秋の飯豊山でダイグラ初挑戦
- GPS
- 18:55
- 距離
- 30.6km
- 登り
- 2,762m
- 下り
- 2,761m
コースタイム
- 山行
- 12:21
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 12:44
天候 | 2日とも快晴! |
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過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
装備
個人装備 |
雨具
レインカバー
ツェルト
ヘッデン
予備電池
ダウンジャケット
ソフトシェル
替ベースインナー
替Tシャル
替靴下
サングラス
眼鏡
コンタクト
タオル
シュラフ
マット
コッヘル
バーナー
OD缶
箸2本
帽子
手袋
時計
カメラ
ミニ三脚
リモコン
日焼け止め
ファーストエイド
常備薬
ポカリ900ml×4本
水555ml×2本
粉末ポカリ×1袋
カップラーメン×2個
カレーセット
ささみプロテインバー
おにぎり×6個
パン×2個
チョコレート
コロロ
ガッツギアりんご味×4個
歯ブラシ
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感想
最高に晴れた秋の日にダイグラ尾根を登ってきました。
春から今年の目標にしていたので目標が達成でき感無量です。
今年の山行を思い返せば、下りのペースを乱して脱水症状寸前までいった岩手山。唯一、最小日帰り装備で挑んだのにもかかわらず両足内転筋が攣って歩行不能になりかけた小又山経由の神室山。雨の中でマムシにビビりながら登った七ツ森。藪と酷い泥濘で精神力を鍛えた乳頭山と大白森(別にそんな目的で行ったわけではないが)と色々キツイ経験をしたのが糧になりました。中でも七ツ森のトレーニングで足を作って行ったのは本当に正解でした。
ダイグラ尾根を歩いてみた個人的な感想ですが、まず湿度が高い時期は絶対に無理!お彼岸以降じゃないと絶望を味わいそう。あと確かにロープや鎖はないが木の根や岩、草など何かしら掴むものがあるし先人達の足跡や掴んだ跡が目印となってそれほど難儀しなかった。刈払いもされており歩き易い。唯一胸くらいの高さの大岩を越えるところだけ少し苦労したかな。滑落したらおろくさんの場所も確かに多くあるが、それなりの山には割とあるレベルで一か八かエイヤッ!みたいな場所はなかったように感じた。(あくまで登りで道が乾いているという条件です。下りや雨や夜露で濡れている等の悪条件化では危険度は増しますのでくれぐれもご注意ください)
湿度が低く、晴れていて、地面が乾燥していて、登りで、長時間歩ける。の好条件ならテクニカルといえる場所はなく自分でも歩ける程度でした。あと、一番最初の計画だと5時から出発の予定でしたが考えなおして3時30分からに変更したのが結果的に大正解でした。涼しい時間帯に一番厳しい登りが終わるのと宝珠山の辺りで8時間経過してもまだ午前中であるということで精神的な余裕が生まれたことでゆっくり休憩することができ疲労困憊することなく本山まで登頂できました。
1日目に時間の余裕ができたことで梅花皮小屋まで足を延ばすことができ、2日目のツライ下りに体力を温存して挑めたのも幸いしました。
とにかく奇跡のような好条件の中で飯豊連峰を堪能でき幸せいっぱいの山行となりました。
下見で行った登山口から桧山沢吊橋を渡って長坂清水まで。興味がある方はどうぞ
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4698791.html
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以下、しょうもない回顧
深夜2時。小国町の道の駅で仮眠から起きると霧雨が降っていた。
え?今日は朝から一日快晴の予報ではなかったか?寝てる間に予報が変わったのかと朝食のパンをかじりながらWindyで確認すると確かに現在地の予報には6時まで小雨マークが付いていた。試しに飯豊本山を指定してみたら快晴の予報だった。Windyを信じ登山口まで車を走らせると見事に晴れていたばかりか今までに見たこともないような満点の星空が広がっていた。Windyすげーな。
本日の登山開始予定時刻は3時30分。早速準備に取り掛かるべく登山靴に足を入れると違和感があった。なんとインソールが入っていないではないか。。前回靴を洗った後に入れるのを忘れていたようだ。インソールなしで飯豊はとてもじゃないが登れないぞ、一瞬頭が真っ白になった。しかし次の瞬間、そうだ履いてきたスニーカーにもインソールは一応入っているではないかと気が付いた。そうして薄く頼りないペナペナなインソールを入れ一抹いや二抹の不安を抱きながら初のダイグラ尾根挑戦の幕を切った。
