小渋川ルートで厳冬期赤石岳へ
- GPS
- 57:31
- 距離
- 26.5km
- 登り
- 2,926m
- 下り
- 2,918m
コースタイム
2013/1/1 BC6:20ー10:55赤石岳11:25ー13:00大聖寺平ー14:10BC
2013/1/2 BC8:25ー10:50広河原小屋11:40ー15:30釜沢ゲート
天候 | 12月31日明け方まで雨その後曇り、 1月1日曇り稜線近くは霧のち晴れ(ただし強風)、 1月2日雪(トレース消える)。 |
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過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
1週間前は湯折ゲートまではいることができたが、今回は3.6km手前の釜沢で閉鎖orz。でも釜沢〜湯折は路面凍結でツルツル、車で入らなくてよかったかも。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
初日明け方まで雨だったが、さして増水しておらずチェストウェーダーの渡渉に支障なし。深いところで股まで。積雪は1週間前より少なくなりモナカ雪状態、スノーシューは無用の長物に(涙)。なんと期待していなかったトレースがありびっくり。 広河原小屋からアイゼン装着。尾根の急登で一旦雪が消えるところもあるが、積雪は膝上くらい。 2日目は山頂を目指すパーティーに混ぜてもらったというか付いていかせてもらい、二泊三日で山頂にたつことができた。樹林帯はラッセル必至で、トレースが無ければ3泊4日は必要。舟窪付近でのトラバースで夏道からはずれて沢状の右岸をのぼり登山道と合流、大聖寺平からショートカットして3030m峰へ、小赤石岳の直下は雪壁状で乗り越すのが大変。赤石岳山頂は風が強いが、避難小屋のある東側に少し降りると風のない穏やかな世界となる。稜線は風が強いので顔面と手先の凍傷対策が必須、逆に風で飛ばされているので稜線通しに行けば雪はほとんどない。 |
写真
感想
1979年のn-yokoyamaさんのヤマレコ記録を参考に、渡渉を繰り返す小渋ルートから赤石岳をめざした。渡渉に不安があったので1週間前に偵察山行して、広河小屋までトレースをつけておいた(つもりだった)。ヤマテンの北岳予報だと登頂のチャンスは元旦だけ。それでも稜線は強風が予想されている。なんとか一日目は舟窪付近の樹林帯にベースを置いて、二日目赤石岳の頂上往復とした。n-yokoyamaさんの記録では舟窪あたりからラッセルが大変だったよう。
12月30日夜、新宿から高速バスで伊賀良バス停へ。ジャパレン飯田営業所でレンタカーを借りて、吉野家で牛丼弁当、コンビニでペットボトルを買って登山口に向かう。
12月31日、前日からの雨がまだ止まないなか松川経由で大鹿村へ(この方が道路が良い)、荒川荘のある釜沢までは工事車両の出入りのためもあり除雪されている(圧雪もなし)。しかし、釜沢から先は一週間前には通行できたのにチェーンで封鎖され冬季通行止めの札がかけられている。仕方なく、チェストハイウェーダー(鮎釣りなどで使う胸まであるズボン一体型のゴム長靴)とゴム手袋、ゴア雨具の上着をつけて、歩きはじめる。しかし歩いてみるとチェーンの張られた場所からしばらく、道路がツルツルで車で入り込まなくてよかったと実感した。湯折ゲートまで1時間弱だった。湯折から先も道路の積雪は降雨のため1週間前より減って、締まり雪でモナカ状、一部地面もみえている。
トンネルをくぐり七釜橋を渡り左岸の護岸をあるくと、あきらかにトレースがふえている。最初は1週間前の自分のトレースかと思ったが、少なくとも2-3人通ったあとがあり、自分とは違った地下足袋の跡もある。雨のため小渋川の増水を心配したが最深部で太腿までが股くらいになったくらいで、渡渉に危険は感じなかった。予想外のトレースとたどり広河原小屋へ到着。ここでチェストウェーダーとゴム手袋をデポ。登山靴をはきアイゼンをつける。この先ほとんどは雪上で、尾根で雪が切れているところもあったがそこも凍結していた。トレースのおかげで何も考えずに登ってゆくと2300mほどの樹林帯にテントが設営されており、トレースが続いていた。標高2370mで先行パーティーに遭遇、これより上には設営場所がないとのことで、林間の平面を整地して幕営する。
テントは設営が手軽なのでニッピンのメスナーなのだが、冬期用フライシートが売っておらず、フライなしだ。毎年冬山のテント泊ではマットからの底冷えがひどいので(寝袋が軽量3季用2枚というのもあるが)今回サーマレストネオエアーXサーモ(R)を買ってみた。マットごときに2万円もかけるなんて馬鹿らしいと思われるかもしれないが、効果は実感できる。風邪を引いていて食欲がなく夕食は棒ラーメンだけにして、汗をかいたシャツやネオプレーンソックスをお湯アイロンで乾かし、プラティパスを専用保温ケースに入れて湯たんぽがわりにして7時には就寝。夜中ドーンという音が何度もして、雷かと思ったが、あれは0時すぎだったので年明けの花火の音だったのだろうか。
