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（昼間の陽射しの中で、猛々しく起立していた雲の峰はいつしか崩れ、今は、明かりに照らされた月の山が嫋(たお)やかに横たえているばかりであるよ。〔訳〕おくのほそ道文学館）
芭蕉がリアルに月山に登っていたとは知らなかった。
羽黒山の南谷を朝出発し、山頂に着いた時には月が出ていたようだ。八里の道程。実際の距離は六里半らしいが、それでも30�卅宛紊琉榮圧�離！
ビブラムソールのわらじも無ければ、アミノ○○・エナジー××も無い時代。
凄すぎ。トレースは無理だが、軌跡の一部を辿ってみることに。
以下、つれづれに。
【羽黒山】
まずは、出発地となった羽黒山の南谷へ。
朝、6時少し前に随神門をくぐる。ひっそりした表参道の杉並木の石段をゆっくり登る。
【石段】
石段は2446段。段差が低い。だから必然的に幅も狭くなり段数も多くなる。何故か。
�� 老若男女、多くの人に登ってもらうため、足腰が痛い人にも優しい「いたわり坂」。
�� 石の運搬と施工上の理由から石を小さくした。
�� 昔の日本人の体躯が今より小さかった。
�� ギネスに挑戦。
１か２のような気がするが・・・
【お爺さんじゃないの？】
三の坂下から右手小径を300m程度。芭蕉が逗留した寺院があった南谷。
ここから出立し旧月山登拝道を下っていった。
一度、表参道に戻り羽黒山頂上へ。三神合祭殿、大鐘、歴史博物館、売店などがあり、一角に芭蕉像。よく見る旅装の姿。
芭蕉が奥の細道を歩いた時の年齢は・・・45歳!?
私より年下ではないか！
見た目の印象から、もっとお爺ちゃんかと思っていた。
私のようにボーっと生きるのではなく、深慮、重厚は日々を過ごすとこんな年齢を加速した達観した顔つきになるものなのか。（×老け顔）
【奥の細道古道】
頂上から旧月山参拝道へ。
雨が降るとぬかるむのであろう。道には苔生した玉石が連なっている。芭蕉もこの玉石を踏んだろうか。荒沢寺向かいの県道に出るまでの30分、月山に向かった芭蕉一行に思いを馳せる。
玉石の 苔宿りたる 杉の精
（森閑とした杉並木から放たれる香りや精が、長い年月をかけて苔となって玉石に茂ったようだ）
ん〜、イマイチ。
【茶店】
登り返し、二の坂の茶店で、朝食がてら、ちから餅と抹茶をいただく。
日曜の方が天気は良さそうなので、土曜は月山に向かわず、鶴岡市内を観光。
【庄内藩校至道館】
庄内藩は戊辰戦争では幕府方につき、最後の一藩となるまで抵抗し、一度も自領に新政府軍の侵入を許さなかった。
鶴岡市出身の藤沢周平の小説に登場する海坂藩は、庄内藩がモデルと言われている。
昔、山田洋次監督の映画「たそがれ清兵衛」を見て、庄内藩に関わる史跡を訪ねてみたいと思っていた。
【海坂藩と真田広之】
真田広之演じる主人公がカッコいい。男は黙して多くを語らず。
私の中では日本人のアクターでは彼が一番の男前。彼を見ると、運命は不公平だと思ってしまう。
皮膚の下の骨格と肉付きが少し違うだけなのに。
次に生まれてくる時は真田広之を希望。
【加茂水族館】
クラゲの展示で有名な水族館。ここも一度行ってみたかった。
直径５ｍの円型大水槽。青白く浮かび上がるクラゲがゆらゆらと、ゆっくり時計回りに回っている。薄暗いし、椅子もあるし、なんとも癒される。
「ボーっと生きて」ます。
アシカショーを初めて見た。イルカほどではないだろうと思っていたら、とんでもない、なかなかの芸達者。
前のヒレを使って素早く歩く。
アレは足か？ あ・し・か？
【夜】
湯の浜温泉で夕日を見る。雲もなく、水平線で太陽が溶ける完ぺきな日の入り。
夜になると、日中ガスっていた月山の方に月が浮いている。
虫の声もいつしか少なくなり、風も止み草木も無口な静寂な夜。
月のあかりが孤独感を和らげてくれる。
静けさに さびしからずや 山の月
ん〜、新鮮味が無い？
【月山】
日曜日は八合目から登る。芭蕉一行が歩いた工程のほとんどを車で移動。
現在の舗装道路でさえ、羽黒山から歩いてくる気には到底なれない。
驚くことに、芭蕉一行は翌日、湯殿山まで標高差1000m、5�劼瞭擦魏爾蝓△修瞭�の昼までに同じ道を月山まで登り帰し、そこから標高差2000m近く下って、30�匱紊留�黒山南谷に夕方戻っている。
芭蕉がヤマレコユーザーだったら、フォロワーが凄そう。
頂上で、ほとんどの人が見向きもしない芭蕉の句碑「雲の峯幾つ崩て月の山」を何度も反芻した。
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