乗鞍岳 強風で敗退(位ヶ原山荘泊)


- GPS
- 07:15
- 距離
- 11.5km
- 登り
- 931m
- 下り
- 1,334m
コースタイム
22日 6:30位ヶ原山荘==コース間違い==8:15肩の小屋口8:20==9:03肩の小屋(強風のためここで下山)==9:20肩の小屋口9:30==コース間違い==10:58ツアーコース入口==(乗鞍高原温泉スキー場内をスノーシュー下山)==11:40駐車場
天候 | 21日:雪&ガスで視界不良 22日:晴天しかし森林限界以上は強風 |
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過去天気図(気象庁) | 2010年03月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
・乗鞍高原温泉スキー場の駐車場は無料 ・ツアーコース入口まではリフト3本乗り継ぎ(料金1200円) ・三本滝レストハウスで名物山賊バーガーを食しました(子分サイズ500円)とても美味しかったです。登山前にぜひどうぞ。 ・ツアーコース最初の壁はかなりの斜度ですが、ここを越えればあとは樹林帯の切り開かれたコースを登ります(標高差400m)。 ・ツアーコースから位ヶ原山荘への分岐点には小さな看板がありました。 ・位ヶ原山荘までのルートは夏の車道ですが、雪タップリでロストしやすいです。所々に残る車道のポールを慎重に探して進みます(意外と急な片斜面トラバースもあり)。 ・位ヶ原山荘の冬季料金は素泊5000円、2食付8000円。 ・山荘内にはあたたかいコタツが3基あり、皆ここで夕食まで宴会モードでした。 ・晩飯は鹿鍋だったそうです(自炊の私は皆の食事タイム終了後にひとり寂しくアルファ米)。 ・位ヶ原一帯は広大な雪原なので迷いやすい(私は2日目に2度も迷子になってしまいました)。 ・肩の小屋口まではスノーシューでOKですが、そこから上はアイゼン・ピッケル必須です(耐風姿勢をとらないと強風に簡単に身体ごと持っていかれます)。 ・肩の小屋では飛騨側からの氷まじりの烈風がものすごい圧力で身体を押してきました(風の弱い日でないと稜線歩きは無理)。 |
写真
感想
山と渓谷でも紹介されていた位ヶ原山荘泊の乗鞍岳山行。
まだ未踏の3000m峰ですが、夏はバスで畳平まで入ってしまえば簡単に登れてしまうので、そんな時期には行きたくないなと思っていたところだったし、ヤマレコなどで山行記録を見ていると天候・風に恵まれれば、かなり気持ちの良い雪山登山ができるかも。しかも標高2350mの営業小屋(位ヶ原山荘)宿泊を組み込めば、時間的にも体力的にも充分楽しめる山行が期待できます。
それでもやはり3000m峰なので、防寒・防風にもしっかり対策したフル装備を準備し、日曜日早朝5時、爆弾低気圧から延びる寒冷前線通過で台風並みの暴風雨のなか、西船橋を出発。
今日は位ヶ原山荘に入るだけのラクチン行程。
9時半すぎに乗鞍高原温泉スキー場に到着。前線通過後なので青空に天候回復するかと思いきや、小雪がパラつく曇天。休暇村のひとつ下の駐車場に車を入れ、冬装備に着替えます(駐車場は無料)。
本日はスノーシュー、12本爪アイゼン、ストック、ピッケルの雪山フル装備。テントは不要なのでザックは軽い。
休暇村トリプルリフト乗り場横のチケットセンターで1回券3枚購入(400円×3枚)し、リフト2本乗ったところで、三本滝レストハウスに到着。
予定通りお昼前だったので、ネットで調べて知った、ここの名物「山賊バーガー500円」をランチにしました。バンズも肉もとても美味しかったです(食べたのは普通サイズ:子分ですが、親分という巨大サイズもあります)。
スキー場のレストハウスなので、客はみんなスキー・スノボ客なんですが、ランチしていると1組の登山装備の同年代くらいのご夫婦が隣のテーブルに来て、しばし談笑。
浜松から来た、このご夫婦も私と同じく位ヶ原山荘に宿泊して明日山頂を目指す予定とのこと。
