南ア 大無間山塊
- GPS
- 70:15
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 2,077m
- 下り
- 1,937m
コースタイム
4月18日:抜ヶ谷山 3:40ー風イラズへの取り付き 4:40ー鞍部 5:40/6:30ー風イラズ 7:55/9:00ー三ツ合 11:05/11:30ーP2098 12:35/13:30ー大無間山 17:15
4月19日:大無間山 6:00ー中無間山 8:15/9:00ー小無間山 10:50/11:30ー小無間小屋 15:55
4月20日:小無間小屋 4:50ーP1402 6:00/6:20ー雷段 7:05/7:30ー田代 8:15
過去天気図(気象庁) | 2012年04月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
田代から井川地区自主運行バス。横沢への道は通行止になっているようで、上落合でしずてつジャストラインに接続して静岡駅まで出ることができる。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
南尾根にも多少踏跡、テープ有り。 2098ピークから先は雪に没してもうどうもこうもない。 田代の民宿「ふるさと」で入浴と昼食ができる。 |
写真
感想
4月17日
朝9時40分頃、尾盛にて下車。車掌さんに訝しがられる。晴天。オモレ沢左岸の尾根に乗ろうとするが、造林用のテープに引き込まれ、駅より真西に斜面を登ってしまう。急斜面を3時間ほど。6ℓの水を担ぐのは鬼だと思うが、意外とだいじょうび。今回からベンチレーションシステムを導入したが、これ便利だなー。一人だと休憩をとるタイミングがよくわからなくて、ついつい惰性で歩いてしまう。途中、一升瓶や、ワイヤーなどを見かける。しかし、尾栗峠北のピークあたりに登る予定だったから時間ロスしてしまうなーと思いながら、やっと主稜線についたのは13時頃。ぱらぱらと雨。雹も。大小屋戸山にて三角点を確認。尾栗峠は陰気。標識がある。テープもたまについている。雨が降り出して合羽を着る。抜ヶ谷山に向かうが、尾根ははっきりしているものの、現在位置が判然としない。2万5千図を見た感覚より長くて、午前中の急登の疲れもあるのかなかなかしんどい。雷鳴が聞こえブルーになるが、大丈夫と言い聞かせる。青空も時折覗き、右側に朝日岳がきれいに見える。またガスる。前方に双耳峰が見えるので抜ヶ谷山かと思う。もしかして今日中に風イラズまで行けちゃったりして、なんて思うが、んなことないよね。15:00頃、もう疲れたのでテン場を求めるが、尾根細い。また晴れてきて、真西に朝日岳。地形図を見るとどうも抜ヶ谷山のあたりなんだよなー。登りきったピークからは、前方にどどーんと風イラズが見える。かっこいー!!その向こうに大無間山が少し雪を被って見える。最高だ。恐らく現在地が黒枯山か。夕方の陽光の中、テントを張りお茶を沸かす。至福の時間。ラーメン食って18:00就寝。22時くらいに少し目が醒める。水は残り4ℓ。明日は大無間までか?
4月18日
32歳の誕生日。1時頃に目が醒めてしまう。暇だ。6〜7時間くらいは睡眠とれたか。コーヒーなど沸かす。3時頃より撤収作業を始める。3:40暗闇の中を出発。しばらく行くと、「抜ヶ谷山」の標識が。実は抜ヶ谷山にいたんだなー。読図はむずかしい。黒枯山は結局よくわからぬまま。だんだん東の空が赤くなってきた。ご来光きれいだった。天気良し。風イラズへの鞍部で水音がしたので水がとれるかと思って少し沢へ下ってみるが、無理そうなのでやめる。1時間のロスだ。風イラズへは本当にきつい登りだった。300m高度を上げる。岩や木の根につかまって攀じ登る。でも心地よい。山頂は雪が残っていた。コーヒーを沸かして少しのんびりする。何せ、名前に惹かれて何年間も温めていた計画だったのだ。誕生日に登れるなんてね。この先は雪が所々有り。アイゼンを着ける。三ツ合まではなだらかで楽。尾根が三方に分かれる顕著な地形。ここから150mほど高度を上げて、2098mピーク。つらかった。ここから前無間、大無間が見える。荘厳である。ガスがかかって余計にすごい雰囲気だ。直線距離は直ぐのようだが、300mの標高差があり、急峻で、あそこまで行けるんかいなーと思って武者震いをする。鞍部まで下り、取り付く。早速きつい登りだ。段々雪が深くなり、ズボズボと踏み抜いてしまうようになる。膝上まで埋まるところもあり、なかなか進めない。息があがるというより、精神的にやられる。スノーシューとかないとだめなんだろうな。雪さえなければ、つらいけど楽しい登りだったろうに…。雪は嫌いだ。前無間のピークはよくわからず。この間本当に長かったが、崩壊地に出る。ガスって何も見えない。もうそろそろ大無間山頂だろうと思うが、ガスで山頂が見えない。尾根が痩せて、しかも下って行くので不審に思う。地形図を確認するが、それらしき尾根はなし。前無間からの登り返しだったのだろうと判断し、また牛歩のように登って、17時過ぎにようやく大無間に到着〜。誰もいない。こうして、トンデモナイ誕生日となった。
4月19日
