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Yamareco

記録ID: 465361
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

残雪の笠ヶ岳で初テント泊 (雨・ホワイトアウト・強風・のち晴れ)

2014年06月14日(土) 〜 2014年06月15日(日)
 - 拍手
GPS
36:30
距離
18.2km
登り
2,062m
下り
2,062m

コースタイム

14日
05:00 深山荘前登山者用無料駐車場
06:30 笠新道登山口
11:00〜13:30 杓子平(風が収まるまで待機)
17:30 笠ヶ岳山荘付近 着
15日
04:00 笠ヶ岳頂上、写真撮影
〜05:00 
09:30 笠ヶ岳山荘付近 出発
16:20 笠新道登山口
17:30 深山荘前登山者用無料駐車場  
天候 14日 雨・ホワイトアウト・強風のち晴れ
15日 晴れのち曇り
過去天気図(気象庁) 2014年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
奥穂高温泉登山者向け無料駐車場
有料の第2駐車場は工事中で使用不可でした
コース状況/
危険箇所等
 標高2,000m以上あたりから雪がでてきます。朝晩は冷え込みが強く昼に解けた雪解け水が氷になっている部分があります。笠新道はわりと岩や石がゴロゴロしているところがあります。また、今後シーズンに向けて整備されるのだと思いますが、雪のせいかあちこちで倒木などがあります。

 平地で気温が高くなってきたとはいえ、麓で13℃(6/14)くらいで標高が上がればもっと寒くなります。この度の山行では温度計を持っていませんでしたので正確な温度は分かりませんが、雪の状態やテント内外で霜や結露の凍結を見ると朝晩は0℃か氷点下になったこともあると思います。風があれば一層寒さを感じます。冬山に準ずる装備が必要と考えます。

  傾斜のキツイ場面も幾度が登場します。前爪のあるアイゼン(10〜12本爪)とピッケルが必要です。アイゼンはフロントポインティング(キックステップ)が効果的なリンキングバー(センターバー)がフレックスな柔らかいものより硬い本格的なものが最適です。
 
 夏道と雪が交互に登場するとき、アイゼンをつけるのを億劫になりがちですが、6/14.15現在においては雪質が硬めで靴のみですと斜度もあるため、容易に滑落してしまう危険があります。

 杓子平手前、抜戸岳へ向かう道などはルートファインディングが必要です。今回のようなオフシーズン山行においてはトレース、赤テープはあったりなかったりで期待できません。笠ヶ岳山荘が営業開始するとルート案内のテープが整備されるようです。踏み抜く箇所があちこちあります(木、岩、土が出ているところの周辺は特に注意です)。
第2駐車場は工事中です
第2駐車場は工事中です
左俣林道入り口です
左俣林道入り口です
このあたりは天気が不安定なようです。

