩くのはかったるいが、一時はどうなるかとも思った“蒸し風呂山行”も、どうやら無事に終われそうだ。早く鶴巻温泉の弘法の里湯に行って、汗と疲れを流したくなった。
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