1月1日、朝食の準備をしていると随分と早く4人グループが山頂を目指しテントの横を通り過ぎてゆく。急いで出発の準備を済ませ、6時過ぎに出発。舟窪手前で物凄い急登にトレースがついている、登りきったところでグループに合流。GPSをみると、いつの間にか上りすぎている。トラーバースして赤テープに合流したが、こんどは下りすぎてしまった。沢状地形の左手にまわると、雪が締まって幾分ラッセルが楽になったようだった。大聖寺平手前でオーバーミトンなど装備を整え、ガスの中を稜線の東側をのぼって行く。ここは雪が深く、風が強くても稜線通しの方が良かったかもしれない。稜線に出ると強風となり、小赤石手前は雪壁となっていて苦労する(危険な感じはない)。このころからガスが晴れてきた。写真を撮ろうとするが電池が死んで使えないので、服の中であたためから写真を撮る。赤石岳山頂では快晴となり聖岳や富士山もみえるが、荒川三山以北はガスがかかっている。赤石岳避難小屋は山頂からすぐだがほとんど風のない別世界だ。
赤石岳から下山するころには荒川三山のガスも取れ始めた。帰路は稜線通しに歩き14時に幕営地に帰着。午後からは好天だったが夜には雪が再び降り始めた。
1月2日、夜間の降雪でテント周辺で新雪が20-30cm積もっている、風邪が悪化しゆっくりテントを撤収していたら、出発が8時を過ぎてしまった。風のため前日のトレースはほとんど見えなくなっている。探るようにしてなんとかトレースをたどり、下山。広河原小屋で休憩して、ウェーダーに履き替え登山靴をザックに詰めて小渋川をくだる。想定されない過酷な使用状況のためか、フェルトが凍結したためか、歩いているうちにウェーダーのフェルト底が踵から剥がれてしまった。ただ平らなゴム底でも特に歩行は支障なかった。15時半に釜沢ゲート着。
たまたま、先行パーティのおかげで登頂できたが、単独でラッセルしていたら2日目に山頂に立つことはできなかったろう。東京の山の会と名乗られていた方々ありがとうございます。
おそらく一年中で最も水位が低い時期なので、装備さえ工夫すれば、冬季は比較的安全に小渋川を渡渉することができると思う。さらに、冬季に一般的に使われる赤石東尾根ルートのような難所もないので小渋川ルートは厳冬期も赤石岳への最短ルートだろう。問題は、トレースが期待できずラッセルを覚悟しなければならないことと、稜線の強風だろうか。やはり、入山者が少ない分、4年前からはじめた厳冬期の南ア中ア山行(塩見、聖、光、空木)の中では今回が一番厳しかった。
なお、2013年のGWに釜沢から赤石岳に入山の行方不明者が出ています。残雪期には融雪も加わり、渡渉の危険度が高まる可能性があります。
コメント
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厳冬期に単独で小渋川を渡渉し赤石岳へ登る行為そのものが素晴らしい。私が登ったのはもう30年も昔の事です。ヤマレコの記録を見て頂きた事を感謝します。
無事下山おめでとうございます。
ところで、小渋川の最後の堰堤前の林道脇だと思いますが「沢田真佐子」のレリーフをご存知でしょうか?分かれば教えて頂ければと思います。
いまから考えると、単独ってのは無謀でした。スキーならラッセルも何とかなるでしょうが、モナカ雪にアイゼンラッセルでは体力の消耗が比べ物になりません。本当に先行パーティーに付いて行っただけでした。
申し訳ありません、注意していなかったのでレリーフは気付かずに過ぎてしまったかも・・・。失礼ですが、沢田さんとはどのような方ですか。
沢田真佐子さんは大先輩で1957年7月に女流登山家で単独南アルプスに入山し台風の影響で増水した小渋川で遭難しました。現在の小渋ノ湯付近の状況は把握しておりませんが、砂防ダム建設でレリーフが埋まってしまうので1978年に本流から少し上部に付替えを行いました。現在どうなっているのか気になりました。m(--)m
どうなっているんでしょうか、気になります。
Neuronさん、こんばんは。
今年もよろしくお願いします。
厳冬期の赤石岳登頂、おめでとうございます
私も狙ってました。私の場合は自転車を利用して、大倉
尾根から登ろうとしてました。1/4-6の3日間しかなく、
年末年始の雪から考えると3日では無理だと判断して、
止めてしまいましたが・・
代わりに赤岳の主稜を登ってきました(日記に記載)
小渋川ルートから入ると最短で狙えるというメリットが
あるのでしょうか? 渡渉のための準備が必要となるみ
たいですが・・
一緒になったパーティーの人達は、プリムラ山の会かも
知れません。そこに所属する知り合いが年末に赤石岳に
行くと言っていたので。
赤岳主稜の日記拝見しました。
小渋ルートのメリットは、ザイルを出すような危険箇所がないことでしょうか。渡渉問題は、もう二度と使う当てのないものにお金を使うかということでしょう。
釣りをしないので、本当にウェーダーはつかいみちがないです、保管も場所取るし。今のところ唯一の用途は、小渋ルートから冬季荒川三山かなぁ。でも、雪が多い年の単独は無茶っぽいです(反省)。
小屋にそれらしい荷物がなかったので、先行グループは、ウェーダーじゃなかったかもしれません。雨具➕沢靴➕スパッツでなんとかなるかもしれません。
yoshiさん、今年もよろしくお願いします。
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