雨が降ってます。
このあたりは天気が不安定なようです。

雨が降ってます。
笠新道登山道口
 ザックカバーを忘れたのでレスキューシートで対応です。ザックカバーでは外付けしたものをカバーできないので丁度よかったかもしれません。
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 ザックカバーを忘れたのでレスキューシートで対応です。ザックカバーでは外付けしたものをカバーできないので丁度よかったかもしれません。
雨があがりました。
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雨があがりました。
穂高方面、真っ白です。穂高、槍の展望がよいところのはずなのですが・・。
穂高方面、真っ白です。穂高、槍の展望がよいところのはずなのですが・・。
とにかくがすがすです。
とにかくがすがすです。
晴れ間が??
晴れたと思ったらまた真っ白、ホワイトアウト
晴れたと思ったらまた真っ白、ホワイトアウト
笠ヶ岳へ向かう稜線も真っ白
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笠ヶ岳へ向かう稜線も真っ白
 笠ヶ岳は真っ白でしかも風が強い。風速15〜20mといったことでしょうか。
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 笠ヶ岳は真っ白でしかも風が強い。風速15〜20mといったことでしょうか。
夏道が無くなって直登中。振り返って撮りました。
夏道が無くなって直登中。振り返って撮りました。
 杓子平手前の急なところです。登りきったとこにあるハイマツの影は杓子平で強風が吹いていても、静かで良かったです。
2013年06月14日 11:00撮影 by  DSC-RX100, SONY
6/14 11:00
 杓子平手前の急なところです。登りきったとこにあるハイマツの影は杓子平で強風が吹いていても、静かで良かったです。
 しばらく杓子平すぐ手前で天候が回復するまで待機です。杓子平の裏手に無風のよい場所がありました。
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 しばらく杓子平すぐ手前で天候が回復するまで待機です。杓子平の裏手に無風のよい場所がありました。
晴れてきた!
ぐんぐん登ります。でもしんどい。
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ぐんぐん登ります。でもしんどい。
抜戸岳からの稜線へ向かいます
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抜戸岳からの稜線へ向かいます
新穂高ロープウェイ方面
新穂高ロープウェイ方面
西穂山荘
穂高連峰も頭が隠れています
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穂高連峰も頭が隠れています
抜戸岳へ向かう人?
抜戸岳へ向かう人?
笠ヶ岳へ続く優美な稜線
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笠ヶ岳へ続く優美な稜線
抜戸岳へは行かずショートカットして、ぐいっと登ります。
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抜戸岳へは行かずショートカットして、ぐいっと登ります。
 う〜ん。遠いです。コースタイムは1時間10分とあるけど行けるのかな。荷物が重くて足が遅いのと、雪が残っている部分もあるので時間がかかりました。
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 う〜ん。遠いです。コースタイムは1時間10分とあるけど行けるのかな。荷物が重くて足が遅いのと、雪が残っている部分もあるので時間がかかりました。
夏道が出ているところも。
夏道が出ているところも。
もうすぐ笠ヶ岳山荘
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もうすぐ笠ヶ岳山荘
またガスってきました
またガスってきました
笠ヶ岳北西尾根
真っ白

めまぐるしく天気が変わります
真っ白

めまぐるしく天気が変わります
20時くらいです
テントと雲海
 夢だったカタログとかによくあるテントをライトアップした写真。でも露出がおかしいです。
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 夢だったカタログとかによくあるテントをライトアップした写真。でも露出がおかしいです。
山荘横から見た月
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山荘横から見た月
月光が照らし出す輝く雪面
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月光が照らし出す輝く雪面
夜明けです
穂高連峰

 4月に新穂高ロープウェイ(下り)から見た笠ヶ岳にいるのが不思議な感じがします。今は逆に穂高を俯瞰で眺めています。
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穂高連峰

 4月に新穂高ロープウェイ(下り)から見た笠ヶ岳にいるのが不思議な感じがします。今は逆に穂高を俯瞰で眺めています。
 槍ヶ岳を開山、笠ヶ岳を再興した播隆上人が祭られているそうです。播隆上人はここから見た槍を見て開山しようと思ったんですね。ちゃんと予習してからくればよかったです。
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 槍ヶ岳を開山、笠ヶ岳を再興した播隆上人が祭られているそうです。播隆上人はここから見た槍を見て開山しようと思ったんですね。ちゃんと予習してからくればよかったです。
笠ヶ岳頂上
頂上です。フラッシュがないと真っ黒ですね。
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頂上です。フラッシュがないと真っ黒ですね。
プレートが霜で白くなっています。冷たい!
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プレートが霜で白くなっています。冷たい!
ものすごい勢いで雲が流れます
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ものすごい勢いで雲が流れます
大ノマ、抜戸に続く稜線 