辺りは真っ暗でヘッデンの明かり一つを頼りに進むのだが不安な気持ちはなかった。実は2週間前にこのヘッデンで歩く必要がある区間を事前に確認にきていたのだ。流石は自称石橋を叩いて渡る男。詰めが甘いのが玉に瑕だが。。。
桧山沢吊橋までの道は基本林道を真っすぐ歩くだけだが、途中で杭のある場所を右へ入る場所がある。見落とさないよう注意して歩いていくと杭がヘッデンに照らされ白く輝いていて分かり易かった。その後ズンズン進んでいくと目の前でガサっと動物の動く音がした。小動物の音ではない。ヘッデンの明かりの中から出てきたのはカモシカの子供だった。意図せず寝起きドッキリを仕掛けてしまいお互いビックリし丸い目で見つめあった。
桧山沢吊橋に到着すると星空は更に美しさを増していた。写真に収めたかったがノウハウもないしこんなところで油を売っているわけにもいかないのでさっさと橋を渡り終えた。
橋を渡るとすぐに急坂が始まる。もう坂というより壁のような斜度で両手も使てよじ登っていく。少し上がるとようやく二足歩行できる程度の長い長い急坂を進むことになる。先は長い、山頂までは9時間程度かかる予定なので急がないよう心の中で「ゆっくり小股、ゆっくり小股」と念仏のように唱えながら亀の歩みで高度を上げていった。ヘッデン山行の利点だろうか視野が狭いおかげで上へと続く急坂が見えないので視覚的な絶望感が少ないで精神的には楽かもしれない。
前回は2時間で到着した長坂清水に2時間半かけて到着。前回より時間はかかっているが逆にゆっくり歩けている証拠なので焦りよりではなかった。
長坂清水より先は未知なる道ではあるものの、まだ一歩一歩の段差も大きくなく今までのペースで歩いて行った。この頃には既に周囲は明るくなり左側を見ながらあれが朝日であっちは蔵王か?などと周囲の山々を見て気分転換を図った。
歩き始めから約4時間弱で休み場ノ峰に到着した。標高的には半分以上登ったことになるがこれまではほぼ登り一辺倒だったのに対しこの先はアップダウンをしながら登って行くことになる。早い話が3歩進んで2歩下がるを繰り返しで進んでいくわけなので時間も体力も気力も必要になってくる。
休み場ノ峰からさらに1時間。千本峰に到着。岩場に登り帰路に歩く予定の稜線を眺める。あそこに行った経験がないのでどのピークがどの山かイマイチよく分からなかった。千本峰のピークを過ぎ降りていくとすぐに大きな岩場がありこれを下りなて行かなくてはならない。それなりに高さがあるので普通の山ならロープなり鎖が付いてても良さそうな場所だが当然そんなものは存在しない。木と岩を掴んで慎重に足を岩の出っ張りにかけ3点支持を維持しながらソロリソロリと慎重に降りた。ここが中盤の難関ポイントであろう。
登っては降り、登っては降りを何度も繰りかえす。そして降りる度に振り返りさっきいたところを少し恨めしい気持ちで見上げた。そうこうしているうちに一人の男性に追い抜かれる。「今日はどこまで行くの?」と聞かれたので、梅花皮か御西ですと答えたら御西の小屋番さんだったらしく、「うちに泊まってってよ。大日にも行くんでしょ」と言われた。御西小屋は前回初めて飯豊に登った際にお世話になった小屋で大日岳にも近くて快適な小屋だったし、登山計画でも御西小屋にお世話になる予定ではあった。ただ、自分は御西小屋のトイレの臭いがですね…ちょっと苦手なものでして可能であるのなら梅花皮小屋まで行きたいというのが本音だった。とりあえず日没の時間なども考慮して13時30分までに御西小屋に到着できなかったらお世話になると心の中で決めた。
宝珠山に近づくとザレ気味のトラバース路が続くようになった。今回は乾燥していたため危険な感じはなかったが濡れていたらさぞかし気を遣うであろう。ダイグラ尾根の山場はやはりこの宝珠山とその前後の道だと思う。今までよりも大き目な岩が多くなり段差も大きくなるし、道も不明瞭な場所もでてくる。体力と気力の疲労度が増す区間だった。
この頃になるとコースタイムより遅れだしていたが、まだ午前中だということで焦らず長めの休憩をとることにした。多少緊張する区間も終わりあとは残り少ないダイグラ尾根をエンジョイしようと考えたのだ。
ゆるいガレ場に到着すると本山まではあと一息だ。右手に見える大日岳を含む景色に目を奪われながら御前坂を登って行く。ヘロヘロな姿で登るのもみっともないと思い多少虚勢を張って登っていったが山頂からは誰も見ておらずお少し離れたところで一人食事をとっておられただけだった。
本山山頂からは磐梯山や安達太良山、吾妻連峰も見え贅沢な景色ではあったが、本命はなんといっても大日岳へと続くあの広い尾根であろう。あれは頑張って登ってきた人へのご褒美に違いない。ご褒美タイムを堪能し御西小屋に着いたのが13時22分だったので先ほどの予定通り梅花皮小屋まで行くことに決定。コースタイムにして約3時間の道のりを進む。
スタートしてから約10時間近く経過していたが自分でも不思議なほど体力が残っていた。飯豊を歩いていると他の山と時間の流れ方が違うように感じる。あっという間に1時間、また1時間と驚くほどの速さで時間が経過していく気がする。飯豊の雄大さがそう感じさせるのだろうか。普段の山行では考えられない程の長時間が歩けてしまう。これはまさに飯豊マジックだ。
