記録ID: 29055
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積雪期ピークハント/縦走
十和田湖・八甲田
十和田湖から南八甲田スキー縦断
1995年12月31日(日) 〜
1996年01月08日(月)
- GPS
- 200:00
- 距離
- 42.7km
- 登り
- 1,933m
- 下り
- 1,446m
アクセス | |
---|---|
コース状況/ 危険箇所等 |
八甲田・十和田湖→櫛ヶ峰→駒ヶ峰→猿倉温泉→仙人岱→酸ヶ湯温泉 1995/12/31-1/8(7-2) L:銭谷竜一(6) AL:斎藤清克(9)、吉田みゆき(3) M:久保田敬二(1)、沼田雄人(1)、山崎真実(1) G:柳沢盛雄(OB) 12/31 曇り(風)→晴れ→小雪 日本海を東進する低気圧の前面 +3℃(9:00)→−3℃(15:30) 子の口(8:50)→御鼻部山分岐(13:50-14:50)→御鼻部山(15:10-20)→御鼻部山北Co940(15:40)C1 前日の晩は焼山で煎餅鍋と温泉で十分に体を温めてバス停で寝る。例年に比べ雪が多いらしく、スキー場も開いていた。タクシーで十和田湖畔の子の口まで行き、湖に沿って国道を歩く。臑から膝くらいのラッセルでも雪が湿っていて重く、なかなか進まない。高度を上げ、湖の外輪にでると湖からの吹き上げが強くさらに疲れる。タマは何を持っているのか荷物が重く、ずいぶん遅れているようなので御鼻部山の手前でツェルトを張ってお茶を飲む。タマ到着後、空身で御鼻部山の展望台アタック。たとえ国道があっても頂上は頂上である。今山行最初の握手。このあたりはすでに風通しのよい広葉樹林帯なので、風の当たらないところを選んで泊まる。雪が重いせいか兎の走る速さがえらく早い。これでは捕まえて食べるのは不可能だ。 1/1 小雪(強風) -10℃(6:30) 北海道上川地方に大雪警報 冬型決まる C1発(6:45)→・911.9(7:45)→・954の北 標高880m(10:00)C2 元旦だというのにあまり天気が良くない。上空では風が唸り、木が薄くなると視界もあまり効かない。正月早々こんな天気でさまよいたくないので、現在地が判るうちに行動をやめる。天場では雑煮を食べてウダウダ・ゴロゴロ。酒の消費量の多いこのパーティ、すでに差し入れのウイスキー2本と日本酒5合を空けてしまう。 1/2 小雪→曇り→晴れ 冬型、午後に緩む 朝-9℃、昼-4℃、C3 -2℃ C2 (7:05)→・890(8:05)→櫛ヶ峰南尾根標高1100m付近(12:00)C3 ・890、・933を経由して田堰沢の屈曲部をめざす。湿原の周囲及び標高900mには針葉樹(おそらくアオモリトドマツだろう)が多く、雪をかぶってモンスターとなっている。それでいて木の根本はポッカリと大きく凹んで段差となっていて、木の濃いところではまるで迷路のようだ。同じ針葉樹林帯でも大雪や道北とはかなり雰囲気が異なり、これまで同様膝ラッセルが続いても楽しんで歩けた。 磁石を切ってピタリと田堰沢の屈曲に当てたが、沢を渡るのにその側面は地図で見るより急で、ごく小さいデブリも見られた。ここでAL Saito氏得意の直滑降を披露。絶叫とともに雪に埋没する。この時期の田堰沢の水量は少なくどこでも渡れる。このあたりから天気が回復し始め、同時に雪も重くなる。積雪は十分あるが木も大きいので予定よりもずっと高いところを天場とする。時間もたっぷりあるので頂上を眺めながら盛大に焚き火を起こし、大物干し大会。ここでもテントに入る前にジンが1本空いてしまい、早くも残りの酒の勘定を始める。 1/3 スカッ晴れ→晴れ 前線を持った低気圧が日本海を東進しその前面晴れ 朝-4℃、駒ヶ峯-2℃、猿倉温泉±0℃ C3発(6:20)→櫛ヶ峯(7:45-8:05)→駒ヶ峯(9:10-20)→猿倉温泉(12:00-30)C4 今日は低気圧の前面だろうと見てラテルネを点けてスタートダッシュをかける。高度を上げるにつれ、振り返ったときに見える風景が広がり、十和田湖の湖面や岩手山も見えるようになる。そして単調な登りの最後に頂上。やっと北八甲田が姿を見せた。どことなく美瑛富士-石垣-オプタテシケといった十勝の山に似ている。その左手には青森市街と陸奥湾、さらにお岩木山に白神山地。全く文句のつけようのない天気である。 