ランチ休憩を終えて最後の最上部へ登るリフトでツアーコース入口へ。
11:35 標高2000mのツアーコース入口をスタート
ここから樹林帯の切り通しとなっているコースをスノーシューで登ります。
コースから先はガスガスで視界が悪いうえ、前方からは風雪が吹き付けてきます。初めてのコース、しかも降り続く雪で先行者の踏み跡は見当たらず、ひたすら切り開きを進むだけ。幸い、後からつぼ足で浜松からのご夫婦もついてくるので心細くはありません。
事前の調査情報だと、だいたい標高2400m近辺で右に分岐して位ヶ原山荘へと車道を目指すとのことでしたが、視界も悪く高度計をしょっちゅう確認しながらコース右側を登ります。
もし分岐がわからなかった場合は素直に位ヶ原の台地まで登って車道を探すべ と思っていたところで、なにやらコース左端に小さな看板のようなものを発見。
12:58 位ヶ原分岐標識発見
標識によると位ヶ原山荘へは切り通し右縁を登るとのことで、ここから右斜め上に進行方向を変更。しかし相変らず視界が悪く、進行方向が正しいのか間違っているのか不安になりながらも、後からご夫婦もついてきているようなので、とにかく車道らしき痕跡地を探して疎林の雪原を登ります。本当に踏み跡がないと不安になります。
なんとなく車道っぽい平坦地に達したので、そのまま平坦地で右折直進すると道路の路肩オレンジポールのようなものを発見。これでかなり不安も消え、あとはポールを探索しながら、若干下り気味に先へ進みます。途中何度かロストしそうな箇所もありましたが、とにかくポールを探索しながら右下へ滑落しないよう注意しながら、ソロソロ進みます。
いつの間にかご夫婦と離れてしまいましたが、車道までは二人も出たはずなので、そのまま前進続行。
13:40 位ヶ原山荘
さすがに視界の先に山荘らしき建物がボーッと見えてきたときにはホッとしました。
踏み跡のない小屋の前、玄関らしき部分も雪に埋まっていて、一見しただけでは営業しているようには見えません。反対側に回り込んでみると、やっと踏み跡と玄関を発見。
これにて第1日目の行動は終了。
位ヶ原山荘は2食付8000円、私は素泊5000円。2階の5人相部屋のひとつに通されましたが、お客さんはみんな1階のコタツ部屋(コタツが3基)で暖をとっていたので、持ち込んだアルコールとおつまみを持って、私もコタツへ。
私がお邪魔したコタツには前日から泊まっている名古屋からの単独行のお兄さんがいて、いろいろな山話を談笑。
そうこうしていると、ようやくご夫婦も山荘に到着し、お互いの無事到着を祝って、そのままコタツで宴会モードに。
さすがに山渓効果もあったのか、本日の泊まり客は40名ほど。
次々お客さんが山荘に到着し、どんどんコタツ部屋の宴会の輪が大きくなっていきます。さすがに雪山だけあって、単独行は私と先ほどのお兄さんだけ(しかも二人だけが素泊)。あとはグループやツアー客(某有名ツアー会社は10名のパーティー)。しかも皆さんベテラン揃いで、夏山で見かける初心者っぽい人はいません。
殆どの人が明日は頂上を目指すということで、ちょっぴり安心。
食事タイムは5時半からでしたが、食事組が終わるまで自炊組は食堂を使えず、自炊開始は6時半を回ってから。
その後、コタツ部屋に戻って8時半ごろまで談笑。明日の予報は晴れながら、風は収まらず午後からは下り坂とのこと。早朝行動が肝心ということで朝6時からの食事組の前に朝食を食べるために5時15分にアラームセットし、9時前には就寝となりました。
=====
2日目
食事組より先に出発するために5時15分起床。
自炊の準備に食堂へ向かう途中、玄関の前に出ると、もう一人の単独行さんが既に朝食を済ませて出発準備中です。先行ラッセルをお願いし、急いで朝食。
6時からの朝食タイム前に食事を済ませ、まだ皆さんが朝食から戻ってくる前に支度を整え、様子を観に外へ出てみると前日とはうって変わった快晴!そして先行した単独行さんのラッセル跡がジグザグに登っているのがよく見えます。
6:30 スノーシューを装着し、第2日目スタート
