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現場の実態ってどんな感じなんだろうと思い読みました。
厳しい訓練を受けて救助に向かう人の心にも葛藤があるんですよね。
同世代の隊員さんの話は特に新鮮に感じました。
どの隊員さんのお話も、救助の様子はコンパクトにまとめられています。
現場から要請を受け、現場に向かい、状況を判断して適切な処置を選択して行うという一連の流れが簡潔に書かれてます。遭難が重なったり続いたりするケースでは、短い文章から伝わってくる緊張感に読んでる方も肩に力が入ります。
驚いたのは、「大丈夫だから」の一言はタブーになっているということです。
遭難者が重傷・重体であるほど、相手を叱咤する言葉をかけて気持ちを強く持たせる必要があるそうです。
遭難してもうダメだと思った時にやっと来てくれた救助隊員さんに厳しい言葉を言われたらへこむだろーと思いましたが、極限状態の時ほど気持ちや意思の強さが最後の命綱になるんですよね。厳しい言葉で相手の感情を刺激して、気持ちが途切れないように助けて下さってるんだなと納得しました。
「隊員の命を犠牲にした救助活動などあるはずがない」という言葉も印象的でした。
救助を仕事にしている立場の人間には一番大切なことであり,その結果が今の信頼に繋がっているんだと思います。
それでもこの姿勢を現場で貫き通すのは大変な場面もあるだろうなと思いました。
相手に現状をどう納得してもらうか。
遭難者と関わりが深い人ほど、納得するのは難しいです。
救助活動に携わっていると「どうやったら遭難を未然に防ぐことができるんだろう」という思いが強くなるそうです。
趣味登山を楽しむ立場としてはその思いに共感し、感謝の気持ちもわいてきます。
それでも実際アルプスに行くと「せっかく来たのに・来たんだから」という気持ちをつい持ってしまいます。
安全を心掛けていても、大きい山に行った時には気分が高揚して無理をしてしまうことがあります。
自分のそういった甘い部分を自覚する必要があるなと思いました。
警察という組織の中で働いている方々の手記なので、独特の世界だなぁと感じる部分もありますが、隊員の皆さんがどんな思いで活動なさっているのかを知るためにとても良い一冊だと思います。
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