槍、穂高
大ノマ、抜戸に続く稜線 

槍、穂高
 槍の横から日の出。写真では全く伝わりませんが信じられない程美しいです。溶鉱のような光でした。
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 槍の横から日の出。写真では全く伝わりませんが信じられない程美しいです。溶鉱のような光でした。
太陽の周りが放射状にオレンジに染まっています。
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太陽の周りが放射状にオレンジに染まっています。
 先ほどまで凍りつくような寒さだったのに暖かさを感じます。
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 先ほどまで凍りつくような寒さだったのに暖かさを感じます。
山荘にも朝日が
月が明るい
キラキラ輝く雪
霜です。風が強いし厳しい夜でした。
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霜です。風が強いし厳しい夜でした。
日の出を見ている間に見るも無残な姿に 
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日の出を見ている間に見るも無残な姿に 
2014年06月15日 05:43撮影 by  SO-04E, Sony
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6/15 5:43
今日から山荘の準備が始まるようです。
今日から山荘の準備が始まるようです。
 下の誘導してる方とパイロットの方が、あうんの呼吸ですごいです。誘導と荷物の切り離しが、めちゃスムーズです。
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 下の誘導してる方とパイロットの方が、あうんの呼吸ですごいです。誘導と荷物の切り離しが、めちゃスムーズです。
 荷物を降ろすと速攻でUターンしていくのですが、この写真の後の回(最後の荷揚げ)のときは正面で一瞬ホバリングして手を振ってくれました。嬉しい。
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 荷物を降ろすと速攻でUターンしていくのですが、この写真の後の回(最後の荷揚げ)のときは正面で一瞬ホバリングして手を振ってくれました。嬉しい。
笠ヶ岳ばいばーい
笠ヶ岳ばいばーい

感想

 はじめに

 初めてのテント泊をしたいということと、前々から登りたいと思っていた笠ヶ岳。そしてオフシーズンの静かな時ということで、今回の山行となりました。2週間くらい前からいろいろ考えたり準備をしたりワクワクドキドキしながら当日を待ちました。正直言うと初めてなので不安の方が大きかったです。

 出発

 なかなか連休がなく待ちに待った当日。週前半の天気予報では土日ともにまあまあ良好のはずが、日が近づくにつれ土曜の天気が怪しくなってきました。でも徐々に天気は回復する予測。だめもとで麓まで行こうと決め車で新穂高登山者無料駐車場へ向かいました。う〜んやっぱりがすがすで真っ白です。

 笠新道登山口へ

 自然はこっちの都合など関係ありませんので従うしかありません。しかし、こちらでもできることはしたいと考え、とりえず笠新道の登山口まで行ってみることに。すると駐車場では降っていなかった雨が・・。ありゃー、予想はしてたものの幸先悪すぎです。結構へこみます。小雨か雨くらいでしたが、これ以上強くなれば引き返すと決め進みます。

 笠新道

 笠新道上で雨があがります。でも、がすがすの真っ白な状況は変わりませんが、一瞬だけ晴れ間が見えたりしてきて私のテンションも急上昇。天候回復の兆し?予報は午後か夕方から天候回復を告げています。だけど、そううまくもいかず、また、がすがすの繰り返しで杓子平に到着。

 すると今度は風です。立っていられないことはないものの、ここでこの状況だと稜線に出ればもっと強い風が吹いていることは想像に難しくありません。そのまま進んだ方と引き返した方がいらっしゃいましたが、私はこのままでは進めないと判断して杓子平手前で待機することにしました。今日はいつもとは違い日帰りではありませんので、明日の朝まで待機することも可能です。時間的にも装備的にも余裕があってよかったです(そのかわり重くてしんどかったですが 笑)。

 待機

 朝が早かったのと睡眠不足でしたのでしばし寝ます。午後になり空を見てみると天候が回復している様子。これは時間的にも笠ヶ岳山荘に到達できそうですので進むことにしました。抜戸岳の稜線に出るまでがなかなかの登りでキツかったですが登りきればあとは稜線を進むのみ。晴れたり、がすったりの景色を楽しみつつ笠ヶ岳山荘へ向かいます。
 
 山荘へ到着

 山荘へ着きましたが、頂上は日の出を見るときの楽しみにとっておこうとテントの準備をし、日暮れまでしばらく休憩です。待ちに待った夜ですが、空は明るくて星はいまいちでしたが明るい月と遠くの太陽の不思議な光につつまれて神秘的な世界を体験することができました。