御西小屋から烏帽子岳までの稜線歩きもまた格別だった。紅葉具合もこの稜線が一番綺麗だったしなにより解放感が半端ない。特に烏帽子岳から眺めた景色は雲一つない青空に緑と金の山肌、赤い紅葉がアクセントとなりなんと神々しい光景かとため息が出た。
梅花皮岳に到着し小屋が見えてくると緊張感が抜けたのかどっと疲れが襲ってきた。目の前の小屋まで大した距離でもないのにやたらと長く感じた。平日とあってか小屋は自分を入れてもたったの5人だった。到着後すぐに夕飯の準備をする。小屋では大体、日が落ちると就寝のパターンになるので急いで夕飯を食べ寝床を作った。
今回の山行ではもう一つ目的があった。それは星空の撮影だ。といっても今まで一度も星空など撮った経験もないのでダメ元でミニ三脚とリモコンを持ってきてみたのだ。本当はミニとはいえ1kgある三脚なので最後まで星の撮影は迷っていたのだがこんな機会はめったにないと考え頑張って持ってきたのだ。20時頃に月が沈むことだけは調べてきたのでそれまでは仮眠をとるつもりであったが疲れているにも関わらずなぜか全然寝られなかった。
20時頃、静かになった小屋をモゾモゾと這い出した。外は風があり寒かった。一応、星の撮り方はググってきておいたので何度か試しているうちに天の川が映ってくれたので良しとした。初めてにしてはまずまずであろう。というか昼間に写真を撮りすぎて電池の残量が乏しくなってきてたので翌日のことも考えるとあまり何度も試すことができなかった。
小屋に戻って就寝したがやはりあまり寝付けなかった。それでも何とか4時間程度は寝れただろうか。まだ暗い中パンを食べ、片付けを始めた。梅花皮小屋は梅花皮岳と北股岳の鞍部にあるため夕日や朝日を見るにはあまりいい場所とは言えないので朝日は北股岳に登って拝もうと考えていたのだが、もたもたしていたら北股岳に登っている最中に太陽が昇ってきてしまった。それでも何とかゴールデンアワーには山頂に間に合い感動的な景色を見ることができた。
その後は門内岳を経由し下山の予定だ。梶川尾根も丸森尾根もどっちも厳しいらしいが良くわからないので滝が見られるという理由で梶川尾根を下ることにした。梶川峰までの道が案外平坦でその後どんな下りが待っているのか逆に不安になった。
本格的に下り始めるとザレやガレもありやはり歩きにくい。それと一歩一歩の段差が大きく筋肉的ダメージはこちらの方が大きく感じた。ダイグラ登るよりこっちの方がキツイんじゃなかとすら思ったが実際それはどうかわからない。
下るにつれ木の根と岩のコンビが多くなってきた。ここまで来て転んで怪我などしないよう最後まで集中だぞと自分に言い聞かせかなり慎重に下り、無事に梶川尾根の登り口まで辿り着いくことがで安堵した。
当初はあのキツイと噂のダイグラ尾根に挑戦するということで戦々恐々としながらのスタートであったが終わってみれば本当に幸せなひと時を過ごすことができた。
ありがとうダイグラ尾根。
ありがとう飯豊連峰。
ありがとうペナペナのインソール。
もしかして北股岳で粟島を教えて頂いた方でしょうか?
今回は天候に恵まれて素晴らしい登山ができましたね。
はい。北股岳でご一緒させていただいたものです。
天候に恵まれお互い良い山行となりましたね。それにしてもakujikiturishiさんの健脚っぷりは凄まじいですね。丸森尾根を登ってから大日岳まで経由しダイグラで下山を日帰りとか凄すぎです。お見事!おつかれさまでした。
やはりそうでしたか、その節はありがとうございました。
月に一回程度しか山に行けないので、行けるときにはつい頑張ってしまいます。若くないので次の日は筋肉痛で大変ですけど。(笑)
凄いですね。写真1枚1枚 息をのみながら、まるで自分も歩いているかの緊張感をもって拝見しました。
素晴らしい飯豊の景色に、まさに感動です。
七ツ森往復のレコから、あれ?もしかして飯豊を狙ってらっしゃる?と思ってましたが、北飯豊かな・・は、当たりましたが、まさかダイグラ尾根とは思いませんでした。
確かに振り返りで、今年は沢山歩かれてますものね。集大成ともいえる飯豊、好天に恵まれて最高でしたね。
お疲れさまでした!! ヽ(^。^)ノ
飯豊にいってきました。ふふ、バレてましたね(笑)
七ツ森は本気でキツかったんですが飯豊はこんなもんじゃないぞと鼓舞しながら歩いてました。あれでダイグラを歩く自信がつきました。
やっぱり飯豊は良いですね。特に北飯豊はかじった程度ですがホント良いです。はまりそうです。ダイグラも長丁場で大変でしたがまた歩きたい気持ちが沸々とわいてきています。
流石に今年は行かないですが、なんとか来年まで体力を維持できるようトレーニングしたいと思います。
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