突然、目の前に
巨大な雄のシカが現れた。
・・・ジャマだ、通れない。
おい、どけ。
どかんか。
そう念じたが通じず、
窓を開けて大声で
「どいてくださーい!」と言ってみたが、
ガン無視されて微動だにしない。
困った、いまから
山へ行かなくてはならないのだ。
近づいていくと
だいたいのシカは逃げていくのだが、
コイツはよほど肝が座っているのか、
まったく動かない。
動かざること山の如し、
思わず武田信玄の名言が
頭に浮かぶほど動かない。
仕方ないので
ギリギリまで近づいて・・・
プップーーーーーーーーーー!
思いっきりクラクションを鳴らす。
と、いきなりシカが
前方に向かって猛ダッシュを始めた。
よしっ、これで進めるぞ!
走るシカ。
追う車。
もっと走る車。
もっと走るシカ。
・・・おい、普通のシカだったら
だいたいガケ側を登っていくか、
谷側に降りていくだろう。
どこまで林道を
走り続けるつもりだ。
もしかして、このままずっと
登山口まで走り続けて、
登山口でいっしょに支度して、
登山靴を履いて、ザックを背負って、
そのまま山頂まで行くつもりか?
そんな考えがアタマをよぎるほど、
いつまでも林道を走り続けるシカ。
もしかして、
寝不足のあまりシカと車を
見間違えているのか?
と思いながら
2キロほど走ったあたりで、
ドドドドドドドーーーーーーーー!
急激にガケを登っていった。
ドドドドドドーーーーーーーーーー!
追う自分(ウソ)
おわり
角に見える部分はハンドルだと思われます。
その節には是非小さな役でいいのでお願いいたします。
作品の一番重要な役どころ、
シカのケツのまわりに生えている
白い毛の役を用意しております。
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