 さて、これから日の出の時間まで寝るのですが、ここからが大変でした。風がもうちょっと弱くなるかと思っていたのですが、けっこうな強さで吹いているのです。テントが一晩中ゆさぶられるし、気温が低いし大変でした。幸いシュラフ(マウンテンイクイップメント ヘリウム400 ダウン量が400gの意  快適:4℃ リミット-2℃)が微妙に対応温度外でしたが暖かかったので助かりました。ほんとはもう少し高い気温で使う予定でしたが、個人的には大丈夫でした。しかし、寒がりの人は厳しいかもしれません。

 テント泊

 なによりテント(ノースフェイス ストームブレーク)が平地用でへっぽこなのが厳しいです(分かってはいましたが)。やはり、本格山岳用テントとは違います。生地が弱いのと、超ミニマム仕様ですので、台形状のフロアの細い部分はほぼサーマレストのマットの幅と同じで快適とは言いがたい空間です 笑。そして、風に吹かれたときの安定感がほとんどありません。風に対して細い方を向けるとか工夫するにしても限度があります。実際、人が入っていればなんとかなりますが、無人になると写真のようにひっくり返ります。朝、写真を撮って帰ってきたら、あのありさまです。しかし、ツェルト泊の人も日曜にはいたみたいですし、このテントは値段がツェルトに毛が生えたくらいなので、中がメッシュとはいえダブルウォールでなおかつ自立するので、これはこれでありと思います。

 明けて日曜の朝
 
 朝日が昇る前のブルーの世界。北西尾根方面から吹いてくる風が笠ヶ岳の尾根と山頂に切り裂かれて両側2つに分かれ、地上では見ることの無い速度であっという間に穂高へ向かう雲。そして、これほどまでに美しいものがあるのかと思うような昇り始めた太陽。その光につつまれた世界。生涯忘れることのない光景を目に焼き付けることができました。

 おわりに
 
 めまぐるしく変わる山の天気と景色を見ることができましたし(ガスで真っ白にガックリして、そこからの快晴でしたので感動が大きかったです)、色々なシチュエーションにおいて対応、判断、行動するという経験ができましたので、ただの快晴より結果的にはよかったなと思っています。また、日帰りでは決して味わえない、朝と夜の頂上を満喫することができ、この上なく幸せです。そして、朝日があれほどまでに美しいものであるとは想像さえもしていませんでした。また、違うシーズンに訪れたいと思います。
 
 


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コメント

コーヒーごちそうさま
翌朝、出発前にテントさがしたら撤収されてたので、挨拶できませんでした。
近くにいらしたのですね。
同じ行程辿っても、これほど充実したレポ書けるのかと感心です。

またどこかの山でお会いしましょう
2014/6/17 0:05
Re: コーヒーごちそうさま
 こちらこそ貴重なお湯をありがとうございました。ほっとしました。初めてコメントをもらったんで嬉しいです。

 朝、山頂に向かわれているのを見たんですが挨拶できずすみませんでした。出発が先のはずなのに、記録が9時出発になってるのは、その間なぞの行動があったんです。笑

 山で再会できるといいですね。そしたら感動です!
2014/6/17 0:16
初めまして〜
こんにちわ。
今週末行こうと思っていて雪の状態はどうかなと思って検索してたらヒット。
まだ一杯あるみたいでよかったです(笑)。
笠の稜線はやっぱり何度みてもきれいですね〜!!(一杯拍手しときました♪)
今週末はお天気悪そうなんですが、okadaさんが見られたような朝日が見れたらいいな・・・。

ちなみに笠ヶ岳山荘の水はまだ出ていないですよね?
2014/6/17 12:20
Re: 初めまして〜
 初めまして。

 さすがに6月なので雪がないところもありますが、たっぷり残ってましたよ〜。白い世界を満喫できると思います。

 テント場の水は出てないんじゃないでしょうか。他の方も水を背負ってきたと言ってました。笠新道登山口の水は14.15日の時点ではどばどば出てました〜。

 あまり役に立たない情報ですみません。 天気予報変わるといいですね。
2014/6/18 9:19
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [2日]
技術レベル
2/5
体力レベル
4/5
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笠ヶ岳(中尾温泉口〜笠新道〜クリア谷周回)
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス、 タクシー
技術レベル
2/5
体力レベル
5/5
無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [日帰り]
技術レベル
2/5
体力レベル
5/5

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