本日もすぐ後に昨日と同じく浜松からのご夫婦さんがついてきます。ちょっと安心です。
先行した単独行さんのラッセル跡を辿って、まずは位ヶ原の台地まで急登します。晴天ながら風が強く、風の通り道部分ではラッセル跡がすぐに消えてしまっていました。とりあえずまっずぐ正面の尾根をジグザグに登った形跡があったので、私もひたすら直登。
スタートから30分ほどでかなり見通しの良い高さ(標高2500mくらい)まで登り、見渡すと左前方には乗鞍本峰の剣が峰、正面には摩利支天から富士見岳、そして右横はるか先には槍穂まで見通すことが出来ます。やっぱり眺望がクリアに見渡せるとうれしいもんです。
うしろからご夫婦もついてくるので、そのまま正面の壁に突進直登。
徐々に斜度が急になるとともに斜面も柔らかい雪面から強風でカチカチになった氷雪面へと状況が変わり、とうとうスノーシュー&ストックでは登りづらくなってきました。
振り返ると、ご夫婦は平地でアイゼン&ピッケルに装備変更しているところです。
スノーシューではうまく登れず、かといって下るには滑落の危険性がある硬い斜面のど真ん中でとうとう立ち往生(何とか両手両足でズリ落ちないように踏ん張っているだけ状態)、これは困った、アイゼン装着タイミングを逸してしまったことに後悔するもどうしようもない状態。唯一の救いはご夫婦が後からついてくるので、孤独の恐怖は感じないで済んでいるというだけ。
とにかく少しでも斜度のゆるいところまで登ってアイゼン&ピッケルに装備変更するため、意を決してスノーシューの前歯をアイゼンの前歯のように斜面にけり込み、短く持ったストックをしっかり氷雪面に差し込んでゆっくり3点確保で、何とか斜面途中の岩の突き出た平坦地まで登り、そこで装備変更。
ところが風の強い場所のため、氷雪面はツルツルでスノーシューを外すと、風で身体ごと平坦地から滑り落ちそうになるわ、ザックも手で押さえておかないと風でズルズル滑り始めるわで、この交換作業だけで15分ほどかかってしまいました。
コワゴワのアイゼン&ピッケル装着交換の間に追い越されたご夫婦を追いかけ、相変らずの横風に時折身体を持っていかれそうになりながら真っ直ぐ斜面を登ります。
途中を横切る車道らしきポイントを越えて2670m地点くらいで先行したご夫婦に追いつくと、どうやら全然肩の小屋に向かうコースから外れているらしく、登っている尾根は魔利支天へと続く尾根だったよう。3人でさあどうしようと相談した結果、少し下って車道へ戻り、それを辿って肩の小屋口まで向かうことにコース変更。幸い晴天で見通しがよく、前方の雪原を後から小屋を出発した団体ツアーさん達が肩の小屋口の建物に向けて歩いているのが見えて一安心。
8:15 肩の小屋口
ここから見上げる稜線は雪煙が強烈。おまけにその強風がここまで吹き降ろしてきて寒風が顔を叩きます。イテ〜ッ。ここで小休止する団体さんと話をすると、とりあえず肩の小屋までは登ってみようということで、ご夫婦と一緒にまず稜線に見える肩の小屋目指して先行スタート
吹き止むことのない前方からの寒風で顔を上げられないながらも、アイゼンを踏みしめて一歩一歩稜線を目指して進みます。強風でパリパリに氷結した雪面上は砂丘の砂嵐のように雪が次々と風の筋をつけながらどんどん吹き付けてきます。
9:03 強風に難儀しながらも何とか肩の小屋到着
しかし、停滞することも出来ないぐらいの強烈な横殴りの風に、あっさりこれ以上の登高を諦めて団体さん達共々そそくさと下山開始。無理をして稜線を剣が峰へなんていう気が全く起こらないぐらいの重い横殴りの強風は、いやはや凄まじい迫力ですねえ。
稜線からの下りは強風ながら追い風なので、アイゼンを雪面に効かせてサクサク順調に下れます。
9:20 肩の小屋口
登りはそれなりに時間を要したけど、下りはあっという間に肩の小屋口到着です。
ここでアイゼン&ピッケルからスノーシュー&ストックに装備変更するとともに10分ほど休憩。でも風が強いのでのんびりという感じではありません。見上げると青空の下、すぐそこに剣が峰が見えますが、強風で雪煙を吹き上げる稜線、今回は仕方ありません。
