リラ七湖〜マリョヴィッツァ(2729m)〜リラの僧院

- GPS
- 32:00
- 距離
- 22.3km
- 登り
- 1,516m
- 下り
- 1,799m
コースタイム
7/4(金) リラ7湖小屋7:50〜リラ7湖めぐり〜13:10マリョヴィッツァ山頂〜16:30リラの僧院
天候 | 7/3 くもり 7/4 ガス時々晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2014年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
リラ7湖小屋は、ほとんどホテルと言って良いような立派な建物。ドミトリー23Levaで朝食付き。個室もあるよう。レストラン有り(7:30〜22:00)。従業員はおばちゃんばかりで誰も英語が話せず、チェックインも食事の注文も非常な苦労を要した。 マリョヴィッツァからリラの僧院までの下りは整備が良くなく上級者向きである。途中ルートがヤブに埋もれていてはっきりしない上、ヤブのトゲで傷だらけになる(半ズボン厳禁)。また足場も不安定で危ない箇所もあるので十分注意が必要である。ほとんど廃道と思った方がよい。僧院に下るルートはイヴァン・ヴァゾフ小屋を経由する遠回りのコースもあり、こちらの方は整備がよいそうだ。ただしその場合マリョヴィッツァとリラ7湖を一日で踏破するのは難しいだろう。 このコースも水は豊富だが、馬の荷揚げ経路や放牧地が重なっていて馬糞が至るところにある。水は小屋で準備し、沢水は飲まない方が良いと思う。 [今回の記録リンク] オリンポス http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-475897.html ヴィフレン http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-475913.html ムサラ http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-476401.html リラ七湖ーリラ僧院 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-476421.html |
写真
感想
リラ7湖とマリョヴィッツァ山はリラ山群でも人気のエリアである。更にリラの僧院に下れば世界遺産の僧院の建物も拝め、一石三鳥になる。これを一日でやってしまおうという欲深な計画を目論んでいた。事前調査によれば、7湖小屋に前泊すれば何とかなりそうなことは判っており、また、サモコフのバーダ小屋からアプローチするのが時間的には早そうだった。現地で地図を購入してルートを確認しこの計画で行けそうなことを確認した。
7/3(木) 曇り バーダ小屋15:35〜17:25リラ7湖小屋
サモコフのバスターミナルで声をかけたタクシー運転手さんは幸運にも英語が話せた上、登山が趣味の人だった。今回のルートの情報を色々教えてくれた。バーダ小屋からリラ7湖小屋まではあまり歩く人はいないが3時間で十分行けるだろうと言っていた。
小屋でタクシーを降り、車道を外れて川を渡渉して登山道に入る。このルートは合計3回ほど渡渉があったが平水時なら靴を濡らすことはないと思う。途中のロヴナ小屋までは針葉樹の森の中の、林道のような広い道を行くが、複数の道が交差し混乱しやすい。一応分岐には必ず看板があるので、Lovna(キリル文字表記Ловна)の文字を見落とさないようにする。
ロヴナ小屋はシェルターのようなものだろうと勝手に推測していたが、ちゃんとした営業小屋だった。ニワトリが放し飼いされており生活感がある。昔の南アルプスのような雰囲気の古風な山小屋で、思わずここに泊まりたくなった。外にメニュー表も出ていたので、食事も出すのではないかと思う。良い水も得られるのでここで水筒を満タンにした。
小屋から上もルートは針葉樹の中を行くが、やはり錯綜が見られる。ここも常にRilski ezera(キリル文字表記Рилски езера)の看板に従う。森林限界が近くなるとリフトが見えてくる。高山植物が一気に豊富になり、高山帯になったことを知る。ここから少しリフト沿いを登るとその終点付近に立派なリラ7湖小屋があった。タクシーの運転手さんが言っていたように、ここまで誰にも人に会わなかった。
小屋は立派でレストランもあり良かったのだが、ブルガリア語しか通じなくて参った。チェックインすらままならない。見かねてお客さんの女の子が通訳に入って助けてくれた。今はニューヨークに住んでいるが里帰り中で偶然山に登っていたそう。とても助かった。お客さんは全員ブルガリア人のようでこの日は完全アウェイ状態だった。ニューヨークっ子のグループに一緒に飲まないかと誘われたが、明日の朝が早いので丁重にお断りした。
7/4(金) ガス時々晴れ リラ7湖小屋7:50〜リラ7湖めぐり〜13:10マリョヴィッツァ山頂〜16:30リラの僧院
朝起きると一面の濃いガス。ただ時折晴れ間も見えており回復傾向のようだ。朝食を食べてすぐに出発する。少し登るとリラ7湖のうちの1湖が見え始め、すごい景色になってくる。前に登ったムサラも湖はあったが、規模が全然違う。登るにつれ2湖、3湖、4湖と次々現れて楽しませてくれる。氷河で削られた地形に水が貯まって湖になったようである。別世界のような景色であった。天気も回復しており日差しも出るようになってきた。
最後の7湖を超えるとちょっとしたピークに出る。ここから先は標高2500mを超えるが一面の草原になっている。このあたりの地形は北が絶壁で南がたおやかである。マリョヴィッツァ山頂まで草原がつながっているのが確認できた。馬糞も落ちておりおそらく放牧地なのかもしれない。こんな高地に原っぱが広がっているのは驚きだった。
気温が猛烈に低く寒くて仕方がない。手袋も持ってきて大正解だった。今日は北風が強く寒気が入っているようで、そのせいで雲が湧いてしまっているのだろう。何とか耐えて進み、ようやくリラの僧院との分岐に到着した。凄い傾斜の下り坂で不安になるが、とりあえず荷物をデポしてマリョヴィッツァを目指す。残念ながら山頂は濃いガスだったが、ブルガリア人に大人気のピーク登頂に満足した。マリョヴィッツァは反対の東側からの方が人気のようで、軽装の若者や遠足の子供達&先生も登ってきていた。この山は北から眺めるとガキンガキンの岩山らしいのだが、今日は緩やかな南西からアプローチしたことやガスガスだったこともあり、その片鱗はつかめなかった。
僧院分岐まで戻った。ここから目指す僧院が真下に見え、なんだすぐそばではないかと思ってしまうが、それは大きな誤解である。急坂を慎重に下ってゆく。南側は天気が良くてポカポカしてきたのは幸いだった。地図では尾根道になっていたが実際は尾根から外れた斜面を巻きながら下っていくルート取りだった。そのルートも所々ヤブが掛かり、足場も怪しく、滑ってコケながら下るような場所もあった。また下部はヤブ漕ぎも酷く、アザミや野バラのトゲで傷だらけになった。さすがはバラの国だが、登山道に生息するのは勘弁して欲しい。標高1600mくらいでようやく尾根にルートが取られたが、まだヤブには悩まされた。傷にまみれ、膝も笑いかけ、先ほどまで寒くて死にそうだったのに今度は暑くて死にそうになり、さすがに精神的にもキレそうになりながらようやく僧院にたどり着いた。最後の最後でまさかこんなに苦労するとは思わなかったが、無事に下山できて良かった。
予約していたすぐ近くのホテルにチェックインしてからリラの僧院を見学に行った。世界遺産リラの僧院はブルガリア最大の見所、ちょうど夕方の礼拝時で、寺院内は荘厳な雰囲気だった。オスマントルコに400年も支配されながら、強い信念で守り続けられたブルガリア正教の聖地。壁全体を覆う美しいフレスコ画、キリスト教でありながらムスリム風にも見える独特の建物群、修道士たちの熱心な姿など、印象に残ることばかりだった。
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