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こんなにフットワークの軽い人だったんだと驚きました。
救助隊員でもヘリの操縦士でもなく、東邦航空の営業担当者であったことにも改めて驚きました。
私が篠原さんのことを知ったのは漫画の「岳」がきっかけです。
篠原さんをモデルにした登場人物は厳しく冷静かつ寡黙で、颯爽とヘリで登場して遭難者を救助する姿には主人公以上に存在感がありました。
今回この本を読んで知った篠原さんは、漫画のキャラとは違った魅力を持つ人でした。
その人柄は、熱くまっすぐ頑固で繊細で、職人気質な人だなぁと思いました。篠原さんを慕う人と嫌がる人がはっきり分かれたという話にも納得しました。
お酒が好きで大胆に酔っぱらったり、過去に借金で苦しんだ経験もあるそうです。借金の経験から金銭に関することには慎重になったそうで、真面目で意思の強い人なんだなと思いました。
遭難救助現場では常に第一線で活動し、救助のあり方について東邦航空とぶつかることもあった一方で、ご家庭では休日を利用して3年かけて子供部屋を備えたログハウスを手作りなさったりしていたそうです。こんなに年中燃えてる状態を維持できるのってすごすぎでしょと圧倒されっぱなしでした。
美恵子夫人や涸沢ヒュッテの小林さんや山口さんへの取材内容を読んでいると、篠原さんご本人に強い意思と体力があったことに加えて、篠原さんを慕うたくさんの人との関わりがその活動を支えていたんだなと感じます。篠原さんの周りに人が集まった理由は、ご本人の人間性に魅力があり、自分にも他人にも厳しい態度が相手を納得させていたからだと思います。そして篠原さん自身が相手を信頼し、必要としていたからだろうなと思いました。
実際に、とても人間が好きな人だったそうです。
救助活動に情熱を注がれたのも、自分と同じ山好きな人間を救いたいという気持ちが強かったからだと書いてありました。その気持ちに共感できるからこそ、思いを実行し続けた篠原さんはすごいなと改めて思いました。
救助の場面も篠原さんだからこそできた内容が多く紹介されています。現在、東邦航空さんはレスキューの現場から離れているそうですが、長野県や岐阜県の山岳遭難救助に携わる皆さまをはじめとして、この本を読んだ人の心にも篠原さんの思いが受け継がれていくといいなと思います。
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