9:30 団体さんの出発とほぼ同時に下山開始
前面に拡がる広大な雪原を雪煙を舞い上げる追い風に乗って順調にスノーシューで下ります。風で適度に締まった広大な雪面をサクサク適当に下るのは楽しいものです。晴天だし眺望はクリアで槍穂も良く見えるし、キツイ斜面があるわけでもない雪原散歩で快調に位ヶ原の台地まで来たのは良いが、ここでどちら方向に下るのが正解か、判別できなくなってしまいました。
広い台地の疎林の中を車道のポールを探したり、他の登山者の姿や足跡を探索しますが、ぜんぜん見当たらず。幸い時間的に余裕はあるし、見通しがきく天候だったので、落ち着いて台地を右方向に進んでいって、ようやくはるか前方に団体さんの姿を発見。
どうやら、かなり位ヶ原山荘方向に近いほうに私は下っていたようでした。
団体さんに追いついたあたりで、時間的に日帰りで登ってきた人も増えてきて、あとは樹林帯の切り通しのコースをどんどん快調に下るだけ。前日と打って変わった晴天。振り返ると剣が峰もよく見えます(上空に少しづつ雲が出てきて下り坂になりつつありましたが)。
10:58 ツアーコース入口標識に到着
登り途中で1回、下りで1回、コースをロストしてしまい、少々焦ったけど、無事下界に帰着です。
後はスキー場のコース脇をスノーシューで下って、11:40 駐車場帰着
剣が峰登頂を諦めた分、予定よりも早く下山してこれたため、帰り渋滞になるべく巻き込まれないよう、軽く着替えてそのまま自宅に向けてそそくさと出発。
出発して間もなく、乗鞍高原温泉スキー場の路線バス停の前を通ると、バスを待つ数人の人の中に、本日早朝1番に山小屋を出発してラッセル跡を作ってくれた単独行さんの顔が。
クラクションで合図し、近寄って声をかけると、これからバスで松本まで出て名古屋まで帰るとのこと。どうせならということで新島々まで彼を乗っけて、本日の話や、いろいろな山の話で盛り上がりました。
やはり予想通り、彼もコースを間違えて、魔利支天への尾根をどんどん進み、途中で気づいたけどそのまま魔利支天の稜線まで登ったけど、強風で撤退したとのことでした。
どおりでラッセル跡を辿った我々もコースロストしたわけでした。
新島々で彼を降ろし、そのまま松本ICで高速に乗り、途中で少々渋滞に巻き込まれながらも晩御飯前には無事自宅に帰着できました。
1週間前の四阿山途中撤退に続いて今回も途中撤退となったのはとても残念でした。そして今回はコースロスト、氷雪斜面上で進退窮まりそうになったこと等、単独行ではなかなか難しい部分を痛感する点の多い雪山行にもなりました。
夫婦です。
初めまして、kazさん。
最近ヤマレコを始めました。
過去の山行記録もアップしようと思っているんですが、全部はとても。
奥さまと相談し、思い出に残る山行からということに。
「敗退、二週間後にリベンジした乗鞍は外せない!」
で、同時期の乗鞍の山行を検索していたら、kazさんのにヒットしました。
ヤマレコもっと早くやっときゃよかった。
あの時は、お世話になりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
ricalojpさん、あれから1年半ですね。
(なんだか昔の友人に久々にあったような感慨が湧いてきましたよ)
あのときは単独で不安一杯だった私の精神的支えになっていただき、本当に感謝しています。 二週間後にリベンジ達成ですか? それはおめでとうございます!!
私はまだリベンジ出来ていなくて、気がつけばとうとう唯一の未踏3000m峰として乗鞍岳が残ったままとなってしまいました(かといって畳平から登る気にもなれず)。
ぜひ、そのリベンジ記録のアップをお待ちしています。それにしてもヤマレコで山行後に、コメントでご挨拶する機会が最近増えていて、ヤマレコ利用者って多いんだなあということを、本当に実感しているこの頃です。
今後ともよろしくお願いいたします。
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