櫛ヶ峯の東斜面は一本の木もない大斜面。雪も安定していて雪庇も大きくないので、頂上からシールを外し、雪庇の切れ目から大滑降。シールを着けたままの メンバーTrueはSaito氏ばりの豪快な弾丸直滑降を見せる。その後はまた林立するモンスターの間を縫い、駒が峯へ。ここから見える乗鞍岳は頂上まで木が密に生えていて、丘にしか見えない。この晴天は低気圧の前面で午後から悪くなると思っていたので、満場一致で乗鞍岳は明日に回す(実際は小さい高気圧の中心にいた)。 再び頂上からシールを外してモンスターの間をくぐり、△1353へ。このあたりのタンネは人間くらいの大きさと聞いていたのに優に5-6mはあり、さらに根本は1-2mえぐれている。春までにはこのタンネが人間大に見えるぐらい積もるのか?確かにそのぐらい積もれば存分にスキーを楽しめるようになるだろう。とにかく突然現れる段差には皆苦労した。昼近くになると気温が上がり雪もべたついて春のようだ。猿倉温泉は閉鎖中に相当雪が積もるらしく、建物全体に板を打ちつけ、さらにその周りに湯で水堀を作ってあったが、やはり無料露天風呂というわけにはいかなかった。 1/4 風雪強し 強烈な冬型 停滞 C4=C5 一日中樹林帯行動もシビアなくらいの悪天。乗鞍岳アタックは中止。丸一日ナポレオンに費やす。 1/5 小雪(強風)→地吹雪 -8℃(8:00) 冬型続く C5発(7:50)→傘松峠手前(10:00-12:00)→睡蓮沼の東(12:30)C6 次第に冬型が弱まり回復に向かうと思っていたが、風はさほど弱まらない。しかも向かい風なので傘松峠のわずかに手前で除雪用のポールが見えなくなり、タンネの陰で時間待ち。しかし一向に回復の気配がないのでもっと樹林の濃いところで泊まることにする。テントに入る頃少し青空が見えたが、風は収まらなかった。 1/6 地吹雪 冬型 停滞 C6=C7 冬型変わらず。一応11:30まで待機するがだめ。この日も一日ナポレオン。悪天3日目に突入、明日の回復を望む。 1/7 小雪→霧(強風) 冬型から高気圧の張り出し 下界は晴れ −6℃(7:00)→−9℃(9:40) C7発(7:00)→傘松峠(7:20)→仙人岱の西、地獄谷左岸Co1100(8:40)→Co1260(9:10-9:30)→標高1160m(10:00-11:30)C8 風は弱まったので、このまま順調に回復すれば北に乗越すことも可能だと思いつつ出発。傘松峠を越えるとタンネ帯に変わり、ここなら夏天でどこでも泊まれそうだった。石倉嶽の西から巨大なモンスターの中を北に向かう。 Co1100付近をトラバースし、夏道の沢型に沿って上ると標高1200mから1260mの間だけ白く、その上の仙人岱にはまたタンネが生えている。この中で天気図をとろうかと思ったらツェルトが飛んでいきそうなくらいの暴風。タンネは風避けになりそうもないので一度下って体勢を立て直すことにする。気温はそれほど低くないのだが、風が湿っているせいかやたらと手足が冷たくなる。天気が良ければここも一気に下れるいい斜面なのだが今回は這々の体で退散と相成った。 その後も天気は一時的に良くなったり悪くなったり。どうも小屋からいつでも全天で逃げ出せるわけではなさそうなので、樹林帯の中で機会を伺うことにする。午後の天気図では低気圧が急速に発達しながら八甲田をめざしているらしい。翌日早朝の前面が最後のチャンスとなるだろう、と酒を飲み干し、最後の肉を食べて背水の陣を敷く。 1/8 小雪(風)→雪 低気圧の通過 C8発(7:00)→酸ヶ湯温泉(7:40) 3:30に起きて早出に備えるが、次第に外の風の音が強くなり、薄明るくなる頃には前日より悪い天気になってしまった。どうも前面晴れは前の晩寝る頃で、予想よりずっと早く低気圧の影響がでているようだ、ということでラジオの気象情報を聞くと、この低気圧は猛烈に発達するらしい。残りの日数のうちで回復する可能性を全員で協議した結果、乗越せる可能性はないという結論に達し、朝風呂目指して温泉へと一直線に下る。 あまりに早く、楽に下山してしまったので、温泉でのビールがあまり旨くない、という声もちらほら聞こえたが、札幌に帰るまでにこの悪天の影響をさらに受けたのであった。 |
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