やはり変な時間に目覚めるも、ゴロゴロしたりコーヒーを淹れたりする。5時前にテントを畳む。晴天。青空が気持ちいい。一度出発したが、帽子を落としたことに気付き、戻る。幸い、幕営場所に落ちていた。山頂付近の雪は締まっていてまだ歩けるが、中無間山にむけて稜線を行くとスボズボ膝上まで嵌って凹む。ワカンがほしい〜。途中、左右に眺望が開け、南アルプスが一望できた。感動。あぁ、あっちが大根沢山から光への稜線なのだな、とか、その遥か向こうには多分北アルプスも。反対側には富士山が。
中無間まで2時間以上かかる。陽だまりで休憩。ここで尾根がわかれ、小無間へ向かう途中のピークに大崩壊地。小無間あたりまでいくと雪は少しましに。11時。ここでまた休憩。これから鋸歯に入るのでドキドキする。パートナーにメールを送る。ここから一気に300m下る。P1までの間にまた大崩壊地。恐る恐るいく。まだ雪はある。P1はなんてことないピーク。北東面にアイスバーンがある。アイゼンてすごいな、滑らない。P2との鞍部がいい雰囲気だったので小休止。P2にもほどなく着き、ここからまた100m下る。アイゼンの脱着が面倒だ。P3の取り付きはいきなり岩にロープだった。とても楽しい尾根だが、3日目だからか、昼飯をちゃんと食っていないからか、アップダウンのせいか、P3あたりからバテてきた。P3からは長い下り。P4にとりついてほどなく小無間小屋が見える。ヤッター!!誰もいない。雨水がためてあるので頂戴する。快適な小屋でゆっくり過ごす。
4月20日
ついに下山日。朝、最後のコーヒーを淹れる。4:50発。やはり疲れていて、下りは辛かった。10年ほど前のガイドブックには田代まで1時間40分なんて書いてあるけど、そんなんで行けるわきゃねぇ!ひたすら下る。ストックっていいなぁ。これまで僕はストックに対してとても保守的で、あれは膝の悪い人が使うもだし、地面を傷つけて自然破壊!って思って来たけど、先日奥多摩に雪の中行ったとき、雪のなかを歩く時のストックの必要性を感じたし、雪がなくてもすごく助けられる。まあこんなに人の少ない山なら多少地面を引っ掻いてもいいだろう。田代に8:15に下山。うれしかった!
農作業してたおじさんに「自動販売機はどこですか?」と聞く。おでん屋さんにあるよ、と教えてもらい、おでんがたべられるかも!と嬉々として行ったが、そんな朝にはおでんはまだできてなかったみたいでした。送電塔の作業に来ていた人たちのグループがおでん屋さんの前にいたので、話し込む。人と話すのが3日振りなのでうれしい。それから民宿ふるさとで風呂に入れてもらい、14時台のバスまで待つ。ここの人たちは寡黙だった。昼ご飯もいただいて、大満足。そして、永野敏夫さんの本を見つけ、びっくりして一冊購入!この人は、「南アルプス〜知られざるルート」という本を書いておられて、是非欲しいと思っていたのだが、入手できなかったものなのだ。一昨年くらいにあたらしく書かれた「南アルプス・深南部〜藪山讃歌 知られざるルート94選」という本だった。訪ねて来た田代の人だというおばさんが、このあたりも寂しくなったと言っていた。長生きはしたくないね、といってカカカ、と笑っておられたのが印象的だった。またおいでと言ってくれた。昔、茶臼とかには登ったことがあるらしいが、大無間にはない、と。あそこは迷いやすいところで、迷った人は見つからない、と言っていた。
井川地区自主運行バスは9人乗りのワゴン車。乗客は僕だけで、運転手さんと話が盛り上がった。井川の方で、大無間山に登ったことがあるらしい。横沢経由の道は土砂崩れで通行止めになっているので、上落合というところへまわる。こちらは道が悪く、とても不便なルート。谷違いの旧井川村が静岡市に編入された経緯は、ダムの利権などが絡んでいることを教えてくれた。あと、口坂本という安倍川側のいちばん上に寂れた温泉地があって、ここも素敵そうだった。いつか来たいなぁ。
上落合でバスに乗換え、静岡へ。高速バスで帰京。
コメント
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カゼイラズの急斜面を登って、お誕生日に大無間山に無事登頂 しかも残雪のラッセルつき
大無間はごっついバースデーケーキでしたね。小生も歩いていて思ったのですが、あの山域は地形図で見た感じより距離感があります。現在地も解りにくいし、おつかれ様でございました。
深南部はいいですね。小生ももっと深みにはまりたいです。
jinzaemonさん
コメントありがとうございます。
いやはや、ほんとにまだまだ余韻が残ってるくらい、静寂に浸った素敵な4日間でした。
大無間山、ほんとにすごいバースデーケーキでしたよ…(笑)。どんな1年になるんでしょう(笑)。
南尾根は地形は分かり易いんですが、大無間への登りのどぎつさなんかはやはり等高線だけではわからないものもありましたね。。まあ、雪がひどかったこともありますが。
読図は奥が深いです…。
深南部ほんとうに素敵ですよね。
これからも技術向上させていろいろ行ってみたいです。
また情報交換していただけたらうれしいです♪
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