小菅より山ノ神尾根・狩倉山・石尾根を経て氷川へ
- GPS
- 06:54
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 1,151m
- 下り
- 1,219m
コースタイム
- 山行
- 5:58
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 6:55
11:42 狩倉山
12:48 三ノ木戸林道分岐
13:16 十二天山
13:45 越路ノ杜
13:57 絹笠山
14:16 石尾根縦走路・六ツ石山登山口
14:20 農指山
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・日原川沿いの白妙橋〜小菅集落間の道は崩落が激しく危険です。素直に大沢からの車道を辿った方が安全です。 ・山ノ神尾根は入口からは複数の赤リボンがあり、私製道標もありますが、全体に道が不明瞭です。 ・雪は1,000mを越えたあたりから残っており、1,300m以上は道は見えない状態です。アイゼンは使いませんでした。 ・三ノ木戸山北側の巻き道は一部がアイスバーン化していました。要注意です。 |
写真
感想
いつも登山口に神社を見かけると安全登山を祈願するが、朝から不運続きの今日は特に念入りに祈っておいた。まず青梅線が踏切事故で遅延した。西東京バスは待っていてくれたものの、白妙橋から小菅集落へ抜ける日原川沿いの道は崩落が激しく早速消耗した。小菅集落では九十九折れの車道を短絡しようとして迷った。そしてこれから初めて登る山ノ神尾根は非登山道のマイナールートだ。
小菅集落の最奥部にある伽藍神社でお祈りを済ませ、気持ちを落ちつけて先へ進んだ。廃寺の瑞雲寺、小菅山まではかなりしっかりとした道と赤リボンが続いていた。傾斜はきつくないのにペースが上がらないまま、やっと小菅山に到着。直前に小規模な露岩帯があったが、傾斜はゆるいので脇を巻いた。山頂には立派な桜があった。ひっそりと花見をするのも良さそうだ。
小菅山からごく少し降りてすぐに急斜面が始まった。この辺りで麓からやたらと続いていた赤リボンを見かけなくなった。雪は無いものの地面はカチコチに凍っていてやたらと滑る。踏み跡も最早無い。ただ尾根筋は植林と広葉樹林の境目になっていて、いつの間にか広葉樹林の方を攀っていた。思い直して境目に戻ると道があった。
ペースが上がらず度々休むが、日原川の沢音とたまに鉱山の発破音が聞こえる以外はとても静かな山だった。自分以外の人は誰も居ない。だから急登で滑落すれば、何の助けも無い。雪の状況によっては引き返す事になるかもしれない。その時にさっきの崖を降りられるか。そう考えると胸がチリチリしてきた。ごく些細な冒険だが、この緊張感が醍醐味だ。
1,000m付近で残雪が出てきた。そしてその先に核心部があった。守屋地図に「下降時注意。木の根を辿る」とある場所だ。痩せた尾根の先に露岩が見える。幸いそこは積雪が薄いものの、カチコチに凍っているのは明白だ。左右にまわってみたが、巻くのは無理そうだ。腹をくくって進んだ。
露岩帯はいくつもの桜の根とからみついていて、小径木だが自分の体重は支えてくれそうだった。根を掴んでは身体を引き上げ、幹にしがみつくのを繰り返した。ところが上の根を掴もうと右手を伸ばした時に左足が滑った。必死に幹にすがりついた。冷や汗が出た。足元を見ると何という事は無い、足の置き方がいい加減だっただけで、根っこのホールドはしっかりあった。
ここでだったかと思うが、改めて足元を振りかえった。単独でマイナールートを歩く時の撤退基準は「引き返せるかどうか」だ。この露岩帯を降りられなければ、この先で行き詰まった時、脱出できなくなる。見ると思ったより足場は広く、うつぶせでゆっくりであれば充分降りれそうだった。
次の桜の幹にしがみついた。足を上げる番だが、次の足場は幹の左下、自分のへその辺りで、とても足は上がらない。登山教室で学んだ事を思い出した。「一旦落ち着いて、身体を岩から離して周囲を見渡せ」果たして幹の右手に二段の手頃な足場を見つけた。
なんとか上まで登り、暫く放心した。ただそこからの雪交じりの景色は、「奥多摩にもこんな絶景があるのか」と思う程のものだった。
もうこの先に難所は無いという1,300m前後まで来て、暫く見かけなかった赤リボンが復活した。青と黄色のペンキもあった。難所を回避するルートがあったのかもしれない。「山ノ神尾根」との私製道標が置かれている辺りからは小ピークが続き、左手には小さな谷をはさんで狩倉山の主脈らしき尾根が見えてきた。そちらに誘われながらも、地図の通りに山頂の北に伸びる尾根を目指した。もう引き返すのは御免だ。
最早冠雪して土は見えない。当然踏み跡も無い。唯一ヒトらしき跡はあるが、それを追うような愚はすまい。キックステップとトラバースでよじのぼるうち、今回のような登山道ではないマイナールートを積雪期にやるのは初めてだと漸く気がついた。
狩倉山山頂は石尾根縦走路のすぐ傍だが、誰も居なかった。アルコールストーブで湯をわかしてコーヒーをいれる事にした。沸くまで待つ。ただ眺めて待つ。飽きれば雪山の景色を見る。久しぶりに贅沢な時間となった。
下りは石尾根を降りた。主脈に出た途端、汗ばむような春の空気に驚いた。それでも三ノ木戸山の北の巻き道は凍っていた。
初めての山ノ神尾根は思ったより苦労した。冬期の道の無いところに慣れていないからだろう。精進しなければならない。
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